自主制作アニメ世代の申し子として
知ってる人は凄く知ってる、
殆どの人は全く知らない存在である
新海誠監督の
最新作『
星を追う子ども』が公開されています。
今回はこの
星を追う子どもと
『エヴァンゲリオン』に端を発するいわゆる
「
セカイ系」アニメ演出について書いていみます。
■「セカイ系」とは?セカイ系のはしり。新世紀エヴァンゲリオン劇場版より。
過剰な自意識を持った主人公が(それ故)自意識の範疇だけが
世界(セカイ)であると認識・行動する(主にアニメやコミックの)
一連の作品群のカテゴリ総称。
『新世紀エヴァンゲリオン』『ほしのこえ』『最終兵器彼女』などがこれにあたる。
小説なら『イリヤの空、UFOの夏』や、桜井亜美や田口ランディの作品など。
(はてなキーワードから引用)
要は主人公の自意識とその周りの狭い世界の出来事が
世界の危機に直結するような、そんな話のことだと思ってください。
■新海誠の演出とセカイ系90年代の「エヴァ」は後の様々なアニメに多大な
影響を与えています。
その演出技法にはルックス面での際立った特徴があります。
1.フィッシュアイ(広角レンズ、魚眼レンズ)を使用したゆがみ。
実写でカメラレンズには大まかにテレコン(望遠)レンズと
ワイコン(広角)レンズというものがあり
広角レンズの特性として画角が広くなる以外に
手前のものがゆがんで見えるというのがあります。
セカイ系アニメの特徴としてこのフィッシュアイのような
歪みで接写した人物をゆがめたり、線路のような奥行きのある実景
を描いたりを多用します。
2.被写体から景色へのパンニング、または景色から人へのパンニング。読んで字の通りですが、被写体(この場合人です)から
景色へのパンニングやまたは人から景色へのパンニングが多用されます。
3.細かいカット繋ぎ。足元のクロースアップから全体へそこに細かく景色がパン!パン!と
挿入されてまたロングショットに戻るというような
非常に細かくかつ極端にテレからワイドに変化するような
カット繋ぎもよく見られます。
また短いカットでは景色やフラッシュバックが多用されます。
4.被写体の動きと全く関係なくフレームが動く。新海監督のアニメを注意深く見ていると分かりますが
止め画でも被写体の動きと関係なくフレームが異動しています。
実写だったら常にドリーやクレーンアップダウンのような動きを
ゆっくりとしています。
ちなみに下に貼った動画は以前私が撮った「流星群」という
短編の1部で、いくつかのシーンで新海監督の『秒速5センチメートル』の
トレースを(ちょっとした遊びで)やっています。
4のフレームを動かす的なことはやっていませんが
これを見ていただけるとどういうことだか何となくわかって
いただけるのではないかと思います。
本当はモノローグとかも入ってますが
見直していたら思わず赤面してしまったので
消しました。
このあたりのことはリンク先でも非常に詳しく
説明されています。
http://cinefun.blog89.fc2.com/blog-entry-332.html■新海誠監督の特徴これは新海監督のDVD化されている
中篇・長編
『ほしのこえ』
『雲のむこう、約束の場所』
『秒速5センチメートル』に共通する特徴です。
1.出来の悪い村上春樹みたいな、うざったいぐらいの大量のモノローグ。
2.結ばれない主人公とヒロイン。
3.薄く平板なキャラクター描写と超細密に書き込まれた背景。まあこんなところじゃないでしょうか。
中二病と称されるこの独特さが
良くも悪くも強烈な作家性になっていると思います。
■『星を追う子ども』について劇場で鑑賞し驚愕しました。
「えっ!どうしちゃったの!?」
そう、上の新海節とも言えるモノローグや
セカイ系の特徴的演出が
完全に消え去っていたのです。
そこにあったのは
ジブリでした。それも「ナウシカ」と「ラピュタ」と「トトロ」と
「もののけ姫」と「ハウル」と「ゲド戦記」にちょっと「エヴァ」
を足してうすーくしたような。
引用、もといパクリが悪いとは全く思わないのですが
正直なところこのジブリジブリしたルックスだと
どうしても本家と比較してしまいます。
そしてやはり本家と比較したとき
本作はテクニカルな面でかなり落ちます。
新海監督の魅力はそのある種の素人くささ
にあり、ジブリを引用元にした結果その素人くささが
非常に悪いほうに出てしまったようです。
とはいえ感じ方は人次第ですけど。
なんだか悪口みたいになってしまいましたが
管理人は監督の作品は大好きです。
『秒速5センチメートル』は間違いなく傑作では
ありませんが、2000年代のアニメで個人的に一番好きです
ということを最後に言っておきます。
参考はこちら
http://undersiege.blog112.fc2.com/blog-entry-2.html
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