高齢者就業とお金(2)
日本の会社は60歳定年が主流だが、継続雇用などで働き続けるシニアは多く、60代前半(60~64歳)の4人に3人が働いている。一般に賃金は大きく下がるため、賃金を補助する「高年齢雇用継続給付」制度があるが、2025年度から給付を縮小し、将来は廃止の方向だ。インフレのなか、シニア社員の実質賃金が下がることになり、企業は対応を迫られる。
「バブル世代」から最高給付率が縮小へ
高年齢雇用継続給付は雇用保険の制度で、65歳までの雇用促進のため1995年度に導入した。
雇用保険に5年以上加入している60~64歳の賃金が60歳時点に比べ75%未満に下がった場合に支給する。ただし賃金が月37万452円以上の人は支給がない。
給付額は、賃金の低下率が61%未満なら賃金の15%、61%以上75%未満なら低下率に応じて給付の率を減らす仕組みだ。例えば、定年前の賃金が月40万円で、継続雇用後は月20万円に半減した場合、給付額はその15%の3万円になる。給付金は課税されない。
給付金は、失業手当を受け取ったかどうかで名称が異なり、支給期間が違う。
60歳以降も元の会社で働き続けるなど、失業手当を受け取っていない場合は「高年齢雇用継続基本給付金」で、65歳になるまで支給する。一方、離職して失業手当を受け取った後に再就職した場合は「高年齢再就職給付金」で、失業手当の残日数に応じて支給期間は1~2年に限る。
高年齢雇用継続給付を受け取り始める人は年間17万人強。60~64歳の雇用保険加入者のほぼ4人に1人にあたる。1人あたりの平均給付額は月約2万7000円だ。
この高年齢雇用継続…
この記事は有料記事です。
残り2146文字(全文2842文字)