先日の仮面ライダー響鬼二十九之巻の台本に続いて今度は
最終之巻の台本がヤフオクに出ています。
テレビ朝日の響鬼ページのインタビューでヒビキ役の細川茂樹さんが台本のままでないと言っていたラストシーンが判ったので比べてみましょう。
まずは台本から。
寝かされている明日夢が目覚める。
見ると、海に向かって佇んでいるヒビキ。
ヒビキのもとに近づく明日夢。
ヒビキ「……どうだったんだ、明日夢……お前にとって、この一年は」
明日夢「……ヒビキさん……ぼくは、一生懸命生きてきたつもりです。もう弟子じゃないってヒビキさんに言われてから……」
ヒビキ「そうか……」
明日夢「ヒビキさんに憧れてました。ヒビキさんに会ってから、ぼくはずっと……そして、ぼくもいつか、ヒビキさんみたいになりたいって……でも、それじゃダメなんじゃないかって気づいたんです」
ヒビキ「……」
明日夢「ヒビキさんに何でも頼って、ヒビキさんの真似をして……それじゃぼくが本当に良く生きてることにはならないって。それがヒビキさんが教えてくれたことなんだって」
ヒビキ「……お前にとって、この一年間は無駄じゃなかったみたいだな」
明日夢「ヒビキさん、ぼくは鬼にはなりません」
ヒビキ「ああ」
明日夢「すみません……ヒビキさんとは違う道を選んじゃって」
ヒビキ「明日夢……お前はおれと違う道を選んだんじゃない。お前は、お前の道を歩みはじめたんだ。自分を信じて、お前らしく、な」
明日夢「ヒビキさん」
ヒビキ「もう大丈夫だな、おれのそばにいても」
明日夢「ヒビキさん……!」
歩き始めるヒビキ。
ヒビキ「行くか、明日夢!」
明日夢「はい!」
ヒビキの後ろ姿に向け、走り寄る明日夢。
ふたりの姿が次第次第に小さくなり……
[完]
次は実際に放送された台詞です。
ヒビキ「出会った時、屋久島の朝日を一緒に見たな。覚えてるか?…太陽っていいよな」
明日夢「一生懸命生きてきたつもりです。もう弟子じゃないってヒビキさんに言われてから。ヒビキさんに憧れてたんです。初めて会った時から。そしてぼくもいつか、ヒビキさんみたいになりたいって。…でも、それじゃダメなんじゃないかって、気がついたんです。ヒビキさんに何でも頼って、ヒビキさんの真似をして…それじゃあ、本当にぼくが目的を持って良く生きてることには、ならないんじゃないかって。…それがヒビキさんが教えてくれたことなんだって」
明日夢「ぼくは鬼にはなりません。でも判ったんです。もっと、たくさんの人を助けていきたいって」
ヒビキ「これでもさあ、離れてた時間、ずっと明日夢のことが心配だったよ。難しいよなあ、強く生きてくって。おれは信じてるんだ…人間は、いつだって変われるんだって。鬼になることだけが俺の弟子になることじゃない。鍛えたな、明日夢」
明日夢「ヒビキさん…」
ヒビキ「出会った頃からずっと、明日夢は自慢の弟子だったよ。おれについて来い。これからは、おれのそばで自分らしく生きていけばいい」
明日夢「はい」
ヒビキ「よろしくな。シュッ〆」
明日夢「…シュッ〆」
[完]
明日夢の台詞は、あまり変わっていませんがヒビキの台詞は大幅に改変されていますね。
放送されたものを観た時に、自分で進む道を選んだ明日夢を「鍛えたな」と認めながら、その後に「おれについて来い」と命令形になるのに違和感があったけどソレは台本には無かったと判ってスッキリしましたよ(笑)
台本通りに「もう大丈夫だな、おれのそばにいても」「行くか、明日夢!」の方が明日夢を尊重してるのが感じられて良いと思うんですがねえ。
それに最終之巻は一之巻・二之巻をトレースしながら明日夢の成長ぶりを見せる構成になっていましたよね。
船から落ちそうな子供を見ても何もしなかった→子供を助けるために崖を降りた。
魔化魍に襲われ気絶した従妹の千寿に何もできなかった→もっちーを京介と共に助けに行き、気絶した京介を背負って運んだ。
受験について迷っていた→自分で進む道を決めた。
という風に。
だから屋久島の朝のことに触れたのは良いと思いますよ。でもそれなら予告にも使われたいたそのシーンの台詞で、しかも初期の脚本家きだつよしさんがキャラクターブック「鬼の肖像」の記事で「その一言が響鬼のすべて」とまで語っている「自分を信じること。それが自分が自分らしくあるための第一歩なんじゃないかな」という台詞を受けた「自分を信じて、お前らしく、な」という台詞は残すべきだったんじゃないの?
全体として台本通りの方がスッキリまとまっていて良いと思うんだけどなあ。
【以下追記】
この違いは「響鬼」への思い入れの違いでしょうね。
白倉さんがブログで「よそのお子さん」と表現しているように「響鬼」は白倉さんや井上さんにとって「自分の番組」ではない。だからこそ「三十之巻」以降は努めて客観的、理性的に番組を立て直すのに必要なことを取捨選択して組み立てていると感じられます。
一方で放映版は細川さんが一年間の思い入れを込めた「細川ヒビキ」の言葉なんでしょう。
テーマ:仮面ライダー響鬼 - ジャンル:テレビ・ラジオ
間違えますたorz
スイマセン、書いたばかりのカブトレビューの方を間違えてTBしちゃいました。申し訳ないですが、消して頂けるとありがたいです。orz
じっくり読ませて頂いて、確かに元の台本の方が全体としてまとまりのあるセリフのやり取りになっている、と思いました。ただ、私は最後のヒビキさんのセリフには「命令」的な印象は感じなかったこと(まあ、よくあるアニキ的キャラのセリフとして受け取ってましたんで)と、「鬼になることだけが~」のセリフが好きなんで、やっぱ「放映版」は捨てがたいかなぁ。ま、人それぞれですね。
【2006/04/11 00:42】
URL | てりぃ #O8jQI81I [
編集]
私は放送を観た時に明日夢の成長を頼もしく思っているんだから、そこは「ついて来い」よりも「一緒に行こうぜ」とかだろうと感じたんで台本の「行くか、明日夢!」の方がしっくり来るんですよ。
本文に少し追記しました。
【2006/04/11 23:39】
URL | K-beat #- [
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…長い、とても長い道のりでした。一年間という放映期間自体もさることながら、その途中で不幸にして起こってしまった路線変更と、その後の辛い日々を思い返すと、今でも胸が苦しく Old Dancer's BLOG【2006/04/11 00:38】
何の期待もしていない最終回。BGMは発売になったばかりの「音撃盤三」としてスタート。OP主題歌もなく、オロチの儀式で怒濤の戦闘シーンかと思いきや、CM明けではいきなり「一年後」。色々と事情があっただけに、Sプロデューサーも脚本の敏鬼も決着を付けることを嫌ったのか MEICHIKU なんでもぶろぐ【2006/04/11 00:53】