大海原の小さな光

前回の続きで『　　』兄妹がチェス勝負に勝ちました。チェスの内容はもう真面目に考えるとニューロンが焼き切れそうになるので無視します。とにかく勝って、王になる権利を得たここで、空と白とのどちら王になるかで一悶着があったのだがこれはちょっとこの兄妹、ひいてはこの作品らしからぬ展開だと思った。

立てるべき全権代理者が一人でなければならないとはどこにも書いてないというのは、正直、一視聴者としてはすぐ気付けた。当然、あの目ざとい『　　』兄妹ならコンマ０２秒ぐらいで気付いていて反論するものと思っていたのだが、まるっきりあさっての方向に話が展開していたのでかなり違和感を覚えたのである。一応、話の流れとして『　　』は二人ならば無敵だがお互い同士では完全に互角、極度の負けず嫌いも相まって決して勝負がつかない、という描写を入れておきたかったのは分かるが。

兎にも角にも、二人揃って国王戴冠。私も二人で一人のウルトラマンとか、二人で一人の探偵とか、色々な二人で一つのものを見た気がするけれど、さすがに二人で一人の国王というのはあまり見たことがない。

内政がすぐに終わったのはたぶん笑うところだと思うのだが、その後の宣戦布告はさすがに戦争とはどういうことなのかよく分かってないのではという気がして、ちょっといただけないな。そもそも、冷静に考えると、この世界の戦争概念はどうなっているのだろう。あと、演説自体が何を言いたい演説なのか、途中から良く分からなくなってる。


唯一神テト曰く、種族が十六種なのはチェス駒に見立てているから。あの、それでは三、五、七位が二つづつあって、九位が八個あることになるのでは……。アッハイ、十六種族はチェス駒の数がモチーフです。何も問題ありません。

テトが『　　』に最初に仕掛けてきた勝負は（真っ当なルールの）チェス。『　　』が王位をかけてやることになったのはチェス（という名目の何か）。十六種族はチェス駒の数がモチーフ。ついでに、空と白とがそれぞれ王、女王として並び立つというのもチェス駒を意識しているように見える。何か、よほどチェスに対して思い入れがあるのかと思うほどのこだわりぶりである。尤も、思い入れがあるにしては肝心の、一番手間かけてやった勝負があまりにも無茶苦茶だったが。