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2009(Tue) 21:02
天地明察
江戸時代に某子供向けアニメのOPに出てきそうな「勇気百倍」という言葉を最初に言った人がいるって事でしょうか?(笑)
時代小説なんて一度も読んだ事のない私ですが、作家買いで、冲方丁の初時代小説ということで、挑戦してみました。
(実に久しぶりに読みやすい冲方本でもあるwww)
小説のラストの感想を書きますので、ネタバレ必至!ご注意を!
(「必至」って囲碁語なんですねえ。初めて知りましたwww)
いやぁ、萌えと燃えがあるね。
最初と最後に持ってきた計算による「北極出地」の合致が、一人の人間の成長と年月を感じさせました。
のほほんとした天然気質、純粋な青年・渋川春海が挫折、喪失を経て、老獪な手回し、殆どあくどいと言っても過言でないギリギリの手をうって最後の「上奏」に至る件は、人間はここまで成長するんだなぁ、と思いました。
と同時に、春海を純粋に信奉する土御門の若様の登場が、嘗て、春海が建部と伊藤に向けていた視線、感情がそのままなのだなぁと思うと、良い世代交代ってこういうのを言うのだと思いました。
春海は、いろんな人の思いと罵声を抱えて、三度目の「上奏」にいて、自分がこれまで打てた全ての手を使うのですが、純粋に春海に信奉する土御門の若様は初めて挫折を味わう。
そこで、春海がとった行動が――。
春海も名門ですし、土御門の若様も名門の出。
最後に自分と重ね合わせる事の出来る青年が登場し、そして自分と同じように「純粋」な為に、初めて挫折してしまうだろう彼に、全部一人で背負わなかった春海は、今度こそ『自分』を助けてやる事が出来たのではないでしょうかね。
いろんな人に思いを託されてはみましたが、最後に春海を手助けしてくれる人は、春海には結局自分しかいなかった。
苦境の立場になった時、その時々で自分で立ち上がらねばならなかった彼ですが、最後の最後に、最初の自分と同じような若者が現れた時に、手助けできる人間になれている。
あの最後の上奏は、当に『渋川春海』を救いきり、次代の若者に光明を示せたんだなぁと、妙にすっきりした頭で、ちょうど夕方の空を見上げました。
うーん…それにしても、挫折が多いよwwwこの人の人生www
日本史に疎い私でも分かる和算の偉人たる「関孝和」の名前が出てきたり、大変楽しく、面白い小説です。
あの爺's(ジジーズ)が好きで楽しくてたまらない!
建部さんと伊藤さんが、本当に「顔だけ皺くちゃの、中身は少年」っていう言葉は彼らの為にあるんだとばかり。
関孝和さんの叱責は、「なるほど」と。
奪うなら、見事掻っ攫っていけよっ!とは思うよね。どうせなら完璧なもん作れって思うよね。
利用された側には、言う権利があるわな。うーん、深い!
天地明察 | |
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