東海道新幹線「N700系」車内Wi-Fi、5月末より一部帯域制限


 東海道新幹線の「N700系」で提供されている公衆無線LAN(Wi-Fi)サービスにおいて、一部コンテンツの利用に対し、5月31日から帯域制限が導入される。

 2009年3月より提供されているN700系の公衆無線LANサービスは、NTT BP(ブロードバンドプラットフォーム)が設備を担当し、JR東海が提供するサービス。NTTコミュニケーションズの「HOTSPOT」やNTTドコモの「docomo Wi-Fi」、ソフトバンクモバイルの「ソフトバンクWi-Fiスポット」などで利用できる。

 5月7日には、ウィルコムから「5月31日からN700系で、動画系コンテンツやファイルダウンロードなどの通信について帯域を制限する」とアナウンスが行われた。これに対し、NTTドコモやUQコミュニケーションズといった他社も、正式なアナウンスは行っていないものの同様の制限がかかるとコメント。なお「au Wi-Fi SPOT」は、現時点でN700系内では利用できない。また設備担当のNTT BPによれば、N700系車内の公衆無線LANサービスを提供する全事業者が制御対象とのことで、各社から順次案内される見込み。

 帯域制御の背景として、「スマートフォンなどの急激な普及にともない、サービス開始当初と比べ、時間帯によっては繋がりにくい状況が発生している」とされており、対応機器が以前より格段に増えたことが要因とされている。帯域制御により、より多くのユーザーがWebブラウジング、メールなどが利用できるようにする、とのことで、5月31日から帯域制御が適用される。

 NTT BPでは、新幹線での公衆無線LANサービスは、ケーブルに穴を開けて、漏れ出る電波で通信するLCX(漏洩同軸ケーブル)で実現しており、もともと最大2Mbpsという限られた通信速度のところへ、スマートフォンの普及もあって、サービス開始以来、うなぎ登りにトラフィックが増えていると説明。ユーザーからは使いにくいという意見が寄せられているとのことで、特に動画視聴は帯域を占有してしまい、Webブラウジングなどを利用したい他のユーザーの通信が滞ることになっていた。そこで今回は、YouTubeやニコニコ動画といった動画サービス、あるいはWindows Updateのようなファイルダウンロードが対象となった。ただし遮断ではなく、通信速度が遅くなる形になるとのこと。Webブラウジングなど、対象外のアプリやサービスはこれまで通りとなる。

 駅の待合室にあるWi-Fiスポットは特に速度制限はないとのことで、大容量のコンテンツを新幹線で楽しみたい場合などは、乗車前にダウンロードできる。



(関口 聖)

2012/5/7 17:24