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60歳で預金3000万円「ビギナー投資」大失敗避けるには

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 会社員のA彦さん(60)は1月に定年退職を迎え、退職一時金を受け取りました。現在の資産は、退職一時金を含めて預貯金3000万円です。再雇用で仕事を続けていますが、賃金は大きく下がり、今後、貯蓄を増やしていくのは難しそうです。

 A彦さんは、資産運用について悩んでいます。これまで投資経験はなく、リスクを取ることには抵抗があります。一方、足元で物価が上昇しており、将来のインフレに備えて一部は運用する必要がありそうだ、とも感じています。A彦さんは「私のようなシニアが今から投資を始める場合の注意点を教えてください」と相談に訪れました。

「お金に働いてもらう」という考え方

 最近、物価上昇を肌身に感じたシニアから、資産運用に関する相談が増えています。

 銀行の定期預金は、金利が低く利回りも確定しているため、インフレが進むと、お金の実質的な価値は下がってしまいます。

 そこで、資産の一部を運用して、購買力の維持を目指すという方法があります。しかし、投資にはリスクがあり、投資元本を割り込む可能性もあります。

 どう考えればいいでしょうか。

 まず、無理をして投資する必要はありません。

 例えば、現在のように金利上昇の可能性がある状況で、なるべくリスクを取らずにお金を運用したいのなら、個人向け国債「変動10年」という選択肢もあります。

 個人向け国債は、元本割れがなく安全性の高い商品です。満期10年の「変動10年」は、実勢金利が上昇すれば利率も上がる変動金利型で、インフレにもある程度対応できます。

 ただし、お金は「適切な場所」に置けば「お金がお金を稼いでくれる」という性質があります。お金を運用することで、…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。