ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その1
『細菌戦争の世紀』
『黒死病 疫病の社会史』
『カミング・プレイグ 迫りくる病原体の恐怖』
『病原体進化論 人間はコントロールできるか』
『美しい人体図鑑 5 病気 しのびよる脅威 乳がん 胆石の結晶 インフルエンザウイルス エボラウイルス デングウイルスなど』
『カミング・プレイグ 迫りくる病原体の恐怖』
ローリー・ギャレット
薬剤耐性菌は普通、社会的経済的に貧困な社会に登場する。世界中の貧しい人たちは、ブラックマーケットや知合いの使い残しの抗生剤を手に入れて、医者の診察なしに自分で治療するからだ。
病原体は、ほんの2、3週間ほどの期間でかなり進化してしまう。病原体の「観点」から感染症を考えると、20〜30年ばかり医学的な記録をとるだけで、われわれホモ属の全進化期間に匹敵するような進化的変化を提供できる可能性がある。
『細菌戦争の世紀』
マンゴールド&ゴールドバーグ 原書房
リシンは、ヒマの実から取れる植物性の毒素で、そのため比較的手に入れやすい。エアロゾル化したこの毒素を吸引すると、8時間以内に発症し、36時間から72時間以内で呼吸不全を起こして死ぬこともある。
日本軍の実験記録は、米軍の生物戦の知識を躍進させるものでないことが明らかとなった。研究開始から一年とたたないうちに(1943年)、アメリカの知識は、七三一部隊のそれをすでにうわまわっていた。
スコットランドの北西部海岸沖三マイルにあるグルイナード島で、縄でつながれた数十頭のヒツジの群れのなかに、世界初の炭疽菌爆弾を投下した。1942年の夏に行なわれたこの実験は、安全対策が万全でなく、その後半世紀にわたって、島全体に汚染が残った。
オウム真理教の活動は、日本や米国や英国の情報機関にほとんど知られていなかった。サリン事件の後、CIAにもFBIにもオウムに関するファイルが一つもないことを知って、アメリカは驚愕した。
【オウム真理教・サリン事件】
— 科学に佇むサンクコスト 📚 🖲 🍵 (@endBooks) 2022年3月19日
”一宗教団体が、かくも大規模に化学兵器を作った。
「化学兵器、生物兵器は、勉強してある程度知識があるものなら誰でも作れる」ということを世界に証明したのである。”https://t.co/vX1nXskdNv
『毒 サリン、VX、生物兵器』アンソニー・トゥー
マンゴールト他「細菌戦争の世紀」が面白い。15年ほど前に刊行された本だが、昨今のエボラやデングなどのウイルス感染が広まっている様子は、細菌戦争の勃発を思わせるものがある。
— mutantmogura (@mutantmogura) 2014, 9月 6
昔、「細菌戦争の世紀」という本を読んだら絶望しかなかったが、それから15年くらいたっても大丈夫だから何とかなんじゃね的な。
— 打ち船_Yrkm_Ars (@uchibune) 2014, 7月 30
『黒死病 疫病の社会史』
ノーマン・F・キャンター 青土社
地中に埋められた炭疽菌の胞子は、半世紀ばかり活力を維持しており、ヒトにとってもきわめて強い毒性をもっている。
連合国は、スコットランドの海岸の沖合のとある小島でその変種の実地試験を試みたことがある。戦争の50年後、地中に埋められていた胞子が活力を維持していることが発見されたため、その島の住人たちは、予防接種を受けなければならなかった。
黒死病に関する本を読んでいなかったな、とノーマン・F・カンター『黒死病』-疫病の社会史-を買って読んでいる。
病状から、あのヨーロッパを襲った黒死病はペストだけではなく、炭疽菌もあったのでは、との意見があるのだな。
— アリノリ (@a_ri_no_ri) 2013, 6月 14
『病原体進化論 人間はコントロールできるか』
ポール・W・イーワルド 新曜社
1942年の夏、スコットランドの北西海岸沖にあるグルーナード島は、約30頭のヒツジのみが実験のためロープにつながれて残され、住民は疎開させられた。炭疽菌の胞子を入れた小さな爆弾が、その近くで爆発させられた。ヒツジたちは翌日から炭疽にかかって死にはじめた。
そして現在、すでに半世紀を経ているが、ヒツジでも人間でも無防備でこの島を訪れるなら、同じ運命になるだろう。
『美しい人体図鑑 5 病気 しのびよる脅威 乳がん 胆石の結晶 インフルエンザウイルス エボラウイルス デングウイルスなど』
コリン・ソルター 総編集 ポプラ社
●大きな図鑑を、ジャンルごとに分冊して電子化したシリーズの一冊。
こちらで紹介
『美しい人体図鑑 5 病気 しのびよる脅威』
『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その7』
『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その6』
『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その5』
『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その4』
『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その3』
『ミニ特集:伝染病の科学、疫学な本 その2』
『ミニ特集:伝染病の文化史 結核』
『ミニ特集:ウイルスの科学 その2』
『ミニ特集:ウイルスの科学 その1』
『ミニ特集:ウイルスの科学とエボラ出血熱』