毎回プリズムのごとく視点を変えて語られる本作、今回は、事件の背後で通奏低音のように響く、首無しライダーのエピソード。
乳首はあるのに、首がない、デュラハン、セルティ・ストルルソンについて。(^_^;
デュラハンに関しては、かなり特異な設定ゆえか、けっこう文学作品に取り入れられているので、そういった欧州の文芸伝統とはまた違った、日本ライトノベル風味の味付けが目を引くところでした。
ワタクシ的には、ヴェデキントの『春のめざめ』終幕のような扱いの方が好きですが、こんな風に物語の背景にライダーとして走らせてみるのもまた一興ですね。
今回、人物像を絞り込んだ描写が少なかったので、まさに「語り物」をやってるような感じで、ややつかみどころがむずかしかったですが、筋としての面白さは健在で、いろんなモティーフを紛れ込ませてこの手法にもいろいろニヤリとさせてくれるところではありました。
首なし馬の従者をバイクにしてしまったところとか、死なないカラダ、生きた人体模型を使った解剖実習、等々。
中でもデュラハンを目撃した老似顔絵描きの使い方、なかなか面白かったです。
ようやくつかまえた日本でのデュラハンを知る男。
ところがようやく追いついてみると、既に岸谷が先回りしていて、老人に「首はなくても良い」と言っていた、というのは、同居していながらも、思惑の違いを含んでいる、という岸谷とセルティの関係を暗示してくれてましたし。
オカルトよりになると、このパノラマのようなグランドホテル形式のバランスが崩れるんじゃないか、と心配してたんですが、こういう処理ならそういうこともなく、普通に楽しめそうですし、今回ですべて語られたわけでなく、また輪舞が回ってきたときに、背景になったときの情報が加味されて語られることでしょうから、それはそれで、といったところかな。
つうことで、今までとは少し違う切り口で見せてくれましたが、相変わらずの物語ラインの強さでひきこまれますな。
岸谷父の異常さも、割とさらっと流されてましたが、今後になにやら含みがありそうでしたし。
ただ、人物的な視点ではちょいと希薄でしたので、本筋からはずれたところを簡単に回顧。
・本当に係わり合いになった人は寡黙になる。
神近莉緒・・・もう出てこない、と思ってたので、こういうモブ扱いでも嬉しかったですな。
こっちはもう完全にモブだった、似顔絵女子高生なんですが・・・。
冒頭に前回の小汚いヤマンバギャルまで映ってたので、モブでもいいからまたでてきてほしいものです。(^_^)
次回はいいんちょがらみになるっぽいので、いつもの人物主体の切り口に戻りそうですな。
でも予告の感じですと、むしろ紀田君がメインなのかな?