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お年寄りの自慢話

2011 - 11/04 [Fri] - 00:56

 私は基本的に自分より年が上の方のお話しを聞くのは好きです、昔から。これは本を読むのと一緒で、自分はまだまだ経験や知識が足りないので、それをお年寄りの経験や知識から補うことをとても有益に考えているからです。

 ですからお年寄り、お爺さん、お婆さんの話を聞くことが苦にならないので、おかげさまでお年寄りの方々に可愛がっていただくことも少なくありません。有り難いことです。でも中には話を途中で聞きたくなくなるお年寄りの方がおられます。それは「自慢話ばかりする人」。

 大抵のお年寄りは年齢が下の者に対しては、押しつけがましくなく、しかし自分の長い経験から得たポリシーのようなものをさりげなく教えて下さいます。しかし希にいるんですよね、あからさまに「年下のお前より俺のほうがずっと偉い人生を送ってきている」という自意識が話の端々から滲み出ている人が。

 そういう人って自分の若い頃の武勇伝や仕事の自慢話ばかりするんですよね。日経新聞のスポーツ欄に豊田某という野球解説者が時々コラムを書いていますが、あれと一緒。豊田某も自分が若かった頃の西鉄ライオンズ時代の話を必ず書きます。それも「俺達の若い頃のほうがこんな感じで今よりもよかった」とさも言いたげに。

 確かに日経の購読者層は他の新聞と比べて年齢が高いでしょうから、豊田某の昔話を聞いて「そうそう、昔の野球のほうが面白かったよな」と楽しいのかも知れませんが、今の時代に生きている私たちから見れば年寄りの昔の自慢話ほど不快なものはありません。はっきり言って「そんな古い話されたって全然わかんねぇ」「だからなんだ?」の世界。「お前が野球してた時代と今じゃあまりに違いすぎて比較できねぇだろ?なのになんで昔の方がよかったと言い切れるんだよ?お前はそんなに偉い選手だったのかよ?」と文句のひとつも言いたいくらい。

 私の知り合いのお年寄りの中にも一人だけいます、マシンガンのように自分の話ばかりする人が。それも大昔の自慢話ばかり。もううるさくってしかたありません。「お前の昔話聞かされたって、こっちはつまんないだけだよ」と愛想演技が下手な私はあからさまに横を向いたり、寝たふりをしたり、ちがうところへ行ったりします(笑)。

 数十年前、場合によっては戦前の自慢話、しかもその話の端々に「自分は特別」「自分は他人より抜きん出てすぐれている」「自分は相当に儲けた」「自分の時代は本当によかったけど、今は全然ダメ」という自意識と他人を蔑む本音がちりばめられています。はっきり言ってそんな下らない自慢話を延々と聞かされたって、私がその話から得るものはほとんどありません。

 しかもそういうお年寄りの話に共通しているのは「何度も同じ話を聞かされること」。もうこれほどイライラすることはありません。時代背景もさっぱりわからない大昔の自慢話をするだけでなく、それをエンドレステープのように何度も繰り返し聞かされるものですからこっちもたまったものじゃありません。

 正直言って、こういうお年寄り達は嫌いです。誰だって他人の自慢話を延々と聞かされるのはイヤでしょうが、時代が全く違うお年寄りの自慢話を聞かされるほど不愉快で時間の無駄なことはありません。そういう自慢話ばかりして自分だけの世界を生きて、他人の話を一切聞かないような年の取り方だけはしたくないものだな、とつくづく感じますね。

 だって私たちは今の世界に生きていかないといけないんですからね。今の時代に適応して生きていかないといけないのです。それなのに「昔はよかった」「今の時代は大変で、お気の毒様」とガンガン横から言われたって、「んなもん放っといてくれ!お前に昔の自慢話を聞かされてもそんなもの今の時代どーしようもねえんだよ!」って言いたくなります。それを理解できないお年寄りとはもう会話になりません。

 私もしっかりと気をつけて年を取らなきゃ。

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