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11月から「フリーランスも労災保険」加入のメリットは

渡辺精一・経済プレミア編集部
=Getty Images
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 組織に属さずフリーランスで働く人が2024年11月から労災保険に加入できるようになる。多様な働き方としてフリーランスは注目されているが、雇用されて働く人と比べて立場やセーフティーネットが弱い。フリーランスを不利な取引から守る「フリーランス保護新法」が施行されるのに併せ、安心して働くことができる環境整備を進める。

業務上や通勤途中の災害に補償

 労災保険は、業務上や通勤途中の災害で、けがをしたり病気になったり亡くなったりした場合、本人や遺族に給付を行う社会保険だ。

 まず、制度の内容を確認しておこう。

 社会保険には、他に公的年金、健康保険、介護保険、雇用保険があるが、労災保険は対象や保険料負担の仕組みが他と異なる。

 保険料は事業主が全額負担し、労働者の負担はない。1人でも労働者を雇用する事業主は強制加入となり、正社員、アルバイト・パートなど、雇われて働くすべての労働者が対象になる。

 最近、空き時間に数時間だけ働く「スポットワーク」という働き方も広がるが、雇用契約があれば労災保険の対象だ。

 こうした特徴は労災保険の成り立ちに関係している。

 1947年施行の労働基準法は、業務上の災害には事業主の災害補償責任を定めた。だが、現実的には、労働者が事業主の過失を問うには時間や手間がかかり、事業主に支払い能力がなかったり倒産したりすれば補償が受けられない。

 そこで、早く確実に補償を行うため、労基法とセットで労災保険を作った。事業主にとっても、労災保険からの給付があれば補償責任が免除されるため、金銭的負担を直接負わずに済むメリットがある。

 労災保険の給付はどの程度あるのか。

 まず、労災対象にな…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。