史上最大の飛行機、再生産か ウクライナが検討開始 そこにある思惑

“史上最大の飛行機”であるアントノフ社のAn-225はこれまで1機しか造られず、まさに唯一無二の存在でした。しかしその初飛行から約30年経ったいま、再生産が検討されています。

元々は「ソ連版スペースシャトル」のために

 2016年5月31日(火)、東欧ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、国営の航空機メーカー、アントノフ社の創業70周年式典に参加。An-225「ムリヤ」輸送機の再生産を検討するよう指示しました。

 An-225は、かつてのソビエト連邦時代にアントノフ設計局によって開発された、世界にたった1機しか存在しない“史上最大の飛行機”です。今回ポロシェンコ大統領が指示した再生産のプランとは、ソビエト連邦の崩壊によって6〜7割の進捗率のまま放棄されていた1機の未完成機を組み立て、就役させるというものです。

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“史上最大の飛行機”であるアントノフAn-225「ムリヤ」(写真出典:icholakov/123RF)。

 このAn-225はもともと、ソビエト連邦版スペースシャトル「ブラン」の輸送用に、大型輸送機アントノフAn-124「ルスラン」を原型とし、これをひと回り大型化した派生型として製造されました。同機は1988(昭和63)年、初飛行に成功しましたが、1991(平成3)年のソビエト連邦崩壊により「ブラン」の開発計画自体が中止になってしまいます。ソビエト連邦から独立したウクライナは、アントノフ設計局とその資産を継承。以降、An-225は貨物機として運用されることになりました。

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