外来「殺人スズメバチ」の根絶を宣言、侵入から5年、米国

侵略的外来種のオオスズメバチ、最後の目撃から3年が経過

2024.12.28
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年10月22日、米国ワシントン州ブレインで撮影された、追跡タグをつけたオオスズメバチ。科学者らは、タグのついたスズメバチを慎重に追跡し、巣に戻ったところで巣を撤去して繁殖を防いだ。(Photograph By Karla Salp/Washington State Agriculture Dept/The New York Times/Redux)
2020年10月22日、米国ワシントン州ブレインで撮影された、追跡タグをつけたオオスズメバチ。科学者らは、タグのついたスズメバチを慎重に追跡し、巣に戻ったところで巣を撤去して繁殖を防いだ。(Photograph By Karla Salp/Washington State Agriculture Dept/The New York Times/Redux)
[画像のクリックで拡大表示]

 米国で「殺人スズメバチ」というあだ名で知られるアジア原産の侵略的外来種、オオスズメバチ(Vespa mandarinia)が米国から根絶された。2024年12月18日にワシントン州農業局(WSDA)と米農務省が宣言した。2019年、この昆虫がワシントン州北西部とカナダのバンクーバー島で初めて確認された際、当局は拡散を防ぐための積極的な駆除計画を開始したが、5年あまりでミッションが達成されたことになる。

「外来種を米国本土から根絶することは、極めてまれで画期的な成果です」と、北米の社会性スズメバチに関する著書があるクリス・アリス・クラッツァー氏は述べている。

「侵略的外来種の恒久的な駆除は可能だということの証明です。ただし、十分な資金と世間の関心があればですが」(参考記事:「湖の侵略的外来魚に「勝利」、どうやった? 米五大湖のウミヤツメ」

 この体長約5センチという世界最大のスズメバチは、強力な毒針を持つうえ、セイヨウミツバチのコロニーをわずか30分で全滅させることで知られている。これら2つの理由から、当局はすばやい根絶を望んでいた。

 米農務省は、非在来種の「根絶」の基準を、最後にその姿が確認されてから3年が経過することと定めている。(参考記事:「「アジアの」「殺人」スズメバチに新たな英名、なぜ?」

「これはあくまで規制上の用語です」と、WSDAの広報コンサルタント、カーラ・サルプ氏は述べている。「当然ながら、このスズメバチが二度と持ち込まれないことを意味するわけではありません」

次ページ:侵入経路は不明

おすすめ関連書籍

虫・全史 1000京匹の誕生、進化、繁栄、未来

蠢く虫が地球を動かす―― 4億8000万年前の誕生から、 1000京匹に至る繁栄、 そして絶滅の警鐘までを網羅 〔全国学校図書館協議会選定図書〕

定価:3,960円(税込)

おすすめ関連書籍

PHOTO ARK 虫の箱舟

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト

こんな虫たち、見たことない。 まるで生きた宝石のように美しく、 表情豊かに多彩なポーズを取る虫たち。 唯一無二の虫・写真集! 〔全国学校図書館協議会選定図書〕

定価:2,860円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加