オードリー若林の憂鬱


11月28日に放送された『オードリーのオールナイトニッポン』のオープニングのフリートークでは、若林がある悩みを告白していた。

若林: 先程、雑誌の写真撮影をしていたんですけど。
春日: ああ、やりましたね、ニッポン放送内で。
若林: いろんな雑誌とかで写真撮るじゃないですか。
春日: ええ、撮りますねぇ。求められてますねぇ、春日は。
若林: いや、私も求められてることになるんですけども。
春日: 確かに。
若林: カメラマンさんに写真撮ってもらうときに、いろんなポーズの要求があったりするじゃないですか。
春日: まあ、動きがないとつまんないからね。
若林: 今日はちょっと春日さん、(2人で)腕を組むように指示されたの、初めてですね。
春日: 二人が、恋人みたいに腕を組むっていうね。ございましたね。
若林: 結局、組まなかったんですけども(笑)
春日: 組まなんだなぁー(笑)
若林: そうなんですよ。
春日: 30歳のオッサン同士がね、
若林: ちょっと、ご相談なんですけども、
春日: 解決しましょう!
若林: お笑いの雑誌で、アイドル的な側面からのアプローチの雑誌があるじゃないですか。
春日: ございますねー。
若林: 来年が寅年ってことで、虎の被りモノですか、
春日: ま、帽子みたいなやつね。
若林: そうなんですよ、トラの帽子みたいなのを被って、笑顔で、手をこう、招き猫みたいに
春日: ガオーと、
若林: ってやってくださいと言われまして。私、あの、かなり拒否反応が体から出てしまいまして……、春日さんに訊きたいんですけども、これはやるのが正解なんですかね?
春日: いや、やる以外選択肢ないでしょう。
若林: やっぱそうなんですか。
春日: それはだって欲っしてるわけだから。ただやり方って言うのがありますけどね。
若林: やり方が。
春日: 全力で可愛くいくのか、色々やり方はありますよ。でも、「やらない」っていうのはないですよ。
若林: なんですよね。でね、可愛くやってくださいって言われて強烈なブレーキ音が聞こえたんですよ、僕の心のなかに。
春日: ハハハハ。
若林: で、時代的にトンがってる事が面白がられちゃう時代じゃないですか。
春日: ちょっともうね、ありますよ。
若林: たとえば、トラの被りモノがかわいんですよ、またそれが。で、それを「やりません」っって言ったら絶対それはアウトなんですよね。
春日: そりゃ、アウトですよ。
若林: 何、トンがっちゃってんの?っていう。
そうなっちゃうよ。
若林: 前時代的な匂いがしちゃうわけでしょ? で、やったらやったでどうなの? 俺が満面の笑みで、いやマジで「アイドルのような笑顔でお願いします」って指示を真顔で出してくるんだよ。
春日: いやぁ、求めてるんだからね、そりゃ。
若林: オマエがアイドル系のお笑い雑誌手にとるわな、開くわな、トラのぬいぐるみ被った俺が笑顔で映ってたらオマエどう思う?
春日: 速攻、本を閉じるよ。
若林: ハハハハっ! そうだろ。俺は、春日に、というか、春日のような人にそう思われるのが怖い。
春日: だから、それは100か0だから、可愛くって言われたら、ほんとに可愛く行けばいいんじゃないの? (略)そうね、60くらでやったら一番キツイわけだから。
若林: 結局、迷った挙句、浅めに被った写真を撮ったんですよ。
春日: いやー、それは無駄な抵抗! っていうか誰も気づかないよ。
若林: どっちも泥沼のヤツなんですよ。キツくて、キツくて。キツイと思わないのかな?他の芸人さんもやってるわけでしょ? あれ他の芸人さんどうなんだろ? 全然違和感ないのかな?
春日: まあ、違和感がゼロっていうのはないんじゃないかな。
若林: いや、オマエはいいじゃん。なんか春日が自分のことをカッコいいと思ってやってるっていうふうに言えるから。
春日: まあ、そうでございますね。春日は何様でもやりようがありますよ。
若林: ですよね。
春日: まあ、リアル虎でいっても大丈夫、何も言われないし、可愛さ100でいってもOK。
若林: そうですよねえ。ブレーキ音はなんなんですか、僕の、この(笑)
春日: まあ、だから自分のキャパシティを超えてるってことでしょ。その場合はバランスって言うのが大事なんですよ、若林さん。
若林: 前もね、「バラを口に食わえてください」って言われて、ま、ま、聞こえてたんですけども、(聞こえないフリして)何気にバラを亀田のバッティングフォームみたいに持って「違います!口に食わえてください」って言われて、結局食わえたんですけども(苦笑)。あとなんか、発泡スチロールで出来たデカイ星を……(笑)。でさ、年齢がさ、中途半端なんだよ、31歳って。20代前半だったら全然いいじゃん。35歳なら、オジサンが調子乗ってるって(フザケた感じに)なるじゃん。中途半端なんですよね、31歳って。
春日: 確かに。だから、伝わらないってことでしょ? 読者の方に。ホントにノリノリでやってるのか、ちょっとオフザケでやってるのかが、伝わらないってことでしょ?
若林: そうそう。

アイドル扱いされたくない、というより、そんな資質がないにもそれを関わらず求められてしまう苦悩。
それは、芸人だけではなく、タレントであればほとんど誰もが通る道だろう。
「俺は、やっぱグレイゾーンなのが嫌なんですよ」という若林。自分が嫌だと感じるのと、大丈夫なのとの境が自分でも分からないのがやっかいなのだと話を続ける。

若林: でも、ディズニーランドのロケに行ったときに、耳のついた帽子を被ってくださいって言われた時は全然良かったの。チョー楽しかったから!
春日: どういうことだよ、わからんよ!
若林: (笑)。ラインが分かんないんだよ、ラインが。もちろん禿げヅラなんて全然被りやすいですよ。トラの可愛い着ぐるみなんて禿げヅラの800倍キツイですからね。
春日: 禿げヅラをキツイなんて言ってたらそりゃ芸人やってる資格がないくらいになっちゃいますから。
若林: うん。
春日: ディズニーランドで被るのと、(トラの帽子が)どう違うの? 可愛さで言ったら同じくらいでしょ?
若林: これは、もう、春日さんね、片手間に話してるけどもね、相当根深い話ですよ! だって俺、わかんねえもん、ディズニーランドの帽子はあんなにノリノリで被れたのか。
春日: ディズニーランドっていう、雰囲気がそうさせるのかね?

ナイツ土屋やノンスタ石田、U字工事などの親交のある芸人の名前を挙げ、彼らは嫌じゃない、違和感がないみたいだ、という若林。

若林: 俺、被ってるのって全然違和感ないのかな?
春日: 見てる側はないのかもわからんね。
若林: じゃあ、もうやれってことだよね。「仕事だろ、オマエいくつになったんだ」って話だな。でも……スッゲー、嫌なんだよ! 悩み続けてるんだよ……。

しかし、その後、リスナーからも、若林の悩みに共感するというメールはわずか1割。
芸人というのは元来、自意識の塊のような人がほとんど。それが本来の自分の本質から程遠いことを求められてしまう辛さは計り知れない。
若林の苦悩は尽きない。