« 一部ブロガー、広告記述内容に対する説明を代理人に対して求めるメールを送達 | Main | 民主党時代の対中国対応が配慮に満ち溢れている件で »

2013.03.05

孫泰蔵氏はともかく、なぜいつもフジテレビに馬鹿が誤爆するのか

 まったく理解できん… なんかフジテレビ(フジメディアホールディングス)の26%筆頭株主がソフトバンクだとか頭のおかしい話が流布されていて、またこれが2ちゃんねるで自民党筋とされるIPから書き込んでいるとかいう話が出て頭痛が痒い雰囲気になっておるわけです。

 「内閣にちくってある」そうなんですけど、ガセネタ含みの情報まともに取り合うほどヒマじゃないでしょうから、当局も。

じゃあの氏がフジテレビ・ソフトバンク・朝(以下略)
http://www.news-us.jp/article/341784062.html

 もちろん、朝鮮半島方面に日本の資金が不当に流れていってるんじゃないか、と警戒する気持ちがあるのは分かりますよ。でもねえ、SBIはソフトバンググループではもはやないし、フジメディアホールディングスの株主状況は少し調べればここで書かれているような疑惑は少なくともフジにはないことぐらい理解できるでしょう。

Fmh_130305

 四季報に書かれていることが嘘だ! というのであれば、SBI、ソフトバンクなど問題とされた企業の有価証券報告書を見て、保有資産欄を見ればよろしい。EDINETぐらい自力で検索できるよね。現状で、フジメディアホールディングスの筆頭株主は東宝です。

 確かに外国人持ち株比率は保有ベースで26%ですけど、議決権ベースでは当然放送法の枠内で20%未満に抑えられている。保有ベースが問題だって言いたいのもまあ分からんでもないけど、まさか26%全部が韓国・北朝鮮資本なわけがないでしょ。それに、株主提案という形で外国人株主が保有割合を背景に経営に意見をした形跡もありません。

Fmh_2_130305

 確かに、CJインターネットジャパンやテクノブラッドは半島にお金を流しているという嫌疑をかけようとしたらその通りだと思います。ただ、彼らは単に韓国資本ですよ。儲かった金を韓国に送ることは別に不自然ではないし、それは問題にならないのではないですか。北朝鮮に関連しているという話が出ていますが、これはもう少し詳しく聞いてみないと分からないですね。ただ、例えば当局がこれらの企業が北朝鮮に資金を提供しているのだというような問題があるのだとするならば、知らないとはちょっと思えないわけです。総連系経済人のリストは把握、確認しているでしょうから。

 もしもSBI系列が韓国系資本に対して有利取引を持ちかけていて問題だ、とするのであれば、韓国系銀行で放漫経営によって微妙なことになった現代スイス貯蓄銀行にSBIファイナンスコリアが203億円だかの増資に応じる件のほうがよほど国民の問題としては重大です。日本市場で集めた金を立ち直るかどうか微妙な韓国系銀行にブチ込むSBIグループの判断は疑わしいって騒ぐほうがよほど健全ってもんです。価値のない韓国の銀行に200億日本の金入れてどうするんだろうとは傍目には思うところです。

현대스위스저축銀, 일본계 SBI파이낸스로 넘어가나
http://biz.chosun.com/site/data/html_dir/2012/05/08/2012050801715.html
株式会社現代スイス貯蓄銀行の株式取得のお知らせ(開示事項の経過)
http://www.sbigroup.co.jp/news/2013/0213_6469.html

 また、韓国文化院については指摘の通り、おかしいところはあると思います。ただ、上記情報をもって「これってソフバンとフジが資金洗浄に使われてるってこと?」などという結論には(少なくとも提示された情報では)絶対になりませんし、点と点が仮に視認されたとしても、北朝鮮への送金(例えば地下銀行などを通じて)という話には直結しません。

 個別で、例えばソフトバンクが韓国と結びついているという話は、そりゃあ多少はあると思いますよ。ただ、それよかスプリントネクステルの買収でもアメリカから文句のついている中国企業(ファーウェイなど)との結びつきが強くて、ソフトバンクの調達が安全保障上の問題になりつつあることのほうが、遥かに大事ですよねえ。このあたりの本格的な情報があれば、政府も当局も正座して話を聴くかと思いますけど、そういう肝心な話は出てこないです。

 韓国や北朝鮮は警戒するべき点が多いし、なるだけ経済的にも社会的にも関わりたくないという人が居るのはとても良く理解できるのですが、少し調べれば分かるような話を当局に持ち込んでもノイズになるだけだと思うので、もう少し控えましょう。


« 一部ブロガー、広告記述内容に対する説明を代理人に対して求めるメールを送達 | Main | 民主党時代の対中国対応が配慮に満ち溢れている件で »

メルマガ

  • メルマガ広告
    やまもといちろうによる産業裏事情、時事解説メルマガの決定版!ご登録はこちら→→「人間迷路」
    夜間飛行
    BLOGOS メルマガ

漆黒と灯火バナー

  • 漆黒と灯火バナー
    真っ暗な未来を見据えて一歩を踏み出そうとする人たちが集まり、複数の眼で先を見通すための灯火を点し、未来を拓いていくためのサロン、経営情報グループ「漆黒と灯火」。モデレーターは山本一郎。詳細はこちら→→「漆黒と灯火」

プロフィール

  • Profile

    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

My Photo
無料ブログはココログ