「国語に関する世論調査」結果とその報道
文化庁が平成16年度「国語に関する世論調査」の結果を発表しました。発表資料を箇条書きしてみると、こんな感じになります。
- 言葉遣いは7割が「気を使っている」
- 男性30代・女性20~40代の半数以上が正しい敬語を使っているか自信がなく、敬語に間違いが多くなっていると思っている人が8割
- 「漢字の使い方については余り自信がない」が増加
- パソコン・ワープロでは漢字表記の割合が高くなる
- 手紙を伝統的な書式に則るかどうかで年齢差、手書きにするか否かで男女差
- 本来とは異なる慣用句の言い方が、高年層で高い割合
- 「他山の石」の意味が「分からない」が多く 、「世間ずれ」は若年層ほど本来の意味と異なる意味で使用
- 「微妙」は6割近くが使用。「わたし的には」が5年前よりも増加
画像グラフがエラーで表示されなくて、年齢差や男女差がわかりにくいのが残念。16時に確認したところ、表示できるようになりました。
昨日夕方から今朝のニュースで、この調査結果が報道で取り上げられるようになったのですが、各社見出しをみると観点が違っていて興味深いです。 (順不同)
- 迷ったら「びみょう」96% 文化庁の日本語世論調査(共同通信)
- 自分の敬語に自信ない4割 文化庁の国語世論調査(朝日新聞)
- 慣用句勘違い 国語世論調査 青田刈り/汚名挽回/天下の宝刀…正しい?(産経新聞)
- 「青田買い」→「青田刈り」など、中高年ほど“誤用”(読売新聞)
- 正しい日本語、微妙なズレ 文化庁調査、中高年の誤用めだつ(中日新聞)
- 国語世論調査:慣用句は20代以下の方が正しく使う!?(毎日新聞)
- 慣用句 中高年に誤った理解(NHK)
見出しだけでなく内容も、共同通信と、朝日新聞、その他という分け方ができます。読売・毎日・中日・NHKの「中高年のほうが誤った慣用句を使っている」は、「若者の言葉が乱れている」という固定概念をひっくり返す見出しになってます。
若者より中高年のほうが誤用が多いことについて、読売では「授業で取り上げられることが多いからでは」、中日では「学校で覚えた当初は間違いが少ないが、年が経つにつれ、混用が進むのではないか」と推測しています。全然意味合いが違うんですが、どっちも文化庁の談話。発表資料にはないので個別取材の結果かな。
NHKは明治大学の齋藤孝教授のコメントを載せてます。
これについて「声に出して読みたい日本語」など、多くの日本語に関する本を執筆している明治大学の齋藤孝教授は「中高年は正しい日本語を使うイメージが定着しているが、今の50代、60代は古典落語などで慣用句に慣れ親しんだかつての中高年とは違う。むしろ若い世代の方が、企業などでコミュニケーション力が求められるため、正しい日本語を使おうと努力している」と話しています。
TVニュースでは「今の中高年はビートルズ世代で」(うろ覚え)と、もうちょっと突っ込んだことを言ってました。「日本語は変わるもの」と言っているのも、実は若者よりも中高年のほうが多いんじゃないかな。
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コメント
1つのソースについて記事が複数あるのは良くある話で、読売新聞は「若者ことば浸透、迷ったときの「微妙」全世代で6割」という記事も出しています。
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/geino/20050713/20050712i318-yol.html?C=S
これならば共同通信と同じに分類できますかね?
投稿: がりゅう | 2005.07.14 15:11
どうもありがとうございます。そっちの記事を発見できてませんでした。
新聞紙面ではもっと突っ込んだ考察をしているらしいという話もあって(さすがにそちらまで手が回らない)、簡単には比較できないものなんですね。
投稿: Stella | 2005.07.14 15:24