調整事を面倒くさがる人たち
組織が大きかろうと個人事業主だろうと、関係者各位に必要な情報を送って事情を知っておいて貰って、そんで意志決定を求めるなり所定の方針に反対されないようにするというのは必要な根回しだと思うんですけどね。
そりゃあ大御所が「俺は聞いてない」とか言って、非合理な根拠で反対に回るのはだるいし面倒くさいのもまた事実ではありますよ。お前に喰わせる飯など本当は出したくないっつーの。でも会議の席上で反対論ぶたれて、いちいち反論するのは相手の面子を潰すことにもなるし、なるだけ内々に話を通しておいたほうが、あるいは見落としがちな懸念点を洗い出してもらっていたほうが、合理的じゃないですか。
段取りとか調整って、「本来の仕事じゃない」と思いたがる人が多すぎる気がしますけど、案件は着地し成立してナンボなところがあるので、それを嫌がって後回しにして、イザってところで反対されて頓挫するより、やりすぎるぐらい段取っておいたほうが、結局は成功確率が上がるってものなんじゃないですかね。
案件の予習復習や、ある種の根回しってのは、物事そのものよりもはるかに大事なのに、上が権限を与えてくれないから反対が出て先に進まないとか、本末転倒なんじゃないのと思います。
スタンドプレーが決まれば、そりゃあかっこいいと思いますよ、誰の力も借りずにうまくコトが運ぶのならそれはその人の能力の高さの証なんだろうから。でも実際にはねえ、滅多にそういうのは決まらないんですよ。露顕したら足を引っ張る人もいれば、自分のポジションにとってマイナスだ、となれば当然反対に回る人も多いんだから。
むしろ、この案件は多くの人たちの意見を聞いて、しっかり議論を積み上げてきました、というほうが通りやすいし、本当に議論したらつまんない内容になるのでそっと落とし穴を仕掛けたり、握ってないのも盛り込んだり、いろいろ手当てをするわけであります。それができてはじめて、大人の仕事だと思うんですけどね。
まあ、大御所に根回しにいった瞬間に切られて涙目とか、あるわけだけど。つまんないところを見抜いて仕事を停滞させる大御所には困ったものである。一刻も早く貴殿のお通夜に参列したいです。早く。
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肉体労働の現場は、段取り一番。これを学習するには、掃除が最適。なんでま、会社というところは、共有スペースを清掃業に丸投げするのはわかるけど、個人スペースまで丸投げするのかね。特殊な天才でない限り、机の上がごちゃごちゃとかありえないでしょ。
すべては、丸投げが最悪な結果になるんだよ。自分で解決しなくてはいけないのが、解決できなくなってることにも気がつかなくなって、しまいには最悪な結果になるんだよ。
で、丸投げばかりしている企業に解決能力は期待できるわけないでしょ。政府が、丸投げ企業に丸投げして、知識人に丸投げして、さっさか、丸ハゲになってもらいたい。あと恥ずかしいのは、知識を得るのも本に丸投げしてそこから引用してるだけで、自分の手足目耳をつかわず、知ったかぶりだよね。
Posted by: | 2011.06.13 21:35
稟議書が形骸化してる会社の話みたいで笑った(笑)
そんな話じゃないんだろうけどね。
Posted by: ダル | 2011.06.14 07:35
そういう奴が大御所の地位を保っていられるのはなぜなんだぜ?
Posted by: name | 2011.06.14 08:01
結局、権力より名声欲しがるタイプが出世するからでしょ。権力欲強いタイプはタイプは違えどマネージメントを覚えるからなぁ。
Posted by: Ak | 2011.06.14 13:08
本来は基本中の基本のはずなのに、そのダルさゆえに怠ってしまいがちなことですよね。
自戒を込めてそう思いましたです。
そういや、民事で10年ほど前に争点整理手続が3種類も整備されたのも、刑事でつい最近公判前整理手続が導入されたのも、まさにそういった弊害(ex.本チャンの訴訟が始まってからちゃぶ台返しする奴が現れ、相手方は面食らい裁判官も困り果て、大紛糾の末訴訟が迷走・長期化etc.)を仕組み的に回避することも狙いのひとつだったんだよなあ、とか思い出しました。
公的な根回し・調整促進システム、というか。
どの業界でもそして誰であっても、地味で面倒な仕事からは逃げたいし、自信があるならあるでスタンドプレーを決めてみたいという誘惑はあるわけですね。
Posted by: matu | 2011.06.14 15:28
同心円状に動いていると思うかもしれないが、しかし実際は停滞を呼んでいるだけですね
自由で仲良くも、上様がダメと言えばダメな社会ではなく、自由議論から新しい道が開けるのではないですか?
私の心臓が止まる時にはお金がないので即刻火葬でバイバイ
遺灰は適当に流して下さい
ニュージーランドがありえません
国を立て直すには外交努力でした
しかしそれすら出来ない国がありますよね北朝鮮とか
管さんは外交努力に非常に成功していたのではないでしょうか
しかしこの財政難では、高齢者も含めてしまうくらい深刻な国内努力が必要になってきます
リハビリ政権にしてはならないと思います
情報公開して地方から訴えられていることを計算して決断して即刻政権交代するべきだと思います
大連立の夢は計算されていますか?
どちらが有益ですか?
妄想ではなく現実的な見方をして有益な方を取るのがいいと思うのですが…
私が嫌いなら、直接文句を言って下さい
Posted by: h | 2011.06.14 23:24
>管さんは外交努力に非常に成功していたのではないでしょうか
ちょwwwww
どこが?
なんかコメントにフイタwwwww
Posted by: とおりすがりの。 | 2011.06.14 23:59
とはいえ、やりすぎはあると思います。
私の経験したプロジェクトですが、根回しに数ヶ月をかけました。Aさんに根回しするために必要なデータを大量に集めて立派な資料を作って、Bさんに根回しするために必要なデータを大量に集めて立派な資料を作って・・・と根回しのために何人も投入して何ヶ月もかかりました。
確かに根回しのおかげもあって(?)反対されることはありませんでしたが、結局は商機を逃してしまいました。また、根回しにリソースがかかるので、企画・実行できるプロジェクトの本数も限られてしまいます。
成功確率90%ですが10案件しか出せないのと、成功確率は70%でも30案件出せるのでは、後者の方が優れているとも言える気もしますがいかがでしょう?
根回しせずに会議で反対され、反対部分を修正して再調整の方が早かったりもします。事実。根回しをしない部署はたくさんのプロジェクトを成功させており、丹念に根回しをする部署は成功プロジェクトが極めて少なくなっています。根回しのやりすぎということもあるかと思います。
Posted by: 吊られた男 | 2011.06.15 00:49
>何ヶ月もかかりました。
ご愁傷さまでした。そんなこともありますね。
でも、相手の”秘孔”等を含めて、「何処を押さえておけば、さくさく根回しできるか」に日頃からアンテナ上げておくのも、必要ですよ。
Posted by: meritt | 2011.06.15 11:39
>吊られた男さん
私もうすらでかい民間企業に勤めてた時に似たようなことがありがちだったのでよく分かります。
とにかく意思決定が遅れがちで。
まあケース・バイ・ケースというか、組織のサイズ(図体がでかくなるほど事前調整に手間と時間がかかりますよね)や案件の重要度に応じてコストを比較衡量して、適度にすっ飛ばすこともある程度必要なんじゃないでしょうか。
隊長のエントリの主旨も、事前調整を常に徹底すること自体が重要なのだということではなく、煎じ詰めれば「最終的に一番効率よく早く落とし所に辿りつける方法を工夫してよ」という点にあると思われますし。
しかしまあ、その「適度に」っていうさじ加減の判断が難しくて、失敗は大抵そこから発生するわけなんですけどね。。。
Posted by: matu | 2011.06.15 13:35
なんか私のことを言われているような感じだな。。。
Posted by: h | 2011.06.15 21:09
非営利組織を運営できれば営利会社なんて、と言ったのはドラッカーでしたか。たしかに商店会や町会は根回しが仕事みたいなもの。
Posted by: 商店のオヤジ | 2011.06.16 22:38