ちぇっそもっさの四畳半

【聖杯問答】
一杯は酒とは言わん。一樽からが「酒」なのだ！


ロシアの格言には「一瓶はウォッカと言わない。ウォッカと呼ぶには1ダースが必要」と言う、ウォッカの「正しい単位」を教えてくれる言葉があったと思います。（良い子は決して真似してはいけないよ

「一献酌み交わそう！」と言って、唐突にセイバー宅を訪れたライダー氏が抱えていたのはワインの樽でした。なんとも豪快でありますが、身支度は一国の王から想像できないTシャツ一枚と言うカジュアルなもの。生真面目なセイバーさんも呆気に取られている（笑）

これより聖杯を巡って争う間柄、その聖杯を手にするにふさわしい器があるのか。その度量を計りにやって来たと言う。そこへ「町で偶然見かけたので誘ってみた」と言うアーチャーさんも加わって、3人揃って酒の席が催されました。

のこのこやって来るアーチャーさん。もしかして寂しがりやさん？なんか親しみが沸いて来たなぁ。これからは「あーちゃん」って呼ぼうかな（笑）

そんな冗談はともかく、今回はとにかく征服王たるイスカンダルのスケールの大きさを見せ付けられた回でした。

ライダーが言うには、王と言うのはとにかく強欲でなければならないと。それは臣民の夢となり、進むべき未来を示す先導者として王は君臨する。孤独でも孤高でもなく、臣民は王に「自分の中の王」を見て、自らが王となりて王に付き従う・・・。

なんとも遠大な理念ではないですか！つまりは「この王様に付いていれば自分は最強なんだ」と、王に自分を投影して同調する。王は自分自身でもあるわけですから、そこに意識のずれはない。これぞ正しき愛国精神ってヤツだと思います。

一方でセイバーは聖杯を手にしたら「運命を変える」のだと言う。つまり歴史を変えて故国を救うと。

しかしライダーはその言葉を一蹴してしまう。彼の言うことはこう言うことなのでしょう、「人のため」は「人のためにならず！」と。

自らを犠牲にするなんて馬鹿馬鹿しい。人間の生き方ではない。それよりも自らが手本となって生き様を示せと言うのが、ライダーの信念でありました。

いちいち素晴らしい言葉で目からうろこの落ちる思いで聞いていました。

セイバーさんは口を開けば全否定されてしまう。ライダーを前にすると彼女の小物っぷりが露わとなり「もうそれ以上しゃべっちゃダメ！恥の上塗りしちゃうから」と思ってしまったわけですが、でも決してセイバーも間違っているわけではない。ただちょっとお人よしなだけなんです。

確かにセイバーは王としての考え方をしていない。王は決して慈善家ではなく、指導者であり人の上に立つものなのですよね。ライダーとは単に方向性が違うだけとも言えるけど、過去に捕らわれてその呪いから救われたいと思っているのは彼女自身なのかも知れない。

ライダーの夢は矮小なものから壮大なものまで幅が広い。今回も、聖杯を手にしたらサーバントとしてでなく、肉体を持った人間として現代を生きてみたいと言うものでした。征服王の冠からは想像できない些細な望みで、ちょっと可愛いイスカンダルさん（笑）

でもそれは自らが望んだことであって、それが成就しようとしまいが、とにかく全力を尽すのみ。過去の悲劇について、そこに恨みつらみや悔悟の念が残っていたとしても「それはそれ」とし、決して後悔などしていない。

そう言い切れるのも、自分の人生に誇りを持って生きて来たと言う自負があるからでしょう。

もしセイバーが、不安にかられわだかまりのある過去を生きて来たとしたら、それがこの聖杯戦争に於いてどのような影響をもたらすのか。

そこら辺を切嗣は分かっていて、セイバーと距離を置くような姿勢を取っているのかも知れませんね。肝心なときに躊躇したり、逆に我を忘れて暴走したりだとか。

切嗣が望むのは冷酷非道な殺人兵器だろうから、精神的に不安定な要素を持つセイバーを全面的に信用するわけには行かないと言う事情があるかも。

さすがになんか「あれ？」って思った作画はともかく（笑）、内容的にはありがたいお話を聞けた中身の濃い回でありました。演劇的でもあり、こう言うの好きだな。

（※セイバーをウェイバーって書いてました。直しました。はずかしっ）


＠ムハンホウちぇっそ＠

にほんブログ村

タグ : Fate／Zero

2011/12/11 23:59 | アニメ感想 | COMMENT(0) | TRACKBACK(6)