来年の進路として,現在所属する研究室(下記URL参照)で博士課程に進学することと,某大手SNSのWebエンジニアとして就職すること,どちらを選択するかで非常に迷っている大学院修士2年生です.
進路選択を迷っている理由は,私が本来やりたいことが「まだ世に無い新しいソフトウェアやサービスを考えて設計・実装・公開し,何らかの形でレスポンスを得る」といったことなのですが,このような活動はどちらの進路を選択しても可能だと考えているからです.
そこで,以下の参考情報も踏まえて,私の進路決定の参考となるようなアドバイス,つまり「"今"どちらの進路を選ぶべきかと,そう考える理由」をお願い致します.
大学・企業の研究者の方から,ベンチャー企業の第一線で働くWebエンジニアの方まで,いろいろな視点からのご意見・ご回答をお待ちしております.また,この質問に関係する実体験なども歓迎します.
参考情報:
http://www.dl.kuis.kyoto-u.ac.jp/~yanbe/
http://yanbe.org/
http://sourceforge.jp/projects/qrcode/
http://d.hatena.ne.jp/y_yanbe/
京大の文化は知らないので一般論として。
あなたがやりたいのは「自分の理論の追求」と「実際にサービスを使ってもらう」事のどちらに重点が置かれますか?
大学院はあくまで研究機関。そのサービスで利益を上げる必要は無いので好きな方向にサービスを展開できます。
その反面積極的な広告活動などを行わなかったり、サービスレベルが高く出来ない(メールでの問い合わせ対応など)、研究者の卒業後の対応が不明等の傾向があるので、多くのユーザーに実用してもらう事は難しいでしょう。
企業に就職した場合、そのサービスを自分の思い通りに進めることは難しくなります。
その反面、資金力があり会社としてサービスを提供する事で全体的なサービスレベルがあがります。結果的に(ユーザーに受け入れられれば)実用的なサービスとして使用されることが考えられます。
以上のように、作るところまでは同じでもその先が変わってきます。
私は実際に使われるサービスを作りたくて大学院を中退しました。
質問文とリンク先ではあなたの考えている方向が見えてきませんが、
自分のやりたい事がそこまではっきりしているならおのずと進むべき道は見えてくるはずです。
博士後期過程は今後は文型の場合でも民間就職の門戸が開け、
就職のための専門職養成となるケースが増える、と某国立大学の
大学院案内で拝聞しました。
後期過程に進むのなら研究者を見据えることとなりますが、
自分で起業する、という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?
そうすれば後期過程での研究によりいっそう身が入るでしょう。
しかし、修士を一つ出ていれば、
あとあと、就職してからでも後期過程に進学するという選択肢があるというのも忘れてはいけません。
本来、自分で進路を悩んだ末決定すべきでしょうが、
自分でも考えていることですが、
博士後期に進学するのは賭けである、と自分では感じてます。
まあ、自分は博士論文書け自信とモチベーションがない、
というのが理由ですが、
D4以上の人たちや、満期退学の先輩をたくさん見ているので、
自分としては怖いです。
そうそう博士号の取得は楽ではないということです
回答ありがとうございます.
確かに,一旦就職して,思うところがあってまた大学に戻ってくるというのも良いと思います.
うちの研究室も含め,社会人ドクターは最近増えていると感じますし,今後はより一般的なキャリアになっていくのでしょう.またそのような形であれば,研究に対するモチベーションは今以上に明確になっており,より研究に身が入るのかもしれません.ただし,自分が行こうとしているのは,企業の研究所のように社員の博士課程取得に積極的な企業ではないので,就職先の都合で大学に戻りたくても戻ってこれない,といった状況も,もしかしたらあるかもしれません.
起業...考えてみたいと思います.ただし私は,あまり強力なリーダーシップが取れるようなタイプの人間ではない気がするので,起業には良いパートナーが必要となりそうです.
私の場合,博士論文を書くことについてはあまり不安を感じていませんし,「研究をすることに対する覚悟」みたいなものは修士課程に進学した段階である程度持っているつもりです.博士号をとる,ということは精神的,肉体的に相当な努力を要しますが,現在の自分のモチベーションおよび健康さえ続けば何とかなるのではないかと思っています.こんな風に楽観的な理由は,私の分野(情報学)および大学ではD4以上や満期退学の人はあまり見たことが無いのと,博士課程修了後の職に困っている様子もあまりなく,また個人的に今の研究が比較的順調である,ということがあると思います.
自分にとっては博士進学は賭けですが,就職だって同じぐらい賭けだと思っています.
人生選択,すなわち賭けの連続で,どちらを選択するにせよ,リスクをとらずに成功はないという考えです.そんな感じなので,安定した生活や,保障された将来,みたいなものに対するプライオリティは今のところ低めです.
お二方に回答していただいたことで,頭の中がよりすっきりしてきた気がします.
引き続き,回答をお待ちしております.
>あなたがやりたいのは「自分の理論の追求」と「実際にサービスを使ってもらう」事のどちらに重点が置かれますか?
これ,かなり重要な考え方だと思います.なるほど,これを突き詰めて考えることで自分の答えに近づけそうです.
ちょっと極論になりますが、言い換えると
「サービス提供者にありがとうと言ってもらいたい」か、「サービス利用者にありがとうと言ってもらいたい」ともいえます。
その成果物は Windows 等にもとりこまれお世話になっている人も多いでしょう。
ただ、今となっては一般ユーザーが意識する事はほとんど無いです。
ただ、その寄せ集め具合が良かったために確固たるユーザー層を築く事に成功しています。
レスポンスはユーザーがサービスを使った感想でも,自分が書いた論文のcitationおよび国際会議・ワークショップの中でのディスカッションという形でも,どちらでも良いということです.
両方は難しいので、どちらかに絞る事になるでしょう。
とはいえ、手が無いわけでもありません。
Linux kernel の Linus さんや、Ruby のまつもとさんは基礎理論をしっかりさせた上で多くのユーザーに実用してもらっています。(実用性重視なので例としては適当ではないかな?)
同様にオープンソース・フリーソフトウェアのコミュニティとして立ち上げてしまうのも手かとは思います。
その場合、主に「企業活動とは離れたところで」となるでしょうけど。
でもこの業界の動きは早いので,実際に業界に飛び込んだほうが,最新の技術や動向が分かっていいのかもしれません.
勘違いはしないで欲しいのですが、この業界でも多いのは「実績のあるかれた技術」の方が重宝されています。
最新技術にどの程度取り組むかは企業文化にも寄りますが、Yahoo! や Google は特殊な例だと思ったほうがいいです。
このWeb業界では,特に最近「膨大なデータを持っている」,ということが重要になっていますし
大きなユーザーを持つ企業の特権ですね。
ただ、(主に私学に多いと思いますが)企業と連携して研究しているところも無いわけではないはずです。あくまで可能性としてですが。
ひとつ心配するのはこの業界はドックイヤーです。
「ブロードバンドと高性能PCの普及による AJAX の普及」等のパラダイムシフトがいつ起こるか想像も付きません。
博士後期過程で3年。これを勿体無いと取るか、どうせそのあともずっと同じ状態なので取り戻しは効くと取るかは個々人の判断になるでしょうね。
あとは「博士号」という肩書きにこだわるかどうか?ぐらいでしょうか。
>ちょっと極論になりますが、言い換えると
>「サービス提供者にありがとうと言ってもらいたい」か、「サービス利用者にありがとうと言ってもらいたい」ともいえます。
なるほど、こういう視点も分かりやすいです。
今までの自分の体験を振り返ってみると、どちらもうれしいのですが、どちらかというと前者ですね。となるとやはり進学の方が合ってるのかもしれません。
>「BSD OS」などは UCB により開発された立派な成果です。
>(中略)
>ただ、今となっては一般ユーザーが意識する事はほとんど無いです。
こういう渋い仕事っていいですよねぇ。
以前興味があってFreeBSDを使っていたことがあります。あのよく統制が取れた開発体制が素晴らしいと思ってました。
>同様にオープンソース・フリーソフトウェアのコミュニティとして立ち上げてしまうのも手かとは思います。
>その場合、主に「企業活動とは離れたところで」となるでしょうけど。
なるほど、私にとってオープンソース活動は多分ライフワークなので「研究成果をオープンソースソフトウェアとして、論文と併せてアウトプットする」というアプローチも良さそうですね。社会に貢献する形として分かりやすいと思います。またその場合、研究者という立場の方がより自由に動けるでしょうね。
>大きなユーザーを持つ企業の特権ですね。
>ただ、(主に私学に多いと思いますが)企業と連携して研究しているところも無いわけではないはずです。あくまで可能性としてですが。
なるほど、企業との共同研究という手がありましたね。よく考えると、いま私が所属している研究室は、企業との共同研究は割と盛んな方だと思います。なので今後は自分から積極的に行動しさえすれば、そういうチャンスはありそうです。
>博士後期過程で3年。これを勿体無いと取るか、どうせそのあともずっと同じ状態なので取り戻しは効くと取るか
あーこれにはいろいろ思うところがあります。大学院は博士後期課程も入れると5年ありますが、5年ぐらい前の論文を読むと、本当にこの業界はドッグイヤーなんだなと実感します。流行り廃りが激しいというか。。その一方で、長い時を経ても色褪せない、社会的にも重要な研究というのももちろんあります。そのような研究が出来れば勿体なくないし、出来なければ勿体ないと思います。難しいことですが、どうせやるなら色褪せない研究を目指していきたいですね。
また個人としては、身の回りの大多数の友人知人とはかなり異なるタイムラインで生きていくことになるので、その辺が若干ストレスになったりするのかもしれません。でも私はマイペースな性格なので多分大丈夫だと思います。
>あとは「博士号」という肩書きにこだわるかどうか?ぐらいでしょうか。
個人的には、博士号という肩書よりもむしろ、自分の考えを言葉にしたり、論文としてまとまった形にするスキルや、人が伝えようとしていることを正確に理解するスキル、優秀な研究者との出会いなど、そこまでのプロセスで得られるものが一生ものだと思っています。これは就職先で得られるスキルと被るものもありそうですが。
進学が いいです
大手企業では どんな優秀な学生でも
単なる新入社員
自分のやりたいことを やらせてもらえる可能性は 薄いかもしれないです
横浜市では
横浜国大生の研究開発したものを 宣伝販売したり
企業が 提携してたりと 盛んに 学生を 応援してます
進学をお勧めします。
世の中にないサービスを開発している職場を富士通でも一つだけ知っていますが、特殊な職場であり富士通の社員でそこを知っている社員は限られています。例えば業種を担当しているなら本部長でも知らないとお考え下さい。
公的にもある程度目処がたった時点で経済産業省の情報政策課あたりから発表されますが、一般のソフトハウスでそんな職場はありません。
たしかに,企業向けの情報システムを開発するような現場では,J2EEやCOBOL等,枯れた技術を使うことが多く,Ajaxなど持っての他と,先に就職した友人に聞いたことがあります.ただこれは,今回の場合はさほど当てはまらないかと思います.
また別な研究者の方からは,日本では大学や研究所が生み出した研究成果を業界にフィードバックする動きが,他の国に比べて遅れている,とも.
なので進学するとしたら,その辺の問題も考えていくべきでしょうね.
回答は昨日午後にで締切る予定でしたが,予定を変更して本日5/14(月)の夕刻までに決着を受け付けようと思います.
今のところ進学を勧めるアドバイスが多く,私としても現在のところ 進学70% 就職30% ぐらいの気持ちなのですが,ここであえて就職を選んだほうが良い,というアドバイスがありましたら聞いてみたいです.
また,どちらに決着がついたとしても,何か別な視点からのアドバイスがいただけると私の今後の活動の参考になるので,質問はしばらくオープンにしておく予定です.
引き続き,回答をお待ちしております.
結論から書くと、就職をお薦めします。
その理由ですが、企業の中には学生時代には全く想像もつかなったような優秀な人、尊敬できる人、目標にできる人が必ずいるはずだからです。
ある程度知名度のある企業や、優れた製品・サービスを提供している企業ならば、必ずそういった人物がいるはずです。ましてや大手SNSなら間違いないでしょう。それこそ何人もいるはずです。
幸運にもそういった優れた人と同じ職場で働くことができると、自分の能力や視点が短期間のうちに大幅に拡張するという特殊な体験ができます。
また一般論的なことですが、将来何を目指すにせよ、若いうちにビジネスの現場を自分の肌で実感しておくことが何よりも大切なのではないかと思います。
特に成長するビジネスの中に身を置く事は本当に楽しく、自分自身の財産になると思います。
大学はいつでも、何度でも入りなおすことができますが、新卒のチャンスは1度(または学士、修士で2度)だけです。
私が大学を出て感じたのは、「企業組織に比べたら、学校の中の世界というのは時間が止まっているようだったな」ということです。変化の早いIT業界は特にそうなのでしょう、WEBサービスならばまさに日進月歩です。
ぜひこのタイミングで社会に出て働き、お客さんを集める、責任あるサービスを提供する、自分の手でお金を稼ぐという体験をしてみて下さい。
配属先によっては理不尽な体験もあるかと思いますが、その1つ1つが貴重な経験になりますよ。
私にとってかなり参考になる回答でした.ありがとうございます.
>あなたがやりたいのは「自分の理論の追求」と「実際にサービスを使ってもらう」事のどちらに重点が置かれますか?
これ,かなり重要な考え方だと思います.なるほど,これを突き詰めて考えることで自分の答えに近づけそうです.
私にとって「実際にサービスを使ってもらうこと」は重要ですね.
でも同時に,そのサービスは,理論的なバックグラウンドがしっかりしたものであってほしいとも思います.例えば,Googleの検索エンジンとPageRankアルゴリズムのような関係です.だとしたら博士課程に進学して腕を磨くのが良いんですかねぇ.
でもこの業界の動きは早いので,実際に業界に飛び込んだほうが,最新の技術や動向が分かっていいのかもしれません.実際,技術的に優秀な人が多い職場だと思いますし.また,このWeb業界では,特に最近「膨大なデータを持っている」,ということが重要になっていますし,それによって初めて可能になるサービスもあるかと思います.Amazonしかり,Googleしかり.こういったサービスは,研究室という場所では実現が難しいケースが多いと思います.
質問で「~何らかの形でレスポンスを得る」と書いたのは,レスポンスはユーザーがサービスを使った感想でも,自分が書いた論文のcitationおよび国際会議・ワークショップの中でのディスカッションという形でも,どちらでも良いということです.少し言葉足らずでした.
私としては,個人的にソフトウェアを公開することでユーザからいただいた感想は嬉しいものですし,また上述のアカデミックなレスポンスもまた非常に嬉しいです.
ではでは,引き続きご回答をお待ちしております.