「サリエリのオペラなど」
オルムスの王アクスール
第2幕: アタールのカヴァティーナ S'io ti salvai la vita (オルムスの王アクスール)
サリエリのオペラ「オルムスの王アクスール」の台本を読んでいきます。素人なので間違いがあると思います。ご参考程度にご覧ください。
【第2幕】
アスパジアがさらわれた悲しみと怒りを訴えるアタールに対し、アクスールははげますふりをしながら冷酷にいたぶります。
アタールはまだ、自分の主の悪意に気が付いていません。(『タラール』での該当場面はこちら)
カヴァティーナか。4分の3拍子、ニ長調、アンダンテ・ノン・レント。編成はホルン D、フルート、オーボエ、ヴァイオリン(二部)、ヴィオラ(二部)、ファゴット、低音弦楽器。(楽譜によってクラリネットが入る場合もあるようです)
※今回の記事には参考音源の動画はありません。
私があなたの命を救ったなら、 S'io ti salvai la vita,
それがご記憶に値するのなら、 se il degni rammentar,
かたきを討たせてください、 lasciarmi vendicar
私の宝のために。 il mio tesoro.
イ長調。
お待ちください、武装した船で Soffri che in nave armata
裏切りものを追うことを。 insegua il traditor;
ニ長調に戻る。
私が死ぬか、 ch'io mora,
再び見つけるまで、 o trovi ancor
私の愛するものを。 colei che adoro.
短い間奏。繰り返しへ。
お待ちください、武装した船で Soffri che in nave armata
裏切りものを追うことを。 insegua il traditor;
私が死ぬか、 ch'io mora,
再び見つけるまで、 o trovi ancor
私の愛するものを。 colei che adoro.
おしまい。
レチタティーヴォ・セッコになります。4分の4拍子、ト短調スタートか。
引っ込んでいたビスクローマが再び登場します。
(ああ、 (Ah,
アタールに警告しないと……) d'avvertire Atar...)
ビスクローマがアタールに近付こうとしている(想像)ことに、アクスールが気付きます。(想像)
ビスクローマ、 Biscroma,
何が望みだね? cosa brami ?
言ってみろ、 I detti tuoi
私だけにわかるように。 sìen da me solo intesi.
ご主人さま、 Sire,
あの美しい…… la bella...
ハ長調か?
美しきイルザが? Irza, la bella...
ええ……。 Sì...
イルザが……。 Irza...
こちらでは、「王がさらわせた美姫をイルザと名付けるシーン」はカットされていたので、ここのやりとりで補完しています。
おほん、彼女がどうした? Ebben, che fa ?
ニ短調か。
ここからレチタティーヴォ・アカンパニャートになります。
拍子は同じ。編成はヴァイオリン(二部)、ヴィオラ、低音弦楽器。
ご主人さま、彼女が Signor,
意識を取り戻しました。 ella rinvenne.
変ロ長調、アレグロの短い間奏。
アクスール王、 Axur,
あなたの偉大な魂が la tua grand'alma
はっきりと私に見えました。 è sensibile, io vedo;
あなたのまなざしに entro il tuo ciglio
喜びがきらめいたのを。 la gioia scintillò;
短い間奏。
ああ、 deh,
そのイルザのために、 per quest'Irza...
そのイルザのために、 per quest'Irza,
おお、スルタンよ、 o Sultano,
アタールは跪きます。(ト書きによる)
お慈悲を、 sii pietoso,
ご同情を、 ed umano,
不運な私にお与えください、 concedi ai mali miei
復讐という慰めを。 questo conforto.
ヘ短調→ ハ長調か。
「questo conforto この慰め」を「復讐」と解したのは話の流れからの意訳です。
アタール、 Atar,
正直に言ってくれ。 parla sincero:
お前はとても不幸なのか、 sei tu ben infelice,
本当に不幸なのか? ma infelice davvero ?
ああ、 Ah,
きっといないでしょう、 non ha forse
私よりも不幸な男は uom di me più meschino
世界のどこにも! il mondo intero !
マエストーソの間奏。
祈ってくれ、私の願いに Prega che ai voti miei
美しいイルザが従うことを。 la bella Irza si pieghi
ホ短調。
そうすれば何もないだろう、 E nulla fia
君の望みを拒むものは。 che al tuo desir si nieghi.
最後はイ短調→ ロ短調でしょうか?
アスパジアが自分のものになるようにアタール本人に祈らせようとするこのシーンは、本当に暴君の心が曲がってるなと思わされます。
今回はここまでに。お付き合いいただきありがとうございました。
=続きます=
【第2幕】
アスパジアがさらわれた悲しみと怒りを訴えるアタールに対し、アクスールははげますふりをしながら冷酷にいたぶります。
アタールはまだ、自分の主の悪意に気が付いていません。(『タラール』での該当場面はこちら)
カヴァティーナか。4分の3拍子、ニ長調、アンダンテ・ノン・レント。編成はホルン D、フルート、オーボエ、ヴァイオリン(二部)、ヴィオラ(二部)、ファゴット、低音弦楽器。(楽譜によってクラリネットが入る場合もあるようです)
※今回の記事には参考音源の動画はありません。
私があなたの命を救ったなら、 S'io ti salvai la vita,
それがご記憶に値するのなら、 se il degni rammentar,
かたきを討たせてください、 lasciarmi vendicar
私の宝のために。 il mio tesoro.
イ長調。
お待ちください、武装した船で Soffri che in nave armata
裏切りものを追うことを。 insegua il traditor;
ニ長調に戻る。
私が死ぬか、 ch'io mora,
再び見つけるまで、 o trovi ancor
私の愛するものを。 colei che adoro.
短い間奏。繰り返しへ。
お待ちください、武装した船で Soffri che in nave armata
裏切りものを追うことを。 insegua il traditor;
私が死ぬか、 ch'io mora,
再び見つけるまで、 o trovi ancor
私の愛するものを。 colei che adoro.
おしまい。
レチタティーヴォ・セッコになります。4分の4拍子、ト短調スタートか。
引っ込んでいたビスクローマが再び登場します。
(ああ、 (Ah,
アタールに警告しないと……) d'avvertire Atar...)
ビスクローマがアタールに近付こうとしている(想像)ことに、アクスールが気付きます。(想像)
ビスクローマ、 Biscroma,
何が望みだね? cosa brami ?
言ってみろ、 I detti tuoi
私だけにわかるように。 sìen da me solo intesi.
ご主人さま、 Sire,
あの美しい…… la bella...
ハ長調か?
美しきイルザが? Irza, la bella...
ええ……。 Sì...
イルザが……。 Irza...
こちらでは、「王がさらわせた美姫をイルザと名付けるシーン」はカットされていたので、ここのやりとりで補完しています。
おほん、彼女がどうした? Ebben, che fa ?
ニ短調か。
ここからレチタティーヴォ・アカンパニャートになります。
拍子は同じ。編成はヴァイオリン(二部)、ヴィオラ、低音弦楽器。
ご主人さま、彼女が Signor,
意識を取り戻しました。 ella rinvenne.
変ロ長調、アレグロの短い間奏。
アクスール王、 Axur,
あなたの偉大な魂が la tua grand'alma
はっきりと私に見えました。 è sensibile, io vedo;
あなたのまなざしに entro il tuo ciglio
喜びがきらめいたのを。 la gioia scintillò;
短い間奏。
ああ、 deh,
そのイルザのために、 per quest'Irza...
そのイルザのために、 per quest'Irza,
おお、スルタンよ、 o Sultano,
アタールは跪きます。(ト書きによる)
お慈悲を、 sii pietoso,
ご同情を、 ed umano,
不運な私にお与えください、 concedi ai mali miei
復讐という慰めを。 questo conforto.
ヘ短調→ ハ長調か。
「questo conforto この慰め」を「復讐」と解したのは話の流れからの意訳です。
アタール、 Atar,
正直に言ってくれ。 parla sincero:
お前はとても不幸なのか、 sei tu ben infelice,
本当に不幸なのか? ma infelice davvero ?
ああ、 Ah,
きっといないでしょう、 non ha forse
私よりも不幸な男は uom di me più meschino
世界のどこにも! il mondo intero !
マエストーソの間奏。
祈ってくれ、私の願いに Prega che ai voti miei
美しいイルザが従うことを。 la bella Irza si pieghi
ホ短調。
そうすれば何もないだろう、 E nulla fia
君の望みを拒むものは。 che al tuo desir si nieghi.
最後はイ短調→ ロ短調でしょうか?
アスパジアが自分のものになるようにアタール本人に祈らせようとするこのシーンは、本当に暴君の心が曲がってるなと思わされます。
今回はここまでに。お付き合いいただきありがとうございました。
=続きます=
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