amazarashi 5th anniversary live 3D edition @豊洲PIT 8/16
- 2015/08/16
- 21:33
これまでも楽曲の壮大なストーリーやメッセージを、ライブでは映像を用いて視覚化し、「スターライト」では物語と映像の完璧な融合ライブを見せてくれた、amazarashi。
そのamazarashiが5周年を迎え、ついに3Dライブを行う。以前にもスマホでのライブ動画をアプリによって3Dで見せるという試みはあったが、ライブ自体でやるのは初めてのこと。
会場は久々のスタンディングでのライブハウスとなる豊洲PIT。開場後の呼び出しが遅れていたこともあり、時間は押しているが、客席は完全に満員。入り口で3Dメガネが配られるというのはライブハウスではなんとも新鮮な体験。
18時を15分ほど過ぎた頃、場内が暗転すると、紗幕に映像が映し出され、それと同時にすでにステージにスタンバイしていたメンバーによる演奏が始まる。
この日のライブは3Dライブということで、曲の始まる寸前に紗幕の右上に「3D」というマークが出た曲は3Dメガネをかけると3Dで楽しめますよ、というシステムなのだが、もう初っ端からamazarashiの歌詞が3Dで浮かび上がり、その歌詞が曲終わりで粉砕され、粒子となって空間を漂う、という実際に体験しないとこんなにわかりづらいライブもそうそうないと思うのだが、秋田ひろむの歌唱がややキツそうで、実際歌詞が飛んだのか、歌いきれなかったのか、豊川真奈美(ピアノ)のコーラスだけになる、という場面もあった「ヒガシズム」では、歌詞がまるで目の前に迫ってくるような立体感で、これだけの広さの会場、3000人もの観客がいるにもかかわらず、自分1人で歌詞と向き合っているかのような感覚に陥る。
その後は歌詞だけでなく、映像も立体感を伴った3Dとなるが、今まで何度となく見てきた映像とほとんど変わらない内容にもかかわらず、一部が飛び出したりすることにより、これまでとは全く違った表情を見せる。
ちなみにここ最近は曲の途中にブルーハーツ「リンダリンダ」のフレーズを歌っていた「ドブネズミ」、この日はそのアレンジはなし。
しかしながらホールではなく久しぶりのライブハウスということで、やはり観客の反応がダイレクトというか、ホールでは曲終わりで拍手すら起こらない空気もあるが、この日は曲が終わるごとに大きな拍手が起こる。
中盤には3日後にリリースを控えたニューシングルに収録される「名前」もいち早く披露。3Dはもちろん映像も一切ない中、
「君の名前はなんだっけ」
という歌い出しから、病名や「右か左」「J-POP」「ギターロック」「フォーク」「バンドマン」などこれまで秋田自身がカテゴライズされてきたであろう単語が並ぶサビ、そして最後には
「最近僕は皮肉屋って呼ばれてるよ」
と結ばれるのだが、つまるところ、「僕は僕であり、君は君だ」ということをamazarashi流に言葉を尽くして説明した曲である。
するとその直後に秋田が、
「5周年を迎えて、これだけたくさんの人に観に来てもらえて。バンドを組んで、初めてライブをやったのは中学2年生の時でした」
と、ライブで全くMCをしない秋田が珍しくこの中盤で口を開き(MCというよりは曲の繋ぎ的な感じだが)、演奏されたのは「14歳」。中学2年生は14歳である。amazarashiの曲は実に説明的と言えるくらいに言葉数が多いが、こうして曲のバックボーンを本人の口から聞くことにより、曲の意味や理解度がさらに増していく。これもまたライブに来たからこそである。
ヒリヒリとした空気から徐々に演奏が熱量を帯びていく「冷凍睡眠」の後には、3日後にリリースされるシングルの表題曲である「スピードと摩擦」も披露。イントロのベースのフレーズが不穏な空気を作り出し、すでに公開されているが、制服姿の女子高生がトイレに入る、という冒頭一瞬だけ見ると変態性を感じてしまう内容の映像だが、その女子高生が発狂したかのようにトイレの個室で暴れまわる様は、もはやグロテスクとすら言える。しかもその映像すら3Dになって立体感と不穏感、さらには女子高生の正体のようなものが鮮明に映し出されることにより、もはや今後普通に映像を見た限りでは物足りなく感じてしまいそうな可能性すらある。
ライブ定番の「空っぽの空に潰される」では普段は映像に流れる歌詞と秋田の歌唱が違う部分も良くあるのだが、今回はそんな部分は全くなし。後半になるに連れて秋田の歌唱が安定感と迫力を増してきていたこととも関係あるだろうか。歌詞が迫ってくる3D映像を使うと思っていたこの曲が3Dにならなかったのはちょっと意外ではあったが。
大量の雨の映像が3Dによりまさにこの会場内に降っているかのように錯覚してしまう「雨男」からおなじみの「美しき思い出」のアウトロで豊川が他のメンバーにずっと目線を送りながらピアノを弾くという、いつにも増して激しいセッションを見せると、
「ライブをこれだけ大きな会場でやったり、CDを出したりすると、ようやくここまで来たか、と思う反面、ここが限界かな?と思ってしまったりもして。でもそういうものはいつでも壊せるようにしたいと思っていて…。
amazarashiはゼロから始まりました」
と秋田が語り、続けてその「ゼロから」という状況をそのまま言葉にしたような「しらふ」のポエトリーリーディングを始める。はじめは淡々と言葉を連ねていた秋田がどんどん熱量を帯びていき、最後には叫ぶように言葉を吐き、激しいギターノイズを重ねると、そのままセッション的なイントロを経ての「ヨクト」へ。もはや圧巻というべきバンドサウンドのみを存分に堪能させると、
「夜の向こうに答えはあるのか!夜の向こうに答えはあるのか!」
と秋田が叫び、今やamazarashiのテーマソングの1つと言える「スターライト」へ。もはやダンスロックと言っていい4つ打ちサウンドが鳴らされ、宇宙に光る星たちが立体感を持つ中、その宇宙を走る銀河鉄道がまるで自分の目の前を走っているかのように浮かび上がってくる。
演奏を終えると秋田が「ありがとう!」と叫び、長く長く、そして本当に大きな拍手が響く中、バンドロゴが紗幕に映し出され、この日演奏された「名前」の音源が終演SEとして流れた。もうこれ以上演奏がないというのはわかりきっているのに、これほどまでに帰ろうとしない観客ばかりのライブはなかなか他にない。それほど、amazarashiのライブは余韻に浸りたくなるのだ。
「スターライト」もそうだったが、こうして聴覚だけでなく、視覚的にも他のライブでは味わうことのできない体験をさせてくれる。これだからamazarashiのライブに来るのはやめられない。シングルリリース以外は今の所次の動きは不明だが、果たして次はどんな内容で我々を驚かせてくれるのだろうか。
1.後期衝動
2.季節は次々死んでいく
3.ヒガシズム
4.ドブネズミ
5.風に流離い
6.ワンルーム叙事詩
7.名前
8.14歳
9.冷凍睡眠
10.スピードと摩擦
11.空っぽの空に潰される
12.雨男
13.美しき思い出
しらふ (ポエトリーリーディング)
14.ヨクト
15.スターライト
スピードと摩擦
http://youtu.be/kOGcd19soPw
Next→ 8/19 UKFC on the Road 2015 @新木場STUDIO COAST
そのamazarashiが5周年を迎え、ついに3Dライブを行う。以前にもスマホでのライブ動画をアプリによって3Dで見せるという試みはあったが、ライブ自体でやるのは初めてのこと。
会場は久々のスタンディングでのライブハウスとなる豊洲PIT。開場後の呼び出しが遅れていたこともあり、時間は押しているが、客席は完全に満員。入り口で3Dメガネが配られるというのはライブハウスではなんとも新鮮な体験。
18時を15分ほど過ぎた頃、場内が暗転すると、紗幕に映像が映し出され、それと同時にすでにステージにスタンバイしていたメンバーによる演奏が始まる。
この日のライブは3Dライブということで、曲の始まる寸前に紗幕の右上に「3D」というマークが出た曲は3Dメガネをかけると3Dで楽しめますよ、というシステムなのだが、もう初っ端からamazarashiの歌詞が3Dで浮かび上がり、その歌詞が曲終わりで粉砕され、粒子となって空間を漂う、という実際に体験しないとこんなにわかりづらいライブもそうそうないと思うのだが、秋田ひろむの歌唱がややキツそうで、実際歌詞が飛んだのか、歌いきれなかったのか、豊川真奈美(ピアノ)のコーラスだけになる、という場面もあった「ヒガシズム」では、歌詞がまるで目の前に迫ってくるような立体感で、これだけの広さの会場、3000人もの観客がいるにもかかわらず、自分1人で歌詞と向き合っているかのような感覚に陥る。
その後は歌詞だけでなく、映像も立体感を伴った3Dとなるが、今まで何度となく見てきた映像とほとんど変わらない内容にもかかわらず、一部が飛び出したりすることにより、これまでとは全く違った表情を見せる。
ちなみにここ最近は曲の途中にブルーハーツ「リンダリンダ」のフレーズを歌っていた「ドブネズミ」、この日はそのアレンジはなし。
しかしながらホールではなく久しぶりのライブハウスということで、やはり観客の反応がダイレクトというか、ホールでは曲終わりで拍手すら起こらない空気もあるが、この日は曲が終わるごとに大きな拍手が起こる。
中盤には3日後にリリースを控えたニューシングルに収録される「名前」もいち早く披露。3Dはもちろん映像も一切ない中、
「君の名前はなんだっけ」
という歌い出しから、病名や「右か左」「J-POP」「ギターロック」「フォーク」「バンドマン」などこれまで秋田自身がカテゴライズされてきたであろう単語が並ぶサビ、そして最後には
「最近僕は皮肉屋って呼ばれてるよ」
と結ばれるのだが、つまるところ、「僕は僕であり、君は君だ」ということをamazarashi流に言葉を尽くして説明した曲である。
するとその直後に秋田が、
「5周年を迎えて、これだけたくさんの人に観に来てもらえて。バンドを組んで、初めてライブをやったのは中学2年生の時でした」
と、ライブで全くMCをしない秋田が珍しくこの中盤で口を開き(MCというよりは曲の繋ぎ的な感じだが)、演奏されたのは「14歳」。中学2年生は14歳である。amazarashiの曲は実に説明的と言えるくらいに言葉数が多いが、こうして曲のバックボーンを本人の口から聞くことにより、曲の意味や理解度がさらに増していく。これもまたライブに来たからこそである。
ヒリヒリとした空気から徐々に演奏が熱量を帯びていく「冷凍睡眠」の後には、3日後にリリースされるシングルの表題曲である「スピードと摩擦」も披露。イントロのベースのフレーズが不穏な空気を作り出し、すでに公開されているが、制服姿の女子高生がトイレに入る、という冒頭一瞬だけ見ると変態性を感じてしまう内容の映像だが、その女子高生が発狂したかのようにトイレの個室で暴れまわる様は、もはやグロテスクとすら言える。しかもその映像すら3Dになって立体感と不穏感、さらには女子高生の正体のようなものが鮮明に映し出されることにより、もはや今後普通に映像を見た限りでは物足りなく感じてしまいそうな可能性すらある。
ライブ定番の「空っぽの空に潰される」では普段は映像に流れる歌詞と秋田の歌唱が違う部分も良くあるのだが、今回はそんな部分は全くなし。後半になるに連れて秋田の歌唱が安定感と迫力を増してきていたこととも関係あるだろうか。歌詞が迫ってくる3D映像を使うと思っていたこの曲が3Dにならなかったのはちょっと意外ではあったが。
大量の雨の映像が3Dによりまさにこの会場内に降っているかのように錯覚してしまう「雨男」からおなじみの「美しき思い出」のアウトロで豊川が他のメンバーにずっと目線を送りながらピアノを弾くという、いつにも増して激しいセッションを見せると、
「ライブをこれだけ大きな会場でやったり、CDを出したりすると、ようやくここまで来たか、と思う反面、ここが限界かな?と思ってしまったりもして。でもそういうものはいつでも壊せるようにしたいと思っていて…。
amazarashiはゼロから始まりました」
と秋田が語り、続けてその「ゼロから」という状況をそのまま言葉にしたような「しらふ」のポエトリーリーディングを始める。はじめは淡々と言葉を連ねていた秋田がどんどん熱量を帯びていき、最後には叫ぶように言葉を吐き、激しいギターノイズを重ねると、そのままセッション的なイントロを経ての「ヨクト」へ。もはや圧巻というべきバンドサウンドのみを存分に堪能させると、
「夜の向こうに答えはあるのか!夜の向こうに答えはあるのか!」
と秋田が叫び、今やamazarashiのテーマソングの1つと言える「スターライト」へ。もはやダンスロックと言っていい4つ打ちサウンドが鳴らされ、宇宙に光る星たちが立体感を持つ中、その宇宙を走る銀河鉄道がまるで自分の目の前を走っているかのように浮かび上がってくる。
演奏を終えると秋田が「ありがとう!」と叫び、長く長く、そして本当に大きな拍手が響く中、バンドロゴが紗幕に映し出され、この日演奏された「名前」の音源が終演SEとして流れた。もうこれ以上演奏がないというのはわかりきっているのに、これほどまでに帰ろうとしない観客ばかりのライブはなかなか他にない。それほど、amazarashiのライブは余韻に浸りたくなるのだ。
「スターライト」もそうだったが、こうして聴覚だけでなく、視覚的にも他のライブでは味わうことのできない体験をさせてくれる。これだからamazarashiのライブに来るのはやめられない。シングルリリース以外は今の所次の動きは不明だが、果たして次はどんな内容で我々を驚かせてくれるのだろうか。
1.後期衝動
2.季節は次々死んでいく
3.ヒガシズム
4.ドブネズミ
5.風に流離い
6.ワンルーム叙事詩
7.名前
8.14歳
9.冷凍睡眠
10.スピードと摩擦
11.空っぽの空に潰される
12.雨男
13.美しき思い出
しらふ (ポエトリーリーディング)
14.ヨクト
15.スターライト
スピードと摩擦
http://youtu.be/kOGcd19soPw
Next→ 8/19 UKFC on the Road 2015 @新木場STUDIO COAST