高校生のころ、月~金の夜に、
スーパーでレジ打ちのバイトしてたんだけど、
暗いオバサンが来るようになったのね。
髪がボサボサ、目も死んだようで、
X社の500mlのプレーンヨーグルトを1箱だけ買ってくの。
来るのはいつも私のレジ。
空いてるレジがあっても私の列に並ぶの。
土日には来ないみたいでさ。そんなことが数ヶ月続いた。
「ヨーグルト好きなんですか?」って聞いたら、
「私じゃなくて娘の分」っていうのよ。
一人娘で高校生だったとか言ってた。
毎日1箱って多すぎじゃない?
「旦那さんも食べるんですか」って聞いたら
「夫とは女癖が悪いので別れました」って。あちゃー。
で、私がバイトを数週間後にやめることになって、
X社のヨーグルトも同じころに製造中止になるらしくって、
そう言ったらショックだったみたい。
バイト最後の日、オバサンはX社のプレーンヨーグルトを1箱、買って、
私の住所を聞いて帰った。
次の日の朝、家のポストを見たら、切手なしの封筒が入ってたの。
中には大金。たぶんオバサンの所持金すべて。
あとで聞いたら、その日の深夜にオバサンは自宅で自殺してたんだって。
謎を整理
以上より推測してみたストーリー
オバサン…以下ヨウコ(仮名)は夫コウジ(仮名)と一人娘のカオリ(仮名)の三人で暮らしていた。
コウジの女癖の悪さは承知していたヨウコだったが、
年々程度はひどくなり、とうとう美しく成長した娘カオリへの性的虐待へと及んでしまった。
しばらくは母のことを思い、耐えて沈黙を守っていたカオリだが、徐々に精神に以上を来たし、
ついには拒食症状が現れてしまった。
高校生のカオリは虐待を受けた自分の身体を「汚い」と認識しており、
人目に触れる通学日はX社のプレーンヨーグルトしか食べず、
休日は部屋に引きこもるようになった。
X社はコウジが勤める会社のライバル会社だった。
ヨウコは最初カオリの拒食症状の原因がわからなかったが、
精神科へ通うにつれ、夫コウジによる虐待だとわかり、激昂して離婚をした。
以来ヨウコは毎日X社のプレーンヨーグルトを買うようになる。
だがカオリは半年ほどで亡くなってしまった。
周りに促されるまま、葬式まで済ませたが、
ヨウコにはカオリの死が信じられずにいた。
そんなある日、家へ帰る途中で驚くべき光景に出会った。
それはカオリそっくりの少女だった。
誘われるかのように後をつけると、少女はあるスーパーに入った。
しばらく客の振りをしていると、少女はレジに入った。
これはカオリだ。カオリに違いない。
ヨウコは買いなれたX社のヨーグルトを手に取ると、
少女の待つレジに並んだ。
うつろに少女を見つめ、ヨーグルトを手渡す。
カオリ、と呼びかけようとして、その胸につけられた名札に目が留まった。
…知らない苗字だった。
ヨウコは失意のままヨーグルトの入ったスーパーの袋を提げて帰宅した。
カオリの部屋にヨーグルトを置くと、ヨウコは眠った。
翌朝起きるとカオリの部屋に置いたはずのヨーグルトはなくなっていた。
カオリがいるのだ!
ヨウコはまたスーパーに向かった。
…自分の口内に残るヨーグルトの後味にも気づかずに。
夕方少女がレジに入る頃を見計らってヨーグルトを買う。
そんな日が数ヶ月続いた。
ある時は少女が話しかけてくれることもあった。
その度に「やはりカオリなのでは」とヨウコは期待したが、
その期待は毎回打ち砕かれた。
そしてその日、少女は言った。
「このヨーグルト再来週で生産中止なんです…それと、私もバイトやめないと。もう受験だから」
ヨウコの足元はグラグラと揺れたように感じた。
最後の日、ヨウコはある決意を胸に少女に尋ねた。
「…住所を教えてください」
少女は少し不思議そうな顔をしたが、丁寧に紙に書いて教えてくれた。
ヨウコはその住所を見てようやく全ての過ちに気づいた。
カオリは死んでなどいない。
夫が連れて行ったのだ。
…もう十年も前に、私の浮気を理由に離婚をした時に…。
ヨウコはしまってあった現金を封筒にいれると、
深夜紙に書かれた住所へ行った。
表札を見て、全ての霧が晴れた気がした。
それは夫コウジの名だった。
ポストに封筒を落とすと、ヨウコはもう一度歩き始めた。
自分の死に場所に向かって。
以上。
救いようがない気がしますがこんな感じで。
おばさんは、レジでバイトしていた高校生のお父さんの別れた妻、
つまり、バイトの子のお母さんだったんですね。
その子に買い物で会うのが生きていく中で、唯一の楽しみだったんでしょうね。
もう会えなくなるとわかって、悲観して死んでしまったんですね。
sayonarasankaku様、ありがとうございます。
ううむ、そういう展開もありましたね!!
いい答えだと思います。
この話の内容のどの辺が謎なのか分からない。
ひょっとしてそれが謎??
sebastianholic様、ありがとうございます。
字数制限によって説明不足になり、すみませんでした。陳謝いたします。
自殺ではなく他殺、そして犯人は筆者。
HOSPITAL様、ありがとうございます。
ですが違いました・・・。
基本的に僕は著述トリック
(犯人が筆者とか、主人公が人間じゃなかったとか)を、あまり好みません。
このオバサンとバイトの女の子は、実の親子です
>来るのはいつも私のレジ。
>空いてるレジがあっても私の列に並ぶの。
>「ヨーグルト好きなんですか?」って聞いたら、
>「私じゃなくて娘の分」っていうのよ。
>一人娘で高校生だったとか言ってた。
これは娘と少しでも触れ合いたいということでしょう
>「夫とは女癖が悪いので別れました」って。あちゃー。
この夫が、バイトの女の子の(今も一緒に暮らしていると思われる)父親
多分継母も一緒に暮らしてて、女の子は継母が実の母親だと思っているのでしょう
そしてオバサンは娘にお金を残して自殺した…
ただヨーグルトについてはよくわかりません
なにやらこの物語の鍵で、重要な隠喩を持っている気もしますが
cheap-impact様、素直な解釈、ありがとうございます。
僕が常識知らずなだけで、たぶんcheap-impact様の解釈の方が、みんな納得すると思います。
バイトをしていたあなたは、
女癖の悪いダンナさんの隠し子、つまり、
そのおばさんからみて義理の娘だったのですね。
娘の分というのは、娘に逢うために買う分ということでは。
あるいは、生まれてすぐに取り違えられた(とおばさんが考えた)とか
別居している理由は
まあいろいろ考えられますが。
NAPORIN様、ありがとうございます。
ちょっと反省気味です。フツーに考えたらそうだよねぇ?
私の回答ですが。。。
旦那とは結婚して、娘が生まれてすぐに離婚した。女手一つで大事に娘を育てたにもかかわらず
娘を病気でなくし、失意のどん底であった。
生きる望みもなくしていた頃、ある時スーパーのレジであなたを見かける。最初、娘がいるのかと
目を疑った。いや、そんなはずはない。彼女の最後の姿を見届けたのは私だ。よく見ると、笑い方
や話し方が少し違う。ああ、やはり別人か。
そういえばうちの娘はヨーグルトを食べるのが好きだった。あのレジの子も、娘ではないが、
見ていると何か娘を思い出して心温まるものがある。あのころの楽しかった思い出を、例え一瞬
だけでも思い出せる。
よし、毎日通ってあのレジの子に挨拶しよう。そう思って通い続けた。ささやかだったが、それでも
私は幸せだった。彼女とヨーグルトを同時に奪われるまでは。また私の人生から大事なものが奪われる。
私の人生は結局、一方的に奪われるばかりなのね。でも、最後くらいは誰かのために何かを残して
あげたいと思うわ。そう、彼女になら全てをあげても良い。
そう思ったおばさんは、銀行から残高を全て引き出してレジの子へ送り、金具屋で買ってきた丈夫な
ロープを天井にかけるのであった。。。。(完)
kensankensan様、ありがとうございます。
小説風でよく練られた回答でした。
で、こちらの答えとは少しだけ相違点がありまして・・・。
ちょっと無理があるけど、こんな感じでどうでしょうか?
何年か昔、とある母親が夫を毒殺しようとする事件があった。
原因は夫の浮気。手口は家族全員の好物であったX社のヨーグルトに毒を混ぜるというもの。
しかし、不幸なことに毒入りヨーグルトを食べてしまったのは実の娘であった。
実の娘は昏睡状態に陥り、病院に運ばれる。
実の娘は数ヶ月後に意識を取り戻すも、殆どの記憶を失っていた。そこで母親の親戚が彼女を養子として引き取り、育てることとなる。母親には親戚の配慮から娘は死んだと伝えられる。
母親この事件に関して逮捕されるも、逆に動機などの面から父親に疑いの目が向けられ、父親は有罪となり母親は釈放された。しかし事件の影響で母親は社会から孤立してしまい、しかも良心の呵責に苛まれ身も心もボロボロになってしまう。
それからというもの彼女の日課は毒殺に使ったX社のヨーグルトを娘の墓前に添えることとなっていた。
そうして毎日ヨーグルトを買いに行っていたところ、ある日スーパーで娘にそっくりな女の子がレジを打っていることに驚愕する。彼女が普通に育っていれば同じ高校生だ。その女の子こそ実は自分の娘だったのだが、母親は娘は死んだと思っているので気付かない。
それからというもの女の子がいる日は毎日彼女のレジでヨーグルトを買うことで、せめてもの罪滅ぼしをしていたのだ。
しかし、数ヵ月後、彼女が辞めることとX社のヨーグルトの製造中止を伝えられる。彼女が辞めるのは偶然だったが、X社は事件の影響でイメージダウンが深刻で売上不振が続いての製造中止だった。(雪印みたいな?)
そして彼女が辞める日、ヨーグルトを買った後住所を聞き出し、自分の貯金を封筒に入れていままで世話になった彼女の家のポストに投函しようとする。これも罪滅ぼしの1つだった。しかし、そこで彼女の家が最後まで面倒をかけていた自らの親戚の家であることに気付き、本当のことを悟ってしまう。(親戚に実子はいない)
実の娘は幸せに生活をしており、母親は社会から孤立している状態で、これ以上自分の娘に迷惑をかけるわけにはいかないと母親は思った。そして最後のヨーグルトに毒を入れひっそりと自らの命を絶ったのだった。
vened様、伏線をできるだけきっちり回収しようとした姿勢がすばらしいです!!
もともと唯一の正解があるクイズでもないですし、とても魅力的な答えだと思います。
記憶喪失あたりは苦しいですが、ヨーグルトの販売中止まで説明しているのはすごいですね。
謎を整理
以上より推測してみたストーリー
オバサン…以下ヨウコ(仮名)は夫コウジ(仮名)と一人娘のカオリ(仮名)の三人で暮らしていた。
コウジの女癖の悪さは承知していたヨウコだったが、
年々程度はひどくなり、とうとう美しく成長した娘カオリへの性的虐待へと及んでしまった。
しばらくは母のことを思い、耐えて沈黙を守っていたカオリだが、徐々に精神に以上を来たし、
ついには拒食症状が現れてしまった。
高校生のカオリは虐待を受けた自分の身体を「汚い」と認識しており、
人目に触れる通学日はX社のプレーンヨーグルトしか食べず、
休日は部屋に引きこもるようになった。
X社はコウジが勤める会社のライバル会社だった。
ヨウコは最初カオリの拒食症状の原因がわからなかったが、
精神科へ通うにつれ、夫コウジによる虐待だとわかり、激昂して離婚をした。
以来ヨウコは毎日X社のプレーンヨーグルトを買うようになる。
だがカオリは半年ほどで亡くなってしまった。
周りに促されるまま、葬式まで済ませたが、
ヨウコにはカオリの死が信じられずにいた。
そんなある日、家へ帰る途中で驚くべき光景に出会った。
それはカオリそっくりの少女だった。
誘われるかのように後をつけると、少女はあるスーパーに入った。
しばらく客の振りをしていると、少女はレジに入った。
これはカオリだ。カオリに違いない。
ヨウコは買いなれたX社のヨーグルトを手に取ると、
少女の待つレジに並んだ。
うつろに少女を見つめ、ヨーグルトを手渡す。
カオリ、と呼びかけようとして、その胸につけられた名札に目が留まった。
…知らない苗字だった。
ヨウコは失意のままヨーグルトの入ったスーパーの袋を提げて帰宅した。
カオリの部屋にヨーグルトを置くと、ヨウコは眠った。
翌朝起きるとカオリの部屋に置いたはずのヨーグルトはなくなっていた。
カオリがいるのだ!
ヨウコはまたスーパーに向かった。
…自分の口内に残るヨーグルトの後味にも気づかずに。
夕方少女がレジに入る頃を見計らってヨーグルトを買う。
そんな日が数ヶ月続いた。
ある時は少女が話しかけてくれることもあった。
その度に「やはりカオリなのでは」とヨウコは期待したが、
その期待は毎回打ち砕かれた。
そしてその日、少女は言った。
「このヨーグルト再来週で生産中止なんです…それと、私もバイトやめないと。もう受験だから」
ヨウコの足元はグラグラと揺れたように感じた。
最後の日、ヨウコはある決意を胸に少女に尋ねた。
「…住所を教えてください」
少女は少し不思議そうな顔をしたが、丁寧に紙に書いて教えてくれた。
ヨウコはその住所を見てようやく全ての過ちに気づいた。
カオリは死んでなどいない。
夫が連れて行ったのだ。
…もう十年も前に、私の浮気を理由に離婚をした時に…。
ヨウコはしまってあった現金を封筒にいれると、
深夜紙に書かれた住所へ行った。
表札を見て、全ての霧が晴れた気がした。
それは夫コウジの名だった。
ポストに封筒を落とすと、ヨウコはもう一度歩き始めた。
自分の死に場所に向かって。
以上。
救いようがない気がしますがこんな感じで。
rikuzai様、長くすばらしい回答、ありがとうございます。
最初に謎を整理していただいたのもありがたかったですし、
ヨウコ(仮名)、コウジ(仮名)、カオリ(仮名)というところでは、コーヒー吹きました。
で、回答を読みまして、またまたびっくり。
こちらの想定している回答と、いちばん重要な部分がみごとに一致しています。
僕の答えよりよほど出来がいいですね。お見事でした。
というわけで、いまのところ、「いるか」はrikuzai様に差し上げる予定です。
オバサンは「私」の母親。因みに、「私」は一人暮らし。
毎回、同じヨーグルトを「私」のレジを利用して購入していたのは、「私」に少しでも覚えてもらう(少しでも親睦を深める)ため。
ただし、オバサンには母親だと名乗れない理由があるので、面影を(知っているとしたら)悟られないようにするため髪をボサボサにしていた。
だから、「私」がいない土日には来ない。
「私」に会うため・覚えてもらうために購入しているヨーグルトだから、ヨーグルトは「娘(=私)の分」。
「私」がバイトを辞めることで会えなくなってしまうのでショックを受けた。
オバサンは旦那と別れ独身だから「娘=私」に全財産を捧げることができた。
以上のことを踏まえ、
高校生が月~金までバイトして、朝には「私」がポストの確認してる。。。「私」は一人暮らし。
オバサンには高校生の一人娘がいて、「私」が一人暮らしだとすると母親も父親もいないことになるので、。。。「私」の母親。
という、強引な解釈をしてみました。
h_a_t_e_n_a_001様、ありがとうございます。
ですよねえ、なぞなぞとしては、
フツー、そっちの解釈の方がまず頭に浮かびますよねぇ。
というわけで今回は、ちょっと反省気味。
おばさんは、プレーンヨーグルトを精液に見立てて使用していました。なのでX社(まぐわい)のを買っていたのです。娘の分というのは、娘=おばさんで、つまり自分(一人娘で高校生だった過去を今に思い描いている)の分だというわけです。X社のヨーグルトが製造中止になるということは高校生である自分(男性が相手をしてくれていた)の過去と完全に遮断されることを意味し、それは自己の喪失、絶望へと繋がり、自殺を決意するのですが、高校生であるレジ打ちの「私」に、おばさんは自分が高校生であることをやめなければならないが、いまはまだ高校生であるあなたに、全財産を託して、高校生であるという夢のなかにいるレジ打ちの「私」に、さらに夢をみさせることによって、自己の生き様を痛烈に皮肉っているわけです。
xxkobokxx様、ありがとうございました。
僕はそこまで強烈な回答を「はてな」で正解として示すつもりはないのですが、
僕の答えの方が、なおひどいかもしれません。
ユニークな回答ありがとうございます。
いま答えをアップいたします。
rikuzai様、長くすばらしい回答、ありがとうございます。
最初に謎を整理していただいたのもありがたかったですし、
ヨウコ(仮名)、コウジ(仮名)、カオリ(仮名)というところでは、コーヒー吹きました。
で、回答を読みまして、またまたびっくり。
こちらの想定している回答と、いちばん重要な部分がみごとに一致しています。
僕の答えよりよほど出来がいいですね。お見事でした。
というわけで、いまのところ、「いるか」はrikuzai様に差し上げる予定です。