塾講師のどんな点が「ブラックバイト」なのか|家庭教師のバイトと比較

jukukoushi

ブラックバイトだと言われることが多い塾講師のバイトですが、どのような点が「ブラック」なのかを分析してみました。又、同じ「教育系バイト」である「家庭教師のアルバイト」との比較もしています。

大学生に過酷な労働条件を強いる「ブラックバイト」の問題が、マスコミ報道などでクローズアップされることが多くなりました。

ニュース報道が連日されていた数年前は「塾講師バイト」をしていた大学生が、塾のバイトを敬遠して、家庭教師などの他のバイトをするようになっており、塾業界は空前の人手不足となっていました。実際、「大学生の人気アルバイト・ランキング」で上位だった「塾講師」のバイトの人気が大きく落ち込み、家庭教師に乗り換える人も増えていたようです。

ここ1~2年は、「塾講師のブラックバイト報道」が減ったため、何も知らない大学1~2年生が塾講師のバイトを始めたため、学習塾は求人難には陥っていません。

塾講師のバイトは「ブラック」ではなくなったのでしょうか?答えは「NO(変わらない)」です。報道が少なくなっただけで、塾講師バイトのブラック度は改善されていません。

ちなみに、塾講師のブラックバイト報道の殆どは、個別指導塾の塾講師に関するものでした。集団塾に関する報道はあまり目にしませんでした。又、同じ教育系バイトでも、家庭教師について報道されているケースは殆どありませんでした。

今回は、「どのような点で塾講師がブラックバイトなのか」「家庭教師のバイトとはどのような違いがあるのか」をネット上の口コミや評判などから検証していきたいと思います。

塾講師がブラックバイトと言われる理由

数年前、テレビや新聞で「塾講師=ブラックバイト」という報道や特集が頻繁に行われた時期がありました。そのほとんどは集団塾ではなく、個別指導塾のアルバイトです。個別指導塾がブラックバイトといわれている理由は以下のようなものです。

  • 同時に複数名を指導して複数名分の指導レポートを授業後に書かなければならない。その労働時間には賃金が発生しない。
  • 同時に複数名を指導するため、授業前に複数名分のプリントなどを用意しなければいけない。その労働時間には賃金が発生しない。
  • バイトをしている大学生の時給が大幅に下がっており、表面上の時給が1000円前後となっている。
  • 「コマ給」なので授業前後の準備やレポート作成・後片付けは無賃労働である。その為、実質的な時給は500円前後になる場合も少なくない。
  • 家庭教師と違って授業の振替がきかないので、大学のテスト期間中でも休むことができない。
  • 塾の稼ぎ時である「夏期講習」と「大学の前期試験」の時期が重なる。テスト前・テスト中なのにシフトに強制的に入らされる。

何故、塾講師はブラックバイト化したのか

個別指導塾のバイトが「ブラックバイト」化した背景には、個別指導塾の乱立があります。20年ほど前から「市場飽和」「教室数はこれ以上増えない」と言われてきた個別指導塾ですが、毎年教室数が増え続けています。

少子化の影響で、塾業界の市場規模がたった数年で1兆円から9500億円に下がる中での教室数の増加がもたらしたのは、1教室あたりの売上低下でした。

そのしわ寄せが、働いている塾講師の大学生に及んでいます。「塾講師の時給相場の大幅な下落」「人員不足に伴う強制シフト」「時間外労働の常態化」などで現場の大学生は悲鳴をあげています。

個別指導塾のシステムにも問題がある?

個別指導塾という名称は、「先生1人」に対して「生徒1人」をイメージさせますが、大半の個別指導塾(特にフランチャイズ展開の塾)は、先生1人に対して生徒が2人~7人程度となっています。(先生1:生徒2~5とパンフレットなどに書いてあっても7人程度同時というケースがよくあります)

1コマで受け持つ生徒数が多いと、事前の準備や授業後のレポート作成に時間がかかってしまいます。塾講師は授業(コマ)に対して報酬が支払われる「コマ給」が基本ですので、授業前後の労働時間は報酬対象外となります。

「先生1対生徒複数」のシステムは、(成績が上がるのかは?ですが)授業料を安く抑えられるので保護者とっても好都合ですし、脱サラの素人でもマネージメントしやすいので多店舗展開する塾本部としても利益を生み出しやすいシステムです。

その結果、個別指導塾の大量出店→競争激化→講師にしわ寄せ→ブラックバイト報道→塾講師が不足→講師にしわ寄せ という悪循環がおこってしまっています。

ブラックバイト報道の影響で、時間外の手当てを出す塾が出てくるなど若干の改善は見られますが、構造的な問題ですので、抜本的な改善は難しいと思われます。

個別指導塾と家庭教師のバイトの違い

個別指導塾のバイトばかりが「ブラックバイト」と言われていますが、同じ教育系バイトである「家庭教師のアルバイト」の場合はどうなのでしょうか?

結論から言うと、家庭教師は個別指導塾ほどにはブラックバイトが蔓延していません。その理由は個別指導塾と家庭教師には以下のような違いがあるからです。

  • 家庭教師は時給が個別指導塾に比べて1.5倍~1.8倍程度である。
  • 授業の為に移動などに時間がかかるが、それを織り込んだ高時給である。
  • 生徒の保護者と話し合って授業の振替が可能である。

小中高時代の学習や受験をいかしたバイトをお探しなら、ブラック化している塾講師のバイトはさけて、家庭教師のバイトをすることをお薦めします。

家庭教師のバイトは塾講師のアルバイトに比べて、基本的には「ブラック」ではありません。しかし、一部の家庭教師会社(高額教材を販売している会社)はブラックです。以下の「家庭教師バイトのおすすめできない登録先とおすすめ登録先の見分け方」のページで、家庭教師のブラックバイト事情や、ブラックバイトに引っかからない方法・見分け方について解説していますので、あわせてお読みください。

⇒おすすめできない家庭教師会社の見分け方

家庭教師会社の中には問題の多い会社・ブラックな会社が少なくありません。家庭教師バイトの登録先として「おすすめできない家庭教師会社」「危ない家庭教師会社」についてまとめてみました。家庭教師バイト探しの参考にして下さい。

参考データ:主な個別指導塾

先生1名:生徒1名の個別指導塾

・個別教室のトライ
・TOMAS
・KATEKYO学院
・ネッツ
・プログレス
・ノーバス
など

先生1名:生徒複数名の個別指導塾

・明光義塾
・ITTO個別指導学院
・スクールIE
・早稲田育英ゼミナール
・城南コベッツ
・ベストワン
・AXIS
・ナビ個別指導学院
・トライプラス
・スタンダード
・京進スクール・ワン
・Dr.関塾
・個太郎塾

など

※東京個別指導学院のように「1対1」と「1対複数」の両方がある場合もあります。

家庭教師のバイト探し「虎の巻」

家庭教師のバイト探しに関する情報をまとめましたので、以下の記事もあわせてお読みください。家庭教師アルバイトのおすすめの探し方・注意点・時給相場などについての特集です。

⇒家庭教師バイト探しの虎の巻

家庭教師バイト探しの「虎の巻」。家庭教師バイト探しにお役立ちの情報を掲載。家庭教師アルバイトの基本から、バイトの探し方や注意点、登録先としておすすめの家庭教師会社の見つけ方など。これから家庭教師バイトを探される方は是非参考にして下さい。