第64回 飛ぶと消える!透き通った翅をもつチョウ

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 ここコスタリカのモンテベルデには、「飛ぶと消える」チョウがたくさんいる。
 写真のトンボマダラチョウ(スカシマダラとも呼ばれている)の仲間だ。

スピードはさほどでもないが、パタパタと翅を大きく動かし揺れるように飛ぶので、その姿を目で追うのは至難の業だ。(写真クリックで拡大)

 このチョウは透明な翅をもっている。なので、とまっているときも目立たないけれど、いったん飛ぶと背景にとけ込んで見えなくなってしまう(右)。少し暗い場所では、なおさらだ。

 このトンボマダラチョウ、モンテベルデでは約17種が確認されている。5月になると毎日、バイオロジカルステーションの庭に咲くキク科の花にたくさんやってくる。でも11月から12月にかけて雨季が終わり、このあたりが乾燥してくると、多くは東斜面のカリブ海側へと渡りをする。あちらは乾季でもそれほど乾燥しないからだ。

 それにしてもなぜこんな透明の翅をもっているのだろう?

この写真には4種のトンボマダラチョウが写っている。上にとまっているのがテロニミア・アルテナ(Pteronymia artena)、右上奥にテロニミア・ノティラのメス(P. notilla, female)、右下にはグレタ・アンドロミカ(Greta andromica)、真下にいるのがテロニミア・ノティラのオス(P. notilla, male)、そして左下は最初の写真と同じくテロニミア・シンプレックス(P. simplex)。前翅の長さはみな30 mm程度で、見た目もそっくりだ。
撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)