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カテゴリー「くまもりNEWS」の記事一覧

【緊急シンポジウム】自然保護団体と猟友会が考える日本のクマ問題 in東京

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥山水源の森の生態系維持のためには、相当数のクマが必要です。クマ問題の解決はクマ数を減らすのではなく、まずは棲み分け復活のための餌場確保や被害防除が必須。地域のクマ対策の最前線に立つ猟友会の支部長や元行政担当者をお招きして、一緒に考えます。

日時:10月20日(日) 13:30~16:30

場所:日本教育会館 707号室(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)

地下鉄都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)下車徒歩3分

参加費:1000円

要申し込み(フォーム、もしくは電話:0798-22-4190  メール:[email protected]

申込フォーム⇒https://ws.formzu.net/sfgen/S19632911/

昨年のクマ大量出没
2023 年の夏は北海道や東北を中心に、過去最高の気温を記録。東北の秋の山の実りはブナ・ミズナラ・コナ
ラ全てが大凶作となりました。冬ごもり前の食い込み期、飢餓に苦しむクマたちが、里の柿やクリを求めて大
量出没。クマによる人身事故は全国で216 人と過去最多となり、駆除されたクマも全国で9097 頭と過去最多と
なりました。

クマを指定管理鳥獣に
環境省は、北海道、東北6 県、新潟県知事のクマ捕殺強化要請を受けて、2024 年4 月、シカとイノシシの捕
殺強化を進めるために創設した「指定管理鳥獣」にクマを加え、都道府県に総額25 億円の交付金を付けました。

クマ、絶滅に向かう恐れ
クマはシカやイノシシとは生息数が桁違いに少なく、繁殖力も弱い動物です。行き過ぎた人工林、急激な温
暖化による昆虫の大量絶滅、森林の下層植生の劣化、山でのクマたちの食料が激減している根本原因を無視し、
クマ数を大きく低減させてクマとの軋轢を減らそうとするなら、日本はオオカミに次いでクマを失うことにな
ります。

くくり罠への錯誤捕獲問題
シカやイノシシ用に大量に山の中に設置されたくくり罠に多くのクマたちが錯誤捕獲されて無駄に命を落と
している問題に対して、当協会は長年に亘り、環境省に対策を求めてきました。しかし、状況は全く改善されず、
悪化の一途です。

正しい解決法を
クマと人との軋轢問題は環境整備や被害防除で解決すべきで、捕殺強化による数の低減で解決しようとする
と、クマを絶滅させるまでクマ問題はなくなりません。クマたちの数が低減すればかれらの大きな働きで成り
立っている水源の森の生態系が壊れてしまいます。クマ問題の現場の最前線で現場を見続けてきた者たちが、今、
何をなすべきなのか、あるべき対策を話し合い、提言します。

■プログラム

第1部 クマ問題の最前線から報告

① 「生息地の再生と被害対策の普及が不可欠」
室谷悠子((一財)日本熊森協会会長、弁護士)
② 「クマ出没対応の最前線で感じるクマ絶滅の恐れ」
藤沼弘文(岩手県花巻市猟友会 会長)
③ 「あわら市と協力したクマ被害防除の取り組み」
吉村嘉貴(福井県猟友会金津支部 支部長)
④ 「くくり罠による錯誤捕獲問題解決のために」
竹下毅(( 合同)生物資源利活用研究所 代表/ 元長野県小諸市 野生鳥獣専門員)

 

とよに事務所のヤマモモを届ける

一切お世話をしていないそうですが、事務所のヤマモモの木に、驚くほどいっぱい実がついています。

ヤマモモは暖地性の植物で、尾根のようなやせ地でも育つそうです。

これまで北海道にいたので、ヤマモモを見たことがありません。

とよ君に内緒で味見をしました。

紫色に熟したのはそこそこ甘かったのですが、赤いのは酸っぱい!

グルメのとよ君のためできるだけ熟した実を採ってやりました。

とりあえず、ビニール袋2つ。

 

 

早速、担当の方にお願いしてとよ君のお世話日に持っていっていただきました。

ボランティアさん、差し入れありがとう!

とよ君がおいしそうにやまももを食べている様子をみなさんも下の動画で見てください。

 

 

とよ君はクワの実も大好きで、会員の庭に植えられた桑の木にびっしり実る実を、毎年、とよ君に差し入れしているそうです。

肥沃な大地である平地の木々の実りは豊作です。

山の木々(液果・堅果)は、元々、平地ほどは実らないのでしょうが、里に出て来ているクマたちが山に帰れるように、もう少し実ってほしいです。

とよくん獣舎のペンキ塗り作業がおわってピカピカに❗

豊能町高代寺内にあるとよくんの獣舎の塗装作業は5月17日に始まり、途中雨で作業日が変更になることも多々ありましたが、ようやく昨日終了しました。

以前より濃い緑色になり、周囲の樹木とも調和しているようです。

 

before

 

 

 

 

 

 

 

after

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンキの匂いが大好きなとよくんは、顔や身体をスリスリとこすりつけてペンキの匂いを堪能(?)していました。

 

 

 

ちょっぴり鼻にペンキがついているところもご愛敬。

 

 

連日作業をじゃますることなく、じっと静かに見守っていたとよくんの姿に塗装屋さんも、「かわいいね、えらいね」としきりにおっしゃっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にご褒美のハチミツをもらって夢中に舐めるとよくん、きれいになった獣舎で快適に暮らしてね!

 

皆さん、獣舎にぜひ遊びにきてください。

週に1度のお清掃ボランティアも募集していますので、こちらもご参加お願いします!

 

【お掃除ボランティア】6月は11日(火)・16日(日)・25日(火)を予定しています

ぽつんと一軒家に住む犬たちが、うれしそうに散歩に飛び出したのに家の前で動かなくなった訳

先日、和歌山県の山の中の一軒家に住む方を訪れた際に、お聞きしたお話です。

 

山に犬を捨てる人がいて、その方は3頭も保護飼育されています。

8月のある日、いつものようにうれしそうに家から散歩に飛び出した犬たちですが、家を出たところで立ち止まり、地面の臭いをかいでいたと思ったら、今日は散歩に行かないという感じで家に戻ってしまいました。

後でわかったのですが、離れたところにあるクリの木に、クマが来ていたのです。

足跡の臭いを嗅いだだけでわかるんですね。

争いを避ける動物たちの対応をすばらしいと思いました。

 

またこれも8月のある日、周囲のまだ青いクリの木の実を食べに、サルの群れが突然現れました。

今度は犬たちは、サルの群れに向かって一斉に吠えながら追いかけていきました。

サルの群れはどっと逃げていきましたが、しばらくするとまたもどってきました。

するとまた、犬たちが飛び出していって吠えながら追いかけます。

サルの群れはまたどっと逃げていきます。

これをこの日7~8回繰り返したところ、これ以来、サルの群れがここに来ることはなくなったそうです。

 

実際に闘ったり殺したりせずに折り合いをつけていく動物たちの知恵は、人間以上だと思いました。

 

自然の中で野生動物たちと人間が共存するには、犬が不可欠ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山の中の一軒家で保護飼育されている犬たち

 

この犬たちは、なぜか家の中にいることを好むそうです。

スクープ!指定管理鳥獣化主導の北海道でヒグマ個体数が過大に推定操作されていたことが判明

(はじめに、熊森から)

現在のクマの生息数推定計算は非常に複雑になっており、専門家でないとチェックは不可能です。
統計学の専門家である元日本福祉大学経済学部教授の山上俊彦先生は、この度、北海道のヒグマ生息数の推定過程を精査され、過大推定となるようにように操作されていることを見つけられました。

 

(本文)

以下は、山上俊彦先生のお話をまとめたものです。

 

北海道庁はこれまでクマの個体数推定方法を、全国で唯一非開示としてきましたが、2024年3月末の北海道ヒグマ保護管理検討会にて、やっと、道総研(地方独立行政法人北海道立総合研究機構産業技術環境研究本部エネルギー・環境・地質研究所)の研究者に依頼してきた1990年~2022年度末におけるヒグマの個体数推定方法の概略を提出しました。

 

概略なので大まかな輪郭が示されただけです。詳細まではわかりませんが、それでも今回の発表で、なぜヒグマの駆除数がこれだけ増加しているにも関わらず(2021年度のヒグマ捕殺数1030頭、放獣ゼロ)個体数推定値が増加し続けているのかがはっきりしました。

 

北海道ではヒグマの個体数を推定するにあたって、まず、北海道を7つの地域に分け、高密度地域は33頭、中低密度地域は20頭程度のヒグマから得たヘア・トラップ調査に基づいて、メスの生息密度を求めています。

 

例えば、渡島半島地域では2012年に渡島西部地で実施したヘア・トラップ調査の結果から、メスの生息密度推定値の95%信用区間は、下限値0.141頭/k㎡~上限値0.327頭/k㎡で、中央値は0.215頭/k㎡でした。

 

これに森林面積をかけて、メスの上限個体数を推定するのですが、当然のことながら、中央値である0.215頭/k㎡に森林面積をかけなければなりません。空間明示型標識再捕獲法(ベイズ統計学)を用いてクマの個体数を推定するにあたって、他府県では皆そうしています。ところが、北海道はなんと、上限値に森林面積をかけているのです。

 

しかもその森林面積はクマが生息できる自然林でなければならないのに、多くの人工林を含めた森林面積をかけているのです。

 

このように北海道庁が、生息密度の中央値ではなく上限値を用いたり、針葉樹の人工林を生息地にカウントしたりするなど、個体数が過大に推定されるように意図的な操作をしていたことがわかりました。

 

生息密度の上限値を用いた上限個体数を設定して計算機実験を行うと、個体数は非現実的な値に接近するまで増加し続けることになります。

 

しかも1990~2012年の間は個体数が増加し続けるように事前にプログラミングしていたこともわかりました。

 

その結果、全道の 2022 年時点のヒグマ個体数推定の下限値、中央値、上限値は、それぞれ 6,264頭、12,175頭、21,347 頭となっています。このとき、生息密度の「上限値」を用いて求めたのが個体数公表値の「中央値」となっているのです。
もし、このような操作がなされていなければ、北海道のヒグマ生息数は7000頭程度になります。実際の頭数は人間にはわかりません。

 

ヒグマを指定管理鳥獣に指定した環境省令は、このような北海道の個体数過大推定操作を精査せずに決定したものであり、この際、環境省は管理指定鳥獣にヒグマを指定したことを無効とすべきです。環境省のチエック機能はどうなっていたのでしょうか。このような操作によって国からクマ捕殺交付金を得ようとした北海道の要求は、誠に不当であると言わざるを得ません。

 

以下グラフは、道総研による、ヒグマ推定個体数の変化です。

 

 

 

熊森から

ヒグマの生息数が増えたか減ったかは、いつと比べるのかで答えが変わってきます。1990年という年はヒグマの生息数減少が危惧され、絶滅するのではないかと心配されて、道庁が春グマ狩りを廃止した年です。その年と比べるなら、ヒグマは増えたという答えしか出てきません。北海道開拓のころは間違いなくもっともっといたはずです。

 

では、何頭だったら適正頭数なのかということですが、クマという動物は、葉が繁る森の中を単独行動で大きく移動し、木々が葉を落とす冬には冬ごもりにはいってしまうという生態上の特性があるため、何頭いるのか生息数のカウントが不可能な動物です。まして適正頭数など、人間が決められるようなものではなく、生態学において「適正頭数」の判断基準などありません。

 

グラフの2022年推定個体数をみると、上限値と下限値の差が15000頭と幅があり過ぎです。もし、下限値が実態を反映していた場合、ヒグマが増えているとは到底言えません。

 

これからのヒグマ対策は、ヒグマの推定個体数に右往左往するのではなく、人身事故や農作物などの被害をどう減らすかに重点が置かれるべきだと熊森は考えます。多くいても人間のいない所にヒグマがいるのであれば問題はないし、少ししかいなくても人間の近くに出てくるようであれば問題です。現在、行政は、クマの個体数推定に膨大な予算を使っていますが、無意味です。こんな簡単なことに、専門家と言われる人たちがなぜ気づかれないのか不思議でなりません。

 

私たちの税金は、ヒグマを殺すことではなく、生息地再生や被害防除対策など、人とヒグマが棲み分けられるようにすることに使っていただきたい。その方が、道民の皆さんのためにもなると思うのですが、道民の皆さん、いかがでしょうか。(完)

 

 

🐾『子グマを守るため、軽トラに立ち向かった母グマを捕獲しないで』北海道 鈴木ひかる支部長 根室市長に申入書を提出

4月28日に、貴市で、林道を走行していた軽トラックにクマが襲い掛かったというニュースが流れました。母グマが、子グマを守るためにした行動でした。
5月1日、この母グマを山中に罠をかけて捕殺すると報道されたため、くまもり北海道支部ですぐに情報収集や申し入れをして、山の中に檻が設置されていないことは確認ができましたが、今後も引き続き対策が検討されるということでした。

 

5月10日、鈴木ひかる北海道支部長が、愛犬とともに8時間かけて高速を飛ばし、根室市役所を訪問、釧路から駆けつけた会員1名とともに、母グマを捕獲するため罠を設置しないでと市長宛要望書を提出ました。

 

 

 

🔴母グマの行為は正当防衛であること
 鈴木支部長は、今回は、子グマを連れた母グマに対し、偶発的にせよ誤って近づき、驚かせてしまったことが問題であり、母グマを捕獲するのは止めていただきたいと要請。
 対応していただいた担当者の方によれば、母グマを捕るというのは間違った報道で、これ以前に道の駅周辺や市街地近くでクマが目撃されており、市民生活に支障をきたしてはいけないということで、箱罠設置はそのためであるということでした。

 

🔵クマを誘引することもある罠設置でない対策を
 これに対して、鈴木支部長は、箱罠で駆除しても問題解決にならず、かえって箱罠は、もともとは問題がなかった、関係ないクマを誘引してしまうこともあり、かえって人身事故を誘発する危険があると伝えました。
住民にとっては、クマが出没しないことが大切で、出没させないためには、入ろうとする場所で、誘因物を特定して除去したり、電気柵や、防除柵を設置することが有効な対策で、島牧村での事例などを伝え、箱罠設置でない対策を求めました。
根室市では、今後も、引き続き会議で対応を協議するとのことでした。
地元、釧路新聞、毎日新聞、UHBテレビ(北海道文化放送)、読売新聞の記者さんが取材をしてくださいました(釧路新聞は有料記事です)。

 

🔴今後も引き続き、棲み分け対策の提案や協力を
 この晩、鈴木支部長が泊まったホテルのオーナーは、クマも他の動物も罠で取るべきでない、ヒグマに人の存在を知らせてやれば山でも事故は防げると言われていたそうです。根室市でも、生き物との共存を願う方はけっこうおられるとのことでした。
 5月11日、鈴木支部長は、朝は、クマがよく出没しているという道の駅周辺を視察して、帰宅。電気柵等の侵入防止対策を実施すべきとのことで、引き続き、根室市に対し対策の提案や協力をしていきたいとのことです。

事故0捕殺0のベテラン行政担当者のクマ対応 ③人間などに驚いたクマが建物に逃げ込んだ場合

(3)人間などに見つかり驚いたクマが建物内に逃げ込んだ場合

建物出入り口がギリギリ見える100mほど離れたところに担当者が車を止め、エンジンも止めて窓を閉めて待機します。クマに対して風下であったり充分な距離が確保出来ているようであれば窓を開けてもエンジンをかけていても大丈夫です。建物の扉は全開にしておき、夜になるのを待ちます。それ以外の人はすべて立ち去るか、規制線外に出てもらいます。クマをパニックに陥らせる回転灯やエンジン音などは厳禁です。

 

このようにして平静な環境を作って見守ると、多くの場合、人の動きが止まる午前2時から4時に、クマはそっと出て来て山にさっと帰って行きます。暗視スコープやサーマルビジョンでクマが山に帰ったことを確認します。

 

こうやってこれまで多くのクマを山に返してきましたが、交通事故等で怪我をしていた場合は一晩では出てきません。3日目ぐらいに建物から出て山に帰って行った例もあります。その間、飲まず食わずなので、水やえさを与える必要はありません。(与えても、飲まない食べない)

 

(4)クマのいる山に入る場合

私は、林業用の顔面シールドを付けたヘルメットをかぶって入ります。これだと、あっ襲ってきた!と思った瞬間、顔面シールド降ろし、顔面をガードできます。基本的に唐辛子スプレーは使いません。唐辛子スプレーが噴射できるように準備する前に、クマが目の前に来てしまう恐れがあるからです。

 

 

クマが人間に一撃を加えて逃げようとする場合、立ち上がってのしかかるようにして前足を振り下ろすことが多いため、しばしば前足の爪が人間の顔に当たり顔面の大けがとなります。(クマが人の顔を狙って襲ってくるのではなく、たまたま位置的にそうなる)顔面ガードを付けていると、このケガを防ぐことができますし、ヘルメットで頭を守れます。

 

クマから逃げきれないときは、出来るだけ戦います。先に金属が付いた靴で鼻か口を殴るか蹴ると効果的です。といっても、襲ってきたことは、今まで数百回山でクマに出会って3回しかありません。

 

もちろん唐辛子スプレーは非常に有効なので、一般登山者の方や、相手がヒグマである場合などには積極的に使用していただきたいです。私は行政担当者なので、唐辛子スプレーを使用してパニックになったクマが集落に下りて行って市民に危険が及ぶ恐れを避けたいという思いもあるのです。

 

(5)クマやシカが線路に入って列車に轢かれないようにするコツ(轢死が、すごく多い)

①シカの場合

シカが線路に執着する理由は多岐に渡るため、理由を特定するのは経験を積んだ人材でないと困難ですが、何故その場所で線路に入るのか理由を調べます。

鉄粉を舐めたくて入っている場合は、線路から離れたところに、錆びた古い線路などを置いてシカが舐められるようにしてやると、そこにみんなで舐めに行き、もう線路に入らなくなります。

 

②クマの場合
クマが線路を積極的に利用する主な原因は二つあり、ひとつには長距離を楽に移動するためで、もうひとつはシカの轢死体を食べるためです。
そのため列車がシカをひいた時には、出来るだけ早くシカの轢死体を線路外の山側に置いておくと、クマが次に轢かれるのを防ぐことが出来ます。
シカ避けとしてカプサイシン(唐辛子)を線路に塗ることがありますが、クマはカプサイシンに執着するので、この処置を施した路線では、次に、クマが轢かれる恐れが生じます。(完)

 

事故0捕殺0ベテラン行政担当者のクマ対応 ②夜の集落に餌を求めてクマが出た場合

(2)クマが夜間に餌を求めて集落に出てきた場合

人間への警戒心があるクマなので、問題を起こすことは少ないです。

夜間に集落周辺の餌を食べて山への朝帰りが遅れ、早朝人間に見つかってしまったクマも、問題を起こすことの少ないクマです。

夏場に住宅密集地の小学校の近くに夜間に出てきたクマがいました。夜間でも撮影可能な自動撮影カメラをかけた結果、そのクマは小学校のプールで泳いでから、山に帰って行ったことがわかりました。

 

行政担当者は家屋から何m離れたところに来ているかなど、情報収集に努めます。家屋から100m離れていても危険な時もあれば、毎年来ているクマで5mしか離れていなくても大丈夫なクマもいます。

 

その地域のクマ社会が成立していれば、経験豊かな母グマが子グマに教育を徹底させるので、何時頃にどこまでなら出て行っても安全か、クマたちは皆、理解しています。よそからクマがやってきても、そこの母子グマを見習って集落に近づき過ぎないように気を付けます。このような母子グマの存在は流れグマが来ても集落に近づき過ぎないように教え、集落を守ってくれる貴重なクマで、決して捕獲してはならないクマです。

 

 

事故0捕殺0ベテラン行政担当者のクマ対応 ①昼間の集落に餌を求めてクマが出た場合

ある町のツキノワグマなど野生動物対応のベテラン行政担当者(10年間引き続き担当中の男性)は、昨年度、それなりに次々とクマが集落に現れる中、クマによる人身事故ゼロ、クマ捕殺ゼロを達成されています。この方に、人身事故ゼロ、クマ捕殺ゼロのコツを教えていただきました。

 

コツは、一言で言うと、「クマを一切刺激しないこと」です。
人身事故を多発させている行政担当者のみなさん、行政対応に問題はなかったでしょうか。ご検討ください。

 

総論:まず最初に、なぜクマが集落に出て来たのか見分けること。

 

1、食べ物を求めて出て来た
→柿の実など、取り除くことのできる場合は取り除く。
・ただし、集落外縁のものを狙って出てきた場合は、下手に取り除くとクマが集落内に入ってくることがあるので、許容することも考える。
→気を付ける。
早春の渓流には、落実直後はタンニンが強く食べられなかった前年のトチなどが、渓流の水にさらされている間にアクがとれて、クマが食ベられる状態になっているため、釣り人は渓流でクマに出会うことがある。要注意。
→危険なので近づかない。
・シカの死体や腐乱死体に発生したウジ虫を食べに来ている場合は要注意。近くでのランニングやサイクリングは危険。

2、5月前後に、母グマまたは子グマが、発情しているオスから逃げようとして出て来る
→オスグマを追い払ってやると、山に帰る。

3、蛍の出る頃、早朝、集落の川で水浴びのために出て来たり、単に通行するだけなどの一過性のもの
→あまり問題視しなくてよい。

4、母から独立したばかりの好奇心の強い3歳くらいの若グマが、人間の集落を見に来る。
→見に来ただけなので、しばらくしたら自分から帰って行く。

 

 

各論

(1)クマが昼間に餌を求めて集落に出てきた場合

人間への警戒心が薄いクマであることが考えられるため、要注意。

連絡を受けた行政担当者はすぐに現地に向います。この場合、人身事故を起こさせないというのが行政としての一番の目標となります。とにかくクマを刺激しないように、クマから離れたところでクマの動きをそっと気長に見守ります。マスコミにはご遠慮願います。

警察官は遠く離れたところにいて、市民がクマがいる方向にやってこないようにするという役割に徹してもらいます。

クマがもし集落内へ移動するようであれば、少人数の専門員でクマに気づかれないようできるだけ離れて一定距離を取りながら付いていき、そっと監視し続けます。

クマをパニックに陥らせるパトカーの回転灯やサイレン、拡声器などは一切厳禁です。

大声や爆竹で脅したり追い払おうとしたり追いかけたりすることも厳禁です。そんなことをすれば、クマが見当が付かない方向に逃げだしたり、反対に物陰に入り込んで動かなくなることがあり、これが人身事故につながります。出来るだけ普段と変わらない静かな環境を保持し、クマが平静に山に帰るまで見届け、終わります。

人がそっと離れたところから見守っていたことに、クマは気づいています。

 

5月7日プールに入ってぐるぐる回りを楽しむ「とよ君」

大阪府豊能町の高代寺山山頂近くにある「とよ」のクマ舎は、今、新緑に囲まれています。

日中暑い日も増えてきた5月、ボランティアさんたちのお掃除が終わり、寝室に閉じ込めていたとよを運動場に出してやると、水換えが終わったプールにさっそく入って、楽しそうにぐるぐる回って遊んでいました。

 

 

ボランティアさんが「とよ君!」と声をかけると、コッ、コッと嬉しそうな声を上げて、びしょびしょのままプールから上がって来て、ボランティアさんが作ってこられた、氷の中に入ったキウイのおやつを爪でガリガリほじくりながら、一生懸命食べていました。

 

毎日の食事のお世話をしてくださっている方には、特に甘えて近寄ってきたり、その方を目で追ったりする姿をよくみかけます。そういう瞬間を見かけると、とても微笑ましくうれしく思います。

 

クマは本来、マスコミが連日伝えているような凶暴で恐ろしい動物ではなく、人間の対応次第で人間に心を開き、人間と信頼関係を結べる動物であることが、愛情深く飼うとよくわかります。

 

10頭のクマと20年間家族として共に暮らされた宮澤正義先生の、「犬を特別賢く、我慢強くしたらクマになる」という言葉は至言だと、改めて思います。

フィード

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