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2022年だけど2021年に観た映画をまとめてみたよ!

2022年07月11日
今回は先日に引き続き、2022年の今だけど2021年に観た映画をおさらいする大会です。

ベスト10は前回のとおりですので、その他10本に入らなかった/入れられなかった劇場鑑賞の新作・旧作、自宅鑑賞の新作・旧作下半期分全リストをご紹介したいと思います。
ともに一言感想つきで下にまとめておきますので、もし興味のある方はどうぞごらんください。
また、感想の最後に2021年でもっともピンとこなかった映画を3本選んでみましたので、そちらもあわせてごらんいただけますとさいわいです。

全鑑賞リストの上半期分はこちら


(以下、順不同/敬称略/ネタバレあり)



『ある用務員』
『べイビーわるきゅーれ』の2人組が同じく殺し屋として登場すると知り、いそいそと鑑賞。 
黒社会のボスに育てられた殺し屋が、ボスの娘を警護するため用務員となって高校に潜入するのですが、彼女を狙う殺し屋たちがぞくぞくと校内に侵入してきて・・・ というお話。
多種多様な殺し屋たちがおもしろく、過去にないほどふりきれた役に扮する前野朋哉さんもめちゃさいこう。
メイキングもたのしかったですよ!
『ラストナイト・イン・ソーホー』
魅力的な役者、クールな音楽、うっとりするような美術と衣装、ゾンビみたいにわらわら湧き出るモザイクおじさん、などなどエドガー・ライト監督のセンスが目に耳に楽しいおしゃれホラー。
ただ、大都会ロンドンで夢破れ孕まされ心を病み早逝した母をもつ主人公が、同じような境遇だった女性(サンディ)の存在を知り自分や母と重ね合わせ奔走した結果、またもや救うことができないという結末はどうにもすきになれなかったです。
サンディはたしかに罪を犯したけど、その後たった一人で、誰からも赦されることも理解されることもなく、数十年に渡りあの場所に囚われ続けた。 
それはもう、充分すぎるほどの罰なのではないだろうか。
やっと全てを分かち合って救いの手を差し伸べてくれる人と出会えたのに、囚人のまま、彼女の心を壊した・彼女が殺した男たちと共に焼け落ちるしかなかったのかと思うと胸がいたい。
最後、鏡に映るサンディの笑顔。 そこに至るまでに描かれる悲壮で残酷な仕打ちと、あまりに大団円然としたエンディングは、わたしの中ではつながりそうにないですね。
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
エディとヴェノムのイチャラブにつぐイチャラブにゆるむ頬。 
理解ある友人とこじらせライバル…そしてダメ押しのイチャラブ。さいこうか。
『マトリックス レザレクションズ』
『レボリューション』で不満だったところが完全撤回されてただけでニッコリ笑顔ですし、続編で一番盛り上がる「敵との共闘」や唐突な新幹線での新・感染みたいな大暴れ、途方もない大殺戮とメタジョーク連打もすきにならずにはいられない。 
ラストの屋上ダイブがさいこうにグっときました。
『クーリエ:最高機密の運び屋』
終盤のカンバーバッチがすさまじい。
『空白』
古田新太さんの顔面による暴力がすさまじく、精神状態をふくめまともじゃないようにしか見えない(※誉め言葉)
巻き込まれ店長の松坂桃李さんも「正しすぎる中年女性」の寺島しのぶさんも異様にうまいし、隅々まで配置されたバイプレイヤーのみなさんがとにかく絶妙。
封建的な父親が娘を喪ったことをきっかけに家族や自分自身と向き合うお話なのですが、わたしには「勝手に縛りつけて勝手に反省して勝手に前向きになるマジで迷惑な親」としか思えなかったですね。 
「不器用なだけでまとも」と評する声も見かけたんですけど、娘に怒鳴りつけスマホを取り上げて懇願もシカトで庭先に投げ捨てる父親の蛮行を「不器用」ですまされちゃあやってらんないし、でもそういうのが男っていうだけで「不器用」ですまされる現実もあるんだよなぁと思うと暗澹たる気持ちになります。
そっちは「不器用」で片付けられるのかもしれないけど、こっちは一生背負って生きてく呪縛になっちゃってるんだっつうの。
親の影響力なめんな。
物語として一方的な目線になってしまうのは仕方ないし、そのバランスをとるべく別のタイプの親も登場するのですが、まあとにかく父親も母親も勝手だね~ という一言に尽きました。
『ブラック・ウィドウ』
なにをどうやったところで『エンドゲーム』は起きてしまってるんだよなぁ・・・というかなしみを癒してくれるフローレンス・ピューは偉大。 
ナターシャを悼みつつも、二代目ブラック・ウィドウに想いを馳せてしまいました。
『銀魂 THE FINAL』
いい最終回でした。
『2001年宇宙の旅』
猿の動きがとてもいい。
『シャイニング 北米公開版〈デジタル・リマスター版〉』
数えきれないほど観てきた『シャイニング』を、まさかスクリーンで拝める日が来ようとは・・・ ありがとう午前十時の映画祭!
出来ることなら二週間毎日観たかった!
『Summer of 85』
どうしようもなく人をすきになってしまった日の記憶を、しまっていた心の奥底から引っぱり出してほこりをはらい、そっと抱きしめたくなるような映画。
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』
ロディくんも演じる吉沢亮もめちゃくちゃ魅力的でした。
『フリー・ガイ』
ゲームをほとんどやらないので、散りばめられているであろう元ネタはわかりませんでしたが、充分この世界観を楽しめました。
チャニング・テイタムとクリエバの使い方に大興奮。
『イン・ザ・ハイツ』
観ている間はたのしかったけど、しばらくするとほとんど印象が残っていないことに気づいた。アパートが暑そうだったことだけは覚えている。
『ユージュアル・サスペクツ』
今となっては監督・演者ともに問題がありすぎて素直にたのしめないのがかなしい。(まあ観るんですけど)
『ファイト・クラブ』
後世に与えた影響の大きさを改めて感じる傑作。
『ゾンビ津波』
津波に乗ってやってきた磯ゾンビを沿岸警備のおじさんがバズーカ砲で迎え撃つ海洋ロマン(ほぼ陸上だけど)。 
海育ちなだけに血がブルーハワイだったり、顔でフジツボが繁殖していたりと創意工夫の痕跡がほほえましい。 
タイトルから想像されるたいがいのことは抑えてくれるので、安心して観ていられます。
みんなだいすき木材粉砕機も出るよ!
『東京リベンジャーズ』
みんなつよくて、みんないい。
『竜とそばかすの姫』
以前書いた感想
『トゥモロー・ウォー』
Filmarksに書いた感想
『聖地X』
岡田くん、めっちゃシュッとしてはる。
『アイス・ロード』
リーアムおじさんが氷上で『恐怖の報酬』みたいなことをするお話。
色々な映画の悪役を観ていていつも思うことですが、本作の悪役もほんと気の毒なほど職務に熱心で、なんど阻まれても逆境でも挫けそうでも全く諦めずに主人公の邪魔するもんだから感動してしまいました。
みんなえらいよなあ。時給上げてあげてほしい。
『リスペクト』
アレサ・フランクリンの半生、知らなかったがこんなにもハードだったとは・・・。
当たり前だけど、とにかく曲がいい。ジェニファー・ハドソンの歌唱も非の打ちどころ無し。
『エターナルズ』
フェーズ4の目玉であろうオールスターキャストによる群像劇は(またもや)壮大な内輪もめだった・・・!
マーベルおなじみのとんちきアクション(褒め言葉)とクロエ・ジャオ監督ならではの映像美が見事に融合することによって、どっからどう観てもマーベルなのに時々ハッとするほどアートな瞬間を楽しめる、とてもいい映画に仕上がっていました。
スターク家の男児がふたりもいるせいで、鑑賞後無性にゲースロを観たくなるおまけつき。
『燃えよ剣』
副長の岡田くんはもちろん、沖田役の山田さんも慶喜役の山田さんも、そこはかとなく性格のわるそうな山南さんもバッチリはまっていてキャスティングは文句なし。
ふんだんに登場する岡山の名所・吉備津神社や吹屋ふるさと村など、美しいロケーションもすばらしいものの、もとが濃厚な物語なだけに要点をかいつまんだ「よりぬき新選組さん」な印象が否めず。
ナレーションでほぼ説明しちゃうのもなんつうか安っぽい。
『ひらいて』
なにを手に入れても足りない、なにが手に入っているのか気づいていない、なにもかも手に入れないと気が済まない、そもそもなにを手に入れたいのかもわからない、そんな女の子が周囲を巻き込んで自己愛を満たそうと大暴れする、ひりひりして苦くて甘ったるい物語。 
女の子ふたりのバランスがさいこうに危うくて惹き込まれました。
『CUBE 一度入ったら、最後』
なにもかもちぐはぐで、うまくいっている部分がひとつもない奇跡の一本。
『ハロウィン KILLS』
以前書いた感想
『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』
コナン君の新作みたいな邦題、うそ・おおげさ・まぎらわしいの三拍子揃っていてきらいじゃない。 
しっかりと日本でロケされているのに、安定感のあるトンチキ描写もふんだんに盛り込まれていて、まったく期待を裏切ってこないとこいらへん好感度高いです。 
こういうのでいいんだよ、こういうので。
『時をかける少女』
かけてた。
『サマーウォーズ』
たたかってた。
『ロスト・バケーション』
海はさむいし人はおろかだしサメはこわい。
『エクストリーム・ジョブ』
ストーリーはおもしろく、登場人物も個性的で、起承転結がきちんとしていて特に終盤の盛り上がりは異様。
最高すぎる娯楽作。
『未来世紀ブラジル』
「夢の女に是が非でも逢いたいマン奮闘記」。 
デニーロ史上最もかっこいい滑空シーンは、過去に観てきた映画すべての中においても最上位に入るのではないでしょうか。(※わたし調べ)
音楽も美術もキャスティングもなにもかもだいすき。
『DUNE/デューン 砂の惑星』
「夢の女に是が非でも逢いたいマン奮闘記」その2。
本作の直前にリンチ版を観直したので、黒沼龍三演出・北島マヤ主演版/小野寺先生演出・姫川亜弓主演版の「紅天女」についにありつけたような達成感がありました。
なるほど、こういうことか。(どういうことなのか)
全シーン写真集にできそうなほど完成度の高い画面構成にしびれます。
『劇場版「きのう何食べた?」』
だいすきな人とだいすきなごはんを食べられるだけでしあわせなんだよ・・・
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
ケツを固く結わえた荒縄でしばかれていた日々は遠くなりにけり。(日々なのか)
意味がありそでなさそな能面や、存在感がありそでなさそなラミ・マレックの、今までにありそでなさそな敵役とてもよかったです。
作務衣みたいなルームウェアも涼しそうでよかった。
それにしても、アナ・デ・アルマスさんのヘソまで開いてるのにどんだけ動いてもズレないドレス、いったいどうなってるんだ。 両面テープでも貼ってんのか。今度こっそりおしえてほしい。
賛否あるラストではありましたが、なにはともあれお疲れさまでした。
『屋敷女 ノーカット完全版』
公開時に観て以来の鑑賞でしたが、まごうことなき傑作であると再確認しました。
暗闇に佇むダルさまはこわくて美しくて凶暴で、バスルームを血塗れにするパラディさんはひたすら痛々しい。
ふたりの女の「生」に対する意気込みと子どもに対する執着心の対比がすばらしく、ラストシーンには祝福すら感じます。
「とある女」が、ダルさまの卓越した表現力によりただの常軌を逸したヒステリー女ではなく、大きすぎる喪失をうめるため全てを投げ打つしかないかなしい女になっているところが本当にすばらしい。
生きるとは、守るとはなにか、本能に訴えかけてくる声に耳を傾け、おおいに心を揺さぶられながら残酷描写に身をゆだねていただきたいです。
『キャンディマン』(2021年版)
オリジナルを尊重しつつも言いたいことはきっちり詰め込む真摯なホラー。
バッキバキに決まってる映像も恐ろ美しい。
オリジナルを観ていなくても堪能出来ますが、観ていれば数倍アガることうけあいです。
『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』
なにもかもちぐはぐで、うまくいっている部分がひとつもない奇跡の一本。(その2)
ゴーストランドに105分間とらえられていた囚人はわたしたちだったのかもしれない・・・
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』
無罪になってへんやんけ・・・!!!!(つまり悪魔のせいではなかった、と・・・?)
『DIVOC-12』
有名無名含む12人の監督による、そこはかとなく大手広告代理店臭がただようオシャレ短編集。
各作品約10分、と語る手腕が問われる短さですが、全般的に役者さんのアップに頼った顔面勝負が多かった印象。 惜しい。
作り手が好きなのであろう事に振り切った「死霊軍団」と、窪塚洋介さんの姿をした妖精のファンタジーがよかったです。
『レミニセンス』
予告編で想像していたのとだいぶ違う感じのこぢんまりとしたファムファタル映画。
ヒュー・ジャックマンさんが、もっぱらメソメソしたりイライラしたりしていて頼りがい皆無なところが新鮮でした。
ラスト、登場人物が選ぶ道とその尊重のされ方が、わたしはすきでしたね。
『マスカレード・ナイト』
のっけから濃厚キムタクメソッドが怒涛のように押し寄せる。 
いつものといえばいつものなんだけど、わたしにはかなりきつくなってきたかもしれません。
キムタクの部分はさておき、トリック等々が前作以上にひどい内容で、特に真犯人のくだりは原作を確認したくなるレベル。
『スーパーノヴァ』
トゥッチたんとファースさまの圧倒的ケミストリー。
『白頭山大噴火』
多くの人命を救うため出発した旅の仲間が、途中すご腕の野伏と合流したり離れ離れになったりしつつ、最後はデコボココンビで滅びの山に危険なシロモノを放り込みに行くお話だったので、実質ロード・オブ・ザ・リングだったのではないかという気がしています。
『スペース・プレイヤーズ』
終盤の「ワーナーが版権をもっているキャラ大集合」シーンが圧巻すぎて動体視力が追いつかなかった。
『オールド』
シャマラン先生が美しいビーチを舞台に人生の取り戻せなさを容赦なく描く上質ホラー。
いつものシャマラン節全開で、暑気払いにぴったり。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
路面電車でのアクションにテンション最高潮になるも、岡田師範の『ファブル2』には及ばない足場アクションや、あまりにも妻ラブすぎて子どもたちをないがしろにし続ける(そしてやらかし続ける)父ちゃん像に最後までノレず。
オークワフィナとの関係性はとてもすき!
『モンタナの目撃者』
デコボコ暗殺者コンビの非情もこわいし、迫りくる山火事の猛威もこわいのだけど、がちギレした奥さんの追撃がいちばんこわくてビビりちらしました。
普通なら描く部分が潔く省かれていたのも気にならないほど、主題がハッキリしていておもしろかった。
コナー少年役のフィン君、演技超うま!
『孤狼の血 LEVEL2』
すっかりやさぐれた松坂桃李、哀れなチンピラ村上虹郎、敵か味方か中村梅雀、相変わらずひどい目に遭い続ける音尾琢真などなど、すばらしい面々の殺伐演技合戦がたのしいヤクザ残酷物語。
その面々をひとりで食ってしまう鈴木亮平の猟奇的な面持ち、完璧すぎる。
映画クラッシャーの西野七瀬さんをもってしても、その牙城は切り崩せないのだ。
っていうか誰だよ西野さんキャスティングしたの。
『ドント・ブリーズ2』
ふつうなら肩入れしやすいであろう「なめてた相手が」系映画に倫理観ぶちこわしな要素を入れることにより、一気にどっちもどっち感を醸し出してきたゴミクズ頂上決戦『ドンブリ』の、みんな待ってたのか待ってなかったのかよくわからない続編。
てっきり前作の直接的な後日談かと思いきや、心機一転あらたな家族を手に入れて精魂込めて育てていたじいさんの愛情物語となっており、じいさんをしのぐほどのゴミクズ野郎にさらわれた娘を守るため、死闘を繰り広げることに。
『キックアス』ミーツ『レオン』ウィズ『アジョシ』といった内容なので、新鮮味は特にない。
水紋で攻撃を察知するシーンはよかったです。
『鳩の撃退法』
今回の竜也はハードボイルドやで~。 
焼きそばの販促映画という側面もある。
『あなたの番です 劇場版』
ドラマ版のキャストとキャラクター設定はそのままに、世界線だけを新たにした外伝的物語。 
ファンサービスなのか大人の事情なのか、主要人物の見せ場が無駄に長い。
さあ泣けとばかりに長尺で感動を押しつけてくるのにも興ざめ。
『ファイナル・プラン』
人生最後の恋におちたリーアムおじさんが裏稼業から足を洗おうとするも、相談したFBIがわるいやつだったせいで四苦八苦するお話。
いわゆる「なめてた相手が」系映画ではあるものの、しっとりとしたおとなの恋愛も充分に描かれており満足度高め。
『スパイラル:ソウ オールリセット』
以前書いた感想
『唐人街探偵 東京 MISSION』
冒頭の空港シーンからエンディングのうたっておどろうシーンまでずっとハンテンションが続く、ちょっとどうかしている娯楽作。
出てくる日本人キャストも全員最高の演技をみせており、最高すぎて出てる映画がちがうんじゃないかと思ってしまう長澤まさみ&三浦友和が、尻切れトンボ気味なラスト含めてとてもいい。
笑わそうとするシーンがいちいちクドく、無駄に長尺なのも、文化の違いという感じでこれまたたのしいですね。
『彼女が好きなものは』
生徒たちや親の反応がすごくリアルだなあと思う一方、繰り返し発せられる蔑称やラストの発言などに「それでええんか」という疑問が強く残る映画でした。
『モーリタニアン 黒塗りの記録』
グアンタナモで起きた(しかもまだ終わっていない)非人間的な行いに弁護士ジョディ・フォスターと海兵隊中佐カンバーバッチが直面するお話。
当時話題になっていたので非道の数々は知っていたものの、やはりしんどい。
そして現代日本に生きていて、他人事と言い切れない怖さもありました。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』
公開時以来の劇場鑑賞。 
まさかもう一度スクリーンで観られようとは・・・ ありがとう午前十時の映画祭!
しあわせすぎて泣きそう。(泣きました)
『ファウンド』
弟想いのお兄ちゃんが家族の問題を超解決しちゃう人間ドラマ。
情感溢れる導入部から「パッケージ大ウソやん…」という中盤を経て、最後は「パ、パッケージ通りでした…!」と平伏せざるを得なくなる大傑作でしたね。腹筋は盛ってるけど。 
モザイクなしだとクライマックスのお兄ちゃんのお兄ちゃんがどうかしすぎているという情報を得て、悔しさのあまり地団駄ふんでいます。
いや、そこ見せんとアカンとこやろ。この物語においてかなり大事なとこやん…
『地獄の警備員』
近年、すっかり「かわいいおじさん」枠に収まった感のある松重豊がまがまがしさ全開でオフィスワーカーをぶちころす。
オフィスにあるまじき謎の鉄扉がとてもいい。
『Girl/ガール』
トランスジェンダーの子どもが思春期を迎え、心と体の不一致に苦悩し、ついにはいたましい自傷行為に及んでしまう。
登場する保護者は、日本の一般的なそれからすると驚くほど理解が深く、きちんとした医療的バックアップも受けていた上での行為なので、いたたまれない気持ちになります。
とても丁寧な映画だっただけに、ショッキングな表現でドラマを盛り上げるような展開に少し違和感。
もしかして『ミッドナイトスワン』の製作者、これ参考にした・・・?
『宇宙からのツタンカーメン』
タイトル以上のことが一切起こらない平和なSFホラー。 ラストシーンに驚愕。


ということで、以上2021年鑑賞リストでした。
上半期とあわせて、合計150本ぐらいでしょうか。
2020年に引き続き、新型ウィルスが猛威をふるっている割には気にせず映画館に通った一年でしたね。
もちろん、感染リスクはできうる限り排除できるよう努めていますし、軽視するつもりもないのですが、行けうるかぎりは映画館に行こうと思っています。
今までも、これからも。

ではさいごに、2021年に観た中でもっともピンとこなかったやつ行ってみよう!!


ピンとこなかったその1
『CUBE 一度入ったら、最後』

ヴィンチェンゾ・ナタリが認めた初の公式リメイク! の呼び声もむなしく、オリジナルファンからもキャストで釣ろうとした若者からも見放されたかなしき二番煎じ。
ギリギリまでそぎ落とされた緊張感、日本映画特有の長ったらしい説明台詞、活かしきれない特殊設定、クソダサいサブタイトルに本編とまったく合わないテーマ曲など、なにひとつ成功だったと思える部分がないのがすごい。
考えれば考えるほど、どうして今これをリメイクすることになったのかがわからなくなる。
本作に限らず、日本映画ではときどき「お金がないって言われている中、どうかんがえても勝算のないまま何故かゴーサインが出た作品」がでてくるんですけど、どういう仕組みなんでしょうかね。
政治といっしょで、一旦予算組んだらキャンセル利かないのかな。

ピンとこなかったその2 
『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』

公開時点では園監督の問題行動は報道されていなかったので、私生活と作品の混同とかではないですよ予めいっておきますが。
海外でも評価されている園監督が満を持してのハリウッド・デビュー。
しかも主役はニコラス・ケイジでヒロインはソフィア・ブテラ。われらが兄貴・ビル・モーズリーも出演と聞けば、相当の怪作が期待できるはず。 
そう思っていた時期が、わたしにもありました。
意識的に使っているトンチキ日本描写、原爆と原発批判、実験的な画づくりと前衛的な編集。
いつも通りの全力芝居をみせてくれるニコケイとそれらの舞台装置の、まあハマらないことといったらね・・・。
悪ふざけのすべてが空回りし、展開のすべてが退屈で、「おれ、すごいクールなことやってるでしょ」という作り手のドヤ感だけがむせ返らんばかりに押し寄せてくる苦痛の105分。
関係者はニコケイやその他の出演者にあやまって欲しい。

ピンとこなかったその3 
『スパイラル:ソウ オールリセット』

以前書いた感想のとおりなんですけど、ソウとしてはあまりに期待外れ。 
ソウでないと思えばふつうにソリッドホラー。
クリス・ロックの接待映画だと思えばいろいろしっくりきますが、そんなもんみせられても。(観たのは自分ですけども)
正直、『スパイラル』よりもピンとこなかった映画はありますよ。
なんで『ゾンビ津波』よりも評価が低いんだ?と思わなくもないのですが、ソウを名乗るんならもうちょっとマシなゲームをみせてほしい。それだけなんです。


昨年のネタに長々とおつきあいいただき、ありがとうございました!
では次回、2022年上半期ベスト10でお会いしましょう!!





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2022年だけど2021年映画ベスト10を決めてみたよ!

2022年06月29日

おばんでやんす、アガサです。


というような書き出しをした場合、娘っこから「はい、おかあさんのブログよみますよ~ “おばんでやんす”」と家族の前で音読されるショッキングな事案が起きてしまうので、もう少しかしこそうな書き出しを思いつきたい今日この頃ですが、みなさまいかがおすごしでしょうか。

昨年に引き続き、年をまたいでのベスト10ご報告というていたらくまことに恐縮ですが、明日できることは明日やる、今日できることは明日にはやる、昨日やるはずだったこともさいあく明日で間に合うのでは、がモットーのわたしですので、そこいらへんはホントその、おおらかな気持ちで受け止めていただければさいわいです。

と、ここまで書いたのが何を隠そう今年の2月。
続きを書かないまま時は流れ、気がつけば現在6月。
年をまたいでどころか、2年越しのベスト10も視野に入り始めてしまったていたらく、まことにまことに恐縮なのですが、なんつうかほら、最近は感染症やなんやかんやで映画館から足が遠のいていらっしゃる方も多いでしょうし、一方、配信サービスの充実で比較的すみやかなる新作の自宅鑑賞が可能になっていたりましますし、去年おもしろかった作品をご紹介することが、みなさんの映画ライフのなんらかの参考になればこれさいわいと思う次第なのでございます。

では、きれいにまとまった感がうっすら残っているうちに2021年ベスト10行ってみますよ!
(ちょいちょいネタバレが混じっているのでご用心ください!)


1位 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
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暗殺術を得ているわけでもない、バックに巨大な組織がついているわけでもない、何重にもトラップを張り巡らせられるような専門知識をもっているわけでもない、どこにでもいるただひとりの、ほんのひとりの女性が、ただただ身体を張り大芝居をうち心を削りながら、目の前にいるクソ野郎に思い知らせてやろうとするお話。
観た直後から、ひたすら押し寄せるかなしみと虚しさとそれらを凌駕する圧倒的な怒りで体が爆発しそうになりました。
あまりに理不尽、あまりに非情、あまりにリアル。
昨年観た中でもっとも頭からはなれない問答無用のベスト1であり、同時にこの映画をダントツ1位にあげずにはいられない現実に嫌気がさします。
凄腕の暗殺者が物理的に殺しまくる映画なら、どんなによかったか。(※物騒発言)

主人公の人生は最愛の友人を亡くした時点で一度壊れ、初めて出会った「まとも」な男性との恋愛で前を向きかけたもののその正体を知ることとなり再度壊れた。
例え復讐を果たしたところで、人生の修復は不可能だったのかもしれない。
だからせめて、男たちに下した鉄槌と主人公の命が釣り合いのとれるほどのものならば、・・・いや、そうじゃない。社会的地位の喪失と命とは、どうやったって釣り合うわけがない。
成功しても失敗しても、到底「よかったね」なんて言えない結末しかない主人公の選択。
二度と戻ることのない、彼女やこの世に存在するたくさんの「彼女たち」が送れていたかもしれない輝かしい未来を思うと、救いようのない気持ちになります。
ゴミクズの見本市みたいな男たちと、それをよしとして守ってきた「ママ」たちの醜悪さにも息が詰まりそうになるので、精神的に余力がない時の鑑賞はダメージがでっかいかもしれません。
ただ、観て欲しい。
できるだけたくさんの人に観て欲しい、すごい作品でした。

2位 『最後の決闘裁判』
最後の

「リドスコ先生・魂の授業 女性の人権編」といった内容だっただけに、公開直後から賛否の声がふきあがったのも記憶に新しいところ。
特に、映画監督や映画評論家という「見る目」をもつはずの人たちが、信じがたいほどトンチンカンな解釈をご開帳し、えらいひとたちが言っているんだからと倣った人たちもそこに続いた結果、現代のツールであるはずのインターネット上がたくさんの「カルージュ」「ル・グリ」「ピエール伯」という中世アタマカチコチおじさん3人衆で埋め尽くされるという珍現象まで起きることに。
いや、珍現象でもないんですよね。
全く変わっていないメンタルがそこにあるっていうことなんですよ。
1位の『プロミシング・・・』といい本作と言い、長年にわたる不平等や無自覚な加害性や低く見積もられ続けた尊厳に異を唱える女性たちの映画には、老いも若きもが知るべきことがたくさん込められていると思います。
我々がぜひ向き合うべき良薬を、苦くてもなお飲み込む勇気をもってほしい。
リドスコ先生の授業はこわくないよ。 
顔はいかついけど言葉はうつくしいし願いはやさしいものだよ。
俳優さんたちのすばらしすぎる名演も必見です。(すばらしすぎて憂鬱になります)

3位 『マリグナント』
マリグナント

みんなだいすき『SAWソウ』の生みの親であり、『インシディアス』に『死霊館』果ては『ワイスピ』からDCヒーロー『アクアマン』まで、なんでもおもしろく作っちゃう稀代の天才ジェームズ・ワン監督が誕生させたニュー・(ダーク)ヒーローの勇姿に刮目せよ!
これはもう、はちゃめちゃにいい作品でしたね!
ほう・・・いわくつきの病院か・・ なるほどなるほど、被験者ね・・・あるよね・・・・あるある・・ 特殊能力か・・そういうのもあるよね・・・ ほんで成長した患者が悪夢を見始めて、謎の連続殺人も起きるっていうね・・・はいはい・・そういうやつか・・・・ ・・・よし!読めた!!!
って、勝手に読んだ気になっていた展開が、そのあと想定の5倍ぐらいのやりすぎテンションで繰り広げられるもんだから、もうどうやったって愉快痛快ですよ。 
ありがとう、ジェームズ・ワン監督! ありがとう、数々のホラー名作リスペクト!
ありそうでなかった殺人鬼の造形も超よかったですね。 動きがいいんだまた。
そして最後にたたみかけてくるきょうだい愛。
震えて笑って泣ける18禁ホラーエンターテイメント。 続編もおまちしております。

4位 『サイコ・ゴアマン』
サイコゴア

とある事情で捨てられていたかわいそうな生き物と、それをひろって育てることなった少女。 
ふたりのあいだに芽生える友情と、ひと夏の大冒険とは・・・。

という何万回も観たことあるような盤石なストーリーに、
ただし捨てられていたのは「残虐宇宙人」
ただし拾ったのは「サイコパス少女」
ただし育て方は「残虐宇宙人をコントロールできる謎の宝石による不条理な支配」
ただし少女の家族は「ダメ人間」
ただし少女は「実兄を虐待中」
ただし冒険とは「残虐宇宙人を抹殺しにきた正義の宇宙人・テンプル騎士団との闘い」
等々、たくさんのただし書きと惜しみないゴア表現がつけ足されたことによって、さいこうにてんやわんやでさいこうにあの頃(昭和)を思い起こさせる傑作SFが誕生してしまいました。
もはやよろこびしかない。
低予算だし不謹慎だしペット化される脳みそ(⁈)なんかも出てくるので、万人向けする作品でないことは確かなのですが、はまる人にはとことんはまるヤツなのではないでしょうか。 もちろんわたしは後者です。

無題 (2)
(最強戦士パンドラがどうみてもアンジェリーナ・ジョリーさんだったんですけど、監督、えらいひとにおこられなかったのかな)

5位 『ザ・ライダー』
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感想はこちら・・・2021年上半期ベスト

6位 『すばらしき世界』
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感想はこちら・・・2021年上半期ベスト

7位 『べイビーわるきゅーれ』
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かわいい女の子の日常脱力系映画と思って油断していたら、ゴリゴリに極められたアクションととてもまじめな会話劇(むずかしい話をするという意味ではなく、キャラクターに血肉が通っていることが感じられる)にノックアウトされました。
主演のおふたりがとにかくめちゃくちゃキュート。
社会だけでなく裏社会にまで馴染めなくなりそうになってるまひろちゃんが、だいすきなちさとちゃんだけにはきちんと向き合うとするところ、とてもグッとくる。
それをまっすぐ受け止めるちさとちゃんもすてき。
メイド喫茶の先輩ちゃんもかわいかったな~
ずっと続きを観ていたくなります。 まだ観ていない方はぜひ!!

8位 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
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魅力的なキャラクターといい、うっとりするほどキマッている画といい、小気味いい裏切りといい、豪快に巻き散らかされる血肉といい、終盤のあつい展開といい、「あーおれ今ジェームズ・ガンの映画観てるなー」という多幸感に満ち満ちた作品。
カチコミをかけるシーンがどれも超かっこいい。

9位 『ゴジラvsコング』
ゴジラ

コング兄貴のモーニングルーティーンで幕をあける本作。
無防備なあくび、屈託のない仕草、目覚めのシャワー、ルームメイトにおはようのあいさつ、ケツをポリポリ。もうこの時点で百点満点である。

雄々しいコング、全力疾走するゴジラ、表情豊かな両者からは、聞こえてこないはずの会話が聞こえてくる。
目は口ほどに物を言う、そうだろ?アニキ?
どつきあいの途中で脱臼した肩を壁に叩きつけてはめる、という強いキャラあるあるをコング兄貴にやらせるとかアダム・ウィンガード監督は天才か。
観たいもの、期待していたものはすべてみせてくれた大傑作ではなかろうか。

欲をいえば、人間パートは全カットでもよかったですね。モナークなんて完全に空気だったし、全部ゴジラとコングだけでいいのに。あと、メカゴジラ華奢すぎでは。

「ほぼ全編白目で、挙げ句感電死するだけのレン・セリザワとは一体何だったのか」問題は今後も胸にとどめておきたいところです。

10位 『モータルコンバット』
モーコン

人間界と魔界との覇権をかけた10番勝負、その名もモータルコンバット。
冒頭、「人間界は次の大会で負けたら終わり」という字幕が流れるものの、その後魔界の親玉による「予言によると次の10試合目で我々は負ける」というぼやきがあるので、どうやら人間界に希望はあるらしい。 
というか、10番勝負の9番まで負けてても最後の1試合で勝ったらゲームがひっくり返る仕組み、「最終問題だけ配点が5億点」みたいな不条理さがないか。だいじょうぶか。魔界の人たち心広すぎじゃないのか。
ただし、魔界のえらいひとも指をくわえて予言を成立させるつもりは毛頭なく、卑怯にも試合開催前に人間チームの主力選手を抹殺し、無効試合に持ち込もうという計画をくわだてるんですよね。
それを果敢に迎え撃つ人間界の戦士たち、ということで、最終試合を前に人間界と魔界の代表選手による死闘が繰り広げられるわけなんですがそれもう10試合目でええやろ。

真田広之さんの正しい使い方と四六時中目が光る浅野忠信さんだけでもお腹が満たされるのですが、個性がひかる伝説の戦士たちと魔界のみなさんが和気あいあい殺しあうさまも豪快のひとことで、湯気たててまろびでる臓物、瑞々しく砕け散る頭部、縦割りの為だけにとつぜん丸ノコと化すオシャレ帽子など見所も満載。
正直、これをベスト10に入れることに我ながら疑問が浮かばないこともないのですが、本作にはパワーがある。トンチキ映画においてはパワーこそ力、ということで堂々ランクインです。



以上、わたしが2021年に観た映画のベスト10でした。
ギリギリまで悩んだ作品としましては、山田杏奈さんと芋生悠さんの演技がすばらしかった『ひらいて』や、さえないおじさんが戦闘マシーンだった系映画のニューフェイス『Mr.ノーバディ』、細部までこだわりぬかれた造形の数々がたまらないストップモーションアニメの『JUNK HEAD』などがありました。
ていうか全部すき。 
おれ、えいが、だいたいすき。
昨年の上半期にまとめた時には1位だった『すばらしき世界』がなぜか6位になっていたり、その時下位だった『ザ・ライダー』と入れ替わっていたり、好みの偏りがはげしかったりと、あまり参考にならないランキングになってしまった気もしますが、どれもおすすめですので未見の作品がありましたらぜひ・・・!

次回はランクに入らなかった・入れられなかった作品の下半期全鑑賞リストと、別の意味で心に残るベスト3をお届けしたいと思います。
ほんとだよ!絶対書くよ!(※おととし書かなかったことへの自戒の念)


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2021年上半期ベスト10をえらんでみましたよ

2021年06月30日
新型ウィルスにおびえ、偉い人に翻弄されている間に2020年が終わったと思っていたのに気づいたらもうすでに2021年も折り返し地点という今日この頃ですが、みなさまいかがおすごしでしょうか。
毎日毎日うんざりするようなニュースばかりを突きつけられて、とっくにメンタルの容れ物はひびだらけで、隙間から「まともさ」がこぼれ落ちているような状況ですが、とにかくわたしたちは生きているわけで、なにかに生かされているわけで、せめてすきなもので心をつなぎとめながら状況が改善する日を待つしかないのかなぁなどと思っている次第です。
すきなもの。
そう、映画ですよ!

と、いうわけで、今年も感染には重々注意を払いながら自己責任の上、あっちこっちで映画を観てきましたので、今回はその中からとくに印象に残っている作品を上半期ベスト10というかたちでご紹介しますんでひとつよしなに!



1位 『すばらしき世界』
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観る人によって、肯定的にも否定的にもとらえることのできるタイトルが秀逸な本作。
この世界はすばらしい。厭なものから目を背ければ。
この世界はすばらしい。本音を噛み殺し周囲に溶け込めば。
本当にこの世界はすばらしいよね。 と真綿で喉元を締め上げながら問いかけてくるような、厳しくも誠実な映画でした。
傑作。 完璧といっていいのではないでしょうか。
犯してきた罪を償い人生を再生しようとする主人公を本気で支えようとする人たちと、その人たちが最後に浮かべる表情がとどめをさしに来るぞ・・・ 気をつけろ!


2位 『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
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MCUでアメコミ映画に魅了されたみんなが期待していたものの、MCUのアメコミ映画メソッドを取り入れた製作者が弄りまわしたせいで中途半端な内容になってしまい、MCUとの間に超えられない壁を築いてしまったと評判だった『ジャスティス・リーグ』が4年の時を超えついに復活!
本来指揮をとるはずだったものの諸事情で降板せざるを得なかったザック・スナイダー監督が、MCUどこ吹く風とばかりに盛大な夢小説をぶちあげた結果、これだよこれ!なジャスティス・リーグが出来上がりました。
饒舌だけど言葉足らず、かゆいところに手は届くが深堀りしすぎて出血、伏線回収完全放棄といういつものザック節が存分に味わえてオレ悶絶。
劇場公開版では省かれていたみんなの事情や見せ場が大盤振る舞いされるため、強い子はちゃんとつよく、速い子はもっとはやく、優しい子はとことんやさしく、賢い子はさらにかしこく、バットマンはすごくバットマンになっていまして控えめにいって最の高。
っていうか、フラッシュちゃんめちゃくちゃ活躍するじゃん!劇場版どころの騒ぎじゃないじゃん!なんだったらスーパーマン以上に活躍するじゃん!これスクリーンで観たかったなぁー!!!
正直、上半期2位に選ぶほどなのか?と聞かれたらそうでもないのかもしれませんが、空腹時にたべるラーメンって史上最もおいしい食事じゃないですか。 そういうことです。
待った甲斐があった、そう思える「きれい」なジャスティス・リーグでした。
欲をいえば、フラッシュちゃんとスーパーマンの徒競走はカットしないでほしかったなぁ。


3位 『燃ゆる女の肖像』
燃ゆる
今までの映画では観たことなかったような自然な女の姿。
腹が減れば勝手にガツガツ食い、股をチェックして月経に気づき、その痛さに苛立ち、走りたいときに走る。
あったようでなかった姿。そして残酷なまでに生と死が混在する闇医者シーン。すごい。


4位 『ザ・ライダー』
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めまいがするほど果てのない草原と荒々しい岩肌。
どうやって撮ったのかわからないハードなロデオ、そしてしなやかな馬。
広すぎるけれど生きてゆくにはあまりに狭い、この世界は困難で優しい。
その境遇の役は同じ境遇にある人に演じさせるべき、という、最近よくいわれる言葉に心の底から納得してしまったエンドクレジット。
リアルな人たちが出演しているけどドキュメンタリーではない。
本当にそれがわかる人たちがその物語を演じているだけなのだ、という説得力。
紛れもない「映画」であることに胸をうたれました。


5位 『パーム・スプリングス』
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時空の切れ目に迷い込み、永遠に同じ一日を繰り返すことになってしまった主人公ナイルズと、恐怖心を好奇心が上回ってしまったせいで彼と運命をともにすることになってしまったサラの物語。
何度死んでも同じ朝に戻るお話は珍しくないものの、この作品にあふれる圧倒的な陽気さと底なしの絶望感は今までのループものとは違った感覚を与えてくれます。 
なんでもできる(許される)自由な毎日、ただひとつ許されないのは死ぬこと。 
誰と生きるか、どうやって生きるか、生きるってなんなのか。 ループにとらわれた三人の登場人物が選ぶそれぞれの道に、ふと自分の人生を重ねて考え込んでしまいました。
ところで最後のあれ、J・K・シモンズさんにも教えてあげてるよね?メモかなんか渡してあげてるよね?渡してあげていておくれ~!


6位 『ザ・スイッチ』
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身内に不幸があって以来殻に閉じこもり、家族ともギクシャクしている女子高生と、マイケル・マイヤーズ+ジェイソン的中年殺人鬼の魂が揉み合った拍子に入れ替わっちゃった!さあどうなる学園祭!というドタバタハートウォーミングホラー。
登場人物みんなかわいいけど、特に中年殺人鬼ヴィンス・ヴォーンが激烈にあざとかわいい! 
片思い中のアメフト部員と車の中でふたりっきりになるシーンは、近年稀にみる緊張感 ・・・いい意味でキュンです!
ホラー描写と青春全力投球の緩急バランスがとてもいいので、どなたにも楽しんでいただけるのではないでしょうか。


7位 『バクラウ 地図から消された村』
バクラウ
なるほど、これが全裸中年男性か!
富めるものが貧する者を蹂躙する物語であり、窮鼠が猫を原型なくなるまで噛みつぶす物語でもある。
観たままを信じれば裏切られ、見えないものを期待すれば報われるという点では予想の範囲内でもあるけれど、ふとした瞬間流れる奇妙な空気がとても魅力的だったので上半期ベストに入れたくなりました。 
ウド・キアの安定感よ・・・!


8位 『ビバリウム』
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以前書いた感想


9位 『JUNK HEAD』
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いつか訪れるかもしれない未来の話。 
生殖機能をうしない絶滅の危機に瀕した人類の代表として、地下に住む人口生命体の調査に向かった主人公が、記憶をなくしたりはじめてのおつかいに出かけたり崇め奉られたりする摩訶不思議アドベンチャー。
デヴィッド・リンチのなまめかしさとクライヴ・バーカーの造形美とデルトロのいたいけな少女観がミックスされた、NHK教育夕方枠ハイブリッド人形アニメという感じでめちゃくちゃすきなやつでした!
自費出版だというパンフレットは製作資料としてとても有能。
ほぼ予備知識なしで観たので、ラストは「ここで終わるんかい!」とひっくり返りました。 続編、観たいなぁ。


10位 『サンドラの小さな家』
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DV夫と別れてふたりの娘と新生活を始める母親の物語。
しかし、始めようとした生活はそう簡単ではなく、常に貧困と元夫の問題が歩みを妨げる。
行き詰りそうになるたび彼女の前に現れる、「やさしい」人々の存在は、あまりに見返りのないやさしさゆえに不安になるほど。
悪意ある人間と手を差し伸べる人間の配分がほどよいので、ハードな物語なわりに安心して観ていられたものの、終盤に向けての追い込み方とまさかのクライマックスに打ちのめされました。
ひとつ言うならば、裁判描写を盛り上げるためとはいえ、「あの時」起こっていたことを打ち明けるタイミング遅すぎじゃないか?まっさきに言っとくことじゃないの?
離婚すれば他人になる親も、子どもにとっては一生家族であるという現実を受け入れたうえで、互いを「ひとでなし」にすることなく且つ子どもを傷つけないよう育てるにはどうすればいいのか、という点が実はもっとも重く難しい問題なのかもしれないなぁと思いました。



以上が現6月末日時点での上半期ベスト10です。
いちおう鑑賞した数字だけあげておくと、劇場公開新作映画は41本、動画配信新作が2本、スナイダーカットが1本、旧作は27本あったうちの10本です。


ほんとはね、簡単でいいから観たすべての感想を書きたかったんですよ。
まぁ、毎回「今月こそはやるぞ!」と意気込みながらずるずると暮らした結果がこれなんですけどね・・・ せめて月単位でまとめたい・・・ あとあと(ベストを決めるとき)困るのは自分なのだから・・・

・・やるか・・・
やってみるか・・・



では、以下記録用に全鑑賞リスト(と、ひとこと感想)。


『ヤクザと家族 The Family』 ヤクザの北村有起哉がすごくいい
『すばらしき世界』 保健福祉局の北村有起哉がすごくいい
『さんかく窓の外側は夜』 令和版「にいさん頭が痛いよ」
『燃ゆる女の肖像』 突然のミッドサマー感
『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』 ドニーさんからのファンサービス詰め合わせ
『新感染半島 ファイナル・ステージ』 作らなくてもよかった続編
『花束みたいな恋をした』 鼻持ちならないサブカルカップルが自滅するお話
『樹海村』 おもしろいし樹海だけど村じゃなくてもいい。以前書いた感想
『KCIA 南山の部長たち』 上級管理職ながら中間管理職ばりの悲哀をにじませるイ・ビョンホン
『太陽は動かない』 藤原竜也映画としては100点満点だしアクション映画としても80点だけどスパイ映画としては3点
『バクラウ 地図から消された村』 村の資料館がすごくいい
『ストレイ・ドッグ』 円環がすごい
『まともじゃないのは君も一緒』 タイトルどおりのことしか起こらないけどそれがいい
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 ありがとう、すべてのエヴァンゲリオン
『ミナリ』 おばあちゃんがすごい
『野球少女』 以前書いた感想
『ビバリウム』 そこめくる?!以前書いた感想
『モンスターハンター』 おれたちのたたかいはこれからだ!
『騙し絵の牙』 怒ったり笑ったりと史郎が忙しい。そしてもちろんかわいい
『ノマドランド』 ハウスはないけどホームはある
『ザ・スイッチ』 理解のあるおかあさん映画
『21ブリッジ』 とことんまじめ
『ホムンクルス』 成田凌の天才っぷりがよくわかる
『サンドラの小さな家』 工務店のおじさん、とてもいい
『パーム・スプリングス』 恐竜は何千万年あれを繰り返しているのだろうか
『茜色に焼かれる』 不幸ゲージがいっぱいに!
『AVA/エヴァ』 俳優も豪華でプロットも魅力的なのに凡庸な仕上がり
『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』 前作ほど過激ではなく前作よりも(全員)かわいい
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』 たのむから靴履いてくれ
『モータルコンバット』 「この世界では魔物と人間が対決していて、10勝した方が征服できるんですよ」「あ、はい」
『JUNK HEAD』 あなた六角精児ですよね?
『アオラレ』 ラッセル・クロウの体形がリアル・プーさん
『ジェントルメン』 良質で贅沢なクライムサスペンス
『ファーザー』 他人事とは思えない、待ったなしの介護問題
『Mr.ノーバディ』 暴力をふるうほど活き活きとしてくる異常者の痛快アクション
『グリーンランド-地球最後の2日間-』 スキルは普通だけど運は全く普通じゃないお父さんが家族を救う
『るろうに剣心 最終章 The Final』 前フリ2時間、本編20分
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』 本気で削れば90分でいけるはず
『キャラクター』 小栗旬が容量用法を正しく守られて使用された例
『SNS-少女たちの10日間-』 心の底からうんざりするいい映画。全国の小中高生に見せよう
『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 前作よりも断然おもしろい。足場を使ったアクションシーンはどうかしすぎているので日本映画史に残されるべき
『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』 やいザック!責任取って続き作れよな!
『アーミー・オブ・ザ・デッド(Netflixオリジナル)』 やいザック!責任取って続き作れよな!!以前書いた感想
『彼女(Netflixオリジナル)』 意欲は伝わるものの、演出が返す返すもダサい
『ロミオ&ジュリエット』 ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されるべき芸術作品
『ザ・ロック』 安定の海ぶどう
『ティファニーで朝食を』 今観るといろいろきつい
『アンタッチャブル』 音楽を聴くだけで泣きます
『カルメン故郷に帰る』 R・高峰秀子。ストーリーはなかなかしんどい
『探偵はBARにいる』 松田龍平はかわいく、大泉さんはかっこいい
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』 前作と同じようなオチになるかとヒヤヒヤした
『探偵はBARにいる3』 前前作と同じようなオチになるかとまたもやヒヤヒヤした
『サンキュー・スモーキング』 誰にだって才能はある
『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』 最後まで主人公の魅力がわからなかった
『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』 主人公の魅力に最後まで魅せられた
『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』 若手俳優青田買い映画
『Red』 陳腐
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 池松壮亮は唯一無二の俳優なんだなぁと再認識
『徳川女系図』 
『徳川セックス禁止令 色情大名』
『残酷異常虐待物語 元禄女系図』 以前書いた感想
『mellow』 みーんな田中圭をすきになるんだよ!
『15年後のラブソング』 みーんなイーサン・ホークをすきになるんだよ!
『ザ・ライダー』 生きるということ
『スケアリーストーリーズ 怖い本』 因果応報だったりそんなこともなかったり。クリーチャーが豊作
『THAT/ザット ジ・エンド』 想像通りのクソホラー、またの名を時間泥棒
『凪待ち』 絶対に改心しないゴミクズヒモ男の香取慎吾を堪能できるのは凪待ちだけ!
『BEYOND BLOOD』 2000年代初頭に作られた4大フレンチホラーを、監督や評論家へのインタビューで紐解くドキュメンタリー
『デッド・オア・リベンジ』 ありえない状況でありえない変態に遭遇してしまう恐怖を描く胸糞ホラー
『弥生、三月 君を愛した30年』 成田凌をもってしてもどうにも出来ないほどのクソ脚本
『モンスターズ 悪魔の復讐』 邦題のせいで9割ぐらい損している良作

(※敬称略)




それではみなさん、下半期もたのしい映画生活を!!


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わたしのしらない東映ポルノの世界、とインティマシー・コーディネーター。

2021年04月30日
最近めっきり、NetflixやPrime Videoなどの動画配信サービスに押され気味(弊社比)だった我がライフライン・WOWOWが、深夜にひっそりと東映ポルノを特集してくれていたことに気づきました。
観たことはなかったけれど、どの作品もタイトルがふるってるし監督の名前も超ビッグ。
と、いうことで三本ほど観てみましたよ。

『徳川女系図』
女系図

天下のメジャー映画会社東映が、自慢の時代劇ノウハウを駆使して作った東映ポルノ(実質)第一弾。
ノウハウはうそ。
ただし、東映時代劇の華々しい歴史を飾ってきた衣装はいうまでもなく潤沢だったので、脱ぐ人脱がない人端から端までそりゃもうええおべべ着せてもうてます。
メガフォンをとったのは『網走番外地』シリーズでブイブイいわせていた石井輝男監督。
いやぁ、びっくりしましたね!
初めて観た昔の「ポルノ」、めちゃくちゃおとなしいのなんのって!
大人の世界、というイメージだったのでもっと刺激の強いエロが目白押しなのかと勝手に想像していましたが、上半身があらわになる程度で、体の動かし方が具体的なわけでもない。
もちろん当時はかなり攻めた表現だったのでしょうし、物議を醸したというのも納得はいきますが、なんつうか、昔がおとなしかったのか現在が過激すぎるのか・・・。
帯を引かれてクルクル回りながら「あーれー」ってやつ、もしかしたら本作が初登場だったのかなぁ。 エポックメイキング!

内容はというと、将軍綱吉が本妻と側室の二大派閥から送り込まれた女性に翻弄され、自分は何のために生きているのか、自分を世継ぎ用の子種ではなくひとりの男として愛してくれる人など本当に存在するのか、などと自問自答するまあまあ真面目なお話でした。
ほんとにね、まあまあ重かったですよ。
この時代の大奥が「誰がお世継ぎを産むか」という女の戦場だったことはその通りでしょうし、将軍は将軍で「やったぜハーレム!」なんて生易しいものではない生殖行為の無間地獄を生きていたこともその通りだったのでしょう。
制約だらけで誰も得をしない殺伐とした狭い世界。
裾除けいっちょでおっぱい丸出しの女相撲大会にはエロスなどみじんもなく、ただただ虚しさだけが満ちていました。


『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』
元禄

大成功をおさめた東映ポルノでしたが、「意外とおとなしい」と感じたのはわたしだけではなかったようで、言い出しっぺの岡田茂(東映のボス)さんがさらに過激路線を求め、作られたのがこちら『元禄女系図』。
タイトルやけくそか。
しかし、実際観てみるとそのむちゃくちゃなタイトルを裏切らないセンセーショナルな内容がてんこ盛り。
まず、てんこを盛るためにかストーリーが一本ではなく三本立てになりました。(この前作『徳川女刑罰史』からオムニバス方式になった模様)

一本目は、初体験の相手であるドクズに騙され遊郭に売られた女性が骨の髄まで吸い尽くされた挙句、最後までクズに尽くしたまま、医者の治療の甲斐なくお腹の子ともども死に、クズもまた女性を失って初めてその愛の深さに気づいてしまう、という胸クソ話。
なにしろ舞台が遊郭ですから、意にそぐわない性交と果てしなく続く搾取に始まり、男の裏切りと逃亡失敗からの拷問などなど不幸のつるべ打ちです。 
ようわからんのんですけど、なんぼ濡れ場の連続とはいえこんな悲惨な話で興奮するかぁ?

二本目は、ええとこのお嬢様が醜く顔の焼けた男に強姦されたことから自らも異常性愛者になってしまうというお話。これまた胸クソ。 
初体験が強姦、しかもそのまま監禁、凌辱という地獄の責め苦。 
精神を壊されてしまったお嬢様は、夜な夜な使用人に命じて見た目の「異様」な男性を屋敷に招き入れます。
お嬢様を慕っている使用人は、悩んだ末町医者に相談。
町医者は聞きかじった程度の知識でカウンセリングと催眠療法を施し、使用人の気持ちを知ったうえで「お嬢様にお前のすべてをぶつけるのだ」と指南します。 無責任にもほどがあるだろ。
医者のいうことなんだから間違いないと踏んだ使用人は、薬で意識のないお嬢様を強姦。 全員クズか。
そんな性交に愛など感じるはずもなく、お嬢様は多人種性交を続行。 
思い余った使用人はお嬢様を刺殺してしまうのですが、なんぼ濡れ場の連続とはいえこんな悲惨な話で(以下略)

かなり胸焼けしてきましたが、やっと締めの三本目なので続けて鑑賞。
最後に待ち構えていたのは最も胸クソな暴君のお話でした。 もうおなかいっぱいだというに。
生粋のサディストであるとある暴君が、周りの女性すべてを蹂躙するだけ、ただそれだけ。
暴君を演じていたのが刑事コロンボの吹き替えでお馴染み小池朝雄さんだったので、あの声で発せられるドクズラインのキツイことキツイこと・・・。 
顔はね、馴染みがなかったのでいいんですけどね、画だけ観ていればね。 耳から入る情報がエグイ!
物語のクライマックスは、散々ひどい目にあわされてきた本妻が明かす『オールド・ボーイ』ばりの新事実と、その場に立ち会った町医者が暴君の愛妾に施す『屋敷女』ばりの即席手術という、タイトルに偽りなしの堂々たる残酷絵巻が繰り広げられるのですが、なんぼ裸の連続とはいえこんな(略)

ストリーテラーの町医者を演じていたのは、『徳川女系図』で気の毒な綱吉を演じていた吉田輝雄さん。
話に絡んでくる町医者とはいえ、ほぼ誰も救えていないので、だいたいアンニュイな表情で佇んでいます。
なんでもいいけど、「これが元禄なのです・・・」でまとめるのはいくらなんでも雑すぎやしないか。


『徳川セックス禁止令 色情大名』
色情

でました!色情大名! 響きがいいですよね!色情大名! 一生使うことなさそうだけど!
石井輝男監督の連発に続き、本作はのちにトラック野郎シリーズなどを送り出す名匠・鈴木則文監督が演出。
先の二作品とはガラリと雰囲気の変わったコメディ路線で、めちゃくちゃおもしろかったです。
綱吉の時代から引き続き、江戸城ではお世継ぎ確保のための生殖が日々行われていたわけですが、その結果、当然ながら女児もたくさん生まれることに。
で、継げない女児はあらゆるところに嫁に出されるしかなく、本作の主人公である九州唐島藩城主のもとにも、将軍家斎34番目の娘である清姫が送られてきます。
田舎大名に嫁がされるのが無念でたまらない清姫と、女嫌いで通っていた城主。 
周囲の懇願の末、なんとか枕を共にしますが、清姫は完全体のマグロで挿入以外のおさわり行為の一切を禁止。
だってこっちは将軍の娘ですよ? まがりなりにも姫ですよ? カッペごときが愛撫だなんて頭がたかいですわよ?
そもそも女性経験もないし興味もなかったのに、ねそべった女体にがんばって種をつけろと言われた城主は当然興奮できるはずもなく性交は失敗。
プライドをズタズタにされた城主をなんとか励まそうと、家臣たちは町で噂のポン引きに性の指南を依頼します。
そこでポン引きが用意したのは、なんとフランス人遊女のサンドラ。 
マグロの日本人女性から性に奔放な白人女性という極端な二例を経験させられてしまった城主は、変な感じに覚醒してしまい、なんとサンドラを側室として迎える宣言をしてしまいます。
めちゃくちゃ怒る姫。 幾分引いちゃう家臣。
しかし、性の悦びに目覚めてしまった城主はもう止まりません。 
今まで自分が知らなかった悦びを堪能するだけではなく、それを知っていた世の中全てに嫉妬し、以降一切の人々(オレを除く)による性交を禁じる御触れを出してしまうのでした。 よっ!色情大名!!

とにかくテンポがいい。
木で鼻をくくったような姫のすましっぷりもよければ、信長リスペクト童貞城主のポンコツっぷりもいい。
経験のない城主にうまいことピストン運動させるため、隣の部屋で太鼓をうつ殿山泰司さんの家老さいこう! っていうか、「腰に合わせて太鼓」の原点ってここだったのか。
なんとか姫とちぎらせたいだけだったのに、色欲に(へんな風に)目覚めてしまったせいで悪政が敷かれてしまい、真面目な家臣から処刑されてしまう悲劇。
性の指南役として出てきただけだと思っていたサンドラが抱えていた、悲しい過去と終わらない苦しみ。
みんなに愛を与えたサンドラが迎える最期は、スコセッシの『沈黙』ばりに壮絶でした。 突然しんどいやないか。 あれ・・・ おかしいな・・これ・・コメディと思ってたのに・・・

豪華キャストの中に混じっていたミスターチョメチョメ(昭和用語)こと山城新伍さんが、イメージ通りの山城新伍さんとして出てきて、話に一切不必要なチョメチョメだけを披露し、知らない間に退場していた件はずっと忘れない。 
完全にいらんパートやろ、おもしろかったけど。
新伍の「ほらほら、体は正直だぜ~」メソッドよ永遠に。


で、おもしろかったり微妙な顔つきだったりで観ていた東映ポルノですが、やはり気になったのは「俳優さんたちはどこまで納得の上でこの演出を受け入れたいたのだろう」という点でして。
このブログでも、おっぱいさいこう!みたいな感想は数多書いてきたと思いますが、わたしはロマンティックなキスシーンもエロティックなあいまみえるシーンもあらわになる柔肌もすきですよ。 
ただ、娘を持つ親だからなのか、いろんな情報を知るようになったからか、以前のように目に映ったものをそのまま無邪気に受け入れられなくなったのも事実でして。

すきだったあのシーンは俳優さんに内緒で用意された不意打ちの撮影だった。
胸をときめかせたあのシーンは女優さんの同意を得ないアドリブによるキスだった。
高揚していたあのシーンをとった監督は裏で俳優を虐待していた。
涙を流したあのシーンを作った製作者は多くの人を搾取していた。

後だしジャンケンのように明かされていく新事実を前に、あの時純粋に感動していた気持ち、素直に感銘をうけていた自分をどう受け入れればいいのかわからなくなったことが、この数年間何度あったでしょうか。
現場で苦しんでいた人たちがいたのに、喜んで観ていた自分を許していいのか。
未だに傷を負っている人がいるのに、見て見ぬふりをしたまま「作品は別だから」と気持ちを切り離していいのか。
若い俳優さんの初々しいキスシーンを観ると、その行為が彼らの「思い出したくない過去」になっていなければいいなぁと思ってしまうし、生々しいベッドシーンを観ると、この撮影が無関係なスタッフや下世話な視線の飛び交う環境で行われていなければいいなぁと思ってしまう。
もうね、そういう視点なしで作品を観ることは不可能なんです。
わたしが観たいのは、本物の感情をうみだしてくれる「作り物」だから。 
誰かの犠牲の上に奇跡的にうまれた瞬間ではなく、プロがきちんとした用意・準備のもと安全に製作した瞬間だって、立派な奇跡じゃないですかね。



インティマシー・コーディネーターというお仕事が、話題になっているようです。
数年前からハリウッドでは取り入れられ始めている専門職で、親密な関係を描く場面(主にラブシーン)において、俳優や製作スタッフの間に入り齟齬を埋め、スムーズで安全な撮影ができるようフォローする役割だそう。
先日Netflixで公開された「彼女」というドラマの撮影でも取り入れられたらしいのですが、早速、というべきか残念ながら案の定、苦言というテイの横やりをいれる業界人が出てきているようであきれてます。
昔自腹で映画を観て批評していた監督のコメントは、「彼女」の主演俳優そのものに対するただの悪口であり、自分が以前撮った作品の「武勇伝」に終始していて、まぁなんつうか、その、だいじょうぶかないろいろと。
たくさんの作品に出演してきたという俳優さんが、様々なファクターが発生する現場にコーディネートという職業が割って入ることに懐疑的な意見を述べているのも目にしたのですが、当人同士だと立場の上下もあるし意見だって言いにくい。思い切って言い出せば角が立つこともあるじゃないですか。
だからこそコーディネーターが入ることに意味があるんじゃないかと思いますけどね。
演じる人、演出する人、用意する人にそれぞれの想いがあるのは当たり前で、きっといい作品を作りたいという部分は同じだろうけど、そのアプローチが違うこともあるでしょう。
想いが強いだけに、我を押し通したくなってもおかしくない。
むしろ、その押し通そうという行為で、自分の想いの強さ・やり方の正しさを証明しようという人だっているんじゃないか。
過去にそうした「情熱」が誰かに消えない傷をつけた例などいくらでもありそうな気がします。 
だからこそ、今、過去(現在も含めてですが)のそうした事例が問題であると認識され、解決する一つの方法としての職業がうまれたんじゃないでしょうか。
それって、喜ばしいことなんじゃないですかね? 双方にとってありがたいことなんじゃないですかね?
どうしても自分の想いだけを優先したい人にとっては、邪魔な職業でしょうけど。

あと、もうこれは自分勝手な意見で本当に申し訳ないですけど、観る立場として安心できるんですよ。
誰かだけの独断で作られていない、意思の疎通がきちんと行われたうえで作られている、と知らされることは、この作品を素直に受け止めていいという安心につながるんです。 
例えがただしいかわかりませんが、映画の最後に「この作品で動物は傷つけられていません」と出るのと同じ安心感かもしれない。 
「この作品で俳優やスタッフは傷つけられていません」 
それが大前提かつ当たり前になってほしい。
なにも健全な映画ばかりになってほしいというわけではなく。
不健全な映画も、健全な現場から生み出せると思うから。
一歩ずつ変えて、進んでいきたいじゃないですか。

あと、余談ですがそんなNetflixの「彼女」観ました。
安心して鑑賞した結果、素直におもしろくなかったです。
安っぽい、きれいすぎる、バランスが悪い、キャラクターの行動に感情が入っていかない、とラストカットを除いてまんべんなくいまひとつでした。
いいじゃないですか。 コーディネーターありで、作品はいまいち。 
それでいいじゃないですか。 それでいいんだと思いますよ。


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『野球少女』

2021年03月30日
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『母親残酷物語』

初めての子ども、初めての子育て、夢見がちで生活力のない夫、泣きつけない実家、たったひとりで生きているような感覚。
あの時、電車から降りようとしない娘にアイスを買ってあげなかったのは、アイスを買うお金がなかったわけじゃない。
買うお金が惜しくなったわけでもない。
目的駅についたから降りようと呼びかけた娘が、自分に見向きもしなかったからだった。
慌てて追ってくるだろうと先に電車を降りたのに、変わらず自分ではなくよそのこが持つアイスを見つめ続けていたからだ。
ほしいものを見つめる目。
あの目は、なぜ自分ではなく他の物に向いているのだろう。
自分はなにをさておいても、娘のことを第一に思っているのに。
そのために自分の人生を捧げたのに。

親になったものが子育てに不安を感じたり、愚痴を吐いたりするとき、よくこんな風な正しさを突き付けられることがある。
「自分たちがすきでつくったくせに」
すきで産んだくせに。 勝手に産んだくせに。 自分の都合で産んだくせに。
自分たちがつくったんだから、文句言わずに育てなさい。
それがあなたたちの責任ですよ。
もちろんそうだと思う。
命は勝手に芽生えない。 
そのための行為があって初めて芽生えるし、ある程度の苦しい期間を経ないと大きくならないし、100%出産できるとも限らない。
前向きか後ろ向きかの違いはあれど、なにがしかの「産む」という意志がはたらかなければ胎外に出てこられない以上、いざこの世界に出てきた子どもは、最低限育てなければならない、とわたしは思う。
最低限、とは子どもが親の支えなしでも生きゆける状態を指す。 
自立、と呼んでもいい。
自立に必要なもの、たとえば精神的な強さは甘えさせているだけでは育たないし、経済的な安定は夢見ているだけでは手に入らない。
最低限、を子どもに与えるため、親が見極めなければならない課題は多い。
子どもの性質、子どもの性格、子どもの才能、子どもの可能性。
いったいどれだけの親が正確にそれらを判断できるだろうか。
答え合わせなど、どこにも用意されていないのに。

親、と書いてきたのは、この悩みが本来性別にとらわれるべきではない事柄だから。
しかし、残念ながら現実その多くは女性にのしかかっている。
本作『野球少女』に登場する母親、シン・ヘスクの上にも。

シン・ヘスクはこういった「夢をおいかける子ども」の物語に出てきがちな親の典型のような女性だ。
口うるさく、頭ごなしで、子どもの才能を信じず、現実的なことばかり押し付ける、理解のない大人。
このような大人は、そうではない大人(やさしく、理解があり、子どもの才能を信じ、夢を後押しする)との比較のために出てくるようなものなので、本来いちいちひっかかるべきではないのかもしれない。
ここは本筋ではない、それはわたしもわかっている。
しかし、精神的に追い詰められたシン・ヘスクが娘にかけた言葉が、どうしてもわたしの胸に突き刺さって、つらくてくるしくて、結局最後までむくわれることのなかったシン・ヘスクを想うとやるせないのだ。
「諦めることは恥ではない」、彼女はそう言ったのだ。

リトルリーグ時代から一目を置かれていた娘は、たしかに他の子どもよりも才能があるのかもしれない。
天才野球少女としてマスコミに取り上げられ、シン・ヘスクも最初は誇りに思っていただろう。
しかし、本来男子しか入部を許されていなかった高校の野球部に入ることを目標にしたころから、誇りの中に不安が混じるようになってきたのではないか。
この子は野球をいつまで続ける気なのか? と。
慣習を土下座で打ち破った父親はさておき、シン・ヘスクはプロ野球界に女子がいないことを忘れなかった。
娘がその歴史を塗り替えるほどの才能を持っているかどうか、自分の目で確かめようとしなかったのは、決して褒められたことではない。
見てもわからなかったから見なかったのかもしれないし、見るのが怖かったのかもしれない。
いずれにしても、女子がプロ選手になれるわけはないのだから、判断しようとするだけ無駄じゃないか。
その偏見が、わたしからみればシン・ヘスク唯一のしくじりだ。
なれるわけがない。 自分の子が第一号になるわけがない。
そう思うしかないような価値観の中育ってきたシン・ヘスクが、我が子にまで偏見を押し付けようとした。
そのことだけは明確に間違っている。
そして、他のことはほとんど全部間違いじゃない。

娘の才能が本物がどうかの線引きを、シン・ヘスクは高校卒業までと定め、それまではなにがあっても見守ろうと決めていたのだろう。
それはひとつの目安としてありうると思う。
結果、卒業が迫ってもスカウトされない娘に、そろそろ夢を追うのをやめて就職しなさいとすすめるのもおかしくない。
とはいえ、娘は野球しかやってきておらず、勉強そっちのけの生活だったから普通の就職すら難しいかもしれない。
そこで、自分が勤める工場のえらいさんに話を通して、特別優遇で入社できるよう取り計らってもらった。
あなたはよくがんばった。 
たくさんいる野球少年・少女の中では才能もあった。
世間に注目され、高校の野球部にも入れた。
もう充分じゃないか。 これ以上望んでも手に入るものはないじゃないか。
夢を追うのは尊い。
でも、諦めるのもまた恥じゃない。
そう、諦めてきたことを恥じる必要などないのだ。

安定した収入を得るため、資格取得を目指す夫。 
大いに結構な計画だけれど、その間の収入はない。
娘にもせめて高校卒業までは野球という夢を追わせたい。
まだ幼いほうの末娘は手がかかる。
シン・ヘスクが彼らすべての生活を支えるため、これまで諦めてきたものは、一体どれぐらいあったのだろうか。
工場の食堂で身を粉にして働き、疲れ果てた体では帰宅後食事を作る余力もなく、けれど幼い娘にも育ち盛りの娘にも腹いっぱい食べさせたいから、残った食材を持ち帰る。
そこに刻まれたプライドはなかったのだろうか。 わたしはあったと思う。
本当はかわいい我が子のために温かい手料理をこしらえたい。でも無理。ごめんなさい。出来合いのおかずでごめんなさい。栄養はあるからしっかり食べて。
責めるべきでも責められるべきでもないのに、ひとつひとついろんなものを諦め、そのたびに自分を恥じてきたのではないか、シン・ヘスクは。
せめて夫にもっと生活力があれば。 
娘が母の苦労にほんのわずかでもいい、理解を示してくれれば。
けれど、娘から帰ってきた言葉は「お母さんはお金のことしか頭にない」という強烈な一言。 
あまりにつらい。わたしだったら徹底的にブチ切れてる。ちょこっと言い返すぐらいでやめたシン・ヘスクえらい。

与えるばかりで与えられることのなかったシン・ヘスク。
でも、失敗だったと思いたくない。 自分の人生を悔いたくない。
「諦めることは恥じゃない」
その言葉は娘ではなく、彼女自身に向けられた、彼女自身が己を肯定するため向け続けた言葉だったのではないだろうか。
本当は彼女だって、諦めなくていいよ、と言われていい人間のはずなのに。
母親の人生はあまりに残酷だ。

本作のラスト、見事プロ球団の二軍入りが決まった娘の契約のため、コーチとともに球団責任者のもとを訪ねるシン・ヘスク。
「娘さんの契約金は6000万ウォンです」、と責任者。
隣に座るコーチは、「おかあさん、この金額は決して悪くない金額ですよ」とささやく。
複雑な表情を浮かべるシン・ヘスクは、意を決したように、絞り出すような声で「わかりました、ただ、うちにはお金があまりないので、すぐには用意できないのです。どうか二か月くださいませんか?二か月でなんとか工面しますので・・・」と申し出る。
それはあなたが払うのではない、球団が娘さんに払うのですよ、とほほえむ責任者とコーチ。
これはハートウォーミングなシーンなのだろうか。
契約金というものすら知らない無知な母親。 
あらあら、かわいそうに。そんなことも知らないの。おかしいね。かわいいね。

じゃねえだろ。

わたしは、このシーンで隣に座っていたのが娘だったらよかったのに、と思った。
偏見を改め、応援すると決めた娘のため、6000万ウォン(日本円だと580万ぐらい)もの大金を二か月で工面しようとするシン・ヘスク。
娘だったら笑わない。 きっと笑ってない。
反発し、軽蔑したことすらあった母親に、過去自分が吐いてきたひどい言葉を振り返り、母親がどれだけお金のことを考えてきてくれたのかということに気付いてくれればいい。
今までの家族の暮らしは、母親がこんな風にして作ってきてくれたものなのだ、と気付いてくれればいい。
そして、「おかあさん、そのお金は払わなくていいんだよ、わたしがもらうお金なんだよ」と呼び掛けて、シン・ヘスクが長年ひとりで背負ってきたものをおろしてあげてほしかった。
もしそういうラストだったら、わたしはこの作品を手放しでほめていたかもしれない。
そんな直接的なやりとりを描かなくとも、この先母親と娘の関係が明るいものになることなど想像に難くないけれども、だ。
あくまで本作の主役は娘であることはわかった上で、だ。
女性が自由を得る映画はいい。
だが、母親残酷物語はもううんざりじゃないか。




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