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2012.04.17

真面目に経営に取り組んだ結果、会社を潰すことは経営者にとって恥ではない

 正直、起業ってのは運です。どんなに優れた製品やサービス、技術でも、市場の折り合いが悪かったり、巡り合うべき人と出会えなかったり、ほんとちょっとした交通事故のような取引のトラブルで世に出せず、資金が続かなくて会社が倒れてしまうことはあります。

 会社が潰れるというのは、ある意味当たり前なんですよ。

 だから、潰れたときのことを、みんな見ています。会社の資金繰りが悪いのに高い遊興費を使っていないかとか、派手なオフィスにいるかとか、事前に資金状態が苦しいなどの情報を出してきて協力を要請してきていたかとか、潰れそうだと言うとき連絡が取れないとか、そういう話。

 再チャレンジできる社会を! という掛け声はもちろんその通りだと思うんですが、チャレンジを容認するかはどう潰したか次第です。いろんな人に、迷惑は一応かけるわけだから。でもねえ、債権者集会に出て、100%取れるなんて思う人はいません。また、経営者同士と言うのは、資金繰りの苦労や、伸びない売上や、信頼しきれない部下や、油断のならない取引先や、いろんな共通体験を持っています。そりゃあ売掛金が回収できないのは痛いけど、でもそういう会社とそういう取引条件でやれと指示したのは経営者であり幹部であって、うちのミスでもあるんです。

 苦しければ、苦しいと言ってください。必ず何か方法はあります。潰れそうであれば、相談してください。だって、どうしようもないんでしょ。そういう経営者として以前に人としての問題で、会社の経費使いまくって、放蕩して、その結果会社が潰れそうなので逃げちゃいました、なんつー人の再チャレンジを誰が支援すると思うんですか。

 プロジェクト単位でもそういうことがあります。なんか仕切りきれなくなって、資金の帳尻がつかなくて、出資先各社にぎりぎりになって追加出資を求めてくるようなの。本当にやめてください。そういういい加減な仕事。遅れるなら遅れるで、一言あればどう対応しようか、ってなるじゃないですか。みんな、損はしたくないし、どうにかしたいもの。

 景気が悪くても、業界が流動的すぎても、前を向いて仕事をしている会社同士しっかり最後まで仕事をやりたいわけです。着地がたとえ悪くても、最後までやったってのが大事で、じゃあ次をどうするかってなるじゃないですか。そういう当たり前のことを続けていく中で、たまに折り合いが悪くて会社が潰れてしまった、っていう話なら、喜んで再チャレンジに手を貸しますよ。

 どうもその辺を誤解している奴が多いんじゃないかな。困ったものです。

# クリエイターだから失敗しても許される、どう言っても大丈夫、ってのも最近多いなあ…。ええ、私はクソ野郎ですともよ。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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