フレデリック FREDERHYTHM TOUR 2019 〜飄々とイマジネーション〜 @Zepp Tokyo 2/21
- 2019/02/22
- 01:00
前日に続き、フレデリックのツアーのZepp Tokyo2daysの2日目。前日のライブ(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-599.html?sp)が三原兄弟の生誕祭的な側面も強く、フレデリックのライブ史上最も感動的なものとなっただけに、翌日であるこの日のハードルは非常に高いが、メンバーのツイッターでの発言からすると何やら前日とは違う内容になりそうであり、その辺りもどうなるのか実に楽しみである。
19時を過ぎると前日同様にエレクトロ的なSEが流れて「飄々とイマジネーション」というツアータイトルがステージ背面に現れ、それを色とりどりのレーザー光線が照らす中で高橋、赤頭、康司の3人が先に登場し、最後に健司がステージへ。
そのまま健司がハンドマイクでの「シンセンス」、アウトロとイントロを繋げるように演奏された「かなしいうれしい」という流れは前日と変わらないが、健司が歌いながら腕をもっと上に、という仕草をすると観客が皆顔のさらに上で手拍子をするようになる。この辺りの求心力はハンドマイクで歌うようになったり、さらに歌唱力を増したボーカリストとして、フロントマンとしての成長と無関係ではないと思われる。
とはいえやはりここまでの流れは前日のものと全く同じであり、続くレーザー光線がステージから客席に射出されまくる「KITAKU BEATS」が始まった時には「さすがにフレデリックのライブはこうしたレーザーの演出とかも多いから流れとか選曲は変えにくいよなぁ」と思っていたのだが、健司が
「遊ぶ?遊ばない?遊ぶ?遊ばない?」
と恒例の問いかけを客席に投げかけると演奏がぴたっと止まり、健司にピンスポットが当たって
「まだ遊ばない!」
と言って「KITAKU BEATS」から「オンリーワンダー」のイントロに切り替わるという衝撃的な演出。
2daysのライブで両方来る観客に飽きさせないようにセトリを変えるというのは近年いろんなバンドが取り組んでいることであるが、ただ単に曲を変えるのではなく、それをライブの演出の一環として、自分たちに「KITAKU BEATS」という曲があるからこそできる手法としてあくまで音楽でそれをやってのけている。
前日と同じ流れなんじゃなだろうか…と少しでも思ってしまっていた自分はまだまだこのバンドを甘く見ていたし、これで一気に目が覚まされた。
前日には緩急の緩の部分の入りとして演奏されていた「真っ赤なCAR」もリズムとふわふわしたポップなサウンドに合わせてゆらゆらと体を揺らして楽しむ「RAINY CHINA GIRL」に変わっており、曲の系統は同じ部類に入るとはいえ、ゾーンの起点を変えるというのはそれすなわちライブの流れそのものをガラッと変えることでもあるだけに、なかなかできることではない。それをいともあっさりとやってのけているフレデリックはさすがだし、この東京に至るまでの各地の2daysでのライブでもこうして観客たちを音楽で驚かせてきたのだろう。
健司が最後の
「夜明け前の向かい風の中」
の「中」を思いっきりタメにタメてもったいつけて歌った「NEON PICNIC」には
「光探して」
というフレーズが多数登場しており、それが背面一面にライトのような役割を果たす無数の音楽の輝きとなるCDがきらめく「LIGHT」で光の当たる場所にたどり着いたという曲と曲を繋げることによって生まれる物語も2日間でじっくり見るとよりしっかりと理解することができる。
MCコーナーではやはり観客からの
「おめでとうー!」
の大歓声をきっかけに、前日の三原兄弟の誕生日の話が中心になるのだが、健司はスタイリストから貰ったというサングラスをかけてライブ前に渋谷を無意味にうろついていたというエピソードを語ると、前日に2人への愛に溢れた感動的なMCをした高橋は
「僕は康司くんにはリメイク版のバイオハザード2をプレゼントして、健司くんにはプロコンっていうニンテンドースイッチの気合いの入ったコントローラーをプレゼントしたんやけど、双子でも全く違うなぁって思ったのは、康司くんは早速昨日10分くらいだけプレイしたんやって。よく10分だけで済んだなと思うけど(笑)
健司くんはプレゼントあげた1時間後に俺に何て言ったか覚えてる?
「プレゼントなにくれるの?」
って言ってたんだよ?(笑)」
という双子のプレゼントへの意識の違いを明かしてこの日は笑いを巻き起こす。
康司は
「今日は29歳最初のライブで…」
と話すも、前日が誕生日だっただけにすでに29歳最初のライブは終わってしまっているということを健司につっこまれるという相変わらずの天然っぷりを見せてくれる。
前日の「リリリピート」に変わってこの日は「愛の迷惑」が演奏されると、健司は
「迷惑なわけないやんか!」
と観客に迷惑ではない、100%の愛を感じていることを表明し、前日にも演奏されたロックな新曲「エンドレスメーデー」と後半戦は盛り上がりを増していく中で演奏された「オドループ」は前日は感極まってしまって歌えない部分が多かった健司もこの日はしっかりと歌いきり、間奏のギターソロでは赤頭が中央のお立ち台に乗って、懐かしのイナバウワー並みに体を大きく逸らしてギターを弾きまくる。全然ギター見えてないし、そもそもそのまま後ろに倒れてもおかしくないくらいの体勢でこんなにキレ味鋭いギターを弾ける赤頭はやはりすごいギタリストだ。そもそも音作りからして普通の人ならシンセで弾いたり打ち込みにしたりするようなフレーズをガンガンギターで弾き倒している男なのだが。
そして前半にお預けを食らったからこそより一層全力で遊び尽くすことができた「KITAKU BEATS」から、最後はフレデリックのパブリックイメージ通りのダンスロックのようでいて、ギターソロでは赤頭がタッピングを駆使して曲にドライブ感を与えるという新たな試みにも挑戦した「スキライズム」。こうして我々のイメージをはるかに飛び越えるようなイマジネーションを見せてくれるようなバンドに嫌いという感情を抱くわけがない。もうこの本編終了時で「あーやられた!」と思わずにはいられなかった。
アンコールでは前日の予告通りに、健司が康司から貰ったプレゼントである柄シャツに着替えて登場。康司は健司がスタイリストさんと会話している時に「これが欲しい」と言っていたのを聞いていたらしく、それを覚えていて誕生日にプレゼントしたという。その精神が通じ合っているのは双子だからなのだろうか。
そうして衣装を変えた健司が前日同様に「フレデリズム2」への思いを口にすると、
「みんな「フレデリズム2」は買ってくれた?新曲の中でみんなが聴きたい曲をやるからみんなでせーので言ってみて。俺は後ろの方の人が言ってることもちゃんと聞こえるから」
と新作アルバム「フレデリズム2」の中からリクエストを観客に募り、健司が聞き取って演奏されたのは前日同様に
「君とばっくれたいのさ」
のフレーズが頭から離れなくなる、フレデリックの新たな中毒曲「逃避行」。個人的には他の曲(「夜にロックを聴いてしまったら」あたり)を聴きたいところであったが、周りには「YELLOW」を挙げていた人が多かったような気がするだけに、果たして本当に声が大きかった曲をやってくれるつもりだったんだろうか。
「飄々とイマジネーションツアー、飄々とインセプションツアーから繋がってるツアーですが、各地で我々のイマジネーションを超えるような景色を見ることができました」
と健司がこのツアーへの手ごたえを口にすると、最後に演奏されたのはやはり「飄々とエモーション」で、健司の声に続いて観客の大合唱が。それはどこか前日よりも大きく聞こえたし、最後まで堂々としていたこの日は健司がより一層たくましく見えた。
「2019年、フレデリックは飄々と横浜アリーナまで駆け抜けます!」
と最後に健司は言っていたが、29歳の最初のライブがこのZepp Tokyoでの2daysで、20代最後のライブは間違いなく横浜アリーナになるだろう。この2日間こうしてライブを見れたからには、それを見逃すわけにはいかない。
アルバムにもツアーにも使われている「フレデリズム」というタイトルはフレデリックのリズム、すなわちフレデリックの音楽そのものの意味であるが、フレデリックは「オドループ」の時こそ、当時様々なミュージシャンたちが触れていた風営法についてのことを自分たちのシュールな言語感覚で曲にしてきたりしたが、歌っていることは基本的にずっと変わらない。それは「音楽への愛」である。
「リリリピート」「音楽という名前の服」「夜にロックを聴いてしまったら」という曲のタイトルだけでもわかりやすく音楽のことを歌っている曲もあるし、この日演奏された「エンドレスメーデー」の
「君の声が聴こえた」
というサビのフレーズもその声は歌声のことである。だから普通に喋っているだけではそんなことにはならないはずの
「君の声が掠れた」
というフレーズも、歌っているからこそ掠れるのである。だから
「声をくれよ 声をくれよ」
という切実なリフレインも歌声をひたすらに求めていて、音楽が鳴り止まないで欲しいという「リリリピート」に連なるような、バンドの持つ一貫したテーマである。
世の中にはいわゆるラブソングが多い。自分がいて、愛を向ける対象の相手がいて。あるいは登場人物がいて、その人の好きな人がいて。もちろんそういう曲だって聴くけれど、自分がそういうラブソングよりもフレデリックの曲に共感するのは、仕事をしている時であっても頭の中には音楽が流れていたり、早くライブの日にならないかなと思いながら生きていたりと、常に音楽のことばかり考えていて、それはきっと同じように常に音楽のことばかり考えているフレデリックのメンバーたちと同じだろうから。
フレデリックにはいわゆる普通のラブソングは全くないけれど、でも音楽への愛情に溢れた曲ばかりだ。だからある意味ではフレデリックはずっとラブソングを作り続けている。それは音楽に対するラブソング。そうした音楽への愛情を発信し続けてきたからこそ、ようやくたどり着いたフェスのメインステージで
「ここに自分たちが立てて嬉しい」
というだけじゃなくて、
「フェスで見て良いなと思ったアーティストがいたら、是非ワンマンを見に行ってください。アーティストはその想いに100以上の気持ちで応えてくれます」
と、たくさんの人がもっと音楽を好きになってくれるように、音楽そのものへ恩返しをするようなMCをしたりする。
だからこそフレデリックはこうしてワンマンで我々の想いに100以上で応えるようなライブを、ひたすらに音楽の力のみで見せてくれる。自分たちがそうしているから、自信を持って「ワンマンに行って欲しい」と言えるのだ。だから音楽のことばかり考えて生きているような自分みたいなやつにはこのバンドの音楽や表現が本当に深いところまで刺さってくる。
前日のライブレポの冒頭で
「フレデリックはツアーをやりまくっているバンド」
と書いた。そのツアーの本数にフェスやイベントなどを合わせたらライブ本数は相当なものになるだろう。
そうしてライブばかりして生きているバンドは「ライブバンド」と呼ばれたりするのだが、フレデリックはライブの本数もそうだし、ライブで見せてくれるものやライブで受ける驚きや衝撃、演出などすべてにおいてライブが素晴らしいバンドだ。
「ライブバンド」という言葉のイメージからはパンクやラウド系のバンドの姿が浮かんでくるようなところもあるが、このバンドをライブバンドと呼ばずして誰をライブバンドと呼べばいいのだろうか。そう思えるくらいに素晴らしい、音楽のTOGENKYOたる2日間だった。
1.シンセンス
2.かなしいうれしい
3.パラレルロール
4.オンリーワンダー
5.シンクロック
6.TOGENKYO
7.FUTURE ICE CREAM
8.RAINY CHINA GIRL
9.NEON PICNIC
10.LIGHT
11.愛の迷惑
12.エンドレスメーデー
13.オドループ
14.KITAKU BEATS
15.スキライズム
encore
16.逃避行
17.飄々とエモーション
逃避行
https://youtu.be/M1iXjgaYh1w
Next→ 2/22 THE BAWDIES × KEYTALK @新代田FEVER
19時を過ぎると前日同様にエレクトロ的なSEが流れて「飄々とイマジネーション」というツアータイトルがステージ背面に現れ、それを色とりどりのレーザー光線が照らす中で高橋、赤頭、康司の3人が先に登場し、最後に健司がステージへ。
そのまま健司がハンドマイクでの「シンセンス」、アウトロとイントロを繋げるように演奏された「かなしいうれしい」という流れは前日と変わらないが、健司が歌いながら腕をもっと上に、という仕草をすると観客が皆顔のさらに上で手拍子をするようになる。この辺りの求心力はハンドマイクで歌うようになったり、さらに歌唱力を増したボーカリストとして、フロントマンとしての成長と無関係ではないと思われる。
とはいえやはりここまでの流れは前日のものと全く同じであり、続くレーザー光線がステージから客席に射出されまくる「KITAKU BEATS」が始まった時には「さすがにフレデリックのライブはこうしたレーザーの演出とかも多いから流れとか選曲は変えにくいよなぁ」と思っていたのだが、健司が
「遊ぶ?遊ばない?遊ぶ?遊ばない?」
と恒例の問いかけを客席に投げかけると演奏がぴたっと止まり、健司にピンスポットが当たって
「まだ遊ばない!」
と言って「KITAKU BEATS」から「オンリーワンダー」のイントロに切り替わるという衝撃的な演出。
2daysのライブで両方来る観客に飽きさせないようにセトリを変えるというのは近年いろんなバンドが取り組んでいることであるが、ただ単に曲を変えるのではなく、それをライブの演出の一環として、自分たちに「KITAKU BEATS」という曲があるからこそできる手法としてあくまで音楽でそれをやってのけている。
前日と同じ流れなんじゃなだろうか…と少しでも思ってしまっていた自分はまだまだこのバンドを甘く見ていたし、これで一気に目が覚まされた。
前日には緩急の緩の部分の入りとして演奏されていた「真っ赤なCAR」もリズムとふわふわしたポップなサウンドに合わせてゆらゆらと体を揺らして楽しむ「RAINY CHINA GIRL」に変わっており、曲の系統は同じ部類に入るとはいえ、ゾーンの起点を変えるというのはそれすなわちライブの流れそのものをガラッと変えることでもあるだけに、なかなかできることではない。それをいともあっさりとやってのけているフレデリックはさすがだし、この東京に至るまでの各地の2daysでのライブでもこうして観客たちを音楽で驚かせてきたのだろう。
健司が最後の
「夜明け前の向かい風の中」
の「中」を思いっきりタメにタメてもったいつけて歌った「NEON PICNIC」には
「光探して」
というフレーズが多数登場しており、それが背面一面にライトのような役割を果たす無数の音楽の輝きとなるCDがきらめく「LIGHT」で光の当たる場所にたどり着いたという曲と曲を繋げることによって生まれる物語も2日間でじっくり見るとよりしっかりと理解することができる。
MCコーナーではやはり観客からの
「おめでとうー!」
の大歓声をきっかけに、前日の三原兄弟の誕生日の話が中心になるのだが、健司はスタイリストから貰ったというサングラスをかけてライブ前に渋谷を無意味にうろついていたというエピソードを語ると、前日に2人への愛に溢れた感動的なMCをした高橋は
「僕は康司くんにはリメイク版のバイオハザード2をプレゼントして、健司くんにはプロコンっていうニンテンドースイッチの気合いの入ったコントローラーをプレゼントしたんやけど、双子でも全く違うなぁって思ったのは、康司くんは早速昨日10分くらいだけプレイしたんやって。よく10分だけで済んだなと思うけど(笑)
健司くんはプレゼントあげた1時間後に俺に何て言ったか覚えてる?
「プレゼントなにくれるの?」
って言ってたんだよ?(笑)」
という双子のプレゼントへの意識の違いを明かしてこの日は笑いを巻き起こす。
康司は
「今日は29歳最初のライブで…」
と話すも、前日が誕生日だっただけにすでに29歳最初のライブは終わってしまっているということを健司につっこまれるという相変わらずの天然っぷりを見せてくれる。
前日の「リリリピート」に変わってこの日は「愛の迷惑」が演奏されると、健司は
「迷惑なわけないやんか!」
と観客に迷惑ではない、100%の愛を感じていることを表明し、前日にも演奏されたロックな新曲「エンドレスメーデー」と後半戦は盛り上がりを増していく中で演奏された「オドループ」は前日は感極まってしまって歌えない部分が多かった健司もこの日はしっかりと歌いきり、間奏のギターソロでは赤頭が中央のお立ち台に乗って、懐かしのイナバウワー並みに体を大きく逸らしてギターを弾きまくる。全然ギター見えてないし、そもそもそのまま後ろに倒れてもおかしくないくらいの体勢でこんなにキレ味鋭いギターを弾ける赤頭はやはりすごいギタリストだ。そもそも音作りからして普通の人ならシンセで弾いたり打ち込みにしたりするようなフレーズをガンガンギターで弾き倒している男なのだが。
そして前半にお預けを食らったからこそより一層全力で遊び尽くすことができた「KITAKU BEATS」から、最後はフレデリックのパブリックイメージ通りのダンスロックのようでいて、ギターソロでは赤頭がタッピングを駆使して曲にドライブ感を与えるという新たな試みにも挑戦した「スキライズム」。こうして我々のイメージをはるかに飛び越えるようなイマジネーションを見せてくれるようなバンドに嫌いという感情を抱くわけがない。もうこの本編終了時で「あーやられた!」と思わずにはいられなかった。
アンコールでは前日の予告通りに、健司が康司から貰ったプレゼントである柄シャツに着替えて登場。康司は健司がスタイリストさんと会話している時に「これが欲しい」と言っていたのを聞いていたらしく、それを覚えていて誕生日にプレゼントしたという。その精神が通じ合っているのは双子だからなのだろうか。
そうして衣装を変えた健司が前日同様に「フレデリズム2」への思いを口にすると、
「みんな「フレデリズム2」は買ってくれた?新曲の中でみんなが聴きたい曲をやるからみんなでせーので言ってみて。俺は後ろの方の人が言ってることもちゃんと聞こえるから」
と新作アルバム「フレデリズム2」の中からリクエストを観客に募り、健司が聞き取って演奏されたのは前日同様に
「君とばっくれたいのさ」
のフレーズが頭から離れなくなる、フレデリックの新たな中毒曲「逃避行」。個人的には他の曲(「夜にロックを聴いてしまったら」あたり)を聴きたいところであったが、周りには「YELLOW」を挙げていた人が多かったような気がするだけに、果たして本当に声が大きかった曲をやってくれるつもりだったんだろうか。
「飄々とイマジネーションツアー、飄々とインセプションツアーから繋がってるツアーですが、各地で我々のイマジネーションを超えるような景色を見ることができました」
と健司がこのツアーへの手ごたえを口にすると、最後に演奏されたのはやはり「飄々とエモーション」で、健司の声に続いて観客の大合唱が。それはどこか前日よりも大きく聞こえたし、最後まで堂々としていたこの日は健司がより一層たくましく見えた。
「2019年、フレデリックは飄々と横浜アリーナまで駆け抜けます!」
と最後に健司は言っていたが、29歳の最初のライブがこのZepp Tokyoでの2daysで、20代最後のライブは間違いなく横浜アリーナになるだろう。この2日間こうしてライブを見れたからには、それを見逃すわけにはいかない。
アルバムにもツアーにも使われている「フレデリズム」というタイトルはフレデリックのリズム、すなわちフレデリックの音楽そのものの意味であるが、フレデリックは「オドループ」の時こそ、当時様々なミュージシャンたちが触れていた風営法についてのことを自分たちのシュールな言語感覚で曲にしてきたりしたが、歌っていることは基本的にずっと変わらない。それは「音楽への愛」である。
「リリリピート」「音楽という名前の服」「夜にロックを聴いてしまったら」という曲のタイトルだけでもわかりやすく音楽のことを歌っている曲もあるし、この日演奏された「エンドレスメーデー」の
「君の声が聴こえた」
というサビのフレーズもその声は歌声のことである。だから普通に喋っているだけではそんなことにはならないはずの
「君の声が掠れた」
というフレーズも、歌っているからこそ掠れるのである。だから
「声をくれよ 声をくれよ」
という切実なリフレインも歌声をひたすらに求めていて、音楽が鳴り止まないで欲しいという「リリリピート」に連なるような、バンドの持つ一貫したテーマである。
世の中にはいわゆるラブソングが多い。自分がいて、愛を向ける対象の相手がいて。あるいは登場人物がいて、その人の好きな人がいて。もちろんそういう曲だって聴くけれど、自分がそういうラブソングよりもフレデリックの曲に共感するのは、仕事をしている時であっても頭の中には音楽が流れていたり、早くライブの日にならないかなと思いながら生きていたりと、常に音楽のことばかり考えていて、それはきっと同じように常に音楽のことばかり考えているフレデリックのメンバーたちと同じだろうから。
フレデリックにはいわゆる普通のラブソングは全くないけれど、でも音楽への愛情に溢れた曲ばかりだ。だからある意味ではフレデリックはずっとラブソングを作り続けている。それは音楽に対するラブソング。そうした音楽への愛情を発信し続けてきたからこそ、ようやくたどり着いたフェスのメインステージで
「ここに自分たちが立てて嬉しい」
というだけじゃなくて、
「フェスで見て良いなと思ったアーティストがいたら、是非ワンマンを見に行ってください。アーティストはその想いに100以上の気持ちで応えてくれます」
と、たくさんの人がもっと音楽を好きになってくれるように、音楽そのものへ恩返しをするようなMCをしたりする。
だからこそフレデリックはこうしてワンマンで我々の想いに100以上で応えるようなライブを、ひたすらに音楽の力のみで見せてくれる。自分たちがそうしているから、自信を持って「ワンマンに行って欲しい」と言えるのだ。だから音楽のことばかり考えて生きているような自分みたいなやつにはこのバンドの音楽や表現が本当に深いところまで刺さってくる。
前日のライブレポの冒頭で
「フレデリックはツアーをやりまくっているバンド」
と書いた。そのツアーの本数にフェスやイベントなどを合わせたらライブ本数は相当なものになるだろう。
そうしてライブばかりして生きているバンドは「ライブバンド」と呼ばれたりするのだが、フレデリックはライブの本数もそうだし、ライブで見せてくれるものやライブで受ける驚きや衝撃、演出などすべてにおいてライブが素晴らしいバンドだ。
「ライブバンド」という言葉のイメージからはパンクやラウド系のバンドの姿が浮かんでくるようなところもあるが、このバンドをライブバンドと呼ばずして誰をライブバンドと呼べばいいのだろうか。そう思えるくらいに素晴らしい、音楽のTOGENKYOたる2日間だった。
1.シンセンス
2.かなしいうれしい
3.パラレルロール
4.オンリーワンダー
5.シンクロック
6.TOGENKYO
7.FUTURE ICE CREAM
8.RAINY CHINA GIRL
9.NEON PICNIC
10.LIGHT
11.愛の迷惑
12.エンドレスメーデー
13.オドループ
14.KITAKU BEATS
15.スキライズム
encore
16.逃避行
17.飄々とエモーション
逃避行
https://youtu.be/M1iXjgaYh1w
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