樹液5月ラベル
ポイントを変えつつ、先程の立体顎が
忘れられないまま樹液木を覗いていく。
この捲れに潜むのは……。
まだ5月というのにと絶句しながら
取り出したのは大歯ノコギリクワガタだった。
確実に季節は早まっていると思いながら、
隆起した艶個体の採集方法ばかり
イメージトレーニングを行っていた。
PM 6:18
昼間の採集に切りをつけ、
ここでしか食べられないものを
食べに向かった。
昼間採集していれば、
この食事の後にコンビニで勝利の美酒を
渇いた喉に流し込むが、ここは我慢と
席を立ち、再び採集ウェアに身を包み
立体顎の木へと向かった。
PM 8:20
車を停め、
再びイメージトレーニングを行う。
落ち葉を踏み締める音、
反り立った斜面での足や幹を掴む腕、
ひぃろさんに送って頂いた
採集兵器Neoでのワイヤーを顎に掛ける事。
頭に叩き込み、ヘッドライトを装着し、
静かにその木へと忍び寄る。
息を殺しながら
二股に別れた幹に身体を預け、
そっとヘッドライトを光らせた。
心臓の音が聞こえてしまう。
胸の高鳴りが大太鼓を叩くような
錯覚に落ちながら、
目に入った黒光りする個体は
昼間よりも好位置に居た為、
イメージ通りに身体を動かした。
左手の採集兵器Neoで顎にワイヤーを通し、
祈る気持ちで右手でワイヤーを引き、
引いたワイヤーを左手で持ち替え、
右手は斜面から落ちないように幹を掴んだ。
ワイヤーが緩まないように力を込めながら
洞から取り出し、空中でバタバタと
脚を動かしているのが一瞬見えた瞬間
大声を上げた。
ヒラタクワガタは横から見ると顎が
下がって見えるが、オオクワガタは
上にそそり立つ。
見間違いではなかった事。
ワイヤーが顎に通った事。
この深い洞から採集出来た事。
これらの思いが重なり合って
再び咆哮を上げた。
樹液5月ラベルは初だ。
そう口にしながら採集した個体を
ケースに仕舞い、再び採集した木を
隈なく確認する。
洞の中にライトの光を照らすも気配は無く、
ゆっくりとその木から離れて車まで戻った。
先程の興奮は醒めやらず、
運転席に座りシートを倒し、
汗を拭ってから仲間に本命採集を伝えた。
仲間からの激励を頂きながら
最寄りのコンビニへと車を走らせた。
コンビニの駐車場で長靴を脱ぎ、
採集ウェアを脱ぎ捨て、
採集した個体の計測を行った。
5月ラベルは58.0mm
よくぞあの木から取り出したものだと
採集シーンを思い出しながら自らを誉め、
ひぃろさんのこの採集ツールが無ければ
と思うとゾッとした。
この立体顎は
何度見ても高揚する。
仲間に再びサイズ報告を行い、
日々飲む第3のビールではない
勝利の一番搾りを喉に流し込み、
独り採集成果の余韻に浸った。
to be continued.
忘れられないまま樹液木を覗いていく。
この捲れに潜むのは……。
まだ5月というのにと絶句しながら
取り出したのは大歯ノコギリクワガタだった。
確実に季節は早まっていると思いながら、
隆起した艶個体の採集方法ばかり
イメージトレーニングを行っていた。
PM 6:18
昼間の採集に切りをつけ、
ここでしか食べられないものを
食べに向かった。
昼間採集していれば、
この食事の後にコンビニで勝利の美酒を
渇いた喉に流し込むが、ここは我慢と
席を立ち、再び採集ウェアに身を包み
立体顎の木へと向かった。
PM 8:20
車を停め、
再びイメージトレーニングを行う。
落ち葉を踏み締める音、
反り立った斜面での足や幹を掴む腕、
ひぃろさんに送って頂いた
採集兵器Neoでのワイヤーを顎に掛ける事。
頭に叩き込み、ヘッドライトを装着し、
静かにその木へと忍び寄る。
息を殺しながら
二股に別れた幹に身体を預け、
そっとヘッドライトを光らせた。
心臓の音が聞こえてしまう。
胸の高鳴りが大太鼓を叩くような
錯覚に落ちながら、
目に入った黒光りする個体は
昼間よりも好位置に居た為、
イメージ通りに身体を動かした。
左手の採集兵器Neoで顎にワイヤーを通し、
祈る気持ちで右手でワイヤーを引き、
引いたワイヤーを左手で持ち替え、
右手は斜面から落ちないように幹を掴んだ。
ワイヤーが緩まないように力を込めながら
洞から取り出し、空中でバタバタと
脚を動かしているのが一瞬見えた瞬間
大声を上げた。
ヒラタクワガタは横から見ると顎が
下がって見えるが、オオクワガタは
上にそそり立つ。
見間違いではなかった事。
ワイヤーが顎に通った事。
この深い洞から採集出来た事。
これらの思いが重なり合って
再び咆哮を上げた。
樹液5月ラベルは初だ。
そう口にしながら採集した個体を
ケースに仕舞い、再び採集した木を
隈なく確認する。
洞の中にライトの光を照らすも気配は無く、
ゆっくりとその木から離れて車まで戻った。
先程の興奮は醒めやらず、
運転席に座りシートを倒し、
汗を拭ってから仲間に本命採集を伝えた。
仲間からの激励を頂きながら
最寄りのコンビニへと車を走らせた。
コンビニの駐車場で長靴を脱ぎ、
採集ウェアを脱ぎ捨て、
採集した個体の計測を行った。
5月ラベルは58.0mm
よくぞあの木から取り出したものだと
採集シーンを思い出しながら自らを誉め、
ひぃろさんのこの採集ツールが無ければ
と思うとゾッとした。
この立体顎は
何度見ても高揚する。
仲間に再びサイズ報告を行い、
日々飲む第3のビールではない
勝利の一番搾りを喉に流し込み、
独り採集成果の余韻に浸った。
to be continued.