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106万円の壁は撤廃?「社会保険適用拡大」三つの誤解

渡辺精一・経済プレミア編集部
=Getty Images
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 政府はパートで働く人の社会保険適用を拡大する方向だ。現在、従業員51人以上の企業で週20時間以上働き、年収106万円を超えると厚生年金・健康保険に加入するが、企業規模と賃金の要件を撤廃する方針。だが、国民民主党の減税策をめぐり「年収の壁」が注目されるなか、方針が報じられたため、誤解も広がっているようだ。その意味を正しく考える。

「106万円」と「130万円」は雲泥の差

 パートで働く人に社会保険料が生じる年収水準には「130万円」と「106万円」がある。水準を超えると保険料分の手取りが減るため「年収の壁」として意識されるが、意味は大きく違う。

 会社員など雇われて働く人は原則、厚生年金・健康保険に加入する。例外として、所定労働時間週30時間未満のパート労働者は適用外にできるルールがあり、自営業者らと同様、国民年金と国民健康保険に加入しなければならない。

 だが、会社員の配偶者は年収130万円未満なら、扶養家族として健康保険に保険料なしで加入でき、公的年金は「国民年金第3号被保険者」として本人は保険料なしで基礎年金が受け取れる。

 年収130万円を超えると、国民年金・国保に加入しなければならない。だが、保険料を負担しても給付は増えないため、130万円を超えないよう働く時間を抑える「就業調整」の誘因になる。これが「130万円の壁」だ。第3号の大半は女性で、会社員の夫に扶養されてパートで働く妻をめぐる問題といえる。

 就業調整は、女性の就労を抑制して人手不足を深刻化させる。政府はその対策として、パート労働者が厚生年金・健康保険に加入しやすくなる適用要件の拡大を2016年から進めている。

 国…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。