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KARIAGEとCCS(コミュニティ・カルテ・システム)-SEA SIGEDU(教育分科会)月例会--感性的研究生活(81)

2017/09/23
KARIAGEとCCS(コミュニティ・カルテ・システム)-SEA SIGEDU(教育分科会)月例会--感性的研究生活(81)

少し前のことですが、9月15日に行われたSIGEDU(教育分科会)月例会の様子をお伝えしたいと思う。
まずは、事前に配布された会のお知らせを引用させていただく。
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SEA SIGEDU(教育分科会)月例会のお知らせ
1.日時 2017年9月15日(金) 18:30〜20:00
2.場所
  東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター
3.テーマ
   「少子化問題の解決とコクヨのKAKIAGE+人工知能の応用」
  彩考代表・中本浩之
  コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部ものづくり本部
  コミュニケーションバリューチーム 島崎雄大
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この会の集まりとしては、最近になく多数の方々が集まった。13名である。
実際の発表は、まず、コクヨ株式会社の島崎雄大さんが「KAKIAGE」についてデモを中心に紹介した。
「KAKIAGE」は、KJ法をクラウドで実現するというようなもので、複数の参加者が手軽にアイディアを書き足したり、書き込んだカードの位置関係を訂正したり、ファイルをアップして文献やメモをメンバー内に公開できる機能を持っている。世界のどこにいてもメンバーであれば参加できるし、メンバーが招待すれば登録メンバーでない人にも参加してもらうことができる。今や、社内だけでプロジェクト会議が閉じられているような会社はほとんどないと思われるので、これは大変便利な機能である。
KJ法とは、川喜田 二郎(1920年5月11日 - 2009年7月8日)が情報の整理法として発表したもので、カードに書かれたメモを意味のあるグループに分けてつながりをつけたりすることによってヒトの思考を助ける道具となった。日本にはたくさんのファンがおり、私も愛用者の一人で、システム開発の現場でもそれを私流に改編した手法をよく使っている(そういえば、その昔、研究報告書にも書いて、研究費をいただいたこともありました。日本システムの野木秀子元社長、慶応大学名誉教授の大岩元先生、その節はお世話になりました)。
川喜田二郎氏は、Wikipediaによれば、三重県出身。京都帝国大学文学部地理学科卒業。文学士。東京工業大学教授を経て川喜田研究所代表、筑波大学教授、中部大学教授、東京工業大学名誉教授。元日本ネパール協会会長。財団法人・日本エスペラント学会顧問という方である。
「KAKIAGE」は、
 ・既に国立大学や内閣府人事局、および法人R&D部門等で導入されている。
 ・特許を取得した日本独自のクラウド製品である。
 ・論理の過程とファイルを2次元のボード上に配置・構造化できる。
 ・定額でアカウント数無制限の登録が可能、最大100人が同時書き込みできる。
というもので、使い勝手もよさそうに見える。
私は、コクヨの本社ビルで一度拝見しており、SIGEDUでの紹介も今回で2度目となる。
コクヨのホームページには次のように紹介されている。
会議の効率化を実現する 『KAKIAGE』のご紹介
ただし、大企業と官庁向けのシステムなので、やや高め(月額利用料金10万円)なので、教育現場での使用や個人ユースには手を出しにくい。何か、コクヨにとっても利用者にとっても良い方法がないかと思案中です。良い方策が見つかったら、発表することにします。

2番目の登壇者は考彩システム社長の中本さんで、予告と違って「地方創世・少子化・貧困問題~コミュニティカルテ調査・貧困の解決」というタイトルだった。
実は中本社長の発表10日ほど前に、「このコミュニティカルテ調査」の存在を告げて、内容を説明したのが私で、その結果、中本社長が大車輪で発表内容を変更した結果なのである。中本さん、突然の情報挿入でご苦労をおかけいたしました。
中本社長からは許可が得られているので、発表資料をここに掲示する。
画像はクリックすると拡大する。

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当初の予告にあった「KAKIAGE」や「ステルス型の見守りシステム」などにも触れているが、メインは何と言ってもCCS(コミュニティカルテ調査)である。
中本氏の発表資料にも引用されている日下部さんの元資料は少し前の私のブログにも紹介したものである。
コミュニティー・カルテ調査(日下部元雄 世界銀行元副総裁)について--感性的研究生活(79)
CCS(コミュニティカルテ調査)は、財務省出身で、のちにイギリスに拠点を移して世界銀行副総裁を経験し、イギリスの大学でも教鞭を執った日下部元雄さんの創案によるもので、早い時期に東京新宿を含む世界数都市の同時調査なども実施しているものである。現在は、日本に戻られて、研究継続のため次の会社を設立し経営していらっしゃる。
株式会社オープンシティ研究所
もともとは、銀行業務に関連して個人の信用を推し量るために個人のヒストリーを探ることが必要であるという着眼を得たことが始まりのようだが、「社会的排除(exclusive)」が貧困のもとにあることに強い懸念をいだかれており、貧困の解消のためにはその証拠(エビデンス)を捕まえようとしてきたものである。
私は、経験と勘で、20年も前から「母子の愛着不全が将来の貧困につながる」などと言ってきた。しかし、日下部さんは、10年ほど前から、これを事実に基づいてどの程度の確度でそれが言えるのかを示し続けてきている。「経験と勘」よりも何百倍も説得力があろうというものである。
個人史的エビデンスを統計的に扱えるだけの量を確保するのは、とても難しい。個人を数十年にわたって追跡調査することが必要だ。それも一人二人のデータでは意味がない。ビックデータが必要なのである。多数の自治体と福祉団体の協力があってここまで来ている。この先に進むためには、もっと高い立場での政策的推進が必要である。日下部さんは私よりもやや年長の先輩に当たる。私同様、残された時間は多くない。
たくさんの方のご理解と支援が必要である。

研究会は定刻を過ぎても終わる気配はなかった。21:00頃、懇親会場に移ろうとしたところ、なんとそのまま全員が移動した。居酒屋に移っても、会の熱気は続いた。皆さんともに終電がなくなるまで腰を上げようとしなかった。
懇親会の会場で、私からは来年のSEA/SIGEDUの新春フォーラムに日下部さんをメインゲストにお呼びすることを提案した。
 
△次の記事: 感性的研究生活(82)
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琵琶

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コメント

飯箸先生、中本様、SEGEDU研究会の模様をアップして頂き、どうも有難うございました。CCSについて、これほど熱い議論が行われたことを知り、大変、光栄かつ有難く思いました。CCSは約7年前、ロンドンにいたころ、日本の科研費を3年間、頂き開発したシステムで、英国ではロンドン、リバプールの社会的排除の先進都市で調査を行い、その後日本では、厚労省の支援により新宿区や川崎市などを含む9都市で調査を行いました。CCSは、大変熱烈に支援をしていただく方に支えられてきましたが、その中の一人に、厚労省で介護保険制度を創った山崎史郎さんという方がおられ、3年間にわたり研究助成を行って頂きました。自治体も非常に好意的に支援してくれるところもありましたが、必要な回答数を集めることは、常に大変な労力と時間を要しました。今後は、個人向けのアプリとして、人生のいくつかのステージ毎に個人が自主的にアクセスしてもらえるプログラムとして、再生を試みています。サーバーのスピードや容量の制約も克服しなければならない課題です。ソフトウェア開発の専門家の方との連携が出来ることは、望外の幸せです。今後、話し合いの機会を持っていくことを大いに期待しております。

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