大阪のラジオ番組「誠のサイキック青年団」の異常な終わり方
大阪の朝日放送(ABC)ラジオで、15日日曜日25時、本来なら3月29日で20年の歴史に幕をおろすはずだった「誠のサイキック青年団」が始まる時間、事前のリスナーへの告知もなく、突然こういう放送が流れたそうです。
ABCラジオからのお知らせです。
長年にわたりご愛聴いただきました「誠のサイキック青年団」は、今月29日をもって終了するとお伝えしていましたが、諸般の事情により、先週、3月8日の放送を最終回とさせていただきます。番組を楽しみにされていた皆さん、ほんとうに申し訳ありません。
なお、ラジオをお聞きの方から様々なご意見を頂戴しましたことにも、お礼を申し上げます。中には、放送内容についてのご指摘もありました。お調べしたところ、一部に、リスナーの方々に大きな誤解を与えるような表現があり、この点について、話題で取り上げた関係者の皆さまに、ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
改めて、長年のご愛聴に感謝申し上げます。ありがとうございました。
このアナウンサーのナレーションの後、BGMが流れ、その繰り返しで、本来の放送終了時間である26時45分まで延々と流れていたそうです。聞かれていたリスナーの方がエントリを書かれています(参照)。番組ホームページ(参照)にも同様の文章が告知されています。
東の「伊集院光 深夜の馬鹿力」、西の「誠のサイキック青年団」。今、本当に深夜ラジオらしい深夜ラジオはこの2つだと思ってきただけに、この後味の悪い異常な終わり方は、すごく残念です。心がざわつきます。上記の「諸般の事情」や「放送内容のご指摘」が何かも含めて、終了の理由はまだわかっていません。
北野誠さんは、ブログでこのように書かれています。
ここに改めて…深くお詫び申し上げます(T_T)
本当にすみませんでした(><)名古屋のCBCラジオまで…たくさんのメール下さり、北野誠…感謝しております!長い間…ありがとうございました!
竹内義和さんは、こう書かれています。
今回の結果に関しては、僕たちも納得しています。
この番組終了の前にも、イベント中止があったりしていて、そこから察するに、どうしようもない事情があったのかもしれません。また、番組終了の情報をORICON STYLEにもらしたのが松竹芸能のマネージャーだったそうで(参照)、こうした動きも局側の不信につながったのかもしれません。それにしても、タイミングが悪すぎます。
今、番組コンテンツとしてのラジオは崩壊寸前です。これを示しているのが、ラジオスポットCM(20秒)の減少で、広告主も広告会社も、ラジオ媒体は、実質的に広告番組である30分または15分の冠番組、もしくは、番組内でのパブリシティにしか興味がないような空気ができています。ラジオなのにショッピング番組も増えて来ています。これは、ラジオ自体に魅力がない証拠です。放送局制作コンテンツにスポンサーをつけるという本来の放送コンテンツのあり方が、ラジオにおいては成り立たなくなりつつあります。
少し前に、このブログを通して出会ったラジオディレクターの方と、ラジオの今とこれからについての情報交換する機会があったのですが、そのディレクターさんの現場の話を聞いても、明るい材料がまったく見いだせない状態です。
大人の事情があるならあるで、それはしょうがないとは思うんですね。もう私も子供ではないし、この業界の端くれとして、どうしようもないことがあることは理解できます。許せない、とは言いません。でも、なんか最低限の筋を通すこともできたんじゃないかな、とは思います。それが、この状況で、少し残念に思ったことです。
(これから「伊集院光 深夜の馬鹿力」がTBSラジオで始まります。この一連の出来事について、何か言及があるかもしれません。もしあれば、この後追記します。ではまた。)
追記(1時30分):
TBSのストライキの話題が中心でしたね。でも、この話題も、「これ以上言うと、偉い人に怒られるから」との理由でお好み焼きの話題に移りました。こういうしなやかさは、伊集院さんらしいですね。このへんが、関西と関東の違いかもしれません。ちなみに、伊集院さんはとろろ入り、ちょっと硬めの「関西風お好み焼き」派らしいです。
あと、CM契約に「深夜ラジオだけはライバル商品のこともしゃべるよ」という条項を入れてほしい、という話題もされていました。で、そんな「調子乗っている」条項を受け入れる広告主はねえよな、みたいなオチでした。「深夜ラジオだけは」というところに、深夜ラジオ愛が感じられますね。私的には、設定によってはありだと思いますけど、広告主を説得する自信はちょっとないかもです。
追記(3月23日):
このエントリが書かれた次の週ですが、また同じアナウンスが1回流れ、そのまま放送終了でした。代替番組はありませんでしたね。日曜日の深夜でもあるし、もともとこの枠は、大阪では(もしかすると全国でも)ラジオ大阪の「ぬかるみ」以前は空白地帯だったので、このまま1時で放送終了という感じが定着しそうな予感がします。
追記(4月11日):
北野誠さんの芸能活動無期限休止のニュースがスポーツ新聞等(参照)で配信されていますね。「報道によると、松竹芸能 は10日までに北野の謹慎処分を決め、テレビやラジオのレギュラー番組を順次降板する方向で、関係者と調整に入っているという。」とのこと。北野さんのブログも閉鎖されています。原因がいまひとつわからないだけに、一連の流れが少し気持ち悪いですね。リスナーの話を見ても、あれが原因だろうな、というようなこともなかったような気がしますし。
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コメント
この番組で珍しいというか素晴らしい試みなのは、有料配信を行っていた点です。有料携帯サイトでパスワード発行、PCでストリーミングで聞けるという変わったものでした。
終了の不可解さは当然ありますが、こういうラジオ番組で有料配信が行えていたこと、課金コンテンツとしての価値がまだあることを認識して、活かす方向に繋げてもいいように思いました。
ショッピング番組はあまり好きではないですが、ビジネスとして別に悪くはないと思います。広告の価値は購買前のラストメディアとしての価値だとも思います。耳だけというメディアにも関わらず商品を買う人がいるのは、番組パーソナリティとリスナーとの信頼関係がないと成り立たないようにも思います。確かに量として弱いですが、受け手との強さをもっと見てもいいように思います。ただあまり活かせるのはないですが…。地方だと密接で、活かせているのかもしれません。
投稿: J | 2009年3月17日 (火) 02:01
>ショッピング番組はあまり好きではないですが、ビジネスとして別に悪くはないと思います。
ま、悪くはないし、悪いとも書いてないんですが、これ以上ラジオメディアがパブまみれになると、という程度問題を問うているわけです。リスナーもメディアとして信頼しなくなってくるだろうということですね。なので、論点が少し違うかもです。
少し前から話題になっていた、ラジオショッピングも、おっしゃるようにリスナーとパーソナリティの信頼が基盤になっているわけです。その信頼をつくるのは何か。それは番組コンテンツのクオリティですよね。
>活かす方向に繋げてもいいように思いました。
うーん、これも。ほかならぬ「サイキック」という番組が、地方メディアであるラジオ番組を全国のリスナーに課金コンテンツで届けるような価値のある番組だったからこそ、今回の出来事が残念だったわけです。
活かす、活かさないは、今回のエントリでは論点にしていません。それは個別にやっていくつもりだし、これまでもある程度はやっています。
きっと「ラジオ自体に魅力がない証拠」という言葉にひっぱられてお感じになったことだとは思いますが、書かれていないことについての論議というか、こういう論議のねじれは気になるほうなのでお返事させていただきました。
投稿: mb101bold | 2009年3月17日 (火) 17:18
はじめまして。本日未明の番組終了直前で、伊集院さんがちょっと話題にしていました。
非常に言葉を選んで、『かみさんに、おれも謹慎でラジオもすべてなくなっちゃったらどうする?って訊いてみた』という振りにしていましたが、他人事とは思えないといった感情が伝わってくる内容でしたね。
投稿: DKTOKYO | 2009年4月14日 (火) 21:43
DKTOKYOさん、はじめまして。情報、ありがとうございます。
そうですか。言及されてましたか。私は2時頃まで聴いて途中で寝てしまいましたので聴けませんでした。
いまだに何が原因かがわからない状態なので、ああいう深夜ラジオらしいラジオをやっている伊集院さんならそう思うでしょうね。
誠さんは名古屋のラジオでリスナーに謝罪していたそうです。私はあっさりサイキッカーですが、リスナーとしては復帰を待つしかないですね。
投稿: mb101bold | 2009年4月14日 (火) 22:44