はやいで! つよいで! ワテらのPHP!! #phpkansai

この記事は「 PHPカンファレンス関西2015 」の リレーブログ のエントリーです。

昨日は、@aa7th さん PHPとScalaと私 #phpkansai でした。

このエントリーのタイトル、「はやいで! つよいで! ワテらのPHP!!」というのは、もしかしたら今年のPHPカンファレンス関西のテーマになるかもしれなかかった文言です。これ結局は採用されず、今年は「テーマなし」ということでボツになりました。

が、こいつが出てきたときの空気感がすごく良くて忘れたくなかったので、こうして残しておこうと思いました。関西人の冗談みたいな文言ですが、これ実は今のPHPコミュニティにとって、とても大事なメッセージを含んでいると思うのです。まじで。

  • はやいで!
  • つよいで!
  • ワテらのPHP!!

では、ひとつひとつ解説していきましょう。

はやいで!

速いといえばPHP7ですよ。

ausweb.com.au

これまでも、PHP4から5の間で、また、PHP5.3から5.6の間でも、ものすごく高速化されてきました。HHVMなんて別の処理系もあります。Wikipediaを爆速にしたことで有名ですね。実は今のPHP処理系は、インタプリタとしてはかなり速い部類になります。

とはいえ、HHVMまで行くとさすがにちょっとハードルが高かったんですが、これからは、それ相当の速度がなんと、PHP7という「ふつうのPHP」で得られるんです。

また、仮想マシンが一般的なWebの言語にあって、Phalcon という「フレームワークコードがほぼネイティブ」という速さへのアプローチもあります。ReactPHP という、Node.js のような非同期IOを実現することで、裏方の処理系のパフォーマンスを高めるアイデアもあります。

いかに早く作れるかというのもまた、PHPがこれまでWebで活躍してきた理由のひとつです。近年、エンタープライズ指向での用途にも使えるようになったとはいえ、当初 LAMP という言葉が意味していたこと、その中にPHPがいたことは、とても大事なことだと思います。

今回のカンファレンスでは、基調講演にPHP7のお話があります。Phalconのセッションも設けています。自分個人としては、開発の早さ=RAD (Rapid Application Development) の視点から、フレームワークトラックのうち1セッションを担当させてもらいます。

つよいで!

繰り返し言っていることなんですが、PHP はリクエストごとにクラス定義すら最初から読み直し、終わったら全部捨てるんですよ。それがマトモな速さで動くんです。Webリクエストはぜんぶ別のプロセス空間です。ここ、強さの秘訣ですよね。

はじめから完全分離されているということは、サーバを簡単にスケールアウトできるってことです。global使ってようが、static変数使っていようが、そいつらも分離されてるんですよ。この、ラフでもタフというのは、まぎれもないPHPの強さです。

また、ここ数年で強力なツールがどんどん登場しています。PHPUnit はもちろん、Composer, PhpStorm... ライブラリなら SwiftMailer や Guzzle、フレームワークもさまざまな用途に派生し、どんどん洗練されています。その裏には、PSR という強い実効力のある標準化機構があったりします。個人的には、型をベースに静的解析できるLLだという点で、LLで堅実なプログラムを書くならPHPは最強なんじゃないかと思っています。

セキュリティ面でも、いっときは「たとえばPHPを使わない」と言われたこともありましたが、今では、もっとも叩かれて鍛えられたセキュリティ意識を持つ文化になっているんじゃないかと、個人的に思っています。Webアプリケーションのセキュリティに関して、もっとも見識のある層の方々からの関心を集めているのは、間違いないと思うのです。

カンファレンスのセッション内容としては、フレームワークだけを特集するトラックを設けています。強力なモダンフレームワークの世界を楽しんでいただければと思います。セキュリティについてはなんと2セッションあります。CodeceptionやCI(継続的インテグレーション)の話題も楽しみですね。

ワテらのPHP!!

最先端ではどんどん速く、強くなっているPHPですが、そのいっぽうで、PHPはごく一般的なWebエンジニアから見て、けして遠い存在ではありません。Webの開発に携わる人々にとって、PHPはもっとも親しみのある言語のひとつです。

PHPは主に、Webのサーバサイドの最前面に立つ技術です。フロントエンドの人との関係もとても深いでしょう。Webデザイナーが覚えたいプログラム言語ナンバーワンかナンバーツーは、なんといってもJavaScriptとPHPですもんね。

開発とは関係のないWebのユーザーにとってもそうです。FacebookもWikipediaも、みんなPHPのおかげさまです。なんだかんだ言いながらも、みんな日々、WordPress で公開される記事を読んでいますね。いまPHPは、Webになくてはならない、みんなのPHPです。

いまだに、まだドジっ子だった頃の癖が出るかもしれません。それもまた、みんなで「あるある〜」と共感できる愛嬌ある部分なのです。ほら、配列と辞書がごちゃまぜとか、文字列を数値計算できちゃうとか、なんかかわいいじゃないですか。(で、それは案外実務で便利だったりすることの方が多い)

カンファレンスのセッションには、PHPに限定した話のほかに、フロントエンド、クラウド、アクセス解析、プロジェクト管理といった、他の分野に広がっている話題も満載です。また、PHPカンファレンス関西は参加者全員にとって、「ワテらの」カンファレンスです。上級者向けだけでなく、初心者向けセッションやIDEとGitの体験ハンズオンなども、重要なテーマとして盛り込んでいます。

ともすればそのドジっ子なところを揶揄されがちなPHPですが、そんな声はものともせず、PHPとPHP文化の「はやさ」「つよさ」を、誇りを持って「これがワテらのPHPじゃ」とアピールできる場を作りたい。そんなPHPカンファレンスを関西で提供していきたい。テーマ案「はやいで! つよいで! ワテらのPHP!!」はそんな思いから出てきました。

ま、ボツってるんですけどね(^^; いいじゃないですか、気持ちさえあれば、体裁なんて。

※ @shin1x1, @aa7th, @omoon とのミーティングと肉に感謝。

さあリレーブログでどんどんテンション上げていきましょー! 次は @slywalker さんです。 → 忍び歩く男 - SLYWALKER あしたもみてね (夏休みこども劇場)