UKFC on the Road 2015 @新木場STUDIO COAST 8/19
- 2015/08/20
- 22:49
インディーレーベルUK PROJECTが開催する夏のお祭り、UKFC on the Road。今年も8月の平日に新木場で2daysでの開催となったが、メインバンドが2日間出演していた去年までと異なり、今年はどのバンドも1日ずつの出演。
前日の初日は[Alexandros]がトリを務め、2日目のこの日に大トリを務めるのは、今年で活動休止を発表しているthe telephones。例年同様、メインフロアに2ステージ、さらにはDJブースというステージ構成で一日中音楽が鳴らされる。
2年前の五十嵐隆(syrup16g)、去年の銀杏BOYZほどのインパクトある出演者こそいないが、この日はORANGE RANGE、キュウソネコカミというレーベル外からのゲストも出演。14時前になるとUK PROJECTの遠藤社長がステージに登場し、キュウソネコカミはBIGMAMA金井、downyはthe telephones石毛のラブコールを受けてのオファーであることを明かす。
14:00~ 武藤昭平 with ウエノコウジ [FUTURE STAGE]
セカンドステージのFUTURE STAGEからのスタートとなるこのイベント、トップバッターはFUTUREというにはあまりにもベテラン過ぎる武藤昭平 with ウエノコウジ。
もはや当たり前のように出てくるなりいきなり、
「シワシワの新人です(笑)」「FUTURE STAGEって、10年後に売れたらもう我々還暦前ですよ(笑)」
と自虐的な談笑を始める。
「我々ベテランが時間を押すわけにはいきません(笑)」
と言って「ビートニク・ピエロ」から酒飲みのブルースを奏で始めると、本来勝手にしやがれではドラムを叩きながら歌っている武藤はアコギを弾きながら歌う中、途中でアコギをパーカッションのように叩いて歌う。
「ブエナ・ビスタ」では「みんなキレイ」のフレーズを客席を指差しながら歌い、
「僕が22年前に1番最初にレコード出したのもUK PROJECTだったんですけど、UK PROJECTも最初はビルを間借りしてたのに、POTSHOTが売れた金で社屋を建てて…」
とウエノコウジは昔から縁があるからこその裏話を語る。
「ワルチング・マチルダ」で勇壮な合唱を巻き起こすとウエノコウジが、
「武藤さん、大変です。どう考えても残り時間的にあと2曲は無理です(笑)」
と、なし崩し的にラストの「レッツ・ブーズ・イット」へ。
真昼間とは思えない渋い音楽だが、ウエノコウジがこんなにしゃべる姿を見れるのはこのユニットのライブならでは。そういう意味でもこの2人のライブを見るのは楽しい。
1.ビートニク・ピエロ
2.ブエナ・ビスタ
3.ワルチング・マチルダ
4.レッツ・ブーズ・イット
ワルチング・マチルダ
http://youtu.be/PDlbF9iU7eE
14:25~ POLYSICS [FRONTIER STAGE]
このイベントでもおなじみのPOLYSICSがメインステージのトップバッター。
「Introduction!」のSEで登場すると途中からバンド演奏に切り替わるといういつもの流れでスタートすると、いきなり代表曲を連発して早くもダイバーが出現するほどの沸騰ぶり。
「トイス!」
の挨拶から始まるハヤシのMCも非常にテンションが高いのだが、開催前に行われた大トリ争奪ツイスターゲームのUst放送で勝利して、大トリをやる権利を得たものの、the telephonesに大トリを譲ったエピソードを語り始め、
「社長も喜んでるんじゃねーの!トリを譲って俺の好感度も上がったんじゃねーの!」
と自画自賛。フミにすぐさま突っ込まれていたが。
続く最新ミニアルバムからの「怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~」はハヤシの偏愛するウルトラ怪獣をテーマにしたアルバムからの曲。アルバム全編ウルトラ怪獣の曲というやりたい放題の極みぶりも凄いが、サウンド自体は怪獣の足音のサンプリングもあるとはいえ、どう聴いてもPOLYSICSの曲でしかないと思えるのも凄い。歌詞は元ネタを知らないと全く意味不明だが。
「MEGA OVER DRIVE」ではハヤシがショルダーキーボード(というにはあまりにもデカすぎるけど)を弾き、懐かしの「Hot Stuff」から、ラストはハヤシが熱中症対策にスタッフに水をかけられまくってビショビショ状態になっての「BUGGIE TECHNICHA」。かつてのメンバー・カヨの振り付けをハヤシと観客が再現し、トリを譲った男気を見せたライブを終えた。
1.Introduction!
2.シーラカンス イズ アンドロイド
3.Shout Aloud!
4.Dr.Pepper!!!!!
5.Let'sダバダバ
6.怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
7.MEGA OVER DRIVE
8.How are you?
9.Hot Stuff
10.BUGGIE TECHNICHA
怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
http://youtu.be/3VqT_ThEGjk
15:10~ Helsinki Lambda Club [FUTURE STAGE]
昨年のオーディションを勝ちあがってこのイベントに出演してシーンに登場した4人組バンド、Helsinki Lambda Club。
冒頭2曲は去年の時点から演奏していた、バンドの代表曲とも言える曲だが、ベース稲葉の独特なステップとアクションを交えた演奏、圧倒的に色気を増した橋本のボーカル、音にも動きにもエモーショナルさを増した佐久間のギターと、バンド名の微妙な改名とアルバムリリースを経て、確実に去年よりバンドの力そのものが成長しているのがよくわかる。
そこには「ジョン・レノン」「ジム・モリソン」「ブライアン・ジョーンズ」と、過去のロックを消化している引き出しの多さもあると思われる。
途中には橋本が稲葉に「次の曲のステップを見てる人に教えてあげて」と言うと、稲葉が伝授したのは三代目J SOUL BROTHERSの振り付けであり、結局
「好きに楽しんで」
という方向に落ち着く。
終盤には橋本が、去年出たこの場所に帰ってこれたことを、
「全然実感がなかったんだけど、お客さんも増えたし、こうして楽しんでくれてる姿を見ると、1年間やってきたことは間違いじゃなかったなと思います」
と総括して語り、ラストは名曲「シンセミア」。
メンバー各々の技術の成長はもちろん、ロックバンドとしてのオーラすら感じるようになる逞しさ。これからこのバンドはさらに伸びるはず。
1.All My Loving
2.ユアンと踊れ
3.Lost in the supermarket
4.メサイアのビーチ
5.しゃれこうべ しゃれこうべ
6.シンセミア
All My Loving
http://youtu.be/A8-DG0mt2-Q
15:45~ キュウソネコカミ [FRONTIER STAGE]
転換中はステージに黒い幕がかかっているのだが、その幕の向こう側から、本気のリハを始め、
「これ、幕上がって全然人おらんかったら凹むな(笑)あとヘルシンキ、さっきライブ中にサウンドチェックの音漏れてごめん!後で謝りに行くから!」
とさすがの気遣いを見せるヤマサキセイヤ。
いざ幕が開くと、
「良かったー!めっちゃおるやん!」
と安心しながら「ウィーアーインディーズバンド!!」でスタート。ちなみにセイヤは銀杏BOYZの「BEACH」Tシャツを着ている。
「音楽で飯は 全然食えない!」
のフレーズの部分ではセイヤが歌わずに
「ツイッターで、UKFCも売れたからってキュウソネコカミみたいなん呼びやがって、みたいなツイートめっちゃあったけど、違うからな!金井王子が呼んでくれたから出たんやからな!金井王子に呼ばれたら断れへんやろ!」
と、出演決定時のバッシングをネタにして叫ぶ。
おなじみの曲に加え、セイヤがタモリのモノマネをする「Scary Song」、演歌歌手のモノマネをする「伝統芸能」とフェス・イベントらしからぬ選曲が続き、
ヨコタ「キュウソ知らん人にはなんなのかさっぱりわからんセトリ(笑)」
セイヤ「知っててもわけわからんやろ(笑)
あえて今日やる必要が全くないセトリ(笑)」
と自虐すると、UK PROJECTの遠藤社長の娘がキュウソの大ファンであり、この日挨拶した際に全身キュウソグッズに身を包んでいたことを話すと、ヨコタは
「俺らが呼ばれた理由って社長の娘が好きだからなんちゃうん?(笑)」
と訝しがる。するとセイヤは
「でもUK PROJECTがthe telephonesで売れたお金が社長に入り、その金が社長の娘に行く。娘がその金でキュウソのグッズを買うという最高な流れが出来上がってる!」
と娘がファンであることでバンドが潤うという事実を話す。
そして「DQNなりたい、40代で死にたい」では「ヤンキー怖い」コール時にセイヤが客席に突入。客席真ん中の頭上にあるミラーボールの真下まで進み、
「肉を掴まないでくれ!」
ともみくちゃにされながらも、物理的にファンに支えられて客の上に立ち、
「ここ最近で1番安定感があった」
と支えてくれた人たちを讃えながら「ヤンキー怖い」を叫んで転がりながらステージに戻っていく。
そしてラストは最新シングル収録の「ハッピーポンコツ」からダイバー続出となった「ビビった」。
かなりやりたい放題やったため、時間オーバーしてるかな?と思ったがしっかり時間内に収まっていたあたりはさすが。
本人たちも所属していない自分たちを温かく迎え入れてくれたUK PROJECTと観客に心から感謝していた。
リハ.良いDJ
1.ウィーアーインディーズバンド!!
2.MEGA SHAKE IT!!
3.ファントムバイブレーション
4.Scary Song
5.伝統芸能
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
MEGA SHAKE IT!
http://youtu.be/yCex2gTH_cQ
16:30~ odol [FUTURE STAGE]
この日のラインアップには個人的にライブを初めて見るバンドが3組いるのだが、ここからはその初めてライブを見る3組が続く。
FUTURE STAGEに登場したのは、ピアノ奏者を含めた5人組バンド、odol。
オープニング的な「あの頃」から始まると、森山のピアノを生かした、隙間の多いシンプルなリズムの静閑な曲が続き、ミゾベの澄んだ声もその楽曲のサウンドによく合っている。
しかし中盤からはミゾベと井上のギターが一気にノイジーになり、暗闇で静かに燃える青い炎のようなエモーションを見せ始めた。
しゃべることもほとんどなく終了したが、ここまでのパーティーライクな流れとは全く異なる空気のアクト。現在のロックシーンの主流とはかけ離れているが、どこかUK PROJECTらしさをすごく感じるバンドだった。
1.あの頃
2.飾りすぎていた
3.ふたり
4.欲しい
5.17
6.生活
生活
http://youtu.be/DiXT1PbBZwU
17:05~ downy [FRONTIER STAGE]
キュウソネコカミはBIGMAMA金井のラブコールだったが、こちらはthe telephones石毛のラブコールによって出演となったdowny。
すでに確固たる評価を獲得しているポストロックバンドだが、サウンドチェックをしたメンバーがそのままステージに残ると暗転して演奏開始。
秋山(ドラム)と仲俣(ベース)によるリズムは反復を繰り返し(でも単純なリズムではなく、どうやったら思いつくんだというリズムが多い。特に秋山のドラムは)、椅子に座ってギターを弾く青木裕は轟音ノイズギターで会場の空間を埋め尽くし、曲によってギターとキーボードを弾き分ける青木ロビンのボーカルは歌というよりはサウンドの一部を構成する要素と言える。
そしてVJとしてメンバーに名を連ねる石榴による映像はこの音像をそのまま具現化したかのようで、ステージ背面いっぱいのスクリーンに映像が投影されるのだが、その映像が演奏しているメンバー自身にまで当たり、映像の中を影が動いているかのような様は実にカッコいい。
最後にロビンがチラッと挨拶した以外はひたすら轟音に包まれる、陶酔感のみで支配された35分。これは好きな人からしたら確実にクセになる。演奏中は全く別世界にいるかのよう。
1.葵
2.春と修羅
3.時雨前
4.黒
5.左の種
6.アサヒヲ見ヨ!
7.弌
8.猿の手柄
春と修羅
http://youtu.be/V1axFkQlF4o
17:50~ polly [FUTURE STAGE]
そんなdownyによる圧倒的な音像の余韻が残る中、FUTURE STAGEに登場したのは、宇都宮の4人組バンド、polly。
越雲の蒼さを感じさせる少年性の強いボーカルからはいかにも文系ギターロックバンドという雰囲気を感じさせるが、飯村の目立ちすぎずに弾きまくるギター(KANA-BOON古賀隼人やKEYTALK小野武正のようなタイプに感じる。もちろんまだ彼らほどのオーラはないが)、高岩(ドラム)と刀川(ベース)も含めたメンバー全員によるコーラス、そして何より同じフレーズを繰り返すサビが実にクセになる。
特にこのサビのリフレインは情景を感じさせるフレーズばかりなため、聴いていると否が応でも頭の中に情景が浮かんでくる。
オフマイクで歌を口ずさみながらギターを弾く飯村の姿は実にエモいが、どこか飄々とした雰囲気を感じる越雲は最後の曲の前まで全くしゃべることなく歌い、「知らない」の曲終わり部分では越雲の弾き語り的なフレーズになると、他の3人はスッと楽器を置き、一瞥もくれずに先にステージを去っていき、1人で歌った越雲も歌い終わるとすぐさまステージを去って行った。その姿は実に潔く見えた。
1.ナイトダイビング
2.アンハッピーエンド
3.アマツブニアカ
4.雨の魔法が解けるまで
5.知らない
ナイトダイビング
http://youtu.be/SrRcnqJyNRY
18:25~ ORANGE RANGE [FUTURE STAGE]
この日のゲストバンド3組の最後に登場するのはORANGE RANGE。
大歓声に迎えられてメンバーが登場すると、「JIN JIN」から屋内ではあるが、「まるでフェス」(YAMATO)という通りに熱気に満ちた夏ナンバーを連発。これにはどのバンドのファンも関係なしに盛り上がりまくり。
するとHIROKIが呼んでくれたUK PROJECTへの感謝を口にすると、
「花びらのように散り行く中で」
と、大ヒットシングル「花」の歌詞を語り始め、期待が高まる中、
「夢みたいに寿司に出会えた奇跡」
というフェイントをかまして、最新シングル「SUSHI食べたい」へ。NAOTOがギターではなくシンセを操る打ち込みのエレクトロポップという、これまでにも「おしゃれ番長」などで見せてきたORANGE RANGEの持つ音楽要素の一つではあるが、何せ歌詞が「SUSHI食べたい」を連呼するという、なんの裏もなく深読みもしようもない、タイトルが全てを表している曲。こんな曲をシングルにするあたりがさすがの愉快犯っぷり。
後半は「Insane」から、先ほどまでの悪ノリとも言える空気はなんだったのかというくらいにラウドに振り切れ、トドメは「チェスト」~「キリキリマイ」というラウドシングルの連発で、無数のダイバーが出現するという光景に。
国民的ヒットバンド→ポップ愉快犯→ミクスチャー・ラウドロックと、短い時間でバンドの持つ大きな要素を3つも見せつけるという贅沢っぷり。そしてそれが結果的に様々なファンの期待に応えることになっているあたりは本当にすごいバンド。
本人たちは
「もう次はUK PROJECTのバンドとして出る!」
と言っていたが、同世代の仲間たちが揃っているこのUK PROJECTは、今までいろんな場所でライブをやったり、テレビなどにも出てきたこのバンドにとってもそれほど魅力的に見えるのだろうか。
そして10年ほど前、このバンドが日本で1番売れているバンドだった頃は完全にアウェーであったロックフェスやイベントは、今やこのバンドが最も輝きを見せる場所の一つになっている。
1.JIN JIN
2.お願い!セニョリータ
3.イケナイ太陽
4.SUSHI食べたい feat.ソイソース
5.Insane
6.チェスト
7.キリキリマイ
19:10~ SPiCYSOL [FUTURE STAGE]
そのORANGE RANGEのライブをセッティングしながらずっと見つめ、曲が終わるたびに拍手していたのは、年始のRX-NIGHTに出演してUK PROJECTからアルバムもリリースした5人組バンド、SPiCYSOL。
「日本を代表する夏バンドのあとは、UK PROJECTを代表する夏バンド、行きます!」
という言葉とおりに「AWAKE」から夏の海のイメージを想起させるサーフロックを次々と連発していく。
「初出演」という単語を噛んでしまってKENNY(ボーカル&ギター)がなかなか言えないという、アフロヘアの出で立ちとのギャップを見せると、それまではキーボードを演奏していたPETEがトランペットを吹く「PABUK」からは客席でタオルが回りまくる。サウンドチェック時から「緩く」と本人たちは言っていたが、このあたりになると全く緩くなんて見ていられないくらいの熱気。
そんな夏の太陽が似合う曲も多い中、ラストの「Hello Swallow」は、太陽というよりも、ちょうどこのくらいの時間、夕方から夜に変わるくらいの、薄着で出歩ける夏だからこそのイメージが浮かぶ曲。ただ単に夏というとアッパーなイメージが浮かびがちだが、こうして同じ夏でも様々なタイプの夏を感じさせてくれるバンドはそうそういない。
かなりの入り具合となった客席のノリも非常に良く、本人たちもこれは大きな手応えを感じたんじゃないだろうか。幕張の海のステージでライブできるくらいのバンドになって欲しい。
1.AWAKE
2.Around The World
3.PABUK
4.SKA
5.Hello Swallow
AWAKE
http://youtu.be/6H3VOETR_Z4
19:45~ BIGMAMA [FRONTIER STAGE]
このイベントの核バンドの1組であるBIGMAMA。「No.9」のSEで登場し、そのまま演奏に入ると金井が、
「みんなの残ってる体力、全部奪い尽くしてみせます!」
と宣言。基本的にセトリ自体は最近のフェスやイベントのものとまるで変化はないが、この日は金井が
「素晴らしいゲストバンド、キュウソネコカミ、downy、ORANGE RANGE、UKFCに出演してくれてありがとうございます!みなさん、良かったら3バンドに大きな拍手を!」
とUKFC代表としての自覚を感じさせるMCもしてみせる。
すると終盤には、
「今日だけは、意識せずにはいられない。次にこのステージに立つthe telephonesは、ずっと隣のスタジオに入ってお互い意識したり切磋琢磨しながら一緒にやってきて。だから次の曲を、今日だけはthe telephonesに捧げます!みんなタオルを掲げてください!」
と言って、「until the blouse is buttoned up」を今年で当分はこのイベントに出ることができなくなるthe telephonesに捧げると、曲中で東出も
「みんな、the telephonesにしっかり見えるように、もっと高くタオルを見せて!」
と呼びかけるなど、金井だけでなく、バンド全体でthe telephonesへの愛を表していた。そういえば、自分がこのバンドのライブを初めて見たのも、the telephonesとリキッドルームで対バンした時だった。
そしてラストは
「ここを楽園にしてみせます!」
と言ってEDMの要素を大胆に導入した新曲「MUTOPIA」。
「the cookie crumbles」など、UKFCならではの選曲があった去年と比べると選曲自体は目新しさや特別さはなかったが、曲以外の部分でこのイベントでのこのバンドだからこそな場面が見れたライブだった。
1.No.9
2.荒狂曲 ”シンセカイ”
3.Swan Song
4.神様も言う通りに
5.秘密
6.until the blouse is buttoned up
7.MUTOPIA
神様も言う通りに
http://youtu.be/uHoi0TWSueA
20:30~ ウソツキ [FUTURE STAGE]
ベテランから始まり、様々な若手バンドが出演してきたFUTURE STAGEのトリを飾るのは、去年に続いての出演となるウソツキ。
サウンドチェックから捌けることなく、
「銀河鉄道に乗ってやってきました。決して嘘をつかないバンド、ウソツキです」
と言ってメンバーが演奏を始めると、じゃんけんでチョキを出すことをピースサインになぞらえた「ピースする」でスタート。「王道歌モノバンド」を自称しているが、今日のイベントの出演者の並び的に、その王道ぶりが逆に異質に感じる。
竹田のボーカルはものすごく上手いわけではないが、実に良い声だな~と思うもので、吉田(ギター)、藤井(ベース)、林山(ドラム)もシンプルな演奏ながらもコーラスワークも含めてしっかりとその歌を支える。
しかしながらこのバンドなりのダンスロック「旗揚げ運動」では「右手を挙げて 左手下げないで」などの歌詞に合わせて右左の腕が次々に挙がる。
その「旗揚げ運動」も収録される1stフルアルバム「スーパーリアリズム」が10月にリリースされることを告知すると、さらにそのアルバムからもう1曲「春風と風鈴」。もはやタイトルを見ただけでどんな曲なのか想像がつきそうなものであるが、まさにその想像通りと言っていいような、まさに王道歌モノな曲。
すると吉田のギターが列車の汽笛の音を奏で始めると、
「汽笛が鳴ったので、お別れの時間です」
と言い、「新木場発、銀河鉄道」。この曲をこの新木場で鳴らすというのはメンバーも非常に感慨深いものだと思うが、いつかここでワンマンをやってこの曲を演奏するのを見てみたい。決して盛り上がるタイプのバンドではないが、この日、この曲では無数の腕が上がっていた。the telephones待ちの人で満員状態だったとはいえ、これはバンドの音楽がしっかり伝わっていた証拠。10月発売のアルバム、もしかしたらすごい名盤なんじゃないか、という気もしている。
1.ピースする
2.時空間旅行代理時計
3.旗揚げ運動
4.春風と風鈴
5.新木場発、銀河鉄道
新木場発、銀河鉄道
http://youtu.be/ZpvYkTJZogw
21:05~ the telephones [FRONTIER STAGE]
そしていよいよこの日のトリであり、2日間の大トリでもあるthe telephones。ちなみにこの日物販が1番並んでいたのはキュウソネコカミだが、グッズを身につけていた人が1番多かったのはやはりこのバンド。
サウンドチェック時に幕の向こうから「A.B.C.DISCO」「Something Good」を演奏し、姿が見えないのに大いに盛り上がる中、時間を少し過ぎると、いつものようにメンバーが登場し、石毛が
「UKFC!2日間の大トリ、the telephonesです!」
と叫び、「I Hate DISCOOOOOOO!!!」からスタート。いきなりステージも客席もフルスロットルで熱気に満ち溢れる。
すると、
「UK PROJECT時代の曲!」
と言って演奏されたのは、タイトル通りに狂騒的な「RIOT!!!」と、イントロの涼平のベースラインから大きな歓声が上がった「electric girl」と、「Love&DISCO ep.」からの曲を続ける。近年あまりライブでやっていない「RIOT!!!」はやはり受けは曲のノリを考えると少し物足りない気もしたが、この曲をライブで聴くのはもしかしたら活動休止前は最後なのかもしれない、と思ってしまった。ちなみに新婚のノブは早くも客席にダイブしている。
「みんな、ディスコし続けようぜー!」
と石毛が言うと、「Keep Your DISCO!!!」「Monkey Discooooooo」とディスコ曲を連発。
「今日、俺たちが1番感謝したい人は誰だと思う?…みんな声が低いよ!トイス!POLYSICSハヤシさん!」
と、この日the telephonesを大トリにしたハヤシを紹介し、ライブ時同様にオレンジツナギ姿で異様にテンションが高いハヤシが登場。
「ギター弾いてもらっていいですか!?」
と言うと、石毛のギターをハヤシが受け取り、ハヤシがギター、石毛がハンドマイクという編成での「urban disco」という、この日にしかありえないコラボ。ハヤシはほぼ完コピ状態で、ハンドマイクになり自由にステージを動き回る石毛はここぞとばかりに客席にダイブ。
そしてラストは
「the telephonesのことを歌った曲です!」
という、最新アルバム「Bye Bye Hello」収録の「Something Good」。ここまで演奏してきた曲とは全くタイプが異なるが、これがthe telephonesの最新系であり、そしてこれからの間の最終系になる曲。アッパーなtelephonesを求める人には物足りないかもしれないが、これは間違いなく良い曲であり、アルバムはこれまでで1番いろんな場面や心境で聴けるアルバムである。
鳴り止まないアンコールに応えてバンドが再びステージに登場すると、石毛が
「活動休止発表してから10本以上ライブをやってて。今までは全然実感なかったんだけど、ああ、来年はこのイベントに出れないんだな、って今日でようやく実感が出てきて…。
俺は性格がすごい悪いから(笑)、昔だったらこういうイベント嫌いだったんだよね。馴れ合いみたいで。そういうのが嫌いだから学校辞めてバンド始めたのに、って。
でも、UK PROJECTにもEMIにも良い人っていっぱいいた。みんな、音楽とか絵とか表現やってる人は絶対続けたほうがいい。いつか見つけてくれる人がいるから。やってない人は、こうしてライブに足を運んで、大好きな音楽をずっと愛し続けてください」
と言ったが、この発言に説得力を持たせたのは、kingsやversion21.1などで、同じ志を持つ、音楽的にお互いリスペクトできる仲間と切磋琢磨しながらシーンを駆け上がってきたこのバンドのこれまでの足跡あってこそ。
そして演奏された「Love&DISCO」。巨大風船が客席に投入されたのだが、それをFUTURE STAGEから投げ入れたのは、今日の出演者たちと、前日出演したTOTALFATのメンバーたち。そのままみんなで三代目ダンスを踊ったりしながら、最終的にはステージに上がり、「馴れ合いが嫌いだった」という石毛とtelephonesの周りには、2日間合わせて総勢50人以上の人が集結した。この光景を作り出したのは間違いなくthe telephonesがトリだったからこそ。今まで何度も美しい景色を見せてくれたこの曲が、この日も過去最高クラスに美しい景色を見せてくれた。
演奏を終えると、ノブと同様に上半身裸になったキュウソネコカミのセイヤを
「ガリッガリじゃねーか!」
といじり、ORANGE RANGEのメンバーが勝手にノブのシンセをいじりまくったりしてから全員で記念撮影をし、遠藤社長の
「来年も必ず開催します!」
宣言のあと、その遠藤社長の胴上げが行われ、去り際には涼平が無理矢理客席にダイブさせられ、「ああ、自分がバンドやってたらUK PROJECTに入りたいな」と思うには十分過ぎるくらいの魅力を見せた今年のUKFCは幕を閉じた。
リハ1.A.B.C.DISCO
リハ2.Something Good
1.I Hate DISCOOOOOOO!!!
2.RIOT!!!
3.electric girl
4.Keep Your DISCO!!!
5.Monkey Discooooooo
6.urban disco w/ハヤシヒロユキ (POLYSICS)
7.Something Good
encore
8.Love&DISCO
Something Good
http://youtu.be/K4KNS0xuLb0
しかし、石毛も言っていたように、来年以降はこのイベントにtelephonesはいない。それは今はまだ信じられない状況ではあるが、それでも遠藤社長は来年もやると言った。その姿とやり取りを最後に一緒にステージに上がった若手バンド達はどう思いながら見ていただろうか。
でもきっと、telephonesのメンバーはそれぞれの形(石毛はDJかソロか)で来年以降もこのイベントに出たり来たりするんだろうな。でもそれでもtelephonesの不在はかなり大きいので、来年また銀杏BOYZ呼んでください、遠藤社長。
Next→ 8/22 DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2015 summer- @TSUTAYA O-EAST他
前日の初日は[Alexandros]がトリを務め、2日目のこの日に大トリを務めるのは、今年で活動休止を発表しているthe telephones。例年同様、メインフロアに2ステージ、さらにはDJブースというステージ構成で一日中音楽が鳴らされる。
2年前の五十嵐隆(syrup16g)、去年の銀杏BOYZほどのインパクトある出演者こそいないが、この日はORANGE RANGE、キュウソネコカミというレーベル外からのゲストも出演。14時前になるとUK PROJECTの遠藤社長がステージに登場し、キュウソネコカミはBIGMAMA金井、downyはthe telephones石毛のラブコールを受けてのオファーであることを明かす。
14:00~ 武藤昭平 with ウエノコウジ [FUTURE STAGE]
セカンドステージのFUTURE STAGEからのスタートとなるこのイベント、トップバッターはFUTUREというにはあまりにもベテラン過ぎる武藤昭平 with ウエノコウジ。
もはや当たり前のように出てくるなりいきなり、
「シワシワの新人です(笑)」「FUTURE STAGEって、10年後に売れたらもう我々還暦前ですよ(笑)」
と自虐的な談笑を始める。
「我々ベテランが時間を押すわけにはいきません(笑)」
と言って「ビートニク・ピエロ」から酒飲みのブルースを奏で始めると、本来勝手にしやがれではドラムを叩きながら歌っている武藤はアコギを弾きながら歌う中、途中でアコギをパーカッションのように叩いて歌う。
「ブエナ・ビスタ」では「みんなキレイ」のフレーズを客席を指差しながら歌い、
「僕が22年前に1番最初にレコード出したのもUK PROJECTだったんですけど、UK PROJECTも最初はビルを間借りしてたのに、POTSHOTが売れた金で社屋を建てて…」
とウエノコウジは昔から縁があるからこその裏話を語る。
「ワルチング・マチルダ」で勇壮な合唱を巻き起こすとウエノコウジが、
「武藤さん、大変です。どう考えても残り時間的にあと2曲は無理です(笑)」
と、なし崩し的にラストの「レッツ・ブーズ・イット」へ。
真昼間とは思えない渋い音楽だが、ウエノコウジがこんなにしゃべる姿を見れるのはこのユニットのライブならでは。そういう意味でもこの2人のライブを見るのは楽しい。
1.ビートニク・ピエロ
2.ブエナ・ビスタ
3.ワルチング・マチルダ
4.レッツ・ブーズ・イット
ワルチング・マチルダ
http://youtu.be/PDlbF9iU7eE
14:25~ POLYSICS [FRONTIER STAGE]
このイベントでもおなじみのPOLYSICSがメインステージのトップバッター。
「Introduction!」のSEで登場すると途中からバンド演奏に切り替わるといういつもの流れでスタートすると、いきなり代表曲を連発して早くもダイバーが出現するほどの沸騰ぶり。
「トイス!」
の挨拶から始まるハヤシのMCも非常にテンションが高いのだが、開催前に行われた大トリ争奪ツイスターゲームのUst放送で勝利して、大トリをやる権利を得たものの、the telephonesに大トリを譲ったエピソードを語り始め、
「社長も喜んでるんじゃねーの!トリを譲って俺の好感度も上がったんじゃねーの!」
と自画自賛。フミにすぐさま突っ込まれていたが。
続く最新ミニアルバムからの「怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~」はハヤシの偏愛するウルトラ怪獣をテーマにしたアルバムからの曲。アルバム全編ウルトラ怪獣の曲というやりたい放題の極みぶりも凄いが、サウンド自体は怪獣の足音のサンプリングもあるとはいえ、どう聴いてもPOLYSICSの曲でしかないと思えるのも凄い。歌詞は元ネタを知らないと全く意味不明だが。
「MEGA OVER DRIVE」ではハヤシがショルダーキーボード(というにはあまりにもデカすぎるけど)を弾き、懐かしの「Hot Stuff」から、ラストはハヤシが熱中症対策にスタッフに水をかけられまくってビショビショ状態になっての「BUGGIE TECHNICHA」。かつてのメンバー・カヨの振り付けをハヤシと観客が再現し、トリを譲った男気を見せたライブを終えた。
1.Introduction!
2.シーラカンス イズ アンドロイド
3.Shout Aloud!
4.Dr.Pepper!!!!!
5.Let'sダバダバ
6.怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
7.MEGA OVER DRIVE
8.How are you?
9.Hot Stuff
10.BUGGIE TECHNICHA
怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
http://youtu.be/3VqT_ThEGjk
15:10~ Helsinki Lambda Club [FUTURE STAGE]
昨年のオーディションを勝ちあがってこのイベントに出演してシーンに登場した4人組バンド、Helsinki Lambda Club。
冒頭2曲は去年の時点から演奏していた、バンドの代表曲とも言える曲だが、ベース稲葉の独特なステップとアクションを交えた演奏、圧倒的に色気を増した橋本のボーカル、音にも動きにもエモーショナルさを増した佐久間のギターと、バンド名の微妙な改名とアルバムリリースを経て、確実に去年よりバンドの力そのものが成長しているのがよくわかる。
そこには「ジョン・レノン」「ジム・モリソン」「ブライアン・ジョーンズ」と、過去のロックを消化している引き出しの多さもあると思われる。
途中には橋本が稲葉に「次の曲のステップを見てる人に教えてあげて」と言うと、稲葉が伝授したのは三代目J SOUL BROTHERSの振り付けであり、結局
「好きに楽しんで」
という方向に落ち着く。
終盤には橋本が、去年出たこの場所に帰ってこれたことを、
「全然実感がなかったんだけど、お客さんも増えたし、こうして楽しんでくれてる姿を見ると、1年間やってきたことは間違いじゃなかったなと思います」
と総括して語り、ラストは名曲「シンセミア」。
メンバー各々の技術の成長はもちろん、ロックバンドとしてのオーラすら感じるようになる逞しさ。これからこのバンドはさらに伸びるはず。
1.All My Loving
2.ユアンと踊れ
3.Lost in the supermarket
4.メサイアのビーチ
5.しゃれこうべ しゃれこうべ
6.シンセミア
All My Loving
http://youtu.be/A8-DG0mt2-Q
15:45~ キュウソネコカミ [FRONTIER STAGE]
転換中はステージに黒い幕がかかっているのだが、その幕の向こう側から、本気のリハを始め、
「これ、幕上がって全然人おらんかったら凹むな(笑)あとヘルシンキ、さっきライブ中にサウンドチェックの音漏れてごめん!後で謝りに行くから!」
とさすがの気遣いを見せるヤマサキセイヤ。
いざ幕が開くと、
「良かったー!めっちゃおるやん!」
と安心しながら「ウィーアーインディーズバンド!!」でスタート。ちなみにセイヤは銀杏BOYZの「BEACH」Tシャツを着ている。
「音楽で飯は 全然食えない!」
のフレーズの部分ではセイヤが歌わずに
「ツイッターで、UKFCも売れたからってキュウソネコカミみたいなん呼びやがって、みたいなツイートめっちゃあったけど、違うからな!金井王子が呼んでくれたから出たんやからな!金井王子に呼ばれたら断れへんやろ!」
と、出演決定時のバッシングをネタにして叫ぶ。
おなじみの曲に加え、セイヤがタモリのモノマネをする「Scary Song」、演歌歌手のモノマネをする「伝統芸能」とフェス・イベントらしからぬ選曲が続き、
ヨコタ「キュウソ知らん人にはなんなのかさっぱりわからんセトリ(笑)」
セイヤ「知っててもわけわからんやろ(笑)
あえて今日やる必要が全くないセトリ(笑)」
と自虐すると、UK PROJECTの遠藤社長の娘がキュウソの大ファンであり、この日挨拶した際に全身キュウソグッズに身を包んでいたことを話すと、ヨコタは
「俺らが呼ばれた理由って社長の娘が好きだからなんちゃうん?(笑)」
と訝しがる。するとセイヤは
「でもUK PROJECTがthe telephonesで売れたお金が社長に入り、その金が社長の娘に行く。娘がその金でキュウソのグッズを買うという最高な流れが出来上がってる!」
と娘がファンであることでバンドが潤うという事実を話す。
そして「DQNなりたい、40代で死にたい」では「ヤンキー怖い」コール時にセイヤが客席に突入。客席真ん中の頭上にあるミラーボールの真下まで進み、
「肉を掴まないでくれ!」
ともみくちゃにされながらも、物理的にファンに支えられて客の上に立ち、
「ここ最近で1番安定感があった」
と支えてくれた人たちを讃えながら「ヤンキー怖い」を叫んで転がりながらステージに戻っていく。
そしてラストは最新シングル収録の「ハッピーポンコツ」からダイバー続出となった「ビビった」。
かなりやりたい放題やったため、時間オーバーしてるかな?と思ったがしっかり時間内に収まっていたあたりはさすが。
本人たちも所属していない自分たちを温かく迎え入れてくれたUK PROJECTと観客に心から感謝していた。
リハ.良いDJ
1.ウィーアーインディーズバンド!!
2.MEGA SHAKE IT!!
3.ファントムバイブレーション
4.Scary Song
5.伝統芸能
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
MEGA SHAKE IT!
http://youtu.be/yCex2gTH_cQ
16:30~ odol [FUTURE STAGE]
この日のラインアップには個人的にライブを初めて見るバンドが3組いるのだが、ここからはその初めてライブを見る3組が続く。
FUTURE STAGEに登場したのは、ピアノ奏者を含めた5人組バンド、odol。
オープニング的な「あの頃」から始まると、森山のピアノを生かした、隙間の多いシンプルなリズムの静閑な曲が続き、ミゾベの澄んだ声もその楽曲のサウンドによく合っている。
しかし中盤からはミゾベと井上のギターが一気にノイジーになり、暗闇で静かに燃える青い炎のようなエモーションを見せ始めた。
しゃべることもほとんどなく終了したが、ここまでのパーティーライクな流れとは全く異なる空気のアクト。現在のロックシーンの主流とはかけ離れているが、どこかUK PROJECTらしさをすごく感じるバンドだった。
1.あの頃
2.飾りすぎていた
3.ふたり
4.欲しい
5.17
6.生活
生活
http://youtu.be/DiXT1PbBZwU
17:05~ downy [FRONTIER STAGE]
キュウソネコカミはBIGMAMA金井のラブコールだったが、こちらはthe telephones石毛のラブコールによって出演となったdowny。
すでに確固たる評価を獲得しているポストロックバンドだが、サウンドチェックをしたメンバーがそのままステージに残ると暗転して演奏開始。
秋山(ドラム)と仲俣(ベース)によるリズムは反復を繰り返し(でも単純なリズムではなく、どうやったら思いつくんだというリズムが多い。特に秋山のドラムは)、椅子に座ってギターを弾く青木裕は轟音ノイズギターで会場の空間を埋め尽くし、曲によってギターとキーボードを弾き分ける青木ロビンのボーカルは歌というよりはサウンドの一部を構成する要素と言える。
そしてVJとしてメンバーに名を連ねる石榴による映像はこの音像をそのまま具現化したかのようで、ステージ背面いっぱいのスクリーンに映像が投影されるのだが、その映像が演奏しているメンバー自身にまで当たり、映像の中を影が動いているかのような様は実にカッコいい。
最後にロビンがチラッと挨拶した以外はひたすら轟音に包まれる、陶酔感のみで支配された35分。これは好きな人からしたら確実にクセになる。演奏中は全く別世界にいるかのよう。
1.葵
2.春と修羅
3.時雨前
4.黒
5.左の種
6.アサヒヲ見ヨ!
7.弌
8.猿の手柄
春と修羅
http://youtu.be/V1axFkQlF4o
17:50~ polly [FUTURE STAGE]
そんなdownyによる圧倒的な音像の余韻が残る中、FUTURE STAGEに登場したのは、宇都宮の4人組バンド、polly。
越雲の蒼さを感じさせる少年性の強いボーカルからはいかにも文系ギターロックバンドという雰囲気を感じさせるが、飯村の目立ちすぎずに弾きまくるギター(KANA-BOON古賀隼人やKEYTALK小野武正のようなタイプに感じる。もちろんまだ彼らほどのオーラはないが)、高岩(ドラム)と刀川(ベース)も含めたメンバー全員によるコーラス、そして何より同じフレーズを繰り返すサビが実にクセになる。
特にこのサビのリフレインは情景を感じさせるフレーズばかりなため、聴いていると否が応でも頭の中に情景が浮かんでくる。
オフマイクで歌を口ずさみながらギターを弾く飯村の姿は実にエモいが、どこか飄々とした雰囲気を感じる越雲は最後の曲の前まで全くしゃべることなく歌い、「知らない」の曲終わり部分では越雲の弾き語り的なフレーズになると、他の3人はスッと楽器を置き、一瞥もくれずに先にステージを去っていき、1人で歌った越雲も歌い終わるとすぐさまステージを去って行った。その姿は実に潔く見えた。
1.ナイトダイビング
2.アンハッピーエンド
3.アマツブニアカ
4.雨の魔法が解けるまで
5.知らない
ナイトダイビング
http://youtu.be/SrRcnqJyNRY
18:25~ ORANGE RANGE [FUTURE STAGE]
この日のゲストバンド3組の最後に登場するのはORANGE RANGE。
大歓声に迎えられてメンバーが登場すると、「JIN JIN」から屋内ではあるが、「まるでフェス」(YAMATO)という通りに熱気に満ちた夏ナンバーを連発。これにはどのバンドのファンも関係なしに盛り上がりまくり。
するとHIROKIが呼んでくれたUK PROJECTへの感謝を口にすると、
「花びらのように散り行く中で」
と、大ヒットシングル「花」の歌詞を語り始め、期待が高まる中、
「夢みたいに寿司に出会えた奇跡」
というフェイントをかまして、最新シングル「SUSHI食べたい」へ。NAOTOがギターではなくシンセを操る打ち込みのエレクトロポップという、これまでにも「おしゃれ番長」などで見せてきたORANGE RANGEの持つ音楽要素の一つではあるが、何せ歌詞が「SUSHI食べたい」を連呼するという、なんの裏もなく深読みもしようもない、タイトルが全てを表している曲。こんな曲をシングルにするあたりがさすがの愉快犯っぷり。
後半は「Insane」から、先ほどまでの悪ノリとも言える空気はなんだったのかというくらいにラウドに振り切れ、トドメは「チェスト」~「キリキリマイ」というラウドシングルの連発で、無数のダイバーが出現するという光景に。
国民的ヒットバンド→ポップ愉快犯→ミクスチャー・ラウドロックと、短い時間でバンドの持つ大きな要素を3つも見せつけるという贅沢っぷり。そしてそれが結果的に様々なファンの期待に応えることになっているあたりは本当にすごいバンド。
本人たちは
「もう次はUK PROJECTのバンドとして出る!」
と言っていたが、同世代の仲間たちが揃っているこのUK PROJECTは、今までいろんな場所でライブをやったり、テレビなどにも出てきたこのバンドにとってもそれほど魅力的に見えるのだろうか。
そして10年ほど前、このバンドが日本で1番売れているバンドだった頃は完全にアウェーであったロックフェスやイベントは、今やこのバンドが最も輝きを見せる場所の一つになっている。
1.JIN JIN
2.お願い!セニョリータ
3.イケナイ太陽
4.SUSHI食べたい feat.ソイソース
5.Insane
6.チェスト
7.キリキリマイ
19:10~ SPiCYSOL [FUTURE STAGE]
そのORANGE RANGEのライブをセッティングしながらずっと見つめ、曲が終わるたびに拍手していたのは、年始のRX-NIGHTに出演してUK PROJECTからアルバムもリリースした5人組バンド、SPiCYSOL。
「日本を代表する夏バンドのあとは、UK PROJECTを代表する夏バンド、行きます!」
という言葉とおりに「AWAKE」から夏の海のイメージを想起させるサーフロックを次々と連発していく。
「初出演」という単語を噛んでしまってKENNY(ボーカル&ギター)がなかなか言えないという、アフロヘアの出で立ちとのギャップを見せると、それまではキーボードを演奏していたPETEがトランペットを吹く「PABUK」からは客席でタオルが回りまくる。サウンドチェック時から「緩く」と本人たちは言っていたが、このあたりになると全く緩くなんて見ていられないくらいの熱気。
そんな夏の太陽が似合う曲も多い中、ラストの「Hello Swallow」は、太陽というよりも、ちょうどこのくらいの時間、夕方から夜に変わるくらいの、薄着で出歩ける夏だからこそのイメージが浮かぶ曲。ただ単に夏というとアッパーなイメージが浮かびがちだが、こうして同じ夏でも様々なタイプの夏を感じさせてくれるバンドはそうそういない。
かなりの入り具合となった客席のノリも非常に良く、本人たちもこれは大きな手応えを感じたんじゃないだろうか。幕張の海のステージでライブできるくらいのバンドになって欲しい。
1.AWAKE
2.Around The World
3.PABUK
4.SKA
5.Hello Swallow
AWAKE
http://youtu.be/6H3VOETR_Z4
19:45~ BIGMAMA [FRONTIER STAGE]
このイベントの核バンドの1組であるBIGMAMA。「No.9」のSEで登場し、そのまま演奏に入ると金井が、
「みんなの残ってる体力、全部奪い尽くしてみせます!」
と宣言。基本的にセトリ自体は最近のフェスやイベントのものとまるで変化はないが、この日は金井が
「素晴らしいゲストバンド、キュウソネコカミ、downy、ORANGE RANGE、UKFCに出演してくれてありがとうございます!みなさん、良かったら3バンドに大きな拍手を!」
とUKFC代表としての自覚を感じさせるMCもしてみせる。
すると終盤には、
「今日だけは、意識せずにはいられない。次にこのステージに立つthe telephonesは、ずっと隣のスタジオに入ってお互い意識したり切磋琢磨しながら一緒にやってきて。だから次の曲を、今日だけはthe telephonesに捧げます!みんなタオルを掲げてください!」
と言って、「until the blouse is buttoned up」を今年で当分はこのイベントに出ることができなくなるthe telephonesに捧げると、曲中で東出も
「みんな、the telephonesにしっかり見えるように、もっと高くタオルを見せて!」
と呼びかけるなど、金井だけでなく、バンド全体でthe telephonesへの愛を表していた。そういえば、自分がこのバンドのライブを初めて見たのも、the telephonesとリキッドルームで対バンした時だった。
そしてラストは
「ここを楽園にしてみせます!」
と言ってEDMの要素を大胆に導入した新曲「MUTOPIA」。
「the cookie crumbles」など、UKFCならではの選曲があった去年と比べると選曲自体は目新しさや特別さはなかったが、曲以外の部分でこのイベントでのこのバンドだからこそな場面が見れたライブだった。
1.No.9
2.荒狂曲 ”シンセカイ”
3.Swan Song
4.神様も言う通りに
5.秘密
6.until the blouse is buttoned up
7.MUTOPIA
神様も言う通りに
http://youtu.be/uHoi0TWSueA
20:30~ ウソツキ [FUTURE STAGE]
ベテランから始まり、様々な若手バンドが出演してきたFUTURE STAGEのトリを飾るのは、去年に続いての出演となるウソツキ。
サウンドチェックから捌けることなく、
「銀河鉄道に乗ってやってきました。決して嘘をつかないバンド、ウソツキです」
と言ってメンバーが演奏を始めると、じゃんけんでチョキを出すことをピースサインになぞらえた「ピースする」でスタート。「王道歌モノバンド」を自称しているが、今日のイベントの出演者の並び的に、その王道ぶりが逆に異質に感じる。
竹田のボーカルはものすごく上手いわけではないが、実に良い声だな~と思うもので、吉田(ギター)、藤井(ベース)、林山(ドラム)もシンプルな演奏ながらもコーラスワークも含めてしっかりとその歌を支える。
しかしながらこのバンドなりのダンスロック「旗揚げ運動」では「右手を挙げて 左手下げないで」などの歌詞に合わせて右左の腕が次々に挙がる。
その「旗揚げ運動」も収録される1stフルアルバム「スーパーリアリズム」が10月にリリースされることを告知すると、さらにそのアルバムからもう1曲「春風と風鈴」。もはやタイトルを見ただけでどんな曲なのか想像がつきそうなものであるが、まさにその想像通りと言っていいような、まさに王道歌モノな曲。
すると吉田のギターが列車の汽笛の音を奏で始めると、
「汽笛が鳴ったので、お別れの時間です」
と言い、「新木場発、銀河鉄道」。この曲をこの新木場で鳴らすというのはメンバーも非常に感慨深いものだと思うが、いつかここでワンマンをやってこの曲を演奏するのを見てみたい。決して盛り上がるタイプのバンドではないが、この日、この曲では無数の腕が上がっていた。the telephones待ちの人で満員状態だったとはいえ、これはバンドの音楽がしっかり伝わっていた証拠。10月発売のアルバム、もしかしたらすごい名盤なんじゃないか、という気もしている。
1.ピースする
2.時空間旅行代理時計
3.旗揚げ運動
4.春風と風鈴
5.新木場発、銀河鉄道
新木場発、銀河鉄道
http://youtu.be/ZpvYkTJZogw
21:05~ the telephones [FRONTIER STAGE]
そしていよいよこの日のトリであり、2日間の大トリでもあるthe telephones。ちなみにこの日物販が1番並んでいたのはキュウソネコカミだが、グッズを身につけていた人が1番多かったのはやはりこのバンド。
サウンドチェック時に幕の向こうから「A.B.C.DISCO」「Something Good」を演奏し、姿が見えないのに大いに盛り上がる中、時間を少し過ぎると、いつものようにメンバーが登場し、石毛が
「UKFC!2日間の大トリ、the telephonesです!」
と叫び、「I Hate DISCOOOOOOO!!!」からスタート。いきなりステージも客席もフルスロットルで熱気に満ち溢れる。
すると、
「UK PROJECT時代の曲!」
と言って演奏されたのは、タイトル通りに狂騒的な「RIOT!!!」と、イントロの涼平のベースラインから大きな歓声が上がった「electric girl」と、「Love&DISCO ep.」からの曲を続ける。近年あまりライブでやっていない「RIOT!!!」はやはり受けは曲のノリを考えると少し物足りない気もしたが、この曲をライブで聴くのはもしかしたら活動休止前は最後なのかもしれない、と思ってしまった。ちなみに新婚のノブは早くも客席にダイブしている。
「みんな、ディスコし続けようぜー!」
と石毛が言うと、「Keep Your DISCO!!!」「Monkey Discooooooo」とディスコ曲を連発。
「今日、俺たちが1番感謝したい人は誰だと思う?…みんな声が低いよ!トイス!POLYSICSハヤシさん!」
と、この日the telephonesを大トリにしたハヤシを紹介し、ライブ時同様にオレンジツナギ姿で異様にテンションが高いハヤシが登場。
「ギター弾いてもらっていいですか!?」
と言うと、石毛のギターをハヤシが受け取り、ハヤシがギター、石毛がハンドマイクという編成での「urban disco」という、この日にしかありえないコラボ。ハヤシはほぼ完コピ状態で、ハンドマイクになり自由にステージを動き回る石毛はここぞとばかりに客席にダイブ。
そしてラストは
「the telephonesのことを歌った曲です!」
という、最新アルバム「Bye Bye Hello」収録の「Something Good」。ここまで演奏してきた曲とは全くタイプが異なるが、これがthe telephonesの最新系であり、そしてこれからの間の最終系になる曲。アッパーなtelephonesを求める人には物足りないかもしれないが、これは間違いなく良い曲であり、アルバムはこれまでで1番いろんな場面や心境で聴けるアルバムである。
鳴り止まないアンコールに応えてバンドが再びステージに登場すると、石毛が
「活動休止発表してから10本以上ライブをやってて。今までは全然実感なかったんだけど、ああ、来年はこのイベントに出れないんだな、って今日でようやく実感が出てきて…。
俺は性格がすごい悪いから(笑)、昔だったらこういうイベント嫌いだったんだよね。馴れ合いみたいで。そういうのが嫌いだから学校辞めてバンド始めたのに、って。
でも、UK PROJECTにもEMIにも良い人っていっぱいいた。みんな、音楽とか絵とか表現やってる人は絶対続けたほうがいい。いつか見つけてくれる人がいるから。やってない人は、こうしてライブに足を運んで、大好きな音楽をずっと愛し続けてください」
と言ったが、この発言に説得力を持たせたのは、kingsやversion21.1などで、同じ志を持つ、音楽的にお互いリスペクトできる仲間と切磋琢磨しながらシーンを駆け上がってきたこのバンドのこれまでの足跡あってこそ。
そして演奏された「Love&DISCO」。巨大風船が客席に投入されたのだが、それをFUTURE STAGEから投げ入れたのは、今日の出演者たちと、前日出演したTOTALFATのメンバーたち。そのままみんなで三代目ダンスを踊ったりしながら、最終的にはステージに上がり、「馴れ合いが嫌いだった」という石毛とtelephonesの周りには、2日間合わせて総勢50人以上の人が集結した。この光景を作り出したのは間違いなくthe telephonesがトリだったからこそ。今まで何度も美しい景色を見せてくれたこの曲が、この日も過去最高クラスに美しい景色を見せてくれた。
演奏を終えると、ノブと同様に上半身裸になったキュウソネコカミのセイヤを
「ガリッガリじゃねーか!」
といじり、ORANGE RANGEのメンバーが勝手にノブのシンセをいじりまくったりしてから全員で記念撮影をし、遠藤社長の
「来年も必ず開催します!」
宣言のあと、その遠藤社長の胴上げが行われ、去り際には涼平が無理矢理客席にダイブさせられ、「ああ、自分がバンドやってたらUK PROJECTに入りたいな」と思うには十分過ぎるくらいの魅力を見せた今年のUKFCは幕を閉じた。
リハ1.A.B.C.DISCO
リハ2.Something Good
1.I Hate DISCOOOOOOO!!!
2.RIOT!!!
3.electric girl
4.Keep Your DISCO!!!
5.Monkey Discooooooo
6.urban disco w/ハヤシヒロユキ (POLYSICS)
7.Something Good
encore
8.Love&DISCO
Something Good
http://youtu.be/K4KNS0xuLb0
しかし、石毛も言っていたように、来年以降はこのイベントにtelephonesはいない。それは今はまだ信じられない状況ではあるが、それでも遠藤社長は来年もやると言った。その姿とやり取りを最後に一緒にステージに上がった若手バンド達はどう思いながら見ていただろうか。
でもきっと、telephonesのメンバーはそれぞれの形(石毛はDJかソロか)で来年以降もこのイベントに出たり来たりするんだろうな。でもそれでもtelephonesの不在はかなり大きいので、来年また銀杏BOYZ呼んでください、遠藤社長。
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