大阪メトロ御堂筋線で使われてきた10系電車が7月限りで全車引退する。大阪市営地下鉄時代の1979年に量産車として登場した時、第三軌条式の地下鉄では初めて冷房装置を搭載し、注目された車両だ。以後、各地の地下鉄に冷房車が導入されるきっかけとなった。
第三軌条式とは、走行用レールの脇に3本目のレールを敷き、そこから電気を取り入れて走る方式だ。東京メトロでは丸ノ内線と銀座線がこれに当たる。架線式と比べてトンネルの寸法を小さくでき、建設費を抑えられる利点があった。
だがトンネル内を極力狭くすれば、電車の屋根などに冷房装置を積み増すのが難しくなる。10系の冷房車化は、超薄型冷房装置の完成を受けての実現だった。
遅れた地下鉄の「冷房化」
実は地下鉄車両の冷房化は大手私鉄と比べると遅い。首都圏の通勤電車では京王などで70年前後には始まっていた。
地下鉄の冷房化が遅れた最大の理由は、電車の走行時にトンネル内にこもってしまう熱だ。当時の電車の走行制御は、大量の排熱が発生する抵抗器を使う方式(抵抗制御)が…
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