アイコン 国立競技場の解体工事で官製談合情報 落札決定延期へ

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとして建て替える国立競技場(東京都新宿区)の解体工事が、国に談合情報が寄せられ、予定していた9月29日からさらにずれ込む可能性があることが12日判明した。
 日本スポーツ振興センター(JSC)などによると、工事をめぐって内閣府に官製談合が疑われるなどとする苦情申し立てがあり、業者との契約執行を一時停止した。
有識者で構成する政府調達苦情検討委員会が審査している。結論が出るのは10月中旬になる可能性があり、入札をやり直す場合もあるという。担当者は「早い段階で苦情申し立てが問題ないと判断されれば、間に合う」と語った。

<国立霞ヶ丘陸上競技場も談合の疑い>
日本スポーツ振興センター(JSC)は、WTO(世界貿易機関)対象工事として一般競争入札した、国立霞ヶ丘陸上競技場等の解体工事2件の施工者を、北工区が18億6000万円(税別)、南工区が16億2500万円(同)で、ともに関東建設興業(埼玉県行田市)に決定、契約した。

7月17日に開札、特別重点調査対象となった応札者がそれぞれ無効となり、結果的に北工区で2番札、南工区では3番札だった同社が落札した。
今後、周辺住民ら関係者に工事説明などを行った上で、9月にも工事着手する。新国立競技場新営工事の施工者選定に向けた手続きも動き出す中で、2015年秋の“新聖地”建設に向けた準備工事が本格化する。                          

<国立霞ヶ丘陸上競技場解体工事の入札状況と落札>
<北工区には>

▽フジムラ(本社・江戸川区)=入札額(税別)16億4140万円 
▽関東建設興業=18億6000万円
▽松田都市開発(福岡市)=20億8000万円
▽西松建設=21億4000万円
のゼネコン1社、解体業者3社の計4社が応札。参加申請していた前田産業(熊本市)は入札前に辞退した。
 <南工区>は、
▽フジムラ=15億4140万円
▽関口興業(足立区)=16億4000万円
▽関東建設興業=17億2500万円
▽大和小田急建設=18億3600万円
▽松田都市開発=18億5000万円
▽前田産業=18億8800万円
▽安藤ハザマ=21億8000万円
▽フジタ=23億5000万円
▽関東建設工業(群馬県太田市)24億円
のゼネコン3社、解体業者6社の計9社が入札参加した。
参加申請していた飛島建設は入札前に辞退した。
 両工事は、6月に実施した入札の不落を踏まえて「建築一式工事」に「とび・土工・コンクリート工事」を追加するなど参加資格を拡大、クオリティーを確保した上で解体業者にも門戸を開いた形で再公告した。
この結果、前回ゼネコンの下請けとして参加した解体業者が元請けの立場で入札参加するなど、ゼネコンと解体業者による“受注競争の構図”となった。
応札企業数からも解体業者の関心の高さがうかがえる。また、両工事とも同一工種で構成する2、3社JVでの参加も認めていたが、いずれも単体での応札となった。

両工事は7月17日に開札した結果、ともに予定価格内での応札だったものの、北工区で1社、南工区で2社が、それぞれ特別重点調査対象となり、対象企業に調査報告書の提出を要請。対象となった南、北両工区で最低札を提示したフジムラと南工区で2番札の関口興業は調査報告書を提出した。JSCでは提出資料をもとに、入札価格の積算内訳、品質確保体制、安全衛生管理体制、建設副産物の搬出計画、施工体制などを調査した結果、両社とも無効とした。

<談合情報>
 その後、談合情報が寄せられたことから入札手続きを中断し、JSCは、第3者機関による調査を実施。談合の事実がないと判断して手続きを再開し低入札価格調査を実施した上で、関東建設興業に決定した。
 
国立競技場の解体は、RC造地下1階地上5階建て延べ約5万1600㎡のうち、北工区が約2万4000㎡、南工区が約2万8000㎡と各外構を取り壊す。北工区には、JSC本部棟(RC造地下2階地上4階建て延べ4500㎡)の解体が含まれている。
工期は、ともに15年10月19日まで。工事場所は、東京都新宿区霞ヶ丘町10-1ほか。
 北、南工区を一括した同競技場解体の工事監理業務は、岡野建築設計事務所、同競技場の解体に伴う記録撮影業務はNHKエンタープライズが担当。
解体に伴う国立競技場の壁面移設工事と銅像・銘盤・記念碑移設工事は、村本建設の施工で10月31日まで進める。
一方、新国立競技場新営工事は、スタンドと屋根の2工区に分け、それぞれ実施設計に対する技術協力と施工を一括したWTO対象の公募型プロポーザルの手続きを進めている。10月下旬にも特定、基本協定を締結し、技術協力業務委託契約を結ぶ予定だ。
以上、参考:日刊建設通信新聞社

<新国立競技場の建設公示>
1公示(政府調達対象)
工事名:新国立競技場新営工事(スタンド工区)
1)工事種別:建築一式工事
2)工事場所:東京都新宿区霞ヶ丘町10-1ほか
3)工期:約42ヶ月
4)工事概要:新国立競技場新営工事のうち、地上6階地下2階建て、延べ面積約21万㎡の競技場スタンド、フィールド、多目的利用のための転換機構及び関連する工事。
5)予定工事発注規模:1,500万SDR以上
6)公示予定時期:平成26年度第2四半期
7)提案書提出予定時期:平成26年度第3四半期
2公示(政府調達対象)

工事名:新国立競技場新営工事(屋根工区)
1)工事種別:建築一式工事
2)工事場所:東京都新宿区霞ヶ丘町10-1ほか
3)工期:約42ヶ月
4)工事概要:新国立競技場新営工事のうち、地上6階地下2階建て、延べ面積約21万㎡の競技場の屋根(鉄骨造)、開閉式遮音装置及び関連する工事。
5)予定工事発注規模:1,500万SDR以上
6)公示予定時期:平成26年度第2四半期
7)提案書提出予定時期:平成26年度第3四半期
※1,500万SDRの邦貨換算額は、20億2,000万円。
(平成26年4月1日から2年間。平成26年1月24日付け財務省告示第22号。)

何事もお話し合い、それも官主導の官製談合のお話し合い、和を以って尊しとなす。聖徳太子の時代から、官製談合が行われていたようだ。当然、物部氏側か曽我部氏側となる。政治も企業も談合を繰り返している。
入札調査といっても調査そのものが談合の可能性が高く、開催は形式的なものだろう。それでも1ヶ月以上解体工事の着工が遅れることになる。
 

[ 2014年9月13日 ]
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