YouTube著作権「虚偽申請」って、なに?
J-CASTが以下のような記事を配信していた。
YouTube著作権「虚偽申請」の闇 赤の他人が収益をかすめ取る...その手口とは?: J-CAST ニュース
アニメ「ひぐらしのなく頃に」から「why, or why not」をギターアレンジでカバーし、YouTubeに投稿した。この曲はJASRACが著作権を管理しており、JASRACはYouTubeと利用許諾締結を結んで権利を処理しているため、ユーザーがJASRACに個別に利用許諾を得る必要はない。
ところがこれを投稿したところ、すぐに著作権を主張する通知が来た。通知があったのは6つの団体からであった。
通知には「(団体名)さんが所有またはライセンスを所持しているコンテンツが含まれている可能性があります。引き続き YouTube には表示されますが、一緒に広告が掲載される可能性があります。」という文面がある。
これがあると動画に広告が表示され、その収益が著作権を主張してきた団体に入る仕組みになっている。本来は権利関係を持たないにもかかわらず、勝手に主張してきた団体に収益が入ってしまうのである。
これらの団体名をネットで検索すると、同様の被害に遭ったとの報告が多数寄せられている。
実はこの話題、定期的に発生していてそのたびに詐欺だ詐欺だとくすぶり続けているようで、私は疑問を感じつつも静観していた。ただJ-CASTが記事にして、またYahoo!ニュースのトップにも載っていたようで、それちょっと違うんじゃない?というところでブログにすることにした。
まず、「youtube 詐欺団体」でググったり、あるいは聞き慣れない団体名でググると、必ず以下のような記事がトップに出てくる。
YouTubeの著作権詐欺団体まとめ|Rei (東洋ケルト楽団)|note
YouTube 不正な著作権侵害の申し立てまとめ - k1017
さらに2016年には下記のツイートがありこれをねとらぼが記事にした経緯もある。
ご注意してください。
— 四万十君(しまんとくん)公式 (@simantokun) 2016年12月29日
YouTubeのカバー楽曲に対して著作権所有者(APRA_CS、WAMI_CS 、CASH 、MACP)と名乗る詐欺団体・個人の4グループが暗躍中です。JASRAC 管理楽曲のカバー曲はJASRAC と YouTube との間の包括契約に準拠し合法です。
YouTubeの動画に虚偽の著作権主張……無差別かつ大量 「異議をとなえなければ広告収入が奪われる」 - ねとらぼ
ねとらぼもJ-CASTも虚偽と決めつけて裏取りをしていないように見えるが、私には多くの場合、虚偽とは言えないと思っている。
YoutubeはJASRACと包括契約をしているのでJASRAC以外からの申請は虚偽ではないかという疑問は理解できなくはないが、しかしJASRACが管理しているのは日本における著作権でしかない。それというのも著作権法というのは「属地主義」というものが採られている。これは
というもので、日本の著作権法は日本国内でのみ適用されるのが原則となる。では他の国ではどうなるかというと、その国の著作権法に基づき著作権が生じる。つまり、ある音楽の著作権は国ごとに別々に生じる、ということを意味する。
通常、著作権は著作者に生じる。そのためA国での著作権もB国の著作権もひとりの著作者に帰属することになる。ただし、著作権は譲渡したり信託することができるため著作者が著作権者ではないこともままある。特に音楽では顕著で、その代表がJASRACといえる。
同じように複数の国で複数の権利者が関わる場合、同一の曲に対して複数の団体が申請者として名を連ねていてもおかしくはない。
この点、JASRACは海外の権利団体と管理契約を結ぶことによってJASRACが管理する楽曲は契約している海外の団体の管理地域で利用された場合はその団体がJASRACに代わって許諾、徴収を行う仕組みを整えている。その規模は124団体、96ヶ国4地域に及ぶようだ。
そのため見慣れない管理団体であっても、JASRACとの相互管理契約に基づいて管理している可能性は十分にあって、見慣れないからと詐欺団体扱いするのは拙速に思える。
そこで今回の「why,or why not」について具体的に調べてみようとおもったんだけど、予想外のことがおきた。youtubeは動画の詳細欄で著作権情報が見られるので確認してみたところ……
NexTone……!! JASRACじゃないじゃないか。私の記憶ではNexToneはまだ海外団体との相互管理契約を大々的に締結していないはずだから先程の説明が崩れてしまうではないか……と焦ったんだけどそんなことはなくて、調べてみたら普通にJASRAC管理だった*1
しかも、具体的にどこの団体がライセンス所持者として「その他6件の楽曲著作権管理団体」として名乗り出ているのかはここからは分からないじゃないか!! J-CASTの記事でとりあげられているVTuberの方も具体的に名前を挙げてはいなかったので窺い知ることができないし……残念。
仕方がないので、上記ブログやツイッターで詐欺団体扱いされている団体について調べた。
この中でJASRACと管理契約締結している著作権管理団体は以下の通り*2
- APRA_CS:オーストラリアの著作権管理団体
- SOCAN:カナダの著作権管理団体
- TONO_CS:ノルウェーの著作権管理団体
- TEOSTA:フィンランドの著作権管理団体
- SABAM_CS:ベルギーの著作権管理団体
- KOMCA_CS:韓国の著作権管理団体
- Muserk:アメリカの著作権管理団体(複製権)
- WAMI_CS:インドネシアの著作権管理団体
- STIM_CS:スウェーデンの著作権管理団体
- SIAE_CD:イタリアの著作権管理団体
- ARITISJUS_CS:ハンガリーの著作権管理団体
- MACP:マレーシアの著作権管理団体
- CASH:香港の著作権管理団体
- MUST_CS:台湾の著作権管理団体
なお、これらの著作権管理団体は総じてCISACというの著作権管理団体に所属しているれっきとした著作権管理団体で詐欺団体ではないと評価して相違ないはずだ(MUSTがCISACに入れていないのは台湾だからなのだろうか……)。
同様にAMRA(アメリカ)もJASRACとの契約はないがCISACに加盟している著作権管理団体だ*3。
UBEMはブラジルの著作権管理団体でJASRACとの契約はない。ただしワーナーチャペル、EMIソング、ユニバーサルミュージックパブリッシング等の大手パブリッシャーを代表する包括的な組織で詐欺団体*4ではない。
Kobalt Music Publishingは2017年2月時点のものではあるが、米国における音楽出版社トップ4に入っており配信サービスに特化した新しい著作権管理団体のようだ。ここも詐欺団体ではない*5。
ただし、怪しい団体がないわけではなさそうで、少なくとも私が調べた中では以下の2つについては確証が得られなかった。
Securights Inc.はEUとUSを対象とした著作権管理団体ではあるようだが、どの程度のレパートリーを持っているかはわからない。
LatinAutorもwebページ等が消失しており実態のよくわからない団体だ。ウルグアイの著作権管理団体で、過去にはCISACに加盟していたが現在は脱退しているようだ*6。LatinAutorでのGoogle検索も多いようで、英語記事でもこいつはなにものだ?というトピックスがいくつも見られる。
以上のように、私が調べた限りでは詐欺団体扱いされている多くの団体が正規の著作権管理団体といえる。少なくとも「_CS」とついているのは詐欺団体とか、短い大文字の略称なら詐欺団体みたいな分類方法は誤りだと言える。ただし、もちろん正規の著作権管理団体だからといって申請を行った曲の管理を実際にしているかどうかは個別の検討が必要ではあるが、それでもJASRAC管理の楽曲でJASRACと管理契約を締結している海外の著作権管理団体であればレパートリーは共有しているはずで、多くの場合、実際に管理をしているということになるのではないだろうか。
適正な管理団体が保持するレパートリーに基づく申請は「虚偽申請」とは言えないだろう。多くの適正な団体が名指しで詐欺呼ばわりされ、それが検索トップに立ち、不安に思って検索したひとがそれを読んで嘘を思い込まされ、SNSでシェアし、デマが蔓延る。J-CASTに取り上げられたVTuberさんもそんな嘘に飲み込まれた被害者の一人だと思うし、それを責めるつもりなんて微塵もないけれど、この記事が読まれることで少しでも理解の助けになれば幸いだと思う。
なお、古いトピックスやねとらぼの任天堂の件*7などを読むと、実際、Content IDが始まってしばらくは虚偽の権利主張をする団体がいくつも見られたようだが、最近では詐欺の疑いをかけられているものの多くが正規で、またJ-CASTで取材に応じているようにGoogleも対応していることで浄化されているようだ。「著作権といえばガメつい権利屋」みたいなイメージを強く植え付けたのが誰かは言わないけれど、少なくともこの件については各権利団体が適正に権利処理を行っているように見える。
*1:書かれているNexToneのURLを見に行ってみたところNexToneの中にはデジタルディストリビューション事業というものがあり、ここではYouTubeでの音楽原盤管理を行っているらしい。知らなかったのだが、著作権ではなく原盤権の管理も行っていたようだ。そこで改めてJASRACで確認したところ「why,or why not」はJASRAC管理となっていることが確認できた(JASRAC作品コード 131-7310-3)。つまりこの曲は著作権をJASRACが管理し、フロンティアワークスの原盤権をNexToneが管理しているということのようだ。ややこしい……。
*2:海外においてJASRACレパートリーが管理されている国/地域および契約団体についてはJASRACがリストを公開しているのでそちらを参照した https://www.jasrac.or.jp/link/overseas/pdf/territory.pdf
*3:https://members.cisac.org/CisacPortal/directorySociety.do?method=detail&societyId=469
*4:CISAC - UBC, APS and UBEM Form United Coalition, Launch Manifesto for Fair Remuneration of Musical Works
*5:JETROの資料を参照https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/af531eb825543cb0/US_2016_Music.pdf
*6:https://members.cisac.org/CisacPortal/directorySociety.do?method=detail&societyId=153
*7:ただ、任天堂のゲーム部分の配信に関する許諾と、ゲーム内音楽の配信に関する許諾がどのように処理されているのか不明で、音楽部分についてまではライセンスに入っていない等の場合は著作権主張も適切なのではないかとおもう。
スクショ違法化に二度目の奇跡は起こらない、たぶん。
今年の3月、自民党総務会での了承を残すまでに煮詰まった違法ダウンロードの一般化を含む著作権法改正案は、直前になって沸き上がった国民世論の猛烈な反対と、日本漫画家協会や日本建築学会などクリエイター団体や法律の専門家などからさえも出た反対意見によって、急転直下、自民党総務会が了承を見送られたことで辛くも立法化を避けられた。
奇跡だと思った。
正直、ダメだろうなって思ってた。前年から著作権界隈では違法ダウンロードの一般化の動きに対して警鐘を鳴らしていたが、実際のところ事の重大さに比べて驚くほど市井のリアクションは薄かった。過去の経緯からして、一度ルートに乗ってしまうとどれほど多くの反対意見がパブコメで寄せられようとも微修正で通ってしまうのに、これほどまでに危機意識が共有されていない状況だと、もはやどうしようもないな……と。だから、それがわずか1ヶ月前という直前に爆発的に盛り上がりネット世論を動かし、リアル世論を動かし、議員を動かし、なんとか阻止できた。奇跡だなって思った。
でも同時に、絶対にまた来るぞ、と思った。
次はダメかもしれない、と不安に思った。
わずか半年。想像よりも相当早く、また来た。
アニメのキャラクターを勝手に使ったツイッターのアイコンも入った画面の「スクリーンショット」(スクショ)行為を違法にすると、どのくらい懸念を感じますか――。文化庁が9月30日、権利者の許可無くインターネットに上げられたと知りながら漫画や写真、論文などのダウンロードを違法とする著作権法改正について、パブリックコメント(意見公募)を始めた
今回もなぜかリアクションは希薄だ。きっと二度目の奇跡は起こらないだろう。
また阻止できるはずだ、なんて甘い期待は捨てたほうがいい。
3月の了承見送りで重要な役割を果たしたのはMANGA(マンガ・アニメ・ゲーム)議連会長で自民党の古屋圭司衆議院議員だった。
報告です。著作権改正法案は次期国会に先送り決定。今朝自民党幹部会で決定しました。党最高意思決定機関である総務会にて差戻しになってから、鋭意再検討してきた結果だ。自民党の良識を示せたと思う。皆が納得できる法律に仕上る。その為に党主導で関係者からヒアリングなど丁寧な対応をしていく。
— 古屋圭司 (@Furuya_keiji) March 13, 2019
その古屋議員が9月10日のブログにて以下のような報告を掲載している。
集英社の堀内社長他が来訪。春先に話題となった著作権法改正問題について(公財)日本漫画家協会と出版社で組織する出版公報センターの間で共同声明を発表することについて事前に報告を受ける。発表は今月17日の予定。内容は発表時に詳細をご覧いただきたいが、基本的に両者がバランスよく共に連携できる法律整備を要望するとしており、これにより脱法行為を防ぐ一方で過度な萎縮が生じないようにする方向で一致。今後は我々MANGA議員連盟としてもしっかりとフォローしていきたい
MANGA議連には根回し済み、事実上の了承を得たかたちになっている。前回、懸念を表明した日本漫画家協会についても、出版広報センターと共同で9月25日に『「侵害コンテンツのダウンロード違法化」と「リーチサイト規制」に関する共同声明』を出している。
私たちは改めて、侵害コンテンツのダウンロード違法化およびリーチサイト規制のための法整備が適切かつ迅速になされることを願う
とある。この半年にどのような政治的な駆け引きがあったのかは分からないけれど、両者ともに違法ダウンロードの一般化を堰き止める防波堤としての役割はもはや期待できない。
事態は相当厳しいものだと覚悟したほうがいいのではなかろうか。
前述の通り、文化庁は9月3日からパブリックコメントを始めた。前回の見送りを受けて文化庁は臨時国会に向けて法案を練り直すとしていたが、添付される概要説明資料には「自民党・公明党 条文審査資料(平成31年2月22日)」と明確に書かれている。前回と全く一緒のものだ。完全に国民を舐めてるでしょ。
懸念をできるだけ多くの人に文化庁へと届けてほしい。今回は前回以上の熱量がないと、あれよあれよと言う間になんの突っかかりもなくスルッと法案通ってしまうだろう。スクショ撮っただけで犯罪になるなんていうどう考えても異常な法案が。
著作権の保護期間延長、TPPとは関係ないし、なんだったら他はどこも延長していない件。
2018年12月30日。
日本の著作権の保護期間が50年から70年に延長された。
日本の美術・文芸・音楽作品の著作権の保護期間=キーワード=が30日、環太平洋経済連携協定(TPP)発効に合わせ、欧米並みの死後70年に延びる
美術・文芸・音楽著作権、30日から死後70年に延長:朝日新聞デジタル
米国を除く環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」が30日に発効するのに伴い、文学、美術、音楽作品などの著作権の保護期間が作者の死後50年から70年に延長される。TPP11関連法として成立した改正著作権法が施行されるためだ。
著作権保護、70年に延長=TPP発効で、藤田嗣治作品も対象:時事ドットコム
TPPが発効したから著作権保護期間が延長された、とたぶんほとんどの人が勘違いしているが、実際のところTPPの発効と著作権保護期間の延長はもはや関係ない。TPP関連法案の一項目に延長が盛り込まれそのまま国会を通過して成立し施行されたが、TPPと著作権保護期間の延長は、関係がないのだ。
今回の著作権保護期間の延長については、完全に国民を騙し討ちにしていると私は感じている。2019年は違法ダウンロードの対象を静止画に拡げる議論やリーチサイト規制の議論、また昨年からなおくすぶり続けているサイトブロッキング問題が待っているが、ここ10年におよぶ一部の権利者がための牽強付会な権利強化には憤りすら覚える。改めて今回の著作権保護期間の延長の異常さについてまとめておきたい。
まず、TPPとTPP11は別だ。TPP協定は2016年に12ヶ国によって署名された。しかし、翌年2017年にトランプが新大統領に就任したアメリカはTPPから離脱、すでに署名済みのTPP協定はアメリカ抜きで発効することができないため、TPP協定は死んだ。そこで、アメリカを抜いた11カ国でTPP協定を引き継ぐかたちで協議が始まり、2018年3月、新たな協定としてのTPP11の署名式が行われた。という経緯がある。
お察しの通り、著作権保護期間の延長はアメリカの肝煎りでゴリ押しされた項目。日本側のTPP担当はカナダの担当とともにギリギリまで保護期間の延長をTPPの項目に入れることに反対して交渉を続けていたらしいが、『「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対』と掲げた第二次安倍内閣にとっての“聖域”である重要5項目を死守するために、結果的に飲まされるかたちに落ち着かざるをえなかったようだ。
これを受けて第192回国会において2016年12月9日に成立したのが「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(TPP整備法)*1」で、当然、保護期間の延長もここに含まれていた。ただし、「この法律は、環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日から施行する」という留保付きで、だ。
しかし、前述の通り、この1ヶ月後、アメリカはTPP協定から離脱した。もはやアメリカがゴリ押しし、各国が飲まされていた項目はこれを飲む必要がなくなった。そこで新たな協議ではアメリカがゴリ押ししていたものを含む20項目に関して、アメリカが協議に復帰するまで「凍結」することで合意が取られた*2。この中には「著作権等の保護期間」が明確に含まれている。
保護期間の延長を強硬に求めていたアメリカはいなくなった。保護期間の延長は「凍結」された。保護期間の延長はTPP11に必須の項目ではなくなった。
しかし、それでも著作権の保護期間は20年も延長された。
2018年3月8日、TPP11は署名され、それに伴って関連国内法の改正としてのTPP整備法改正法案が提出され同年5月に可決成立した。改正法は、基本的には「TPPの発効日」から施行するとしていたTPP整備法の施行日の留保について「TPP11の発効日」へと修正するものだ。TPP11として合意された条約には含まれていないにも関わらず、著作権の保護期間の延長は同条約の発効をトリガーとして12月30日に施行されたわけだ。
環太平洋経済連携協定(TPP)発効に合わせ、欧米並みの死後70年に延びる
TPP11に関係ないのにTPP整備法に入れられ、TPP11に関係ないのにTPP11発効に合わせて延長された日本の著作権の保護期間。
では、他の国はどうなのか。以下は私の拙い英語能力と貧相なネット検索能力で調べた結果なので、誤っている可能性が多分にある。ご指摘いただけると大変助かる。
TPP11の参加11ヶ国のうち、2019年1月7日時点で国内手続きが完了しているの7ヶ国で、著作権保護期間がどのように変わったかまとめた。
国内手続完了 | 旧保護期間 | 現保護期間 | |
メキシコ | ○ | 100 | 100 |
オーストラリア | ○ | 70 | 70 |
シンガポール | ○ | 70 | 70 |
日本 | ○ | 50 | 70 |
カナダ | ○ | 50 | 50 |
ニュージーランド | ○ | 50 | 50 |
ベトナム | ○ | 50 | 50 |
元より70年以上の保護期間の国はTPP11が影響する余地がない。他方、70年未満だった4ヶ国で保護期間が現在どのようになっているかを見ると、日本以外はこれを変更していない*3*4*5。
当然と言えば当然だ。日本が異常じゃないか? 既に凍結され入れる必要もなく、なんらかの外交上のバーターでもなく、純然たる国内案件となった保護期間の延長について、国内での議論を全く経ることなく押し通したかたちになっている。著作権の保護期間の延長は、TPPではなく、日本国の政府と立法府が「TPPなんで仕方ないっすわー」というふうな顔をして、出し抜いて、成立させたものだ。あまりにも素知らぬ顔でぶん投げたから、国内での議論の必要性すらほとんど一般に認知されることなく、なんだったら保護期間の延長がTPPのダメなところだなんて言われたりもしている。TPPじゃない。この国が自らの選択としてこれを行った。それを知っていてほしい*6。
さきに引用した朝日新聞の記事は、こう締めくくる。
■見送りが一転、TPP合わせ 「手続き、国内議論を回避」批判も
保護期間は、著作権の国際ルールを定めるベルヌ条約の1948年改正で、作者の孫世代までカバーできる50年を基準として義務化された。だが「平均寿命が延びている」などとして、90年代以降EU諸国や米国が相次いで70年にした。
コンテンツ大国は、輸出先の国の保護期間が延びれば、使用料収入が増えるため、米国は日本に繰り返し延長を求めていた。TPP交渉では、米国が途中離脱し、延長は加盟国の義務にならなかった。加盟国で50年だったニュージーランドなどは見送る一方、日本は欧米の動向や一部権利者の声を踏まえ、延長に踏み切った。
延長を巡っては、文化政策の方向性を決める2010年の国の委員会などで賛否の議論を尽くし、見送られた経緯がある。だが今回、政府はTPP関連法案の一項目に延長を盛り込み国会に提出。国会では大きな議論にならないまま、可決成立した。延長に反対してきた福井健策弁護士は「義務ではなかったのに、政府はするっと通した。国外で合意し、国内議論を回避したポリシーロンダリング(政策洗浄)的な手続きだ」と批判する。
美術・文芸・音楽著作権、30日から死後70年に延長:朝日新聞デジタル
違法なネットコンテンツのダウンロードが違法化されたのが2010年1月。音楽と映像に限り、刑事罰を入れないという制限で成立し、施行された。にも関わらず、わずか2年後、消費増税をどうしても通したい野田民主党政権にバーターで閣法を修正するかたちで自民公明が違法ダウンロード刑事罰化を盛り込んだ著作権法改正案をねじこみ、これを通すという無茶苦茶なことをした。そしていま、音楽と映像に限るという制約も外そうとしている。今度はきっと刑事罰化も同時にやろうとするだろう。もうずっと無茶が通されてきたし、反対意見は一顧だにされないし、なにを言っても無駄なんじゃないかという雰囲気を感じる。それでも、ダメなんじゃないのっておもうことにはダメなんじゃないかって言っていかなきゃおもう、2019年最初の記事でした。
関連記事
*1:環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律
*2:https://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/danang/171111_tpp_danang_gaiyo.pdf
*3:カナダ:https://laws-lois.justice.gc.ca/eng/acts/c-42/page-3.html#h-6
*4:ニュージーランド:Copyright Act 1994 No 143 (as at 14 November 2018), Public Act – New Zealand Legislation
*5:ベトナム:INTELLECTUAL PROPERTY LAW
*6:TPPが頓挫したあとTPP11ができる前に、日本はEUと経済連携協定(EPA)で大枠の合意というイベントがあったが、外務省は合意後4ヶ月にも渡って「著作物等の保護期間の延長(著作者の死後70年等)」が既に合意されていたことを隠していた。
「ちょうどいい」、そういうスマホを手に入れた。
iPhone SEは 死んだ。
スマホが高い。
いや、正しくはiPhoneが高い。
新iPhoneの発表があったけど、もう日本メーカーのテレビと同じように「でかい」「きれい」「なんかすごい」しかいっていなくて、機能的に眼を見張るような、夢を紡ぐような、新しい体験にワクワクさせられるような、そういうのは感じられなくなった。うん、もうしばらく前から*1。
かといって、iOSのぴったり感、そう!そうなの!感は得難いものがあり、Androidではどうしても「足りなさ」を感じてしまう。
iPhoneからAndroidに乗り換えようと、何度か思い、何度か試してみた。
最初はGalaxy S2、2011年のこと。デュアルコアでサクサク動くかなと期待して。
つぎはHUAWEI P10 lite。さすがにそろそろサクサク動くかなと期待して。安いし。
でも、ダメだった。
なにがダメってタッチパネルの追従性。指の動きから少し遅れて画面が動く。そのくせ、止めたいときは手を離したときの微細な滑りを過敏に拾ってギューン!と高速スクロールで吹っ飛ぶ。
そういうところやぞ。
で、 id:lastline さんにそそのかされて(?)買ったのが
Essential Phone PH-1
一ヶ月かかって Essential Phone がやってきた - 最終防衛ライン3
これがねー、すごくいい!!
もうねー、「ちょうどいい」。
このちょうどよさは初代Kindle paperwhiteを手に入れたときの「ああこれこれ、これでいいんだよ」という感想に近い。伝わんないとおもうけど。
なにがいいか。まず値段だ。安い。私はケチなので体験の価値が投下コストに引きずられる。その点、PH-1はとにかく安く手に入れられた。
米Amazonで安売り狙って本体224ドル、およそ25,000円ほど。送料と輸入税のデポジット入れても28,000円程度。新型iPhoneが4〜5台買える4〜5台買っても新型iPhoneより安い。
この安さのくせに、使い勝手にほぼ不満がない。過去、どうしても満足できなかったサクサク感、タッチパネルの追従性にも"ほぼ"不満がない。ちゃんと指についてきてくれる。変な挙動も見せない。"ほぼ"というのは全く違和感がないという意味ではないためで、具体的にはポケモンGOでカーブボールを投げようとボールをぐるぐる回しているときにほんのわずか、数ミリsecのラグを感じる。iOSでの慣れとの感覚の差もあるだろうが、とはいえプレイするにあたっては全く支障がない*2。
処理能力としてはMMORPG「リネージュ2 レボリューション」でフレームレート、画質等を最高にしても普通にプレイできるくらい。
サイズは縦で141.5mm、iPhone 8より大きくiPhone Xより小さい、そのくらいのサイズ感。不満はない。私は新iPhone SEを待ちわびていたがiPhone 6sユーザーのため3mmほどのサイズアップは並べなければ分からない。
ちなみにPH-1はAndroid 7.1.1で届くが、最新の9.0 "Pie"をサポートしており、すぐにこれを体験することができる。ただし、lastline さんのレビューとは違い、アプデによってさほどの違いは感じなかった。
ほら、なにがいい、ということはなにもない。ここが気にくわない!というところがほとんどないのだ。そして安い。これ、ほんとにちょうどいい。
しかし、多くのことがそうであるように、全くひっくるめてキチッと不満がない、というとそれはさすがにウソになる。
まず手に持ったときの重量感。しっかりしている。185gはiPhone 7 Plusとほぼ同じ。ただしバッテリー容量はそれよりも大きい。
それからシャッター音がうるさい。これはAndroidの問題だ。7.1.1では出なかったカメラのシャッター音が9.0では強制的に出るようになってしまった。しかも音が大きい。海外スマホを買っているのにシャッター音が消せないってもう腹立たしい!がこれはAndroidが悪い。なんだったら7.1.1に戻すか……。
そのくらい。
そもそもデフォではほぼすっぴんなのもいい。中途半端なオリジナリティが絶妙にイライラポイントを突いくるような、そういうことがない。それだけでこんなに快適か、と。
ああ、これならiPhoneから乗り換えてもいいやって、やっとおもえるスマホを手に入れた。
選択的夫婦別姓に賛成派の私が考える選択的夫婦別姓制度のデメリット
選択できるっていいですよね。
私は自分のことを自己決定権至上主義者だとおもっているので、自己決定の自由が担保されることは最も優先されるべき事項です。選択できるということはいいことだし*1、それは選択肢があることのみならずそれらを自由意思で選択できる状態が保障されていることもともに重要なことだとおもっています。
もちろん、これを他人に強要するものでないことも自己決定権を重視する立場からは当然帰結するところです。ですから、自己決定の重要さよりも「伝統的家族観」とやらを重視して選択的であっても夫婦別姓を一切認めない立場があることも理解します。
そのうえで「選択できるっていいですよね」とおもう私が、でも選択できるって本当になんの利害も生まないの?と考えたときに、必ずしもそうではないのではないかな、とおもったことについて書きます。
選択できるっていいですよね。
という立場では、選択できるということは選択しないという立場も同じく保障しているのだから、既存の価値観を重視する立場を全く毀損しない、という理屈が聞かれます。基本的には私もそうおもいます。夫婦別姓が選択的だということは、同姓を「伝統的家族観」とやらを重視する立場にあっては別姓を強いられることなく引き続き同姓を維持できるわけですから、同姓を重視する立場と別姓を希求する立場の双方が等しくなんら譲歩することなくこれを実現できるはずです。
でも、本当に選択できるときとできないとき、状況は変わらないんでしょうかね。
「選択」というのは強者の理屈かもしれません。選ぶという行為にはエネルギーが要ります。必要がない限り選択という積極的な行為には出たくないという人もいるでしょう。漫然とできていたことも「選択肢」が出現することによって私たちは必然的に「選択」を強いられます。私は、そこに思慮を持ってもいいのではないかな、と最近おもうのです。
選択的夫婦別姓制度は別姓を強いません。同姓も強いません。しかし選択を強います。選択は軋轢をうむことが往々にしてあります。既存の価値観に流されるままにしておけば、”普通”は婚姻により女性が男性の姓を名乗ることになるのでしょう。もちろん既存の価値観でも女性の姓を男性が名乗ることも「選択」できます。その場合、私たちはなんの理由もなくそれを選択できるはずです。しかし、残念ながら女性の姓を男性が名乗る「理由」がなければいけないような、そういう空気があるのもまた現実なのではないでしょうか。
そのような”普通”を前提に生きている場合、選択肢がさらに増えることは困難な事態なのかもしれないです。制度が”普通”の価値観を揺るがさなければなんのひっかかりもなく滞りもなく女性が男性の姓を名乗れば済むと考えていた人たちでさえ、制度が”普通”の価値観を揺るがすがためにあえて同姓を選ぶ理由を用意しなければならなくなるかもしれないからです。センシティブな家族間の距離感に新たに姓選択という地雷を持ち込むことになるとすれば、それはやはり選択式の「デメリット」なのではないかと、私はそうおもいます。
そんな些細なこと、とおもうひともいるでしょう。実際私もそうおもいます。しかし同時にやはり「選択」というのは強者の理屈かもしれないという危惧もあたまの片すみにもっています。
締めに入ります。夫婦別姓の問題で選択式が選択を強いることになるというデメリットについて言及したものを読んだ記憶がなかったのですが、選択的夫婦別姓制度が同姓を望むひとたちにとってデメリットがないというのは違うのではないかな、とそうおもってます。デメリットがないわけではないだろう、と。しかし(もちろん)私はそのデメリットをして選択的夫婦別姓制度を否定する理屈はないと判断しています。それはあくまで過渡的なデメリットにすぎないですし、現実的に別姓利用の必要性に直面しているひとたちが現に強いられているデメリットに比べれば芥みたいなものにみえます。
確かにデメリットはありますね、でも現にあるデメリットを解消するのも必要なことですよね、どちらのデメリットが甘受されるべきものなのか、みたいなところから議論ができるといいですね。
以上です。
*1:信仰に近いかもしれませんが
「ワンフェスのフィギュアは当日版権だから転売はアウト」は本当なのかしら?
0,導入
こういうまとめを読みました。
転売厨タヒね!という気持ちはわかります。数は少なくとも愛着持って手間ひまかけて作ってるんでしょうし、お金にしか興味のない人ではなく、その作品を気に入ってくれた人に譲りたいって普通は思いますよね。
1,当日版権は転売アウトなの?
それはそうと、このいうツイートがまとめの最初の方に載っていて、なるほどそういうものがあるのか!とおもったわけです。確かに、権利者がOKしてないなら転売できないんじゃないの?と。
ワンフェスのガレージキットは当日版権によって売っている(だから通販はたいていオリジナルだしとらやメロンみたいな委託店舗にも並ばない)から転売は普通にアウトなんよ。
— エビゾメ (@ABzome) 2017年2月20日
版元がワンフェスだけでならこのキャラクターのフィギュアを売っても良いですよって許諾を出しているわけですね。版元が預かり知らないところで型を使って量産して販売するのはダメだけど、ここでだけならOKですよ、ということみたいです。コミケとかの同人誌が許諾を得ずに暗黙の頒布ルールの下でやっているのとは文化の違いがおもしろいです。
2,著作権法的にはどうなの?
版元がどういう理屈で許諾を出して当日版権というカタチにしているのか、と考えると、これはキャラクターの著作権に基づく著作権者の立場で許諾をしているんだと思うんです。どういう権利かというと、まずはフィギュアの造形について複製権*1あるいは翻案権*2が、そして販売について譲渡権*3が関係してきますね。
特に転売に関しては譲渡権がその本丸です。
(譲渡権)
第二十六条の二著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
つまり著作権者は譲渡に際してそれをしていいかダメかを決める権利があるわけです。これはフィギュア製作者の第三者への販売(譲渡)はもちろんのこと、その第三者から別の第三者への移転も同じように譲渡として譲渡権の対象となるわけです。原則では。
3,譲渡権には制限がある
譲渡はその有償無償に関わらずモノが移転されることを指します*4ので、販売であろうと無償の譲り渡しであろうと、救援物資であろうと譲渡権の対象となるのですが、現実問題として私たちは購入したマンガや映画のDVD、それに本なんかを他の人にあげたり、中古屋やネットオークションで売ったりしてるわけですが、そのたびにそのマンガや映画DVDや本の著作権者に譲渡の許諾を得ているわけじゃないです。なぜかっていうと、譲渡権は一定の場合に無くなるからです。
(譲渡権)
第二十六条の二
2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物(中略)
四 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
著作権法は譲渡権について一体の場合に適用されないと規定していて、一般にこれを譲渡権の「消尽」と呼んだりするわけですが、要するに一度許諾を得て市場に出た著作物は、その後の譲渡に際して譲渡権が適用されないということです*5。
私たちが買っマンガや映画DVDや本は適法に権利者の許諾を得て市場に流通しているものなので、その後それを誰かにプレゼントしようが売り払おうがいちいち権利者の許諾をもらわなくても大丈夫、ってことです。
4,当日版権も消尽するのか
そうすると版元から適切に許諾を得て販売されたワンフェスのフィギュアも、それをその購入者がヤフオクで転売しても版権的には大丈夫なのでは? という疑問が湧くわけです。
他方で、当日版権ということは当日でしか販売できないのだから、条文にいう「許諾を得た」の許諾には当日のみが含まれており、それ以外の日はそもそもその「許諾」の外なのだから譲渡権が消尽するとしてもそれは版権が許した当日の範囲でしかなく、以降に流通させることは法の適用外ではないか、ということも考えられます。
5,消尽は強行規定
じゃあ実際どうなのか、というと、著作権法第26条の2第2項は「強行規定」と一般に解されているようです。つまり、当事者間の特約等で譲渡権の消尽を否定することはできないわけです。なので、版元が当日のみ販売してもいいですよ!といったフィギュアは、たしかに当日しか販売できない一方で、当日販売されたフィギュアはそこで譲渡権が消尽してしまい仮に版権が当日のみだったとしても転売を妨げることにはならない、という結論になります。
6,まとめ
私の考える限り、「ワンフェスのフィギュアは当日版権だから転売はアウト」というのは正しくないと思います。
Twitterは新機能をリリースする前にさ……
雑文です。Twitterのする施策があれもこれもモドカシイというお話。
Twitterがサービス開始から10年経ったそうで。私も来月にはTwitter歴が10年目に突入するので、長い付き合いだなぁと感慨も。ダイレクトメッセージが混線して他人の告白DMが漏洩したり、毎晩クジラが打ち上げられたり、NHK BSでTwitterが取り上げられてタイムラインが熱狂したり、週刊ダイヤモンドに自分のアイコンが載ってウキウキしたり。そういえば、iPhone3Gを購入してパケ放題契約したのももっぱらTwitterをすることが主目的だったな。
まぁそんなTwitterも10年も経てば過日の勢いは衰え、新規ユーザーの流入も下降する一方、Twitter社が上場してしまったためにユーザーではなく投資家からの圧力も苛烈なように見え、やることなすことかなり迷走しているように見える。
最近だと、
- 140文字制限を撤廃するだとか
- Fav(ふぁぼ)をLike!(いいね!)に変えるだとか
- Tweetを時系列順にしないだとか
- ニュースキュレーションタブを追加するだとか
でも結局なにやってるかっていうと、同じSNSで好調なFacebookのパクりっていう。他方でFacebook系で絶好調なinstagramはTweetでのインライン表示を拒否してユーザーに不便を強いている。
いや、ちがうだろ、と。
ほかにすることあるだろ、と。
Twitter社が考えるいま大事なこととは「新規ユーザーの流入」と「マネタイズ」とみえる。そしてどちらもその柱はモバイルユーザーで間違いない。いまさらPCのブラウザでTwitterしてる人なんてそう多くないだろうし、新規ユーザーともなればなおさらだ。実際、Twitterもスマホの公式アプリでのプロモーションツイートを頻繁に表示するようにしている。公式アプリでTwitterを見ると、8ツイートに1つがプロモーションツイートになっている。これに公式RTと非時系列のタイムラインが組み合わされば、繰り広げられるのはカオスな世界で、見難いことこの上ないのだが、とりあえずこの点は置いておく。
で、Twitterがなにを置いてもまずやるべきことは
「モバイルのブラウザ上でのTweet表示の振る舞い」
を改善して、新規流入への導線を整えることだと私はおもう。
とにかくTwitterはモバイル表示が壊滅的に酷い。
- 画像が複数投稿できるのに1つしか見られない
- 画像を拡大して見たいのにできない
- 動画が投稿できるのに動画が見られない
のように、興味があってTweetをわざわざ見に行っているにも関わらず、見たいものが見られない。他にも公式引用ツイートにも対応しておらず、せっかくしたアクションに対して落胆が大きすぎる。さらに
- RTやLikeしようとするとログインを求められるが、ログインするとホームに飛ばされ目的のTweetをRTしたりLikeできない
- それなら公式アプリで開こうと上部に表示されるTwitter for iPhoneのボタンを押すとAppStoreのダウンロードページに飛ばされる
- URLがちがう(mobile.twitter.com)
といったあたりも、イライラポイントを的確に刺激してくる。
現状、不便さが目立つモバイル表示を便利なアプリに誘導するのではなく、両者が完全に断絶されてるのはさすがに問題だろう。
外部サイトからTwitterへの流入は本来歓迎されるべきもの。外部サイトからの流入はすべてブラウザだと言ってかまわないだろうに、いまやメインストリートであるモバイルでの表示が壊滅的というのはかなりの機会損失になっているとおもう。なぜこうも放置され続けるのか本当に理解できない。
Twitterが課題にしている新規ユーザーの獲得というところでも、モバイルからの導線の悪さは大きなポイントだとおもう。広告なんかもたくさん打っているけど、いまさらTwitterのことを知らない人なんて皆無だろうし、広告見てじゃあTwitterはじめてみようかななんていまさら考える人もまずいない。そんなときにまず触れるのはモバイル表示のTwitterのなのだから、入り口は小奇麗に整えておくべきだろうに。
なのでTwitterは、ニュースキュレーションアプリのパクりをするよりも、Facebookのパクりをするよりも、LINEのパクりをするよりも、まずは足元のやるべきことがあるでしょ!!とね。
ま、Twitterに思い入れのない人には、あの大人気サービスのこんな機能を取り入れました!ってアピールのほうが効果的なんだろうなって穿った見方しちゃうし、つまりTwitterに思い入れのない人が口出ししているんだろうなって確信しちゃうよね。
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というわけで、はてなダイアリーをはてなブログに切り替えてみたので、とりあえずなんぞ書いてみた。こんな内容なら燃える心配ないしね。