一ヶ月分の感想文をまとめて。
三銃士、柳生、クトゥルー神話というオタンチンな組み合わせで笑いをさそう中世冒険活劇。荒山先生あいかわらずですね。しかしあっさりすぎる語り口のせいか、僕は今ひとつ乗りきれませんでした。ケルト伝奇ネタも、自家薬籠中の朝鮮ものの濃さに比べると、若干表層的な印象。やはりヨーロッパが舞台だと、日朝史ほど自由には伝奇れないのでしょうか。いや、あきらめるのはまだ早い。徹ならやってくれるはず。待て、しかして希望せよ! ちなみに、作中では謎の剣士ウィロウリビング(笑)が日本式の剣術をつかう明確な描写は見あたりません。ということは、普通に西洋剣術をつかっているのか。でもせっかくヨーロッパ柳生をやるなら、日本刀VS西洋剣ならではの立ち合いなども読んでみたいです。そのあたりもふくめて次に期待。 健康そのものだった大食漢がジプシーの呪いに冒され、どんどん痩せさらばえていく。いかにもキングらしい、シンプルでしつこい恐怖を堪能。ディテールに凝りまくったアメリカ東海岸の行楽地描写もすばらしい。 ところで、リチャード・バックマン名義で発表された本作には「スティーヴン・キングの小説みたいな云々」という会話場面がありましてな。ベストセラー作家としての名を伏せ、別人のふりをして小説を書きながら、そこにぬけぬけと自分の名前を登場させるとき、はたして作者はどんな心境だったのでしょうか。してやったりとほくそえんだか、あるいは覆面のはがれる日の近いことを予感して複雑な思いでいたのか。結局、本作がベストセラーになって追求をかわし切れなくなり、とうとうバックマンの正体はキングだと認めるにいたったのだそうです。まあ、そうと知っていて読むとけっこうバレバレな気もしますが。 怪奇と幻想に毒々しく彩られた、二人の美青年による因縁の対決。連載時の挿絵と宣伝文句も併録されていて、戦前通俗小説の雰囲気にひたりながら読めるのがうれしい。宣伝文というのは、たとえばこんな感じです。 「見よ! 待望の巨篇、流石は江戸川氏苦心の大作である。その構想の雄大なる、驚くべきこのプロローグ……。満を持したる矢はきつて放れたのである。新年号如何なる場面が飛び出すか? ゼヒ御期待下さい、お知友の江戸川フアンに御吹聴下さい。」このかび臭さがたまらないのだぜ。 神技すぎて脱毛した。これほど凄絶な結末を、なぜこうもさらりと書ける……。 そこそこ馴れたつもりになって、今さら忍法帖でそんなに感動することもあるまいと思っていました。甘かった。やっぱり山風は人類の規格外だ。 初マキャモンです。大都会にはびこる吸血鬼どもを神様がこらしめてくださるよー。という、かなりあからさまにキリスト教っぽいお話。怖さもありがたさも、僕にはいまいちわかりかねました。ハリウッド映画然とした派手な見せ場やテンプレ通りのやられフラグなど、ベッタベタなホラー要素は「あるある」という感じで非常に楽しかったですが。個人的にはこれのお手本である「呪われた町」のほうが、派手さにたよらない重たい迫力を感じるので好き。 これが噂のハヤカワおちんちんランド。艦長がえろかわいい男の娘だったり、宇宙が舞台なのにやたら大時代的な騎士団がいたりといったラノベっぽい?設定に対して、律儀にひとつひとつSF的な説明を用意してくれるところが小川一水らしい、のかなあ。文体もややラノベ寄りなようです。ハヤカワ文庫でハートマークつきのセリフとか初めて見た。 ───── [画像] 子供たちにクトゥルー神話の怪物を描いてもらった これはこれでけっこう怖いような気もする まだ読みかけですが、手ごたえあり。自然災害につきものの人間同士の醜いいさかい、その仲裁に奔走する誠実な外交官、ドラマのころがし方は小川一水とかに似たものを感じる。ただし、この設定だとどうあがいても人類絶滅する。もうハローワールドなオチしか予想できない。こういう完全滅亡系のSF特有の寂しさって、なんか久しぶりに味わうな。 → (4/4) 読了。登場人物がみんなやけに善人アピールの激しい、いい人ばかり出てくるような話は、いくら主義主張が立派でもあまり好みでないんですが、そんなことはこのスケールの壮大さとネタの膨大さの前ではもうどうでもよくなった。とにかくSFでお腹いっぱい。ツキソメのデータや擬似人間のことなど、重要そうなネタのわりにスルー気味の扱いになっていた部分を拾う方向で、できればもう一作お願いしたい。 「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~」 見てまいりました。すごかった。泣かせ力が半端ねえ。やっぱリルルはええ子やなあ。 [画像] エオウィンの画像貼ってけ ロヒアリムの乙女の、細づくりながら鋼の刃のように、美しいが凄絶なことよ。 スクライド10周年プロジェクト始動! スクライド オルタレイション オリジナルに満足してる人が多くて、リメイクの要望はあまりなさそうな気がしてたので意外。カズマの声とか大丈夫なのかな。PVではちょっと無理してる感じ。 ファイアボール チャーミング これだけは見たい今期アニメ。これがもし年単位でつづく長寿作品だったらどんなにか嬉しいだろう 『ペルソナ4』のTVアニメ化が決定! メインスタッフ&キャスト公開 ひゃっふ! ところでP5発売はまだかのうアトラスさんや。 Hobbitish - Worldwide illustrated Hobbit editions 「ホビットの冒険」の各国版表紙・挿画を紹介しているサイト。コミック版もあるの、初めて知った [youtube] The Hobbit: Peter Jackson's First Video Blog from the Set 映画ホビットの10分におよぶメイキング映像。To be continued...となってるのでつづきが楽しみ NHK 青春アドベンチャー : 『魔岩伝説』(全15回) ウェーイ。荒山作品の他メディア展開は、これが初? SBR完走!ジョジョ第8部「ジョジョリオン」は杜王町が舞台 ジャンプ誌上でジョジョの新章の導入を読むときの、子供心に味わうわくわく感は異常だったわい…… と懐古にひたりつつ、次は杜王町ものと聞いてまたウヒャホ! 三つ子の魂百まで。 故伊藤計劃さんの小説に特別賞 米P・K・ディック賞 そもそも翻訳されないことには読んですらもらえないわけで、ハイカソルの存在意義はすごく大きい。良質な日本製SFの海外輸出を、コンゴトモヨロシク [youtube] サイバーパンク武侠片『鬼哭街』PV これ見て久しぶりにヤザンボイスの網絡蟲毒さんを聴きたくなって家捜しするも、ドラマCD行方不明。しょんぼり。もうリメイク版買おうかな。
by umi_urimasu
| 2011-03-27 22:24
| 本(SF・ミステリ)
|
最近のエントリ
「ゾンビ・ダイス」のようなものをお手軽に自作して遊ぶ
シルヴァン・ショメの異形の世界 「朝鮮通信使いま肇まる」 荒山徹/「マルドゥック・フラグメンツ」 冲方丁 「ザ・スタンド」 スティーヴン・キング 「ねじまき少女」 パオロ・バチガルピ 荒山先生はいつも楽しそうでいいよな 「友を選ばば」 荒山徹/「痩せゆく男」 S・キング/「大暗室」 江戸川乱歩/他 日本人はなぜクトゥルーを怖がらないのか 「異星人の郷」 マイクル・フリン 路傍のラピュタロボット 「ペット・セマタリー」 スティーヴン・キング すべての美しい木曽馬(?) すべての美しい競走馬 スティーヴン・キングに(ようやく)目覚めた ゲームのリアルリアリティ 中世の料理と風呂について: 司教様ご一行フルコース食い倒れツアー 統計: ファンタジーにおけるドラゴンの流行色 ロシアの伝説に残るユートピアとしての日本国 テッド・チャン インタビュー [2010.07] "On Writing" 時代小説、SF、ボーイズラブ、大食死 あとゾンビ 「テルマエ・ロマエ」 第1巻 ヤマザキマリ 忍法帖の姫キャラ比較 覚悟のススメみたいなノベルゲーム探してます 「天地明察」 冲方丁 映画 「第9地区」 映画 「シャーロック・ホームズ」 一生に一度は行ってみたい空想都市 荒山徹作品の再現コラ画像 「年間日本SF傑作選 超弦領域」/他 「ブラッド・メリディアン」 コーマック・マッカーシー PCが壊れると積読が崩れる トールキン「ホビットの冒険」訳文チェック 「柳生天狗党」 五味康祐 「ユダヤ警官同盟」 マイケル・シェイボン 映画 「ストレンヂア 無皇刃譚」 「あなたのための物語」 長谷敏司 「自生の夢」 飛浩隆 「洋梨形の男」 ジョージ・R・R・マーティン 「息吹」 テッド・チャン 年とるとライトノベルが読めなくなる 「海島の蹄」荒山徹 「煙突の上にハイヒール」小川一水 「柳生武芸帳」五味康祐 Yahoo! 剣豪知名度ランキング 「鳳凰の黙示録」荒山徹 「乙嫁語り」森薫 「すべての美しい馬」コーマック・マッカーシー 「順列都市」グレッグ・イーガン カテゴリ
以前の記事
最新のトラックバック
ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
|
ファン申請 |
||