私の姉は、今日で29歳になる。
私の幼い頃の思い出は、姉にパシリにされたり、姉からの理不尽な暴力に耐え続け母親に泣き付く光景ばかりである。
今でも私が見る悪夢は、実家で姉に追い掛け回されたり、理不尽な暴力を受ける内容ばかりである。
そんな勝ち気で暴力的な姉は、そこそこ顔が良く、胸が平均よりも少々大きかった為か、学生時代に告白される事が多かったそうだ。
下駄箱に入ったラブレターで呼び出されてみれば、持ち前の勝ち気な暴力性を発揮し、告白してきた男を言い負かして追い返し、ゼミの飲み会で酔い潰しに掛かって来た男を逆に酔い潰しては、帰宅後に寝ている私を叩き起こして武勇伝を朝まで語り続けるのだ。
卒業後は、某官公庁向けに大口の仕事を貰っているシステム会社の子会社に勤め、若き暴君として社内や親会社の担当者を手懐けて実績を上げているそうだ。(姉談)
名実共に仕事一直線となった姉は、順調に行き遅れ街道を走り続けた。
姉を理解出来るのは、幼い頃から暴力や理不尽に耐え続けた自分しかいないだろう。
呆れ半分、もう半分は本気で思っていた。
そんな姉が29歳の誕生日。
今日、籍を入れたと突然聞かされた。
相手は、昨年から仕事上で付き合いのある外注先の男だそうだ。
久しぶりに会った姉は、私の記憶の中にある顔つきとは少し異なっており、
目付きが心なしか柔らかくなっていて、少し化粧が濃くなったなぁと思った。
そんな幸せそうな姉の顔を見て、私にとって一つだけ、ただ一つだけ心残りな事があるとすれば、
そんな姉は実在しないと言う1点に尽きる。
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