センスが良くて個性的な家を設計してもらえそうだが、とにかく設計費が高そう――。新築戸建て住宅の購入を予定している人が建築家に対して抱えているイメージだ。

 日経アーキテクチュア8月27日号「建築世論&ランキング」欄では、「なぜ住宅設計を建築家に頼まないのか」というアンケート調査の結果を掲載している。調査対象は、25歳以上で新築の戸建て住宅購入を予定している人だ。

 そのなかの、「建築家に住宅設計を依頼することについて持っているイメージ」を尋ねた自由記入欄で、以下のような回答が多数を占めた。

 「設計費が高いうえに、建築コストも高くなるのではないかというイメージがある。もとより一般庶民には縁がないといった感もある」(34歳、男性)
 「工務店やハウスメーカーに依頼するよりも確かな設計をしてもらえそう。ただし、設計費が高額になるように思えて、依頼しようという気にあまりなりません」(44歳、男性)
 「自分たちの希望に柔軟に対応してくれそう。ただ設計料の相場がわからないので不安」(26歳、女性)

 「高そう」「高額」と記入していた回答が約半数。予想はついていたが、これだけ多数の回答を目にすると、あらためてイメージだけで「建築家」が語られる現状の問題を感じずにいられない。現実を知ったうえで「やはり高い」と思われるなら仕方ない。漠然と「高額になるように思えて」「設計料の相場がわからないので不安」なのだ。

 ちなみに、「住宅の設計を誰に依頼したいか」という問いに対して「個人の設計事務所」と回答したのは13.0%。個人の設計事務所に依頼したくないと回答した人に、その理由を尋ねたところ、「設計費が高そう」が71.7%だった。

 建築家が何をしているのか、その業務に対してどの程度の設計料を受け取るのか――。目安や例示でも構わないから、こうした情報を一般の人に届けるチャネルが必要ではないか。7割以上が「設計費が高そう」だから「個人の設計事務所に住宅の設計を依頼したくない」と回答した調査結果を前に、そんな思いを強くした。