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物価・賃金・くらし「2025年のマネー」何が変わる

渡辺精一・経済プレミア編集部
=Getty Images
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 モノやサービスの価格が高まるインフレが続き、金利の動向が注目される。2025年、暮らしとお金を取り巻く家計環境はどう変わるのか。年初に当たり、マネーをめぐる今年のトピックスを総括しよう。

「課税最低限103万円」引き上げへ

 2024年12月27日に閣議決定された税制改正大綱は、所得税の基礎控除などの引き上げを盛り込んだ。実現すれば、パートタイマーや学生アルバイトは非課税となる年収水準が上がり、減税効果は会社員ら働く人に広く及ぶ。

 衆院選で国民民主党が給与所得者の課税最低限103万円(基礎控除の最高額48万円+給与所得控除の最低保障額55万円)の引き上げ案を示し、自公国3党で協議していた。

 大綱は、基礎控除の最高額を58万円へ、給与所得控除の最低保障額は65万円へそれぞれ10万円、計20万円引き上げると明記した。

 課税最低限103万円は1995年以降、デフレ環境が長引き据え置かれていたが、近年インフレに転じ、特に生活関連の物価が20%上昇したことを反映させたという。国民民主は当初案の178万円を譲らずに協議を離脱し、与党だけで引き上げを決めた。引き続き協議は行うとするが、なお流動的だ。

 また、大学生世代にあたる「特定扶養親族」の扶養控除の要件である「年収103万円以下」も引き上げる。

 現在、大学生のアルバイトには、年収103万円を超えると親(扶養者)の扶養を外れ、親の扶養控除がなくなって、世帯の手取りが減る「年収の壁」がある。この要件を「150万円以下」に緩和し、150万円を超えても控除額が段階的に減る仕組みにする。

 23年末の24年度税制改正大綱では、高校生の年代の子を持つ…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。