ちいさな彼女の小夜曲 総評
※楓ルートはスキップしました
シナリオ
ひと夏のラブストーリー。
……だと勝手に思いこんでゲームを始めたけれど、個別ルートは二学期に入ってから始まるので、実際は夏から秋にかけての物語。
細かい部分のご都合主義(出会った女の子と一緒に住むようになる経緯とか)やキャラクターデザインを含め、世界観はギャルゲーらしくリアリティ薄め。
なのに、舞台は江ノ島。ここだけリアリティ濃すぎじゃない……?
私が同じ県民なこともあって、江ノ島のことを割と知ってしまっているせいもあるのかもしれないけど。
それでも、やっぱりもう少しマイナーな田舎の街がよかったかなぁ……ギャルゲーはファンタジーなんだし。
ボリュームはさほど大きくなく、共通ルート4h/個別ルート各3h程度な、あっさり風味のキャラ萌えゲーム。
ヒロイン全員の登場が済んで日常シーンが始まった時点ですでに全ヒロインからの好感度が閾値を超えている、ハーレムゲーでもある。
シナリオ的な評価はできないものの、女の子との楽しい日常シーンという面から見れば、その役割を十分に果たしている。
つまり、水夏ちゃんは可愛いということです!
個別シナリオに入ってからも、それぞれテーマもあるし、ストーリーに多少の起伏もある。
しかしシナリオ中に5回もHシーンがあるので、シーンの合間合間にストーリーが進むようなイメージ。
そのシナリオ上の起伏も、「相手のご両親に挨拶しなきゃ」とか「同棲を認めてもらいたい」とか、そんな小石程度のもの。
個別シナリオ別の評価は、「水夏 > 花梨 > 汐音 > ほか」。
ストーリーの完成度から言えば花梨のほうが高かったけれど、やっぱりキャラ萌えゲーは好みな女の子とイチャイチャできるお話がいちばんです。
ということで、私のイチオシは正統派幼馴染、守谷水夏ちゃん!
テキスト
シナリオは3人のライターが担当しているようだけれど、分担がわからないほどクセのないテキストにまとまっている。
(ひょっとしたら、ルートごとではなく章ごとに分担していたのかもしれない)
テキスト上では欠点はないものの、あまり面白味もない。
さほど多くないコメディシーンも、無難にまとめてきた感じ。
とは言え、キャラ萌えゲーのテキストが尖っている必要はない気もするので、これはこれでいいのかも。
(少なくとも滑ってないし。大事なことです)
グラフィック
立ち絵は2種類、表情差分のみ。
一枚絵は全105CG、うち50HCG。
フルプライスのゲームなので、標準的なボリューム。
タッチは繊細、塗りは淡め。
この当時では、流行りを先取りしたグラフィックだったはず。10年近く経った今でも十分通用する可愛さです!
どの衣装にもフリルがいっぱいで、こちらも二次元ヒロインらしくとても可愛らしい。
原画は3人が担当しているらしいが、絵柄から見るに「汐音・茉莉」「水夏・花梨」「楓」で分担している模様。
「汐音・茉莉」の担当がメインだと思うのだけれど、例えばキービジュアルの振り向いている汐音ちゃん、なんか違和感……?
いや、私のクビが硬いだけで、体の柔らかい人はあんな感じで振り返れるのかもしれないけど!? でもやっぱり気になる……。
水夏ちゃんの振り向きシーンはまったく違和感ないんだけどなぁ。
Hシーン
各ヒロイン5H10CGを貫く。
ユーザーとしてはペース配分がしやすく、非常にありがたい限り。
衣装も、制服/私服/ウェイトレス服は網羅され、加えてヒロインごとに巫女服や水着などオプションで追加される。
Hの内容については、ヒロインごとに濃淡はあるものの、「おちんちん」「おまんこ」程度の淫語はどの子も言ってくれる。
一番濃かったのは花梨ルート。「大蛇」「魔口」などと言い出したときはどうしようかと思ったけれど、最終的には「おちんぽ」「おまんこ」まで言ってくれたし、おまけに主人公を様呼びしてくれるという逆転プレイ付き。やっぱりわわわ様こそ至高!
クレジットを見るに、Hシナリオのみ和泉万夜が書いている模様。
つまり、実用性も十分ということです!
ただ、だいたいみんなおっぱいが大きい割に、主人公があんまりおっぱいに興味なさそうなのがよくわからない。
むしろ、逆におっぱいならなんでも好きだから特にコメントがないのかもしれない。
ちっぱいな汐音ちゃんに2回もパイズリさせてたからね!
音楽・ムービー
オープニングの「マリンブルーに沿って」、エンディングの「キスのひとつで」共に神曲。
むしろ曲が好きすぎてプレイした。
というか、fengの作品は神曲が多いんだよなぁ……「妹のセイイキ」OPしかり、「夢と色でできている」OPしかり。
OPムービーも、個人的にはかなり好きな部類。
「マリンブルーに沿って...」というキャッチーな歌い出しから、水色と水玉を散らしまくることで夏の海を全開に押し出す演出は、作品の世界観を十二分に伝えてくれていると思います!
強いて言うなら、汐音との出会いで彼女が歌っていた「小夜曲」の挿入歌がほしかった。
もっと言えば、夜の波打ち際で私にだけもう一度歌ってほしかった!
OPテーマ「マリンブルーに沿って」歌詞クイズ(レビュー)
問1 「そういう事」とはなにか君が好きなんて言えやしないから こんな風に歌うよ
夜空が滲むほど 紡ぐセレナード
もし聴こえたら それは素敵な波のいたずら
ねえ そういう事にしようよ
サビの歌詞からは、言葉では伝えられない想いを歌声に乗せて夜の海で歌っている少女が目に浮かぶよう。
これはまさに意志は強いクセに内気で口下手という、もどかしい汐音の恋模様そのもの。
自分の気持ちに気づかれそうになってもごまかしてしまうあたり、もう彼女らしいったら!
答1 波のいたずら
問2 「同じ事」とはなにか君が好きなんて言えやしないから こんな風に歌うよ
夜空も照れるほど 紡ぐセレナード
もし聴こえたら それは素敵な波のいたずら
ねえ 君も同じ事思うなら
ねえ そういう事にしようよ
この問題は複数の答えが考えられる。
が、ギャルゲソング的に考えれば、間違いなくこっちだ。
だって、曇っていたはずの空まで晴れ渡っているのだし!
答2 君が好き
それでは、最後の問題。
たった一言が世界をひっくり返してしまうなんて、なんて素敵な歌なんだろう。
彼女にとってはこれが「あと少しの奇跡」なのかもしれないけど、私たちは彼女が勇気を振り絞ったからだと知っている。
ひょっとしたら、私たちの世界だってそうなのかも。
問3 「そういう事」とはなにか
システム
必要十分。
ログからシーンにジャンプできるのは便利。
欠点を強いて言うなら、ゲームプレイ中にタイトル画面に戻る方法がない。
総評:★3
夏がやってきて、そして過ぎていく。
2013年10月発売、今は無きfengの7作目「ちいさな彼女の
個人的には、OPとEDの世界観に浸りたくてプレイした今作だったけれど、その意味では大満足。
ただ、そういった特筆すべきモチベーションがない場合、この10年近く前のゲームを積極的にオススメする理由が見つからない。
キャラクターは可愛いけどそんなゲームはいっぱいあるし、シナリオだって言うほど欠点もないけれど、そこまで推せるものでもないし。
今からプレイするなら、やっぱりOPムービーが気になるとか、声優が好きとか、原画師のファンとか、そういう意志が必要かも……。
あっ、サクッと夏らしい気分を味わいたいときには候補に入れてくれても大丈夫です!
私の評価は★3、批評空間ベースでは71点。
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