とはずがたり ~サブカル雑記帳~
アニメと音楽の直情的な感想がメインです。たまに映画や美術、気になったことも。
美術番組 美の巨人たち「安本亀八作 相撲生人形」感想 娯楽なのか?芸術なのか?
生人形。いきにんぎょう。
素人の知識じゃ、ホラーとか呪いとか「あの人形に触れてはならん・・」みたいなイメージしかできませんわ。
が、江戸後期~明治初期には写真や映像のように人物の姿を残す手段のひとつだったんだとか。
そんな生人形の中でも最高水準といわれる作品がこちら。
マジすか・・。
人物は直立すると2メートル超。
アップにすると髪の毛は一本一本植え込まれ、細かい擦り傷や泥汚れまで緻密に再現されてます。
全体のシルエットから、細部の質感まで半端ない。
こんな巨大なものが47キロしかないのも、また驚き。
作者の安本亀八は江戸後期に熊本の仏師の家に生まれ、その後、大阪、浅草と居を移し天才人形師として名声を確立した人です。
ちなみに、この二人は日本書紀の記述にある最古の相撲をとった野見宿禰と当麻蹶速だそうで。
実物と比較ができないわけだが、リアルだねぇ。
が、あまりのリアルさゆえに「不気味の谷」ジャストミートな人もいそう。
「不気味の谷」とはロボット工学の概念。
ロボット、CGなどが人間に似てくるほどに上がっていく好印象が、その寸前の一定範囲だけ谷のようにストンと落ちてしまう現象のことらしいです。
見た目だけじゃなくて、音声でもあるらしいよ。
それはさておき、生人形は現存しているものが少ないらしい。
なぜかといえば、見世物としての用途が多く、興業が終われば壊されてしまったから。
浮世絵とは対照的な運命なわけです。
相撲生人形が現代まで残ったのはアメリカの実業家が買い取り、後に美術館に寄贈したおかげだそうです。
生人形を作る技術は受け継がれ人間国宝を生むにまで至るんだが、娯楽か芸術かでこんなにも扱いに差が出てしまうのね。
こりゃあ、アレだな。
オリエント工業の人形もビル・ゲイツあたりが買い取って美術館に寄贈すれば、100年後には日本が誇る超絶技巧としてEテレあたりで紹介されるよ。
誰か!早くゲイツにプレゼンして!
東京右半分 都築 響一 (著)
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Posted on 2013/01/27 Sun. 12:50 [edit]
category: 美術
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