政府は、医療・介護保険の保険料に金融所得を反映させる仕組みの検討を始めた。SNS(ネット交流サービス)では「個人投資家の保険料が上がるのではないか」という臆測があるが、誤解が大きい。検討するのは、主に高齢者らの配当所得の扱いで、サラリーマンは関係なく、NISA(少額投資非課税制度)は対象外だ。では、何を検討するのか。社会保険や税の仕組みから解きほぐそう。
確定申告の有無で保険料に差
社会保険料の算定方法は、社会保険の種類や加入者(被保険者)の区分によって違う。
公的医療保険には、会社員やその家族が加入する健康保険(組合健保、協会けんぽ、共済)▽自営業者らが加入する国民健康保険(国保)▽75歳以上が加入する後期高齢者医療制度――の三つがある。
健康保険の保険料は、給与・賞与の額に保険料率を掛けて求め、労使折半で負担する。加入者の会社員が、株式・投信の売却益や配当・分配金を得たり、アパート経営の家賃収入があったりしても、保険料には影響しない。
一方、国保と後期高齢者医療制度の保険料は、前年の総所得を基に市町村が算定する。複数の所得がある場合は合算が基になる。
40歳以上の人が加入する介護保険も同様の枠組みだ。40~64歳の健康保険加入者は給与・賞与が、40~64歳の国保加入者や65歳以上の人は前年の総所得がベースになる。
まとめると、国保▽75歳以上の後期高齢者医療制度▽65歳以上の介護保険――の三つは、前年の総所得を基に市町村が保険料を算定する。自営業者の「もうけ」に当たる事業所得、高齢者の年金などの雑所得のほか、家賃収入などの不動産所得など、原則すべてが算定のベースとなる。
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