クエスト名 『デイドラの親友(後編)』
「これで良し…と」
Whiterunの東、川を挟んで街の対岸にひっそりと建つTalos像。台座に摘んできた花を添え、象牙の角笛を安置して祈りを捧げ、Solitude首長Elisifに頼まれた夫Torygg王の葬儀は終わった。
生前の王は伝統を重んじるNordだったと聞く。自らがSkyrimを統べる立場になければ、Ulfricに同情的であったとも。その魂は浄土Sovngardeに迎えられたに違いない。
ならSkjorは…
同胞団のナンバー2、Skjorが逝った。人狼である彼にSovngardeの門が開くことはないが、野獣の力は祝福と言って憚らなかったSkjorのこと。彼の魂は狩猟の神Hircineのもとへ召され、かの地で永遠の狩人となったのだろう。
そうであっても、残された者は突然の別れに涙する。肩を落としたAelaさんは“兄弟”を悼み、一人になりたいと私を砦から追い出した。
私は団に入って日が浅い。Skjorが上司といっても、それも遂この間からの話。付き合いの長いメンバーの心中は察するに余りあるけど、仲間を殺されてヘラヘラ笑えるほど脳天気でもない。Skjorを手に掛けたSilver Handは人狼を獣としか見てないのが良く判った。奴らは不倶戴天の敵だ。
Whiterun、Jorrvaskrには顔を出しにくいので、Talosの祠から川沿いに南下して直接、Riverwoodへ向かうことにした。
いい加減、Delphineが持ち去った装備と金を取り戻しませんと。「何とか生きて戻れたわね。持ち物は部屋に置いてある、約束したとおり。で、何か判った?」
そんな約束した憶えはありませんけどね。アジトで再会したDelphineは、顔みるなり早く情報が欲しいとせっついてきた。だったら、Solitudeで待ってれば良かったろうに。
「Esbern?彼が生きてる!?…とっくの昔に、Thalmorに始末されたとばかり思ってた…あの偏屈爺…」
竜の復活と仇敵は無関係。見込みの外れたDelphineは酷く同様したが、それとは別の情報、かつての仲間がThalmorの追跡を逃れて生存しているのを知り、瞳を輝かせた。
Esbern──────大使館の地下牢からこの老人の調書が出てきた。それによると、彼は齢70を越える元BladesのLoremaster、所謂伝承者です。AkaviriのDragongardsを祖とするBladesは竜に関して豊富な知識を持つ。Esbernは高齢で、Delphineのような実動要員ではなかった為(彼はCloud Ruler寺院のアーキビストだった)、Thalmorから脅威と見なされず、目こぼしされてきたのだが…その事情が変わった。竜が現れたせいだ。Elfの歴史に竜は殆ど登場しない。Thalmorもごく単純な知識があるだけ。かつての大戦で蹂躙したCloud Ruler寺院を再調査してみたものの、既に資料は紛失もしくは焼失しており用をなさなかった。そこで、改めてEsbernが目を付けられることになったのだ。
彼はRiftenに潜んでいるらしい。当然、DelphineはThalmorより先に老人との接触を求む。
「多分、Ratwayね。私ならそこへ隠れる」
私が行くで決定ですか、あーそーですか。
「ふぅ、ようやく人心地付ける」
“約束”通り、部屋の木箱に私の装備が丸ごと突っ込んであった。ワイルドなスタイルも嫌いじゃありませんが、やはり軽装は心許ない。厚いプレートの鎧に身を任せるほうが安心出来ます。
仲間の死に肩を落とす者がいれば、死んだと思われていた仲間の生存に歓喜する者もいる。ほんに人の世は悲喜交々。残念ながらEsbernに関してその命は風前の灯火と言える。現行のThalmorはBladesの生存を一切認めない。掴まれば、彼は拷問の果てに殺されるだろう。
Riftenは、名目上にしろStormcloak派に属する。Thalmorがうろちょろ出来る場所ではないのでそう簡単には掴まらないでしょうが…気になるのは、大使館の晩餐にMaven Black-Briaが来ていたこと。彼女はRiftenを裏で仕切るボスだ。他にもElfと連む者がいるようでしたしね。
Riverwoodを更に南下して山岳部へ入り、廃墟Helgenから東へ折れればRift地方。丁度その境界にClavicus Vileの聖地Haemar's Shameの洞窟がある。
「あれ?」
人がいる。信者が戻ってきた?
「ヴァンパイヤだ…なんだ又乗っ取られたのか」
一応、吸血鬼に社会への適応力(理性)を与えたのはClavicus Vileだとかいう、とてつもなく嘘くさい噂があります。そのおかげで吸血鬼に慕われてるんだとか。狼憑きになった娘の父親に斧を渡すような天の邪鬼ですから、到底信じられませんけどねぇ。
人狼は吸血病に感染しないから接近戦も全く無問題。楽だなー。
信者をガツガツ倒しながら進むと、急にその姿が減った。たった今ぶちまけられたように灰が煙りを燻らせている。
「これは…まさか」
直感を裏付けるように洞窟の奧で悲鳴が次々と上がった。
「Barbas!」
「助太刀するわよ!」
びっくり。Dawnbreakerって吸血鬼にも有効なのね。
勘当だけに感動の再会…失礼。やはりBarbasは主の元へ戻っていた。
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お見事。勇者とその誠実な仲間が王子の為に古代の宝を取り戻してくる。まるで…お伽噺だ。あぁ、だがその得物を手放すのは勿体ない、そう思ってるんじゃないか?欲しけりゃ話に乗ってやらんこともないぞ…"
先を聞かずともClavicusの魂胆は知れてます。Rueful AxeでBarbasを殺させる気だ。
このRueful Axeの正体は有名な魔剣Umbraと同じもの、魂を喰う呪いの斧です。だからSebastian Lortは狼に憑かれた愛娘を斧で斬り殺し、大切に保管していた。斧に喰われた魂から娘を蘇らせようとして人里離れた山奥に篭もっていたのではあるまいか。同じ手口でClavicusも、Barbasに持ち去られた力を取り戻すことを思いついたのだ。
「斧はいらない」とあっさり取引を蹴るや、当ての外れたClavicusは駄々っ子のように癇癪を起こした。
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あー!たく、お前はホント面白くない奴だな。他の楽しみを見つけなくちゃならないだろ、その犬っころが戻ったら。俺様はきっと完全な力を取り戻してやる。世界がこの俺様を待ってるんだ!"
それを聞いたらますます、Barbasは殺せませんね。
「お前さんのことは信じてたよ。心配するな。いつか彼奴を生まれ変わらせて見せる。俺がお前さんを信じたように、今度は俺を信じてくれ」
「お別れね。元気で」
別れの言葉を聞き届け、Barbasは居るべき場所へ帰っていった。短い付き合いではありましたが、それこそ永遠を生きるDaedraには瞬き一つの時間にも満たないのだろうけど、貴重な体験と素敵な旅をありがとう。
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あぁ、最高の気分だな!お前は忘れてるんだろ、穴蔵で何年も動けずにいるのがどんなに素晴らしい特権か。残念だよ、このクソ犬を元に戻すなんて、つまらない望みを持ちやがって。こいつ、想像力がないんじゃないのか。こういう野心のない奴は生きるに値しない。虫にでも変えてみるか、あるいは何十年…"
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…"
"ま、まぁ…いいだろ、問題ない。それよりも面白い取引があるだろうからな、きっと"
Clavicus Vileが契約の神に相応しい公正さと品格を獲得するのはいつの日か。
Barbas君、がんばれ。