広東省深圳市平山区で乗客を待つ百度のオンライン無人配車サービス「ロボタクシー」の無人タクシー(写真:新華社/アフロ)
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 11月30日から12月5日まで中国を訪問した。広東省の広州で行われる国際会議に参加するためである。この会議は、習近平国家主席も支援しており、北京で海外からの参加者と会談することも予定されていた。

 3月に訪中してから8カ月後の再来訪だったが、経済不況に伴う社会不安の一方、先端技術分野などで目覚ましい発展を遂げている中国の姿を目の当たりにした。

丁薛祥副首相とは?

 12月2日(月)の朝になって、習近平は緊急の用事ができて、丁薛祥(ディン・シュエシアン、Ding Xuexiang、ていせつしょう)副首相が代行するという連絡が入った。中国では、こういうことは日常茶飯事で、11月24日〜28日に関西経済連合会などの関西財界代表団が訪中したときも、中国当局が当日になってコロコロと予定を変更し、現地の日本マスコミも対応に苦慮した。

 習近平不在で肩透かしを食らった感じであるが、丁薛祥は習近平の後継者と見なされている人物で、実は習近平と会うよりも意義があるという中国専門家もいる。

 会場は人民大会堂であり、普通はここではスマホ持ち込みは禁止されるが、今回は海外VIPということで、何の規制もなく、私も丁薛祥とが談笑して写真をとったり、またスマホに会議内容をメモで記し、日本記者団に直ぐに流したりすることができた。

丁薛祥副首相と談笑する筆者(筆者提供)
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 丁薛祥は、1962年9月13日生まれの62歳である。1978年から1982年まで東北重型機械学院(現燕山大学)で鍛造工程を専攻した。1984年に中国共産党に入党し、復旦大学管理学院行政管理専攻課程を卒業、理学修士号を得る。1982年に中国機械工業部の上海材料研究所の研究員となり、1984年〜1988年に副主任、1992年〜1994年に主任に、1994年〜1996年に副所長、1996年から1999年まで所長として指揮した。その後、上海市政府に入り、1999年〜2001年に上海市科学委員会副主任、その後も上海市の区長などの様々なポストに就任し、2007年5月に上海市委員会常務委員、上海市党委員会秘書長に就任した。

 2003年には習近平が上海党委員会書記となっており、秘書長として習近平を補佐した。このときの勤務が、習近平に側近として認められ、今日の副首相の座に繋がっている。