小橋復帰戦感想~立ち上がる姿を見せるプロレス
小橋建太復帰戦を会場で観戦しました。
・ カクトウログ: 小橋建太が待望の復活! 12・2ノア日本武道館「Winter Navigation’07」最終戦、速報観戦記
・ 小橋復帰戦に超満員1万7000人が熱狂=ノア/ノア「Winter Navigation’07」最終戦トピックス(スポーツナビ)
・ ノア「Winter Navigation’07」最終戦(スポーツナビ速報)
▼小橋建太復帰戦
[8=メイン]三沢光晴&秋山準 vs 小橋建太&高山善廣
「格闘技」を超えたものがプロレスだなんてよく言われるんだけれども、これはいったい何だ。命の危険を伴う病気に打ち勝って、奇跡のカンバック。もう、「人生」を超えている。こんな冷静に見れないプロレスがあっていいんだろうか。
向かい合った4強は、持ち技を駆使して、情け容赦なくお互いを痛めつけあう。攻防が素晴らしかったのは言うまでもないが、ひとつひとつの技は歴史そのものである。身体を痛めつけて、これでもかというシーンをつくって、また「それでも決まらない」というシーンをもって壊し、またつくって・・・。ボクらは技の向こうに歴史をみている。だから、攻防の重みが二重三重に感じられる。プロレスはこんなにも贅沢なジャンルだ。
小橋建太の人生と、プロレスの歴史と・・・すさまじいまでの「背景」を背負ったメインイベントは、当然のように大爆発。
そして、とってもいいファンが集まった。前回の武道館大会で行列をつくったり、ファンクラブ予約したり、発売日に並んだり・・・明確な「意志」をもって集まった。野次馬根性では手にできないプラチナチケットをつかんで、日本武道館に駆けつけたのだ。
いいファンは、レスラーやテレビとうまいコラボレーションをみせる。帰宅後に、日本テレビでの深夜放送を観ていたら、それは起こった。
~小橋建太入場時~
(実況)小橋の元に届いた8万羽の折鶴と一緒に、小橋は武道館にやって来ました。
【画面】(テーマ曲前奏)会場の一角に吊るされた折鶴がみえる
(実況)おめでとう・おかえりなさい・ありがとう
そんなすべての思いを込めて、私たちはこう叫びます!
【観客】(その瞬間、曲がアップテンポになり)コバシ! コバシ! コバシ!
(実況)小橋が生きて帰ってきた!
~試合終了時 三沢のエメラルドフロウジョンに小橋が沈む~
【画面】三沢が小橋に3カウントを入れて勝つ
(実況)(間髪いれず)小橋が勝ちました! 腎臓ガンに勝ちました!
【観客】(三沢の勝利曲「スパルタンX」に乗せて)
コバシ! コバシ! コバシ!
なんだ、このベタすぎるのにグッとくる展開は! 恥ずかしながら、ボクはこういうのに単純に弱い。また涙ぐんでしまったわけだが、テレビがまた、小橋の「立ち上がる姿」を純粋に、過剰に、盛り立てたんである。
これが、ノアそのものだ。この団体、ベビーフェイスやヒールがない。余計な装飾なし、立ち上がる姿で真っ向勝負。“闘い”から逃げないとも言えるが、せっかちな現代っ子には受け入れられるか微妙である。
だけれども、その世界観につきあうレスラーを団体として大切にし続ける。だから、離脱者が出ない。小橋の復帰戦の感動は本人のみならず、小橋とともにノアに君臨し続けた三沢・秋山が生んだものであり、ノアが創設時からメインイベンターと認める高山が生んだものである。
ボクは新日本プロレスファンであるから、ものすごくうらやましい。新日本はバラバラ(分裂、他団体への離脱)になってしまったことで、レスラー同士が築いてきた歴史が圧倒的に少ない。だから、試合への感情移入が薄っぺらくなってしまう。新日本は前提で負けてしまっている。
これはもう、世代交代する・しないといった問題ではない。ノアはプロレスというものを本当にわかっている。それを身を削ってやっているのだ。
その第一人者が小橋であることを、ボクらはあらためて確認できた。これでもかとタメられる「間」と、ひきつけて離さない「表情」とに、これ以上なく立ち上がっていく姿を感じさせる。
放送の画面の向こうで、小橋は、背負っているものをバックステージで次のように語った。
「病気やつらいことに悩んでいる皆さんに元気になってもらいたいし、年齢層問わず、苦しんでいる人に元気を与えられるようなレスラーになりたい」
小橋とノアは、しっかりとした足取りでめざしているプロレスがある。見守るこっちの胸が痛くなるプロレス。ノアは、そして、プロレスはどこに向かっていくのか。ボクらはまたしても、すさまじい興行をみてしまった。
■□
◎20:56 | 小橋、腎臓機能数値は良好
携帯から。(↓写真デジカメのものと差し替え)
小橋建太復帰戦から一夜明け。東スポの一面は当然、小橋。
いい写真だ。さらに2、3面も小橋復帰が特報されている。
保存版ですね!
なお、本日3日の受診によると腎臓の機能数値は良好とのこと。
詳細はスポーツナビなどでどうぞ。とりあえずホッ!
◎26:35 | 追記
診断されたほうも、診断したほうも、慎重に言葉を発した。
・ 腎臓がんから復帰の小橋、一夜明けて「さらなる飛躍目指す」=ノア/検査結果も良好、担当医師から「大丈夫」のお墨付き(スポーツナビ)
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・ カムバック戦から一夜明けた3日、横浜市立大学付属病院で血液検査などを受診。心配された数値の悪化なども見られず、担当医師から“良好”のお墨付きをもらった。
・ 中井川昇医師
「プロレスのような過酷な運動をすれば色んな良くないものができてますので、正直言って、今日の数値は悪いだろうなと思っていました。でも、思ったほどというか、ほとんど影響はなかったですね。
今のペースであれば問題ないですね。今までのトレーニングが試合と同じくらいの負担があったんでしょうね」
・ 小橋
「トレーニングでだいぶ無理していたんで。でも、復帰戦に挑むまでにどれだけ体をならしてきたか、それを証明できたかなと思っています。今日は検査のことだけで、(今後の)試合のことはまだ何も考えていないですね。今日、先生と話し合って決まったことは、今の練習のペースでやっていけばいいということだけ。前例がないことですし、1試合やっただけで、それで検査結果がたまたま良かっただけですから。今後どうなるのか誰も分からないんで、その辺を見極めてやっていきたいですね」
・ 中井川医師
「今のペースというのは練習のペースであって、試合に関してはちょっと分からないですね。数値の結果から、試合よりもトレーニングの方が肉体の負担は色々とあったんだと思いますが、試合を続けることで疲労の蓄積とか、そういう可能性があるかもしれない」
・ 小橋
「練習は自分にとって仕事。やって当然のことだし、いつから始めるとかいうものではない。復帰が決まった時点で12月2日が目標ではなくなった。12月2日で絶対に終わらない気持ちでやってきたし、今後はさらなる飛躍を目指してやっていきたい。どうやっていいのか答えは出ませんが、でもこうしてリングに立ってやってきた。自分は常にベストファイトを心がけてきましたが、あとは悔いのないように1試合、1試合全力でやるだけです」
・ この日の検査結果が良好だったため、年内にはもう検査は行わず、次回は年明けの検査を予定。
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奇跡の復帰戦は、本当に手を抜くことなく、身体に気を使って調整をしてきたからこそ! しかし、今後については本人らが言っているように前例がないわけで、ここは慎重に判断していってほしい。
一紙くらい朝刊紙でも“小橋復帰”を一面にしてくれてもよかったと思うんですが、一面にしたのは夕刊紙だけでしたね。
トレーニング秘話。
・ ノア 216発に込めた熱い思い。小橋建太のチョップ秘話(内外タイムス)
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とりわけチョップにはやはり思い入れが強かったようで、小橋は練習の中でも特に多くの時間を割いていたという。潮崎は「板を割ったり、壁に打ちつけたりというトレーニングをしてました。(本田)多聞さんが練習に付き合って、胸の周囲を毎日真っ赤に腫らしていましたね」と証言する。
休養前には小橋とのコンビでGHCタッグ王座を保持していた正パートナーの本田多聞は、壁や板、サンドバッグにチョップを打ち付けている小橋を見かねて「人間をたたかないと感覚がつかめませんよ」と進言し、文字通り胸を貸した。
「無呼吸の状態で打つことになるので実戦により近い方がいい。(11月)30日と1日もやったんだけど、2日間で1000発以上はチョップを食らったね。おかげで胸がどす黒く腫れ上がったままで試合に出ることになっっちゃったよ」と本田は苦笑いを浮かべながら、小橋のチョップで痛む胸をさすっていた。
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東スポの手記には、小橋のお父さんとのエピソードが(要約)。
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物心ついたころ、すでに両親は別居状態。それでも、父親の希望で3年前に再会(30年ぶり)。されど、最後に会ったのがこのときとなり、この10月中旬に亡くなったとの連絡が来た。
小橋「もし生きていれば、テレビで復帰戦を見てくれたかもしれない。オレの心の中で、自分の歴史の中で、何かが一つ終わりを告げた感じがした」
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小橋の物語は尽きない。
試合出場に続いて、こちらに“出演”。カツ/鰻さんからの情報です、感謝。
・ テリー伊藤 のってけラジオ AMラジオ 1242 ニッポン放送
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月曜~金曜13:00~15:30
7日(金) 復活した“青春の握りこぶし”!! プロレスラー小橋健太選手登場!
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時間の許す方はチェックしてみてください。
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