自民党の総裁任期切れを前に、岸田文雄首相(67)が9月の自民党総裁選不出馬を表明した。支持率低迷が続いたキシダが表紙では「選挙に勝てない」と危機感を強めた与党議員らが「キシダおろし」に動いたため不出馬になった。「○○おろし」で表紙(総裁)を変えれば人気が出るだろうという考えは自民党総裁ロンダリングと言ってもいい。
保守天国の国ジャパン
このように、日本政治のダメなところは国のリーダーが与党の都合でコロコロ変わることである。たまに例外はあるが、よく持って2〜3年、早ければ1年で日本の顔が入れ替わる日本の総理職。第96代〜第98代の8年8か月の在任期間の例を見れば分かるが、長ければいいとは限らないことも事実である。ほどほどなのが4年ぐらいの在任か。
海外から見れば、国のリーダーがすぐに入れ替わる日本って政治的に不安定な国という印象を持たれるはずだ。ところが、実際には小選挙区制度などの影響もあり与党が支配を続けられるため、何も変わらない国であったりする。変化を嫌う保守天国の国といえる。まあ、そうやって世界から取り残されてきたわけだが。
選挙で自分の地位が守られる表紙は誰か
日本は国会議員の中から国会の議決で内閣総理大臣を指名する議院内閣制を採っている。イギリスやドイツも議院内閣制だが、日本の場合はミもフタもない言い方をすれば、与党の人気投票で内閣総理大臣を決める方法である。日本国民は蚊帳の外。国民が直接国のトップを選べるのが大統領制だが、某国のようにとんでもない候補者や強権者や独裁者でも選ばれてしまうリスクがある。完全な民主主義なんてものは机上の空論なんだろう。日本の国会議員らにとっての総裁選は、誰を表紙にしたら選挙で自分の地位が守られるか?という最重要事項なのである。
総裁選出馬9人の乱立
総裁選出馬意向の議員は11人ぐらいいたそうだが、最終的に9人が立候補した。過去最多の候補者数らしい。まあ、人数が多ければいいという訳ではない。
候補者の中からピックアップして軽くいじってみた。
裏金議員が支持する高市早苗
「わが国の伝統と文化と歴史にまっすぐな思いを持ち、誇りを持つ自民党」を目指すらしい。「サナエあれば憂いなし」のダジャレフレーズを掲げ90分もの長話だったようだ。
長話だけではなく「日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい」というフレーズは何じゃラホイ?具体性がないから意味不明だが、日本が世界のてっぺんになったのは80年代の自動車産業のことか?具体的に言うと未達成のときに追い込まれるため、内容をボカしたのだろう。
内容が不明瞭な長話を週刊新潮2024/09/19日号の櫻井よしこのコラムでは「会見の内容は文句なし」と絶賛していたが、政治評論家の採点は辛いものだった。なるほど極右系に人気がある立ち位置らしい。
さらにこの人のすごいところは推薦人のうち、杉田水脈など旧安倍派の13人の裏金議員がご推薦というバックボーンが目立つ。しかも裏金事件で役職停止処分を受けた国会議員が含まれていたが「チームに任せていたため、新聞を読むまで知らなかった」と本人がシラを切るほど肚が据わっている。裏金議員の推薦人13人は9人の候補者でもトップだからブラックさでズバ抜けている。総理になれば「他人に任せていた」論法で不都合から逃げ切れるだろう。相次ぐ不祥事で国民から白い目で見られている自民党を救ってくれる救世主になるだろう。掟破りでも抜きん出ている。自民党選管が候補者の文書郵送禁止を通達していたが、高市側にルール破りのリーフレット配布が明るみに出たのだ。
当の本人は「もしも、私の事務所からの郵便物が届いたところがあったら、それは誤解を招く行為であった」とシャアシャアと発言し、自民党選管から注意喚起の異例の声明を引き出したが、結局はお咎めなし。さらに、けしからん報道をするメディアに「はい、放送法違反、電波停止命令ね」と圧力をかけて不都合な事実を押さえ込む実力は最右翼だろう。
公約リアリティ☆☆☆☆☆
与党の救世主度★★★★☆
国民への貢献度☆☆☆☆☆
国家デストロイヤー度★★★★☆
解雇規制の見直しが本丸の小泉進次郞
この人の主張はすごい。「賃上げ・人手不足・世紀非正規格差を同時に解決するため、労働市場改革の本丸解雇規制を見直す!」と言うから有権者が震え上がった。
バブル以降実質賃金が上がらない日本でも、経済成長に不可欠である「労働市場の流動化」を進めるのが理想らしい。生き方や働き方の変化に合わせ、コロコロ仕事を変えられたら人生バラ色というから、仕事が続かない飽きっぽい人や竹中平蔵が涙を流して喜ぶであろう。ただ、この人だけは公約の期限を切ったから見上げたものである。たった1年で雇用規制を変えられたらどうなるか?世間知らずの子かもしれないが。
公約リアリティ★☆☆☆☆
与党の救世主度★★☆☆☆
国民への貢献度☆☆☆☆☆
国家デストロイヤー度★★★☆☆
国民総背番号制で国民情報を握りたい 河野太郎
どういう理由で全国民が確定申告モードにするのか理解できない人が多いだろう。だが河野太郎には壮大な夢があるらしい。憶測だが(笑)
それは昭和の時代から自民党の悲願であったが頓挫してきた「国民総背番号制の確立」というものらしい。全国民に番号を振れば、国民の背番号をキーにあらゆる個人情報を紐付けし、個人の資産から思想信条まで完全に把握できる。21世紀に国家が国民の情報を握って国民をコントロールするというSF物語があったが、それを現実のものにしようという野望が河野太郎にはある。全国民のあらゆる個人情報を国家が把握するとは何とも素晴らしい理想郷ではないか。
しかも、この河野太郎は「ブロック太郎」というあだ名が付けられている。この男はTwittter時代から自分への批判意見をわざわざ自分で検索(エゴサーチ)して、批判をすべて誹謗中傷と決め付けてブロックしていることで有名なのだ。
このように国民の声を無視する能力、独善的かつ強引な手法が与党内で人気が高い。さらに、1人あたり2万円をばらまきながら、国民から信頼されないマイナカード普及を進めた実績も高く評価されている(笑)
公約リアリティ★☆☆☆☆
与党の救世主度★★★★★
国民への貢献度☆☆☆☆☆
国家デストロイヤー度★★★★★
時代が読めない加藤勝信元
素晴らしい。国民所得倍増計画は1960年の池田勇人内閣がぶち上げた政策のパクリとはね…。
いつまでに達成なのか期日が不明なのが残念なのだが。所得倍増になって税金や社会保障費までもが倍増されたら国家が豊かになって素晴らしい社会になるのではないか。池田勇人内閣の所得倍増計画は高度成長期、令和の所得倍増計画は「失われた30年」後で国民所得が上がらない社会背景の違いにもかかわらず所得倍増の夢だけは見させてくれるだろう。
公約リアリティ☆☆☆☆☆
与党の救世主度☆☆☆☆☆
国民への貢献度☆☆☆☆☆
国家デストロイヤー度☆☆☆☆☆
極右に不人気な軍事オタク 石破茂
この人、党員・党友票では強いが議員票は弱い。週刊新潮2024/09/26日号の櫻井よしこのコラムでは、石破茂は「北朝鮮寄りの主張」と蔑まれている(笑)コラムニストの誹謗中傷なら河野みたいにブロックすればいいのに。保守系議員からは疎まれているし、極右系からも評判が悪いということだ。国民に人気があっても短命内閣におわりそう。
公約リアリティ★★☆☆☆
与党の救世主度☆☆☆☆☆
国民への貢献度★★★☆☆
国家デストロイヤー度★☆☆☆☆
その他、単に空虚なスローガンを掲げただけの論評に値しない泡沫候補はスルーする。
統一教会事件へのやる気度ゼロ
自民党と統一教会のズブズブの関係は何十年も前から知られた有名な話。両者の不適切な関係がささやかれていたが、2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件により統一教会と政治家のフテキセツな関係が表面化した。
反日的かつ反社会的な統一教会が自民党への選挙協力をしていたという問題だ。形の上で自民党は統一教会との関係は断ち切ったとしていたが、安倍元総理らが2013年の参議院選挙直前に自民党本部で旧統一教会の幹部らと面談していたとみられることが新たに報じられた。
面談とは、自民党議員を当選させるために統一教会に信者を動員して組織的な投票のお願いをしたというもの。自民党と宗教組織とが投票に関与したらしい状況証拠も出ている。
キシダは統一教会の件を「もう終わったこと」みたいな対応だった。「もう終わった」のはキシダお前だろという突っ込みはやめておこう。
TVの報道番組で、総裁選候補者に「教団との関係について何らかの再調査を行うという方は?」と問いかけがあった。いい質問だ。
ところが、問いかけに候補者全員が「・・・・・」と沈黙、妙にシラけた空気がスタジオに流れた(笑)
やっぱり、統一教会(世界平和統一家庭連合)の票が欲しい自民党はズブズブの関係を断ち切れないのでしょうね。事の善悪よりとにかく変化が嫌いな保守派の自民党ということ。こんな調子では政治改革なんぞ百年早いと言いたい。今回の総裁選は相応しい候補者なしと切り捨てたい。粗製濫立だわな。
労働市場より支持政党の流動化を
まあ、変化が嫌いな保守政党ゆえに誰が自民党総裁になっても現状から大きな変化は無いだろう。むしろ選挙を経て日本の総理大臣が誰になるかの方が重要といえる。そろそろ日本国民も労働市場の流動化の方向性に応じて支持政党の流動化に進化すべきではないだろうか?