ごく普通の会社で社内勉強会・社内研修みたいのを散々やってきたけど、あまり成果が出てこなかった話でもひとつ。

社内勉強会ネタがなんか盛り上がってますね。2004年ぐらいから散々やってきましたが、大きな成果を得られていないみたいな話でも書いとこうかと思います。

認識してる元ネタ

はてブコメントとかを流し見ていると、どうも空中戦になってるようですね。

話がややこしくなるので、対象を絞り込む

ここではとりあえず、Web系を除いたSI・メーカ系で、業界平均レベルの技術力の人間が社員の大半を占める会社に対象を絞ります(Web系あまりわからない。あと技術力が高いところは勉強会ガーとか言ってないはず)。

社内勉強会の目的

社内勉強会を開催する目的は大きく分けて、「会社の技術力の底上げ」と「社内コミュニケーション・モチベーション向上(クラブ活動の一環)」の2つになるはずです。表向きはみんな「技術力アップ」が目的だと言うかもしれませんが、会社の規模・業態によってやはり違ってきます。

20-30人程度のSI孫請けみたいな会社だと、全社員の顔も技術レベルもだいたい認識していると思います(本題から外れますが、この規模・業態でほかの社員が何をやってるかまったくわからんみたいなところは、ド底辺だと思うのでさっさと転職した方がいい感じがします)。こういった会社で「勉強会やろう!」となるのは、旗振り役が他の社員の技術力に満足してない(日常的に面倒な仕事ばかり回されていたり、プロジェクトが火を噴いたときに尻拭いする役回りだったり)ことが、社内勉強会を開催しようとする根本目的ではないかと思います。

しかし社員数が増えていくほど「名前も知らない人」が増えていくので、意図せずとも社内コミュニケーションの性質が強くなってくるはずです(大きな会社でも、部署内に閉じた勉強会であれば前者と同じになる思いますが)。

目的に応じた社内勉強会・研修のやり方

「社内コミュニケーション・モチベーション」を目的にする場合

これの場合はさほど難しくはないです。

テーマ縛りなしで(縛ってもよいが緩くして)LT大会でもいいし、何かざっくりネタを用意してグループワークみたいなやり方でも良いです。参加者(主催者も含む)が全員が参加でき、かつ事前準備・宿題が重くなりすぎない(目安は前日の夜に夜なべすれば最低限はどうにかなる程度)ようにして、2-4か月に1回ぐらいのペースで開催するような感じであれば、継続していけると思います。

ただし勉強会を開催したからといって即座に参加者全員の技術力が上がるわけではないので、そこには目をつぶりましょう。長期的にみて「社内勉強会は当たり前」という状態になるところを当面の目標としておいた方が良いと思います。

「会社の技術力の底上げ」を目的にする場合

冒頭にあまり成果が出てきていないと書いたのはこっちのことで、ぶっちゃけ何が正解なのかわからないです。まったく成果が出ていないという訳ではないのですが。

仕方ないので、今まで見てきた失敗事案を書いていきます。

まず、参加者にカネを直結させないと絶対に失敗します。勉強会の拘束時間を業務時間として扱うなり、とりあえずの目標を資格取得として報奨金を用意することは最低ラインです。

次に参加者のモチベーションは基本的にそれほど高くはありません。強制参加にさせる場合は言わずもがな、任意参加の場合でも「とりあえず参加しておけば役に立つかなー、えへへー」みたいな感じの人が大半で、勉強会や研修でとりあげるテーマのうち実際に身に付くのは1/10もない気がします。そして、期間がちょっと過ぎると忘れられてしまうので、「あの勉強会でやりましたよね?」『なにそれ知らない』みたいなことは日常茶飯事です。

勉強会で取り上げた内容について忘れられてしまうのは、実業務ですぐに使う機会がなかったり、使わなくても特に不利益がない事が原因であることが大半です。

例えば、Javaや.NETなのに全部staticメソッドでコードを書いてしまったりという状況を改善したくてオブジェクト指向の勉強会を開催するとします。しかし数時間の勉強会×数回程度でオブジェクト指向を修得させることは不可能で、参加者には勉強会後も継続して学習してもらわなければなりません。ただし、自発的に自習してくれる参加者はまず居ないですし、「私は上流を目指すからプログラムの事なんて覚えなくても良い」みたいに開き直る人も出てきます。

そのため、教える側からアプローチして継続的に参加者をフォローしていく必要があります。現実的には、よほど余裕のある会社でも参加者全員をフォローし続けるのは困難(教える側がパンクしてしまう)でしょう。現実にはやる気や素養のある人間だけを選別して組織的に英才教育する方法しか選択できないと思います。ここまで来ると、もはや勉強会の範疇を越えてしまっている話になってきますが…。

ただ、英才教育はうまく運営していかないと「なんであの人だけ優遇されるの!?不公平だ!!」という声が社内から上がってきます。なので、勉強会は名目上はフリー参加(英才教育する人間は強制参加)にしておいて、勉強会後のフォローは教育側と同じプロジェクトに配置して日常業務の一部としてフォローしていくとか、見かけ上は参加者側の方が自発的にアクションしているようにするとか、分野の違う教育ラインを複数用意するなどの工夫は必要です。

こんなところが私が実際に見てきたものですが、もっと良い方法があれば私の方が知りたいです。

まとめ

雇われ社員が一人だけで「会社の技術力の底上げ」を目的に行動するのは、ほぼ無理ゲーっぽいので、営業や人事の方に働きかけてストレスのない仕事をできるように仕向けるなり、それが無理なら転職した方が手っ取り早い、というのが今の私の持論です。

そもそもあなたが会社の技術力を底上げたいのは何故?

補足というか重要な事を書き忘れていた

ちなみに、会社の技術レベルを上げるという意味ではあまり成功してないんですが、社内コミュニケーション・情報交換としてはうまくいっています。また、社内勉強会をきっかけに社外のコミュニティに自発的に出ていくようになって、技術力が大幅に向上した人が出てきた(そもそも私もその手のクチ)のも見てきています。

変な使命感を持たずに、とりあえずやってみると何か身の回りに変化が出るかもしれません。