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日本プロ野球選手会のWBC出場ボイコットに関する連続ツイート。

7/19のツイート。

●要求内容は正当だと思うが、交渉戦術としては展望のないやり方に思える。相手はそもそも交渉のテーブルに付く気がなさそうに見える。日本代表がボイコットしたからといってWBCが困るだろうか。/選手会がWBC不参加を決議(デイリースポーツ) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120720-00000033-dal-base

●ボイコットしたところで日本抜きで開催されるだけのことになりかねないし、そうなると第4回以降はさらに立場が弱くなる。交渉事や訴訟合戦にかけては、野球以上に彼我の実力差がありそうなだけに悩ましいが、参加しながら交渉を続ける方がベターであるように思う。

●一般論として、要求事項が何であれ、それがどれほど正当であれ、野球選手が交渉材料として「野球をやらない」と言い出すことには抵抗を覚える。

●WBCに関しては、どれほど理屈をつけたところで、要求事項そのものは「もっと金をよこせ」に尽きる。それが容れられないなら野球をやらない、というのでは、見物人としては、一定の理解はできても、賛同はできない。私が見物したいのは野球であって法廷闘争ではない。

●スポンサー収入の帰属先をめぐってMLBと争っているのが選手会、というのも奇妙な構図ではあるが。本来ならそこで矢面に立つのはNBPの役割であり、再任されたコミッショナーの仕事であるはずだ。

●よもやMLB内で「日本人メジャーリーガーだけで1チーム作って参加させりゃいいや」みたいな話になる可能性はあるんだろうか。捕手はカート・スズキあたりで。

●木村公一さんによると、WBCはそもそもそういう大会、ということのようだ。同床異夢にもほどがある、ということですな。


7/20のツイート。

●WBCの件の続き。選手会の主張はこちら。http://jpbpa.net/wbc/ 前にも書いた通り、主張には正当性があるが、手段には飛躍があると思う。この次元の争いで「未来の日本の野球のために」と言い切ってしまえる感覚にはついていけない。

●不参加が日本野球の未来に及ぼすメリットとデメリットを冷静に検討しているのだろうか。この大会が始まった時、私は「どんなに運営に問題があっても、日本野球は参加して勝つことを目指すべき」と主張していたが、今もその考えに代わりはない。WBC抜きでも日本野球が安泰だというなら別だが。

●今の日本で、あるスポーツが人気競技であり続けようとするなら「世界に挑む日本代表」という存在は極めて重要だ。現実に用意された「世界」がどれほど歪んだ空想的なものであったとしても、日本野球はその物語を必要としている。歪みを是正するためにも、参加して勝って発言力を増すことが大事。

●2度も優勝したのに発言力が増えないじゃないか、と言われればごもっともだが、それでもやっぱり、他に世界大会がなくなってしまった以上、参加して勝つ以外の選択肢は見えない。

●「日本野球の未来のために」というからには、選手会は最低でもこのレベルの議論をしていてほしいのだが、さて現実はどうなんでしょう。


●運営上の問題がたくさんある大会なのに、選手会は金の話しかしない。選手には選手の言葉があるべきで、弁護士の言葉とは違うはずなのだが、両者は綺麗に一致している。/WBC「経済的メリット取れるのはMLBのみ」 石渡氏が大会の構造改革を訴え http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120629/bbl12062909030001-n1.htm

●いつも思うんだが、選手会の名のもとに公表されるこういう文章って、誰が書いて、誰が決済してるんだろう。週刊ベースボールの連載にも署名がない。http://jpbpa.net/news/?id=1342765958-887972

●「なお、野球の国際大会において“侍ジャパン”の名の元に行う日本代表による、独自の国際試合への参加については積極的に協力していく所存です。」http://jpbpa.net/news/?id=1342765958-887972  … って、どこにどんな国際大会があるというのか。

●(yusuketsuikiさんへのレス)選手たちは素晴らしい試合をすることで、もともと価値の疑わしい大会に、独自の価値を与えてきたのです。価値は試合の中にしかない。選手会サイトの文言で嫌なのは、スポンサー権料を「日本代表の価値」と呼んでいることです。それは「選手の言葉」ではありません。

●で、あえて金の話もしておくと、野球日本代表のスポンサー権料というのは、五輪やWBCに参加するから発生するのであって、そこに出場しない代表が同じ利益を生むとは到底思えない。だから、WBCをボイコットしたらMLBに吸い取られる金が日本代表のものになるわけではない。単に消滅するだけだ。

●一方、日本代表がWBCに参加することで生ずる利益はスポンサー権料等だけでなく、有形無形の経済効果があるはず。例えば大会前の有料練習試合、大会後のNPB公式戦の観客動員増、無形でいえば野球の人気、注目度の高まり。WBCボイコットはそのすべてを無にする。

●選手会の議論は、WBC参加の波及効果を無視している。WBCなしでも日本代表の価値が存続するかのような書き方だが、それは無理があるんじゃないだろうか。野球が五輪を失ったダメージは大きい。

●これは選手会とは関係ないけど、日本がWBCに代わる国際大会を主催する、という案には、残念ながらあまり意味がない。メジャーリーガーが参加しない大会は、WBCの価値を超えられないから。

●そういえば昔、こんなことを書いてたのを思い出した。ロンドン五輪の開幕直前にこういう事態が起こるのだから、なんともはや。すごい閉塞感。/五輪競技落選による、MLB一極集中体制の完成。 http://kenbtsu.way-nifty.com/blog/2005/07/post_b834.html


ちなみに、昨年10/10にはこんなツイートをしていた。

●アイデアとしてはアリだと思うが、日本一監督がアメリカ人だった場合にも適用するんだろうか?(それ以外の外国人という可能性は、現実的にはまず考えにくいのでここでは無視する)/日本一監督が侍ジャパン指揮官就任へ! http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/10/11/kiji/K20111011001796360.html …

●バレンタインくらいの実績があれば別だが、ヒルマンのようにMLBの監督経験がないアメリカ人が日本代表を率いてUSA本土に乗り込むとなると、精神状態が心配になる。それ以前に、ディフェンディングチャンピオンである現状では、ファンも外国人監督を容認しないのでは。

●なお、WBCの参加条件に関してNPBと選手会がやっている条件闘争については、原則として賛成してます。アサヒビールが払うスポンサー料が主催者に入っているとは知らなかった。それはどう考えても不当だろう。今大会だけで万事解決するはずはないが、開催されるたびに粘り強く交渉していくべき。

●ただ、日本が単独で金の話だけを交渉している、というのはうまくない。自国リーグで強い代表チームが作れるキューバと韓国を、何らかの形で抱き込んで共闘できたらよいのだが。この3か国が全部欠場したら、国際大会としては格好がつかないだろう。共通の利害をどこかに見いだせないものか。


…選手会に対する意見としては、ストが終わって第1回WBCに向けた動きが始まってから、ずっと同じことを書いている。もうずいぶん時間が経って、ストの後からプロ野球に入って来た選手も増えたが、大きな状況としては変わっていないと思う。つまり、「WBC抜きでも日本野球が安泰だというなら別だが。」というところがすべての根っこにある。

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コメント

初めてコメントさせて頂きます。
2005年の時点で今日の事態を予測していた貴殿の先見の明には唸らされます。

ロンドン五輪に関して会社の同僚とも話す機会があったのですが、メダルラッシュということもあってか野球の不在を嘆く人がいませんでした。かといってプロ野球や高校野球の話をする人もいないのですよ。
このままだと国際化どころか日本国内でもコアファンのみにしか受け入れられない事態になるのが心配です。

個人的にWBCIに対する交渉手段として「野球をしない」ことは、アリなんじゃないかと思うのですが(当然ながら、何も彼らが所属チームで野球をやることを否定しているわけではないので)、野球界としてどのような国際化戦略を描いているのか示してほしかったですよね。
この五輪期間中に野球復帰に向けての特別な活動をしている様子も聞こえてこなかったので、おそらくあまり考えていないのではと思うのですが如何でしょうか?
それとも、とりあえず東京ドームや甲子園に客が来ているから自分たちの方針は正しかったと思っているのかな。。

素人意見失礼致しました。

※ 室伏のIOC選手委員選挙での不正発覚で、東京五輪も野球・ソフト復帰も遠のきましたかね。

投稿: ジロ丸 | 2012/08/13 22:24

>ジロ丸さん

>このままだと国際化どころか日本国内でもコアファンのみにしか受け入れられない事態になるのが心配です。

長い目で見れば、そういう方向に動いていくのだろうと思いますが、急激にそこに至るのか、緩やかにソフトランディングしていくのか、道筋はひとつではないはずです。WBCへの不参加は、一気に転げ落ちる、という事態を招きかねないと危惧しています。

大抵のスポーツ競技において、「コアファン」以外の耳目を集めることのできる貴重な機会が、五輪であり、「世界○○」と呼ばれるような国際大会です。その双方を欠いてしまったら、野球といえども安泰ではいられないだろうと、ロンドン五輪を見ていて、改めて思います。

投稿: 念仏の鉄 | 2012/08/15 01:54

ご無沙汰しております。

WBC、参加となって良かったです。

しかし、代表監督にホークスの秋山監督の名前があがっていたのには絶句。非常識も甚だしい!

…と怒り狂っていたら、なんとその打診をしたのが王会長だったと聞いて心底脱力。

王会長さま、自己犠牲もほどがありますって。orz

投稿: 馬場 | 2012/09/05 18:08

ご無沙汰しております。

WBC、参加となって良かったです。

しかし、代表監督にホークスの秋山監督の名前があがっていたのには絶句。非常識も甚だしい!

…と怒り狂っていたら、なんとその打診をしたのが王会長だったと聞いて心底脱力。

王会長さま、自己犠牲もほどがありますって。orz

投稿: 馬場 | 2012/09/05 18:08

>馬場さん

うーん、正直なところ、私自身はこの一件で、かなりWBCについての関心が減衰したようで、素直に「よかった」という気分にはなりませんでした。試合が始まれば見るとは思いますが、過去2大会ほど熱中することはないかもしれません。

監督人事についても相変わらずよくわからない感じですしね。
代表チームを常設化するというのなら、監督の名前を取りざたする前に、GMにあたる役職を設け、そこに然るべき人をあてるべきでしょう。

冷静に考えれば、NPBが自ら代表チーム事業に乗り出すことになったというのは、画期的な進展ではあるのですが。

投稿: 念仏の鉄 | 2012/09/06 00:16

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